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平成30年11月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(環境部関係)
本県の特性に応じた温暖化への対応について

【本郷委員】
 環境問題は地球全体で極めて深刻な状況。ヨーロッパの氷河が急速に融けており、南太平洋の島の水没も現実味を帯びてきている。先日、CO2による温暖化について、東京大学の研究でも理論的に裏付けができたとのこと。環境問題について真剣な対応をしなければならない。環境問題については2点、全体で3点お聞きしたい。
 世界的な気候変動に対する本県の取組についてお聞きする。2016・11にパリ協定が発効し、産業革命前からの世界平均気温の上昇を2度未満に抑え、1・5度未満にとどめるように努める、いわゆる2度目標の達成に向け、多くの先進国、途上国において脱炭素社会の構築に向けた取組が現在本格的に始まっている。一方で、先般発表されたIPCCの報告書によると、現在のペースで地球温暖化が進めば、2030年から2050年の間に世界の平均気温は産業革命前に比べて1・5度上昇する可能性が高く、気温の上昇を1・5度以内にとどめるためには、2050年前後に温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする必要が示されている。昨年の世界の温室効果ガス排出量が増加したことを受けて、このままではパリ協定の目標達成は極めて難しいと指摘する国連の報告書があることはご承知のとおり。
 日本では、パリ協定等を受けて2050年に温室効果ガス80%削減を目指すという長期的目標を掲げた地球温暖化対策計画が策定されている。今年の夏、記録的な高温や台風、豪雨による被害を目の当たりにし、地球温暖化の影響を実感せざるを得ない状況。とりわけ、山岳高原における動植物をはじめ、コメや果樹といった農作物等豊かな自然環境から多大な恩恵を受けている本県にとって、今後の地球温暖化による影響は計り知れない。今後は温室効果ガスの削減と気候変動への適応策を両輪として進めることが重要と認識している。12月1日に気候変動適応法が施行され、温室効果ガスの排出削減を目指す緩和策と合わせて気候変動の影響による被害の回避・軽減を図る適応策を、関係者が一丸となって推進されることが定められたところ。法の施行を踏まえ、長野県の特性に応じた温暖化への適応をどう進めるか、環境エネルギー課長に伺う。

【真関環境エネルギー課長】
 地球温暖化は地球規模で取り組まなければならない喫緊の課題。また、政府のみならず、地方自治体や非政府組織の動きに期待が寄せられているのが世界の潮流。本県においては、緩和策を着実に実施しており、適応策として、気候変動の現状把握を行う信州気候変動モニタリングネットワークを平成26年に立ち上げ、多様な主体で適応策の着実な推進に取り組む信州気候変動適応プラットフォームを平成28年に立ち上げ、気候変動予測、環境への影響評価、適応策の事例等について情報共有を図ってきている。
 12月1日に施行された気候変動適応法だが、気候変動適応を推進するために、全国各地で異なる地域の気候、地理、主要な産業等、地域の実情に応じてきめ細かに対応することが求められている。本県においても、既にリンゴやレタスへの高温障害が確認されており、また、ライチョウの生息域が今後減少していくのではないかという予測もある。本県の特性に応じた分野ごとの適応策を速やかに創出していくことが求められている。
 今後は、これまでの取組に加え、気候変動の適応や情報収集、技術的助言を行う体制の確保を行うとともに、市町村、企業、大学等、気候変動予測や影響評価を行う環境を整備し、適応への取組を進めていきたい。また、この体制の中で、特に本県に影響が認められる農業、防災、生態系等の分野において、農産物の品種改良や栽培技術の開発、災害リスクを考慮した急峻なか所の施設整備の重点化等、適応の具体策が創出されるよう取組を強化してまいりたい。

COP24について

【本郷委員】
 G20関連として、COP24について伺う。12月2日から、ポーランドのカトヴィツェ市において、COP24(国連気候変動枠組条約第24回締約国会議)が開催されている。これは、パリ協定の実施ルールを決める場として、今後の地球温暖化対策の実効性を左右する大切な会議であることは十分理解できる。先進国と途上国の対立を超えて、脱炭素社会の実現に向けた将来像が描かれることを期待している。
 同会議の中で環境省等が開催する会合において長野県の取組を発信するため、今まさに中島副知事が出席しているところ。本県では、来年6月15日(土)・16日(日)に、「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」が軽井沢町で開催され、環境とエネルギーの分野に関する議論が行われると認識している。そこで、G20関係閣僚会合の開催を控えた本県として、COP24の場をどのように活用するのか、高田環境部長にご所見を伺いたい。

【高田環境部長】
 COP24はパリ協定に実効を持たせるためのルールを各国が作るという国連の会議であり、その会議に合わせ、対策を先導する企業や地方自治体、市民団体という、いわゆる非国家の皆様がこの場に多数参加されて、様々なイベントを開催して意見交換をしているところ。
今回、中島副知事は環境省とICLEIが開催するイベントや、それ以外の団体主催のいくつかのイベントに参加し、パネルディスカッションやプレゼンテーションなどを通じて、本県の環境エネルギー政策やこれまで果たしてきた役割などを発信することとしている。
 こうした取組の発信に合わせ、本県で来年G20の環境とエネルギー分野の関係閣僚会合が開催されるということを、多くの国・団体の皆様に認識していただくということが、開催地NAGANOの存在感を一層高めていくことになると期待している。
 COP24には多くの団体・機関、自治体の皆様が参加されているため、そういった方々との意見交換を通じ、また知見を共有し、それから連携の強化を図っていくことが、関係閣僚会合を契機とした本県の環境エネルギー政策の一層の推進に寄与するのではないかと考えている。

公営企業会計への移行について

【本郷委員】
 長野県では、千曲川、諏訪湖、犀川安曇野の3流域において流域下水道を整備・管理しており、来年度から「公営企業会計」に移行し、経営状況の一層の明確化を図るとともに、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定すると聞いている。構成市町村を巻き込んだ大きな動きになると思われるが、現在の準備状況と、移行後の目指すべき姿をお聞きしたい。

【清水生活排水課長】
 移行の準備としては、固定資産の調査・評価、財務会計システムの構築、経営戦略の策定、各種条例・規則の改正などがあり、これまで、継続して準備作業を進めてきている。固定資産調査・評価については、3流域4処理場にかけた費用が現在まで2700億円以上、資産数も1万点程度であることから、それぞれ耐用年数、減価償却額、残存価格を調べ、企業会計に移行した際の開始貸借対照表の資産の部に計上するため、平成28年度から調査を行っている。
 平成29年度からは財務会計システムの構築の作業を進めており、いずれも評価も含めて、結果を確認する段階まで来ている。経営戦略については、この先10年間程度を見通して作成するもので、メインとなるのが投資財政計画であるが、これについて、今後の処理水量の見込みやそれに伴う市町村負担金、施設の改築更新等の投資計画、修繕や維持管理などの費用の見込みなどを精査し、現在、流域関連市町村に協議をしているところである。
 その他、公営企業会計移行に伴う条例改正案の作業を進めており、2月県議会には、投資財政計画を踏まえた維持管理負担金単価の改定(案)などと併せて、議案を提出し審議いただくとともに、経営戦略(案)を報告し意見をいただきたいと考えている。
 移行後の目指す姿については、下水道事業において必要な住民サービスを将来にわたり安定的に提供していくことが非常に大切なことと考えている。そのためには、自らの経営・資産等を正確に把握した上で、中長期的な視野に立って、計画的な経営に取り組み、効率化、経営健全化を進めることが必要と思っており、一つの手段として公営企業会計の適用があると考えている。
 具体的には、決算書類などのデータを基に、他の公営企業と比較するなどして経営分析ができる他、固定資産データについては、現在策定を進めている施設のストックマネジメント計画にも活用でき、施設の長寿命化や改築の平準化など施設全体の改築・修繕を最適化し、投資コスト削減を図ってゆきたい。
 今年度策定する経営戦略の進捗管理を行いながら、経営状況の分析を適宜行い、定期的に戦略の見直し・経営改善を行い、効率的で、安定的・持続的サービスの提供に努めてまいりたい。

平成30年11月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(産業労働部関係)
米中貿易摩擦の動向について

【本郷委員】
 世界経済を見ると、いわゆる米中貿易戦争の悪影響が出始めており、長野県も例外ではない。今月1日、米中両国で追加関税の発動猶予による一時停戦が合意されたが、依然先行きは不透明であり、政治的にも流動性が高く、経済面においてはリスクが高い状況になってきている。この貿易戦争の痛みが広がり始め、中国では輸出企業の生産が落ち込み、設備投資に減速が見られており、GDPの伸びも鈍化し、景況感も低下している。こうした状況の中、中国に拠点を持つ、また、取引先がある県内企業にとっても影響が出始めており、県の景気動向調査の説明もあったが、業況が低下した大きな要因でもあると認識している。そこで、県内企業の業況をどのようにとらえているか。
 また、こうした経済状況の中、県内企業に対して、どのように対応しているのか内田産業労働部長に伺う。

【内田産業労働部長】
 米中の貿易摩擦は当事国だけでなく、世界的に影響が出ている。グローバルなサプライチェーンを通じて、本県産業にも影響が出始めていると感じている。
 今回の県の景気動向調査でも、製造業のDIは7期ぶりにマイナスになってしまった。企業からの聞き取りでは、「貿易摩擦、中国の投資減少などにより海外向けの受注が低調」など、受注が減少傾向にあるとの声を聞いている。
 私も、スマートフォンのLEDバックライトを製造している企業を訪問したところ、「ここ数年、中国向けのLEDバックライトの輸出が多く、利益を上げていたが、米中の貿易摩擦の影響で、ここにきて受注が減っている」との話を伺った。企業からは、総じて「すぐに大きな影響が出るということではないが、マインドに悪影響があるし、将来的にどうなるか先行きが不透明である」とのことで、当面懸念する大きな問題であると認識している。
 一方で、「国内回帰による受注がある」、「中国以外では投資意欲は大きい」などプラスの影響も一部には見られる。また、非製造業では、わずかではあるが、19期ぶりに2期連続の改善となるなど、良い材料もある。中国だけではなく、米国も影響が出ていて、長期回復で経済状況が良かったが、今後そのテンポも鈍化するとみる識者もいる。今後も企業の声をお聞きするとともに、経済情勢を十分注視し、分析しながら対応を考えてまいりたい。
 県内企業に対する対応だが、これまで、米中貿易摩擦問題を県内企業の皆様にご理解いただくため、中小企業振興センターと連携しながらセミナーなども開催してきたところ。また、上海とシンガポールの海外駐在員等も活用し、情報収集を行い、的確な情報提供や具体的な相談に対応しているところ。また、中小企業振興センターのマーケティング支援センター、よろず支援拠点等において、企業からの貿易・経営相談に対応しているほか、新たな販路拡大についても展示会出展や受注開拓推進員等による新規受注確保を行っている。加えて、航空機や食品、医療などについては、欧州やアジア諸国など中国以外のサプライチェーンへのアプローチも進め、販路開拓にも力を入れている。加えて、信用保証協会等とも連携しながら金融支援などの体制も整えている。今後も依然大きな課題である人材不足なども含め企業を取り巻く課題にあらゆる面から分析をかけ、迅速に対応してまいる。

生産性の向上について

【本郷委員】
 人手不足やAI・IoTなど第4次産業革命と言われる時代にあって、県内企業において、産業の生産性の向上は最大の課題である。産業の生産性向上に向けての今後の方向性や、必要と考えている政策などについて、内田産業労働部長に伺う。

【内田産業労働部長】
 産業の生産性の向上は、しあわせ信州創造プラン2・0でも重点施策の一つに掲げ、産業政策を進める上で、最優先で取り組まなくてはならない課題と認識している。生産性の向上を実現するためには、「付加価値の向上」と、企業の「省力化、自動化」という二つの観点から進めていかなくてはならないと考えている。付加価値の向上に当たっては、これまで、研究開発型企業への転換や、航空機システム、食品、医療機器やIoTデバイスといったものから、技術力を高め、競争力のある製品をつくっていかなくてはならないという観点から県としても支援、取組をしてきたところ。AI・IoTを利活用していかなくてはならない時代であるので、今後は、利活用を徹底的に進めていく必要があると考えている。利活用のための戦略も策定していかなくてはならない。
 本県の中小企業ではまだまだ導入が進んでいないことから、これを県内広範囲に広めていく必要があるが、県だけではできないので、商工会、商工会議所、中小企業振興センター等と連携しながら、具体的な導入事例等を広く普及するとともに、県内のITベンダー等とのマッチング支援なども必要と考えている。
 また、AI・IoTはハードの部分もあるが、それを利用して何をするかという部分が非常に重要。AI・IoTの活用による新しいサービスの創出も考えていきたい。アプリケーションや蓄積されたデータ等を用い、付加価値の向上につながる新商品・サービスを生み出せるよう具体的な政策を新年度には考えていかないといけないと考えている。 これらの施策を進めるに当たっては、IT人材・企業内人材の育成・確保にも力を入れていきたいと考えている。
 生産性の向上と人手不足はセットで考えていかなければならない重要な課題であり、就業促進・働き方改革戦略会議、産業イノベーション推進本部も活用しながら、効果的に取り組んでまいりたい。

人材の確保、働き方改革の推進について

【本郷委員】
 人材の確保と働き方改革、今両方とも話題になっている。現在、県内企業に共通する重要な問題は人材不足である。長野県を代表する企業のオーナーと話をすると、この問題はかなり心配されている。大学卒業者のほとんどが首都圏へ取られてしまうということで、構造的に問題が顕在化してきており、本県の中小企業における人材不足は極めて深刻であることを認識しているところ。
 県では、経済団体や長野労働局、連合長野とともに「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」で検討を進めている。産業分野別あるいは若者や女性、短期的・中長期的など様々な視点があると思うが、これまでの検討状況や今後の方向性について長田雇用・就業支援担当部長に見解を伺う。

【長田雇用・就業支援担当部長】
 戦略会議の検討状況と今後の方向性についてのご質問をいただいた。生産性の向上とともに、労働力率、労働参加率が重要だと考えている。戦略会議では、知事をトップとして全体会議のみならず、ワーキンググループや幹事会、地域会議や産業分野別会議で多くの様々なご意見をいただている。人材不足は喫緊の課題であることから、短期間で効果の現れる対策を講じなければいけないと考えている。例えば、若者が首都圏に流出してしまうという構造的な課題もある中で、UIJターンを含む若者の県内就職の促進の強化、就業の余地が大きいと考えている女性、高齢者、障がい者に対する就業促進の一層の支援など短期間に効果が現れる取組みに焦点を当てた、戦略会議としての当面の取組方針を本年度内に策定していきたいと考えている。この方針には、学び直しなど就業に直結する人材育成の充実や、就業促進にも不可欠となる働き方改革の推進もあわせて取りまとめていくこととする。
 戦略会議の目的は、産学官労が同じ方向に向かって取組んでいくことであり、取組方針を基に、関係団体と一緒になって実行に移してまいりたい。

事業承継について

【本郷委員】
 事業承継のマッチング状況や内容など現状はどのようになっているのか。また、商工会や商工会議所、金融機関など様々な団体と連携しながら進めていると思うが、現況と今後の進め方について伺う。

【矢後産業立地・経営支援課長】
 県では、ワンストップで総合的に事業承継を支援する組織として、平成26年2月に長野県事業引継ぎ支援センターを設置し、平成30年11月末時点で、成約は56件、内訳としては第三者承継、M&Aの案件数が42件と最も多い状況。古いデータではあるが、9月末現在で全国で7位という成約状況。事業引継ぎ支援センターについては、どちらかというとM&Aなどの第三者承継の専門支援機関の側面が強く、金融機関などからの紹介案件も第三者承継に偏る傾向がある。また、事業承継の問題は第三者承継だけでなく、商店街の後継者不足という親族内承継も大きい問題かと考える。それら大きい問題に対して、なかなか対応が困難という状況があった。
 そこで、本年6月に県が主導し、経営者に事業承継の必要性に早く気付いてもらうという観点から、商工団体、金融機関、税理士、弁護士などの士業の方々などと協力し、長野県事業承継ネットワークを立ち上げ、9月から事業承継の着手状況などを確認する事業承継診断を実施しているところ。この事業承継診断を実施することにより、親族内承継をはじめとした事業承継の課題を広く掘り起しを行い、11月末現在で、商工団体や金融機関の皆さんに協力をいただき1411件の事業承継診断を行った。事業引継ぎ支援センターや、税理士などの専門機関に繋いでいきたいと考えている。
 事業承継の問題は地域経済の状況を映す鏡でもあり、これまでの中小企業の支援の在り方を、もう一度見直すきっかけにもなると考える。事業承継などを検討して課題が顕在化する前に、早い段階で経営者の方に事業承継の問題について早く取り組まなければならないということに気付いていただいて、県としても、課題に対してしっかりと対応して支援を行っていきたい。

平成30年11月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(本郷委員)(観光部関係)
広域型DMOの形成に向けた支援について

【本郷委員】
 地域の担い手となる広域型DMOを形成することは極めて重要。今年度、長野県観光機構のDMO形成支援センターを置くなど体制を強化したところだが、同センターはどのような支援を行っているのか。また、地域の取組はどのように進展しているのか伺う。

【丸山山岳高原観光課長】
 長野県観光機構は、県のDMOとして観光庁の登録を受けている。4月にDMO形成支援センターを設置し、長野経済研究所の調査部長であった平尾氏を中心に、専門人材として旅行会社や金融機関、広告・商社の方など8名で支援チームを作り、10月までに7地域に赴いて支援を行っている。 
 支援内容については、広域型DMOの設立に向けた検討会議での助言や来訪者のアンケート調査の実施、住民の方の合意形成のためのワークショップ開催時の講師、企画支援などを中心に取組を進めている。地域の状況を把握して危機意識を共有したり、対応のための助言を行っている。
 各地域の進捗状況については、例えば白馬エリアでは既存の観光組織の業務の重複を整理し、業務計画を作成している。また、上伊那については10月1日に長野伊那谷観光局が設立され、これからワークショップ等で具体的な内容を決めていくところ。DMO形成支援センターの専門人材も一緒になって取り組んでいるほか、地域振興局と一緒にアンケート調査なども行っている。南信州においても、日本版DMO法人への登録を目指して一緒に取り組んでいる。北信の信越自然郷エリアでは、具体的な取組の議論のためにワーキングチームを幾つか立ち上げており、コンセプトや事業計画づくりに取り組むほか、多様な関係者の合意形成に向けて一緒に取り組んでいる。
 合意形成までに時間のかかる場合もあるが、観光機構や地域振興局と連携しながら他のモデルとなるような成功事例をつくっていき、県の重点支援地域の指定に結び付けていきたいと考えている。

信州DCの成果と今後の取組について

【本郷委員】
 3年間にわたる信州DCの成果をどのように捉え、今後の取組にどのようにつなげていくのか。

【丹羽観光誘客課長】
 3年間のDCの取組について。本番のDCで課題が4つ見え、本年はその課題にチャレンジしたところ。ネット予約機能や情報発信の強化については、長野県観光公式インスタグラムのnagano_japanの投稿を行ったり、長野県観光インスタアワードなどを実施した。また、専門業者に委託してドローン映像の撮影を行ったり、ドローンショートフィルムコンテストを開催したりして、様々な素材を集めてまいった。また、DCのホームページでは特集ページやモデルコースの掲載なども行った。さらに、体験予約サイトや宿泊予約サイトと連携し、DCサイトの閲覧者が予約まで行える仕組みを作った。加えて、ターゲット広告により狙いを絞って広告を打ち、多くの方をDCサイトに誘導することができた。今後は、新公式観光サイトにこれまでの取組みを反映してまいる。
 また、天候に左右されない観光コンテンツの充実については、体験予約サイトとの連携やプロモーションを行ったほか、体験プログラムの開発が重要であることから、開発支援のためのワークショップを開催したところ。今後も関係機関と連携し、開発支援により体験プログラムの充実を図ることで、稼げる観光を目指してまいりたい。
 また、交通事業者との連携を深めることもでき、ポスターの掲示や旅行商品の造成や、JRが制作する雑誌に記事を掲載するなど、連携した取組を今後も続ける環境を整えることができたことは、大変大きな成果であると考えている。
 今後も、DCで学んだことを生かしながら、よいものは更に伸ばし、また、改善すべき点は改善を行う中で、引き続き観光誘客を推進してまいる。

インバウンド推進協議会の進捗状況と実施体制について

【本郷委員】
 本県のインバウンドを民間主導で推進していくインバウンド推進協議会の設立に向け、現在の進捗状況はどのようになっているのか。また、具体的に事業を実施する体制をどのように考えているか。

【宮原国際観光推進室長】
 インバウンド推進協議会設立に向け、10月11日にこれまで各分野で本県のインバウンドを引っ張ってきた方々を役員候補として集め、第一回準備会を開催した。その場では協議会設立の目的や事業内容案を議論いただくとともに、役員案や規約案についても検討いただいた。そして検討結果等を受け、役員候補者の追加を行うとともに、12月7日付けで会員募集を開始したところ。今後は、1月下旬に第2回準備会を開催し、2月下旬には設立総会を開催したいと考えている。
 実施体制については、インバウンド推進協議会の役割として、観光素材と交通、宿泊をセットとした商品など、売れる商品の開発と造成、ゲートウェイからの引き入れや二次交通対策、プロモーションの強化、受入環境の整備の4つがあることから、効率的かつ機動的に進めていくため、それぞれに対応した部会をつくり、事業を実施してまいりたい。

銀座NAGANO 4周年を迎えての成果と今後の課題について

【本郷委員】
 4周年を迎えた銀座NAGANOの成果と今後の課題について伺う。

【斎藤信州ブランド推進室長】
 しあわせ信州をシェアするというコンセプトで運営している中で、来場者数が伸びていることが一番の成果であると考えている。イベントスペースについても、つながるという観点からいろいろなイベントが実施されているが、これが一番のコアであり強みであり、他県のアンテナショップではまねできない取組みである。特に北沢さんや横山タカ子さんのしあわせ信州の食材を使った創作料理や長寿料理のイベント、健康セミナー、きき酒師とワインソムリエによる講座など毎月行われているイベントが認識されつつあり、ファンも増えている。
 ショップ関係では、2階でのマルシェやメンバーズカード、1階店舗正面での青果物の販売もインパクトがあり強みになっている。店舗の売上げも27年度は600万円程度赤字だったものが、29年度には600万円ほど黒字になり、経営の方も順調にきている。
 今後の課題は、市町村が単独でイベントを開催するためには、仕切るための人員や準備の面でハードルが高く、しっかりイベントスペースを活用している市もある一方で開催に苦労している町村もあるというところである。共同開催などいろいろな方法を検討して声かけをしていきたいと考えている。イベントの開催は、その先のモノを売り込んだり、イメージを上げるといった、次の段階のものとセットでなくてはならないため、そのことについてもアドバイスをしていかなくてはならないと考えている。企業にもイベントスペースを利用してもらっているが、もっと多くの企業に使ってもらうために地元にも出向きながら周知をしていきたい。こういったことを行いつつ、長野県に好意を持ってもらえるようにお客様目線で今後も取り組んでいく。

ゴールデンルートからの取込・縦軸連携について

【本郷委員】
 中部縦貫道についても関連してくるが、大きなブランド力を持つ飛騨高山から上高地、松本への縦軸について、観光部の広域的な連携に関する戦略について伺う。

【熊谷部長】
 昇龍道、中部経済圏、中央観光振興機構との連携など、広域的にやっていくということは当然必要。特に高山の取組には学ぶところも多い。県内市町村に対して、広域でやっていく利点を広めていく必要を感じている。個人旅行が増えている中、面的な魅力の中を個人旅行客が周遊したり長期滞在をする。一度では回れない魅力は長期滞在やリピーターにつながっていく。
 経営主体でみると、人口減、財政難の中では、それぞれの観光協会がバラバラに活動するのではなく、共同でプロモーションしていくなど、効率化という点で広域の利点が多く、これがDMOにつながっていくことを期待。
素材のPRではなくて旅行商品が大切。ゴールデンルートから地方へ取り込むには、パーツとなる商品をしっかり作って、ゴールデンルートからどのように入ってきて、何を体験できて、どんなところに泊まって、そして、何を食べて、どのように次の地点に出ていくか商品をしっかり組み立てる必要があり、事業を新年度予算でも要求しているところ。

平成30年9月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(環境部関係)
プラスチックごみによる海洋汚染について

【本郷委員】
 19世紀にヨーロッパやアメリカで発明されたプラスチックは、戦後、全世界において爆発的に普及した。
 プラスチックは革命的な素材であり、自動車や電機など様々な分野では、今後もプラスチックなしでは成り立たない状況にある。また、医療機器や航空機の部材など、高機能な素材を必要とする分野でも応用されており、ある意味では、現代文明の一翼を担っているのがプラスチックの現状である。
 一方で、OECDの報告によると、世界のプラスチックごみの発生量は、2015年に3億2百万トンとなり、1980年の約5千万トンから35年間で約6倍に増えている。特に、海に流れ出たプラスチックごみが観光や漁業に悪影響をもたらすなど、極めて多額の経済的損失が発生していることは、既に認識されていると思う。
 また、海洋等に流れたプラスチックごみは、環境中で劣化し、紫外線等により容易に分解されて、ここが問題で、直径が5mm以下の微細なマイクロプラスチックとなり、これが魚や鳥などに取り込まれ、生態系にも極めて悪影響がもたらされている、これが現状である。
 海洋プラスチックの問題については、本年6月、カナダのシャルルボワで開催されたG7サミットにおいて、「海洋プラスチック憲章」が提出されたことは、皆さん御承知のとおりである。日本としては、先ほど部長から話があったが、来年議長国を務めるG20において、この海洋プラスチック問題を取り上げ、わが国がこの問題において指導的役割を果たすことを大いに期待しているところである。
 また、本年6月には、議員立法により、海岸漂着物処理推進法が改正された。漂流ごみ等の円滑な処理の推進を図ることとし、政府としても、プラスチックの資源環境を総合的に推進するための「プラスチック資源循環戦略」を新たに策定する方向だということを聞いている。
 そういったいろんな負の遺産が山積する中において、プラスチック製のストローの代替品への転換をするなど、急激に脱プラスチックの動きが進化しており、そういう意味において、土壌等において分解されるバイオプラスチックの研究開発等、多面にわたり脱プラスチックというものに現代文明が対応できるかという大きな節目に来ていることは事実であり、太平洋における汚染問題も含めて、地球のこの汚染というものは大変深刻に受け止めなければ、現代文明というものは、識者によればあと100年、200年持つか、つまり、歴史的な時間軸では到底対応できない状況になっている、そういうことが、現代の環境行政の最大の問題である。
 そこで、海洋プラスチック問題について、本県の廃棄物行政の面から、どのように認識しているのか伺いたい。

【伊東資源循環推進課長】
 海洋プラスチック問題に対する廃棄物行政の面からの認識ということだが、昨今、海に流れ出したプラスチックごみによる海洋汚染や、生態系への影響というものが大きな社会問題になっており、国においてもこれまでの海岸漂着物対策に加え、海洋プラスチック問題を喫緊の課題として捉えており来年、軽井沢で開催されるエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合において、この問題を主要議題として取り上げることを目指しているほか、来年のG20首脳会合までにプラスチック資源循環戦略を策定するため、その検討に着手するなど、国の方でも新たな取組を進めていると聞いている。
 海洋プラスチック問題へ対応していくためには、使い捨てプラスチックの製造や使用の削減によるプラスチックごみの発生抑制、使用済みプラスチックの徹底的かつ効果的、効率的な回収と再生利用、化石燃料プラスチックに代わるバイオプラスチックの実用性の向上や利用促進などを総合的に推進していく必要があると言われている。
 こうした状況を踏まえると、現在長野県が取り組んでいる廃棄物の発生抑制、再利用、再生利用といったいわゆる3Rの推進や、不法投棄対策などは使い捨てプラスチックの使用削減やプラスチックごみの発生抑制につながるものであり、海洋プラスチック問題に対しても、その解決に向けた重要な役割を担っているものと認識している。

【本郷委員】
 当県は、海岸を有していない県ではあるが、信濃川を始め、川を通じて、この海洋汚染にコミットしているわけであるから、県としてこの問題はどう向き合っていくつもりなのか、高田部長に見解を伺いたい。

【高田環境部長】
 本県は海なし県だが、川を通じてごみが海洋へ流れるといった点で、一定の責任は当然あると考えている。
 その取組に対しては、今課長から申し上げたが、海洋ごみに対してこれから真剣に取り組むということで、本県は海なし県ということで海洋ごみに対してなかなかピンとことない県民や事業者も多いのではないかと思う。今プラスチックストローが注目を集めているが、プラスチックストローだけではなく、プラスチック製品も含めてまずは発生抑制、そして回収する、捨てない、それを事業者や県民にお伝えし、そして市町村と連携しながら促進してまいりたいと思う。
 委員ご指摘のとおり、国の方でプラスチック循環資源戦略が策定される話も聞いいるが、来年G20の会合も軽井沢であるので、それに向けて県として果たすべき役割を担ってまいりたい。

【本郷委員】
 基本認識は共通している。自由主義政治体制において日本はGDP世界第2位。日本から出てくる海洋プラスチックが大量に北アメリカの西海岸に押し寄せている。さらに発展途上国が経済成長していった時に、経済発展と環境問題をイーブンな形でやっていく政治体制に持っていけるかという危惧がある。
 まさに、地球の存亡が環境問題と核の抑止のこの二つによって人類の永遠性が担保されるくらい深刻な問題。環境庁が環境省に格上げになったのは経済成長と同時に環境問題を並行してやらなければ、人類は危険な方向に行くということであり、引き続きG20軽井沢で開催されるので、高田部長を中心に都道府県行政としても大変重要な位置づけにあるので、精励いただきたい。

再生可能エネルギーの普及拡大について

【本郷委員】
 来年6月にG20関係閣僚会合を迎える本県として、一番基本である脱炭素社会の構築に向けた再生可能ネルギーの普及拡大を一層進めるべきと考えているが、具体的に、今後どのように長野県として取り組んでいくのか。

【真関環境エネルギー長】
 再エネの普及拡大は、脱炭素社会の構築に向けた省エネの徹底と両輪をなすものと認識している。
 これまでの取組により、再エネの発電設備容量は、2010年度の約11万kWから2016年度の約103.4万kWと、堅調に増加しているが、環エネ戦略の2020年に150万kWという目標を達成するためには、さらなる取組が必要。
 太陽光発電については、地上設置型と比較して環境への影響の少ない建築物の屋根への設置を普及することとし、県下全域の既存建築物を対象に発電・熱利用のポテンシャルを見える化するソーラーマッピングを構築するとともに、太陽光業界、自動車販売店業界等と連携して普及策を展開していく。
 小水力発電については、2021年度に想定される固定価格買取制度の調達価格の改訂を視野に入れ、企業局をはじめ関係部局との連携を強めながら、官民を通じた案件の創出を重点的に進める。併せて、中小企業のコンソーシアムによる小規模発電設備のパッケージ化の取組を支援することで、小水力発電が県内に広く普及するよう取り組む。
 バイオマス発電については、木質バイオマスに加え、キノコ廃培地や下水汚泥による消化ガスを活用しながら、地域内循環や地域課題の解決に資する効果的な事業となるよう部局連携で取り組むとともに、木質バイオマスの熱利用や下水熱利用も促していく。
 G20関係閣僚会合を契機として、再エネの普及拡大に関するこれまでの取組・成果を発信するとともに、世界の新たな知見を学び、引き続き、地域と調和し、地域社会や経済の活性化に資する再エネの普及拡大に取り組んでいく。

【本郷委員】
 G20の開催は歴史的な転換となる。高田部長を中心に指導力を発揮してほしい。

ネイチャーセンター基本方針について

【本郷委員】
 今後は、この方針に基づいて、センターごとに機能強化策を具体化していくこととしているが、どう具体化を進めていくのか。

【春日自然保護課長】
 県内4か所の自然保護センターのうち、乗鞍、美ヶ原、志賀高原の3センターは、地元の松本市や山ノ内町に運営を委託しており、霧ヶ峰は県が直接運営していることから、まずは霧ヶ峰で具体化をし、モデルづくりをしたいと考えている。
 今後の具体策ですが、9月に有識者や地元関係者からなる「霧ヶ峰自然保護センター機能強化検討会」を設置しており、ここでの議論を経て、今年度中に方針を策定予定。
 この検討会で、現在検討しているのは、「信州ネイチャーセンター基本方針」に示されている、(1)ガイド育成やツアーデスク設置による質の高い自然解説サービスの提供や、(2)悪天候でも楽しめる展示の充実、また、(3)エコツーリズムに携わる関係者の意見交換の場としての積極的な施設の活用や、(4)自然、観光、交通情報などの多様な情報の積極的な発信、等であり、是非とも魅力的なものにしたいと考えている。

県立自然公園の利活用について

【本郷委員】
 今後、県立自然公園の貴重な環境をどう守りどう活用していくか。

【春日自然保護課長】
 昨年9月にお認めいただいた県立自然公園条例の一部改正内容は、自然環境を保全しながら、必要な施設整備等を進める「公園事業」制度を導入するもの。
 この公園事業制度の導入により、公園計画に位置付けられた施設の整備は規制の適用除外となることから、公園利用者のニーズに合った施設整備が可能となった。
 現在は、保護・利用関係者や行政、土地所有者等で構成される「県立自然公園地域会議」の設置を進めているところであり、この地域会議で各公園の「あるべき姿」を共有し、必要な施設整備のあり方も検討していく予定。
 今後は、導入した公園事業をさらに関係者へ周知するとともに、施設整備に対する各種事業を通じ、県立自然公園の利活用を進め、魅力ある自然公園づくりを一層推進してまいります。

平成30年9月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(産業労働部関係)
米中貿易摩擦の動向について

【本郷委員】
  県としてこの米中貿易摩擦が県内に与える影響をどのように認識しているのか。また、県内企業のこの問題に対する動向、対応はどうか、内田産業労働部長に伺う。

【内田産業労働部長】
 米中の貿易摩擦が県内にどのような影響を与えるかというご質問。
 本質的には、自由貿易の牙城というべきアメリカで、一昨年頃から保護主義的な傾向が出てきていることがこの問題の中心。米中当事国だけではなく、グローバルなサプライチェーンを通じて、世界経済に影響を及ぼす可能性があると懸念している。
 日本銀行によると、「国際機関等において、この通商問題、保護主義的な動きによる世界経済への影響を試算しているが、世界貿易に直接的な影響がある部分はそれほど大きくない」とコメントしているが、昨日からの同時株安等をみていると、今後かなり影響があるのではないかと懸念される。これが企業や家計のマインドに悪い影響を与え、投資や消費に影響が心配されるところ。
 本県においても、海外に拠点を持つ企業も多い中で、ともすれば、県内企業に大きな不利益が生ずることも想定されることから、影響を十分に捉え、分析しながら、施策が必要ということになれば、対応していきたいと考えている。また、来月には米中の首脳会談が開かれる予定であることから、その結果も注視してまいりたい。
 県内企業の動向については、8月時点での民間調査会社の調査によると、保護貿易主義による政策が世界的に広がりをみせた場合、「マイナスの影響がある」とした企業は約34%となっている。業種別では、卸売が約39.5%、製造が約38%と高くなっている一方で、「どちらともいえない」とした企業が約41.0%と最も高くなっており、先行きが分からないとしている企業も多い。
 こうした中、どのような影響が想定されるのかといった点を含めて企業に認識していただくため、中小企業振興センターと連携して、先月、米中貿易摩擦等をテーマに海外マーケティングセミナーを長野市と岡谷市で開催したところ。
 こうしたセミナー参加企業からは、所有する中国工場の輸出、国内経済への影響などを懸念する声もあったところ。
 今後も、海外駐在員やJETRO等とも緊密に連携しながら、しっかりと動向を注視して、的確な情報を企業へ提供するとともに、貿易、経営相談等については、関係機関と連携しながら迅速に対応し、施策が必要な場合にはしっかりと考えていきたい。

【本郷委員】
 この問題は、本来は政府与党、霞ヶ関における国家戦略的な視点での話になるが、グローバリズムが進展し、地方経済にも短時間で影響が出る中で、引き続きスピード感を持った産業労働施策を推進するようお願いしたい。

産業戦略を持った産業振興について

【本郷委員】
 様々な産業との連携も含め産業戦略を描きながら効果的な施策を講じていくべきと考えるが、内田産業労働部長の考えを伺う。

【内田産業労働部長】
 イノベーションを創出し、産業の生産性を向上させるためには、多様な人材、技術などが産業分野を越えて、つながることが重要と考えている。
 長野県の労働生産性は、平成26年に731万4千円で全国28位であったものが、平成27年には761万2千円で23位となっており、景気が良くなり、それが波及し、右肩上がりになってきたと考えている。こういうものを持続させていくためには、我々は常に戦略的に考え、施策を検討するうえでも成果を念頭において取り組んでいかなければいけない。費用対効果といわれるように、成果が出るものに特化をして、事業を進めていかなければいけないと認識している。
 本年度から、しあわせ信州創造プラン2.0、ものづくり産業振興戦略プランをスタートさせているので、両プランに基づいて産業の生産性を高める施策に取り組んでいきたいと考えている。具体的には、今回の9月補正予算案にもあるとおり、本県は、精密機械の製造に優れていることや材料の加工技術に知見があることから、医療機器産業への参入促進など成長産業の創出・集積を図っていきたいと考えている。そのような技術を活かしてAI・IoT、ロボットも含めた先端技術の利活用促進を図っていきたい。また、創業率が全国的にも低い状況にあることから、起業・スタートアップへの支援も一緒に考えていきたいと考えている。施策を進めるにあたっては、ターゲットとなる分野や企業、効果的な工程などをしっかりと見据えながら、取組を進め、県内企業の稼ぐ力を高めてまいりたいと考えている。
 また、知事の提案説明もあったように、産業イノベーション推進本部の機能を強化することとしており、産業分野の枠を越えて政策を推進すること、また、イノベーションの萌芽を見出し、県全体でイノベーションを促進していくこととしており、今後、具体的なテーマを設定し、部局横断による効果的な施策構築を考えていきたいと考えている。
 加えて、2030年の長野県のあるべき姿や将来像を想定し、何をすべきか考えて政策を示すべく、しあわせ信州創造プラン2.0のチャレンジプロジェクトが始まっている。「共創を促進するイノベーティブな産業圏づくり」をテーマの一つとして、私をリーダーに、産業労働部だけでなく農政、林務、県民文化など他部局の若手職員なども含め、いろんな発想を出し合いながら、検討しているところ。
 今後、AIなど将来を見据えた産業の分野間融合、大学・研究機関との新たなる連携、人口減少時代を踏まえたビジネスモデルの創出など政策をまとめ、具現化し、できるだけ成果を上げていきたいと考えている。

起業・スタートアップ支援について

【本郷委員】
 本県が経済的優位を維持し続けるためには、若年層が集い、経済活動に刺激を与えるビジネスの種を生み出し続けることが必要であり、その種が花開き大きく実を結ぶまで、支援していくことが重要であると考える。そこで、起業・スタートアップへの支援について、今後どのような点に力点をおいて取り組んでいくのか伺う。

【大槻創業・サービス産業振興室長】
 次世代産業を生み創業した企業を成長させていくためには、斬新なアイデアを持つ人材の育成と、そのアイデアを実際に事業に結びつけるための成長段階に応じたシームレスな支援が重要。
 創業準備期から創業期の支援としては、創業・起業のベース基地となるスタートアップ支援拠点の構築を考えており、この拠点を核として、新たなアイデアやビジネスが次々と生まれ育つサイクルを形成したい。成長期における支援策としては伴走型支援の充実強化である。今年度アクセラレーション事業を試行的に実施し、4企業を対象に支援プログラムを進めているが、企業の課題解決のための寄り添い支援の重要性を改めて認識したところであり、来年度以降は、この事業を本格導入し創業直後の伴走支援を充実するとともに、このプログラムにより成長した事例をロールモデルとして提示し、起業家予備軍、創業間もない事業者のモチベーションの向上にもつなげていきたい。 
 こうした取組に加え、従来からの支援施策を確実に実行し重層的に施策を展開することにより、新たなビジネスの創出や、開業率の向上、創業間もない企業の 健全で持続的な成長に結びつく取組をしっかり行ってまいる所存。

長野県就業促進・働き方改革戦略会議について

【本郷委員】
 長野県内の一流企業のオーナ―と話をすると、大変人材不足について、深刻に受け止めている。
 県ではこの4月に経協等経済4団体、連合長野、長野労働局とともに「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」を設置し、検討を進めているが、戦略会議では、レポートはできたが、実効性には全く至っていない、そういった傾向が社会全体にあるわけだが、本質論として、どのような意見が出ているのか。
 また、戦略会議の議論を踏まえて、結果が大事であるから、作文をしてその意見を集約してレポート用紙ができても、それはそれで非常に重要であるが、結果が全てであり、今後進める施策の方向性を戦略的に県ではどう考えているのか。

【長田担当部長】
 戦略会議では、様々な意見が出されているが、主なものだけ申し上げる。
 まず次世代の産業を担う若年人材について、就職支援会社のアンケート調査によると、県内出身の学生が「県内の企業に対して魅力のある企業がない」というふうに多く回答しているということがあるが、メンバーからは、「県内の企業が知られていない」のではないかといった指摘があり、県内企業を知ってもらう機会をつくることが重要だとの指摘をいただいている。
 女性については、出産を経ても離職しないような環境づくりや、離職しても非正規ではなく正規社員として採用されるようなことが重要だとのご指摘をいただいた。
 外国人については、留学生に対しては、県内企業が非常に高度人材として熱い視線を向けている。そのような中で、留学生は日本人より大企業志向が強くないため、県内企業がそのような人材を採用するチャンスが十分あるということがあるので、県内企業とのマッチング機能の施策が重要だとの意見があった。
 次に、働き方改革については、県内中小企業の約7割は下請け型ということの中で、現在景気が良い中で、こういう時にこそ業績を確保しておきたいところであるが、一方で長時間労働の是正をしなければならないという非常に困難な状況があるということで、ロボットの導入などの設備投資が生産性の向上ということで重要になってきていますが、それには、数年の期間が必要であり、難しい面があるとのご指摘があった。

(今後の施策の方向性)
 そのようなご意見を踏まえ、まず、若年人材の確保については、県内企業を知らない学生へのアプローチの手法として、インターンシップの強化が有効であると考えており、現在県内学生と県内企業とのインターンシップの個別マッチングの取組みを、県外学生に拡大することも考えてまいりたい。また、産学官が連携して推進する体制づくりを進めてまいりたいと考えている。
 女性については、育児休業制度や短時間正社員制度などの環境づくりが重要であり、県が多様な働きやすい制度を導入している企業を県が認定する「職場いきいきアドバンスカンパニー制度」を拡充することで、制度の見直し、充実を検討しているところ。
 また、子育て中の女性を対象にしたリカレント教育も強化してまいりたいと考えている。
 外国人については、グローバル・キャリアフェアということで、マッチングのイベントの開催を昨年度から県内で開催しているが、Uターン就職促進協定を締結している大学(52校)と連携して、県内だけでなく、県外でも開催する方向も検討してまいりたい。
 働き方改革については、AI、IoT等の活用というのが重要になっており、AI・IoT等利活用促進ラボ(仮称)の設置を進めたいと考えている。
 いずれにしても、人口減少社会における人材不足が非常に深刻であり、働き方改革も併せて進めていく必要があるので、戦略会議等を通じて産学官労が連携しながら、可能なものについては迅速に進めてまいりたいと考えている。

平成30年9月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(本郷委員)(観光部関係)
アメリカ訪問を踏まえた今後のインバウンド戦略について

【本郷委員】
 観光部長が直接アメリカを訪問し、現地の状況を見て、現地の思いを肌で感じ来たことは、本県のこれからのアメリカ市場へのプロモーション施策等を考えていく上で、非常に意義のあることと考える。
 そこで、今回のアメリカ訪問で得られた知見、具体的には
 〇アメリカの人々は長野県にどんな印象を持ち、期待をしているのか。
 〇アメリカに対してはどのような情報発信が効果的なのか。
 〇世界水準の山岳高原リゾートに向けて本県に必要と感じたこと。
について伺いたい。

【熊谷観光部長】
 1点目の長野県の印象については、年配の方は冬季オリンピックの開催したところ、山のあるところという印象を持っており、全年代の半分くらいはスノーモンキーという印象を持っている。またCNNで、「2018年世界で行くべき観光地」として長野県が選ばれ、かまくらの風景が紹介されていたため、かまくらという印象を持っている方もいた。
 全般を通して、長野県には何があるのか盛んに聞かれた。議員ご指摘のとおり、旅行者の関心がゴールデンルートから地方へ移ってきているので、長野県で一泊でも多く宿泊したという希望を持っているアメリカ人が多いということが非常に印象に残っている。
 2点目のどんな情報発信が良いかについては、現地旅行社10社と話をしてきたが、アメリカ人は団体旅行ではなく、個人旅行をカスタマイズしていきたいという人が多い。そういった個人旅行者に対して適切に情報を与えていくことが重要である。またWEBサイトなどで長野県の魅力を十分に伝えていくことが重要である。
 更に今回気が付いたのは、アメリカ人がJNTOのロサンゼルス本部に情報を取りに行くということ。今後JNTOとの連携が非常に重要であり、ただちに対応していきたい。
 3点目の山岳高原リゾートについて、コロラド州ベイル町をつぶさに見てきたが、山岳リゾートとして重要ことは3点ある。
 1点目は、一つのコンセプトに基づいた街づくり、観光地づくり。ベイル町はコンセプトに基づいた整備がされていた。コンセプトに基づいたデザインが非常に重要。
 2点目は、観光に携わる者の役割分担をしっかりすること。3点目はDMO。ベイル町は、夏はDMO、冬はリゾート会社、その間をベイル町が取り持つという関係がうまくいっていた。こういった役割分担がハードに加えソフトの面で重要なことを痛感した。
 当県でもただちにアメリカで見てきたことを地域に報告して、地域と一緒になってインバウンドを強力に推進していきたい。

【本郷委員】
 これから本格的な世界戦略がスタートする。観光部長が感じてきたアメリカ人のニーズをベースにアメリア戦略を推進して欲しい。

【本郷委員要望】
 ゴールデンルートから地方の伝統文化を体験したいという要望が高まっている。長野県も中山道を中心にしながら、外国人のニーズを踏まえた旅行商品造成のためのメニューの情報発信に早急に取り組んでいただきたい。

観光財源について

【本郷委員】
 稼ぐ観光地づくりを進めていくためには、財源の裏付けが必要と思われるが、状況はいかがか?

【丸山山岳高原観光課長】
 今新たな観光需要に応じた観光施策を実施していくためには、観光財源の検討もしていかなければならない。
 国では、来年1月7日から国際観光旅客税が導入される。地方においても、宿泊税が東京都、大阪府、京都市で導入されているほか、金沢市や倶知安町等でも導入が予定されたり、検討が進められている。
 長野県でも、観光戦略の中で継続的な検討課題として観光財源の検討を記載している。
 宿泊税については、長野県旅館ホテル組合から、観光振興の目的税にすることや、入湯税との関係を整理をすることなどの意見を頂いており、そうしたご意見も踏まえ、観光財源の検討にあたっては、幅広く関係者から意見を聞くことから始める必要があると考えている。

【本郷委員】
 多角的な検討について期待する。

観光業就業促進・働き方改革会議について

【本郷委員】
 観光業の分野別会議での検討内容、課題、対策はいかがか。

【丹羽観光誘客課長】
 観光業の分野別会議については、観光業のインターンシップ推進協議会の準備会を兼ねることとし、宿泊事業者、索道事業者、交通事業者など実際事業をされている方、それぞれの団体の事務局、国の機関の方を構成員として、これまで3回開催した。
 まず、現状を把握するために大学関係者、転職支援事業者からの報告、観光事業者を対象としたアンケート調査や宿泊事業者からの聞き取り調査の報告も行い、議論をしていただいた。9月27日に開催した第3回分野別会議では、観光業の分野における働き方改革の推進方針たたき台(事務局案)を議論いただき、それに対してさらに意見をいただいているところである。
 観光業における人手不足に対応するには、インターンシップに加え、労働環境の改善や生産性の向上など、構造的課題への対応も含め多面的に取組む必要がある、との課題が明らかとなった。
 これらの課題には、官民の役割分担を含め具体的な検討が必要なことから、産業分野別会議にワーキンググループを設置して、さらに議論を深めることとしている。

【本郷委員】
 分析はかなり正確にされているということで理解した。引き続きご努力願いたい。

営業本部(仮称)について

【本郷委員】
 営業本部(仮称)についてまだ検討中とのことだが、かなり話題になっている。本会議の知事答弁を見ると、特に優れた農産物、加工商品、伝統工芸品等の県産品の販路拡大、マーケットの生の声を反映した売れる商品づくりサポート、信州の魅力をこの県産品と合わせて発信していくメディア戦略、こういったものを統合的に進めていきたいとの答弁があったと記憶している。これら全てに関連して、観光部としては、現在、マーケティング戦略担当参与が配置され、物産振興を担う観光部としての問題意識はどのようなところか。また、仮に発足した場合、営業本部に望むものは何か。

【斎藤信州ブランド推進室長】
 県産品の振興については、現在各部でそれぞれ実施している。昨年度、信州マーケティング戦略担当参与を配置し、各部の売込みや商談会など個別に対応したりだとか、部局全体でタスクフォースを設け、部局連携として情報共有を図っているところ。また、観光部としては、銀座NAGANOが中心であるが、物産振興に関してショップを中心に取り組んでいただいている。
 問題意識としては、このような取り組みを行い、銀座NAGANOにおいては、個別に対面説明などで、お客様をしっかりつかむということはやっているが、流通という面では十分な取り組みという形にはなっていない。潜在力を活かすという部分で、まだまだやれることがあるという点が問題意識としてある。
 また、県の体制としても、県産品の流通・販売・消費に関して統合的に専門的なところで推進する組織がない。また、専門的なマーケティング組織という形にもなっていないこともあり、県として一体的な売込み・連動したメディア発信なども、もっとできるのではないかという部分も問題意識として持っている。
 知事の答弁でも具体的に実行部隊で取り組みたいという説明もされていたが、営業本部では、知事の答弁のとおり販路拡大、マーケットの生の声の反映、メディア発信ということで県組織全体として力を上げて発信力の強化などが望まれるどころであり、現在、本部について産業労働部と一緒になって、関係各部とも連携しながら準備に取り組んでおり、信州ブランド推進室としてもしっかり取り組んでまいりたい。

平成30年6月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(環境部関係)
G20関係閣僚会合推進事業について

【本郷委員】
 今回のG20関係閣僚会合を契機に「長野県環境エネルギー戦略」をどのように世界に向けて発信していくのか。
 また、G20関係閣僚会合という機会を通じて、より一層県民とビジョンを共有することも必要と思われるが、戦略的にどう取り組んでいくつもりか。環境エネルギー課長に伺う。

【真関環境エネルギー課長】
 G20の関係閣僚会合は、環境エネルギーに先駆的に取り組んできた本県にとっても喜ばしいこと。
 戦略は、2020年度までの8年間を計画期間とし、温室効果ガスの削減目標を、国より高い2030年度30%減に掲げ取り組んでいる。基本目標である「経済は成長しながら、温室効果ガス総排出量の削減が進む経済・社会構造」としてデカップリングが着実に進んでいる状況。
 これまでの対外的な発信として、2017年9月、長野市において「地域再生可能エネルギー国際会議2017」を開催。およそ700名を超える国内外からの参加者を迎え、本県の環境エネルギー政策について発信し、国内外の関係者から高い評価をいただいたところ。
 また、パリ協定の目標を達成するため、政府のみならず、企業、自治体、研究機関、様々な主体が参加し、議論を深める「タラノア対話」にも参加し、本県の取組を発信している。タラノアとは、フィジー語で「包括的・参加型・透明な対話プロセス」を指す言葉で、自治体で参加しているのはアメリカ・カリフォルニア州と本県のみ。
 また、今回の補正予算でもお願いしているICLEIという団体がある。これは「持続可能な社会の実現を目指す自治体協議会」といい、全体で1,500以上、国内でも東京・横浜をはじめ20団体が加盟。ICLEIへの加盟により、これまでの取組の発信を加速させ、本県の存在感を広く発信したい。
2020年度の改訂だが、これまでの施策の進捗状況や課題の分析、国内外の先進事例の収集、また関係課との検討や有識者との意見交換を重ね、これからどのようなものを目指していくか、ビジョンが大事と考える。このビジョンを皆様との議論の中で共有しながら、新たな戦略の改訂を目指してまいりたい。

【本郷委員】
 次に、安全で安心な会合の開催には、環境部だけでなく全庁挙げて取り組んでいくことが重要である。相当大規模な会議となることが見込まれるため、関係省庁はもちろんのこと、開催地である軽井沢町との連携など、会議の開催に向けて、現時点において想定している取組について伺いたい。

【鈴木環境参事兼環境政策課長】
 今回の関係閣僚会合のテーマが環境・エネルギー関係ということで、県の事務局を環境部が担っているところであるが、環境・エネルギー分野にとどまらず、長野県の多くの魅力を世界に向けて発信していくためには、環境部だけなはなく、県庁内の組織はもとより多くの関係機関と連携して取り組んでいく視点が重要だと考えている。
 庁内の連携体制については、4月2日に関係閣僚会合が長野県で開催されることが決定されたことを受け、4月20日に「G20関係閣僚会合長野県推進本部」を設置した。
 この推進本部は、本部長が知事、このほかに県警本部長や各部長、また、開催地を所管する佐久地域振興局長、国との連絡調整を担う東京事務所長などで構成されており、全庁的な連携のもとに会合開催に向けた準備を進める体制を整えた。
 今後は、速やかに官民一体となった推進組織であるG20関係閣僚会合長野県推進協議会(仮称)を立ち上げたい。
 推進協議会には、軽井沢町や佐久広域連合のほかにも、県内の経済界、観光関係、運輸、環境など様々な関係団体に参加いただく予定としている。
 また、国との関係では、今回の関係閣僚会合の主催である経済産業省それから環境省に7月1日付でそれぞれ1名ずつ派遣することとし、会合の準備や県との連絡調整を担ってもらう。
 会合の開催まで1年を切っており、今後、関係機関と綿密に連携を図った上で、会合の成功に向け、準備を進めてまいりたい。

【本郷委員】
 各国の閣僚が集まるG20は、これら長野県の持つポテンシャルを世界に対し広くPRし、国際社会との連携を強める絶好の機会と思われる。
 そこで、この機会を活用して長野県が持つ多くの魅力や強みを、どのように世界に向けて発信していこうとしているのか。これを1つのテコにして戦略的に進めていただきたいが、G20の成果を今後、県政にどの様に反映させていくのか、環境部長に決意のほどを伺いたい。

【高田環境部長】
 委員ご指摘のとおり、G20関係閣僚会合の開催地となることは、長野県の魅力を世界に発信できる絶好の機会と考えているところ。
 具体的な日程は未定ではあるが、会期中におそらく開催されるであろう歓迎レセプションやエクスカーションなどの中で、長野県のワインや日本酒、おいしい食材や食文化、伝統芸能などを発信したり、技術力を有する企業などを会合の主催者である経済産業省、環境省へ提案・調整しながら主体的に発信したいと考えている。
 また、今回の予算で在京大使館の招聘もお願いしており、そういったツアーも活用し、長野県の魅力を、県庁内の組織や官民連携となった組織の力も借りながら一緒になって発信していきたいと考えている。
 G20の成果を今後の県政に生かすため、G7交通大臣会合の成功が、今回のG20関係閣僚会合の開催地選定に繋がったように、G20関係閣僚会合を成功させることが、次のMICE誘致に繋がると考えているため、しっかり取り組んでいくとともに、在京大使館とのネットワークをより強化し、産業振興や先進的な施策の展開に繋げていきたいと考えている。

省エネ対策の推進について

【本郷委員】
 パリ協定を受け、国においては2016年地球温暖化対策計画を閣議決定した。
 目指すべき中期的な目標として、温室効果ガスの削減を2013年度比マイナス26%と設定している。一方、長野県の温室効果ガスの削減目標は1990年度比マイナス30%と実質的に国の目標を大きく上回るもの。この目標の実現には、省エネルギーの推進と自然エネルギーの普及の両面での対策が必要。
 特に省エネの推進には、対策が必要な家庭部門と業務部門において、県民や関係業界等をしっかり巻き込んだ取組が肝要であることは言うまでもない。
 先程説明のあった「さわやか信州省エネ大作戦」の取組を含め、今後本県の省エネ対策をさらに進化させるためにはどのような方法論をお考えか、環境エネルギー課長に伺う。

【真関環境エネルギー長】
 「長野県環境エネルギー戦略」の中では、大規模事業者に対する「事業活動温暖化対策計画書制度」や、新築住宅等における「建築物の環境エネルギー性能、自然エネルギー導入検討制度」による義務付けを行った。
 こうした取組の結果、2010(H22)年度以降は全体的に温室効果ガス総排出量が下がってきており、現在1,593万t-CO?との数字である。
 しかしながら、産業や運輸部門に比べ家庭・業務部門の削減量が相対的に少なくなっていることから、昨年度行った「長野県環境エネルギー戦略」の中間見直しにおいて、例えば省エネ改修を促進するため、既存住宅などの省エネ性能について簡易診断を行うほか、中小規模事業者向けの専門家による省エネ診断を新たに今年度から行うこととしている。
 また、全体の省エネとしては、「さわやか信州省エネ大作戦」の形で、既存のPRだけにとどまらず、構造的な省エネを目指すことも取り組んでまいりたい。
 以上のように、方法論としては今後は減りの少ない家庭部門や、ホテル・旅館など常時燃料を使う割合の高い事業者に積極的に働きかけることが肝要と考える。

平成30年6月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(環境部関係)
経済情勢について

【本郷委員】
 長野県経済は製造業を中心に経済をけん引し、回復基調にあることは先ほどのデータのとおりであるが、本県の産業構造を踏まえ、長野県経済の現状、課題に対する認識、また、今後をどのように展望しているのかを戦略的、大局的観点から内田産業労働部長の見解を伺う。

【内田産業労働部長】
 長野県経済については、先ほどから申し上げているとおり、回復基調にあるということで、主にものづくり産業、特に、半導体、自動車関連産業などの輸出系の産業がけん引し、好調を維持していると認識している。
 設備投資にその傾向が顕著に現れており、民間シンクタンクの「設備投資状況調査」では、平成30年度に設備投資を行う予定のある企業は約78%で、全国でも2番目に高い結果となっている。しかし、一部では、過剰投資を懸念して、設備投資を手控えているような企業もある。
 また、人手不足の面では、都市圏に人が集中するということもあり、首都圏、特に大手企業に大学の新卒者の採用が集中しており、ある企業では首都圏系の大学生に内定を出したが、7割が辞退してしまったという話もあり、県内経済への影響も見過ごせないものとなっている。
 このほか、県内には輸出関連企業も多いことから、アメリカや中国などの海外情勢等の動向も十分注視して、関係機関とも連携の上、対応策を含め、冷静に状況を分析していく必要があると考えている。
 こうした情勢を踏まえ、今後は第4次産業革命、人口減少時代を見据え、いかに産業イノベーションを創出していくかが大事になってくると認識している。
 AI・IoT、ロボットなどの革新的技術を積極的に導入し、自動車産業においては、これまでのガソリンエンジンからEVやFCVという流れがそろそろ出来ているので、それに向けた対応などを考え、産業構造の転換を意識して、持続的な発展につなげていくために、県としてどのような支援が効果的なのかを検討を開始している。
 また、しあわせ信州創造プラン2.0において2030年を見据えたチャレンジプロジェクトに取り組んでおり、産業系では「共創を促進するイノベーティブな産業圏づくり」を掲げている。これは、私がチームリーダを務め、現在若手の職員なども加わって部局横断のプロジェクトチームとして取り組んでおり、目標となる2030年の状態を想定し、今後何をしていくことが良いのかを考えるバックキャステイングの手法で施策を検討している。
 本県産業は大きな変革期を迎えており、引き続き短期的・中長期的な観点の両面でしっかりと産業振興に取り組んでまいる。

生産性の向上について

【本郷委員】
 長野県の労働生産性は、730万円と平成26年には全国27位と低い状況にある。議会でもコミットしたが、5か年計画に掲げた産業の生産性の高い県づくりは柱中の柱であり、進めていく必要がある。そういった意味でも、AI・IoTなどにより産業構造が急速に変化している中、あらためて生産性の向上に取り組む意義、また、方策、具体的な取組等について伺う。

【内田産業労働部長】
 生産性の向上は、これから産業が活力を維持し、発展していくために、非常に重要なポイントになってくる。技術革新の進展、人口減少時代において、県内企業の効率性等を高めて、稼ぐ力を強くし、持続的な経済成長と安定した雇用を確保するためには、生産性の向上が必要になってくる。
 このため、しあわせ信州創造プラン2.0では産業の生産性が高い県づくりを重点施策として取り組んでいるところ。生産性の向上に向けては、製品の付加価値の向上、AI・IoTの利活用を促進して効率性や自動化、働き方改革の促進などの取組があると考えている。
 具体的には、製品の付加価値の向上として、例えば、本県でも関連する企業も多く得意とするセンサは、AI・IoTには欠かせない部品であり、ソフトウエアなどを組み込みデバイス化することにより、付加価値の高い製品として売リ込むことができると考えている。県では、「IoTデバイス事業化・開発センター」を現在整備しており、今後開設をし、ものづくりだけでなく、農林、観光などの分野で活用されるIoTデバイスの開発を推進していくために、支援体制を整えているところ。
 また、利用促進の観点では、一般質問でも答弁したが、今年度からスタートするモデル事業において、効果的な事例をどんどん作り、それを広めることによって、事業者の使ってみようという意欲を高めていこうと考えている。
 さらには、今後、AI・IoT利活用のための方針を策定し、様々な先進事例等を紹介しながら、導入促進に取り組んでいく。
 また、生産性向上に向けた働き方改革であるが、現在就業促進・働き方改革戦略会議を設置し、就業促進とともに、長時間労働の縮減、女性や高齢者等の雇用促進など働き方改革の取組を検討しており、効果的な施策を打ち出したいと考えている。
 引き続き、生産性の向上に向けた取組を着実に進めるとともに、更なるAI・IoTなどの活用、働き方改革等の検討を進め、効果的な支援策に結び付けたいと考えている。

成長期待分野への参入促進支援について

【本郷委員】
 航空機産業振興ビジョンや食品製造業振興ビジョンが進められているが、今後もイノベーションやクラスター形成に向けた産業構築について、県がリードしていくことが極めて重要である。両ビジョンの進捗はどうか。

【沖村ものづくり振興課長】
 航空機産業振興に関しては、現在、飯田工業高校跡地へ拠点を整備しており、この中で人材育成と研究開発、実証試験を行う体制を構築している。
 人材育成については、信州大学と連携し共同研究講座を設置。現在、大学院生が8名、学部生が3名の計11名が研究に取り組んでいる。また、社会人講座も開設し企業在職者の人材育成にも取り組んでいる。
 研究開発については、国等の補助金を活用し、燃料計のシステムやハイブリッドブレーキ、GPSを用いた航法システムなどの研究に取り組んでいる。
 実証試験については、H28年度に着氷試験機を導入し、県内外の企業が約2,000時間利用。昨年度は防爆試験機を導入し、今年8月から本格的に稼働。今年度末には燃焼・耐火性試験機を導入するべく準備している。
 これらにより、ビジョン策定時には40社であった参画企業数は60社まで拡大。目標である100社を目指して取組を進めていきたい。
 次に、食品製造業振興については、機能性食品の開発を支援する食と健康ラボの機能強化のため、工業技術総合センター食品技術部門へ機能性食品開発拠点を整備中。今後、信州大学とも連携して開発支援を進めていく。
 また、ブランド化の観点では、11月16日(金)から18日(日)に開催される全国発酵食品サミットについて、現在、業務受託者が決定しており、専門家とも連携しながら準備を進めている。特に今回は、全国初となる全国甘酒品評会を行う。ブームとなっている甘酒のPRを通じて、甘酒を多く製造する本県の味噌、清酒業界の需要拡大に繋げたい。

【本郷委員】
 将来は健康・医療機器など、全く新しい成長分野への展開に向けた支援を行うことが重要であるがどのように考えているか。

【内田産業政策監兼産業労働部長】
 本県には加工組立型産業が集積しており、精密、電子技術などに優位性がある。今後も、これらの強みのある技術を核とした新産業の創出が期待されており、新たな領域への展開を促進するための支援も現在検討している。
 健康・医療分野については、ものづくり産業振興戦略プランにおいて、成長期待分野として前回のプランから掲げている。今回のプランの地域ごとのプロジェクトにおいても、松本地域をはじめとして健康・医療に関する事業が計画されている。加えて、これまでも信州大学等と連携し、シーズを事業化しているといった実績もある。高齢化社会の到来やグローバルな健康志向の高まりなどを勘案すると、大変有望な分野であると考えており、県の工業技術動向調査においても、健康・医療は県内企業が一番参入を望んでいる分野となっている。今後は、県内企業の参入の可能性等について調査分析し、また、大学等との連携も意識しながら、健康・医療分野への参入促進方策について、前向きに検討してまいりたい。

人材の確保について

【本郷委員】
 人材不足については、当面は女性と高齢者で担保しているが、基本的には高い能力を持った人材が中核となるべきである。長野県の大学進学者は、7割以上が県外に流出し、4割しか戻ってこない。若者の県内における人材確保・育成に向け、短期的・中長期的の双方で取り組む必要があると考えるが見解を伺う。

【長田雇用・就業支援担当部長】
 就職情報提供会社が県内出身の大学生に行ったアンケート調査によると、地元就職を希望しない理由として、約6割が志望する企業がないからと回答している。しかし、実際、県内には高い技術が世界的に評価されているような、学生が自分の能力や専門を生かすことができる企業がたくさんある。このため、県内出身の大学生に県内企業の強みや優れている点や、県内で働くことの魅力を伝えて行くことが重要だと考えている。まず、短期的な観点での取り組みについて、
1つは、資料11でご説明した県外大学とのUターン就職協定の締結。協定校のUターン就職率が非協定校に比べ高くなっており協定締結大学をさらに拡大したい。
 2つ目は、インターンシップの促進。受け入れ県内企業に対し、学生の交通費、宿泊費を助成する「インターンシップ助成金」を引き続き実施するとともに、インターンシップ参加希望学生と企業とのマッチングを行う「インターンシップマッチングフェア」を本年度初めて開催(先週末6月30日土曜日、東京新宿で開催、12月にも開催予定)。
 3つ目は、県内企業の情報や県内で働く魅力の発信。資料11でご説明した長野県就活支援ポータルサイトの取り組みや、県内企業の若手社員で構成する応援隊を結成し、交流会で、県内企業で働く魅力を自身の経験から学生や保護者に伝える取り組みを、引き続き行ってまいる。
 次に中長期的な取り組み。1つは、資料8でご説明した信州ものづくり未来塾などキャリア教育。初等教育段階から大学生まで実施することが必要。特に、小中学生のころから、地域の産業や企業の魅力を知ってもらうことが、地域に愛着を持ち、地元就職につながると考えている。
 2つ目は、長野県で暮らし働くことの魅力を、Iターン者を含めてPRすること。雄大な自然の中で暮らしながら働く。本県ならではの多様なライフスタイルを引き続き発信してまいる。
 4月に立ち上げた、就業促進・働き方改革戦略会議で、若者も含めた人材確保施策、人材育成施策について、官民で検討している。今後、経済団体、労働団体、行政など関係機関が一緒になって取り組んでまいりたい。

平成30年6月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(本郷委員)(観光部関係)
広域型DMOについて

【本郷委員】
 観光地域づくりの舵取り役を担う広域型DMO・DMCの形成のあり方について、長野県としての考え方や支援について骨太の説明をお願いしたい。

【熊谷観光部長】
 広域型DMOの形成は観光戦略2018の一番大きな柱。東京の銀座NAGANOや東京事務所から長野県を眺める機会があったが、地域の特性・個性・魅力をはっきりと伝えていくためには、横の連携で「谷」や「平」といった広域毎に地域のストーリーを色濃く国内外に発信していくことが必要であるということが大前提としてあると思う。その上でDMO形成の視点として3点あげられる。
 1点目は、誰が進めていくのかということ。新たな自治への挑戦として、住民が広域自治をいかに学び、誰が進めるのかが重要。人口が減少し少子高齢化が進む中で、やる気がある人と、その人に託すという合意形成について県や県観光機構のDMO形成支援センターがコミットしてエンジンにあたる部分を進めていきたい。
 2点目はハンドルの部分。進むべき自治、DMOの方向性が正しい方向に行くということが極めて重要。DMOにおいて重要なのは、地域のクラスターとしての産業をマネジメントして各産業が稼げるようになることと、無理な開発をするのではなく、正しい方向に進むためのハンドリングについて地域の方々とともに県全体のバランスを見ながら考えていくことが必要。
 3点目は、観光客は魅力のある地域に訪れるものであり、訪れる必然性が重要。地域のストーリーに従った観光ブランドを一層磨き上げて、新たなデスティネーションを築くべく取組を進めることが必要。マーケティングはもとよりストーリー性を高めるような取組を地域の住民を含めて各産業が協力して行うことが必要。
 新たな自治を切り拓くような、新しい産業を中心にした稼げる観光地域づくりを中心に据えながらやってまいりたい。

【本郷委員】
 3つの明確な柱を提示していただいた。各々重要な内容なので、エンジン、ハンドル、訪れる必然性の3つが良い形で結節されるよう、ぜひ取り組んでもらいたい。

平地温泉観光の再生について

【本郷委員】
 温泉地について、旧来の施設がそのままだったり、老舗が撤退するなど、全体的に衰退傾向にあると感じている。
 湯けむり薫る温泉地は日本人の文化性や情感が伝わるものだが、関係者がやや守りの姿勢にも見える。平地温泉観光の再生について見解を伺いたい。

【熊谷観光部長】
 日本の良さを発信する長野県の平地観光、いわゆる温泉の再生については、現状としては様々な状況があるものの、総じて苦しいという声をいただいている。
 背景として、20年前の長野冬季オリンピックの際に増築、改築等の投資が進んだが、当時の支払いや高い金利の借り換えが進まない等、多々伺っている。
 一方で、意欲的な経営を行おうというところや、Iターンしてきて閉鎖した旅館やペンションを借りて若者たちが新しい感覚でやろうという取組もあると伺っている。
 先ずやらなければいけない点が3点ある。1点目は、現状をしっかり把握するということ。昨年度は観光業全体のアンケート調査を行い観光戦略のベースとさせていただいたが、今年は特に旅館ホテルの経営面の問題として、なぜ稼働率が低いのか、人材不足はどのようにして生じているのか、経営面はどうなのかなど、7月から8月にかけて旅館ホテル組合会の協力も得ながら実態を調査してまいりたい。
 2点目として、県内への需要を高めることが重要。DMO形成はもとより、まずは即効性のあるものとしてアフターDCで4つのチャレンジを行い、天候に負けない観光やネット予約等の充実を図って体質を変化させること。またインバウンド推進協議会やユニバーサルツーリズム推進会議など、長野県の特色ある観光ブランドの立ち上げにもチャレンジし、需要喚起をしていかなければいけない。
 3点目として、これまで20年間はプロモーション活動に終始していたが、構造的問題にしっかり取り組んでいかなければならないと考えている。土地の所有と老朽化した建物の問題を分離してリートというやり方もあるし、身売りするのではなく地域で共同事業体を作って新たな施設を作るなど、国際観光旅客税も新たに導入される中で、国や関係金融機関等に新たな施策の提案をしていき、観光立国としての日本全体の温泉、経済をそのように持って行くような相談もしていきたい。
 観光改革元年をスタートに構造的課題にも目を向けてしっかりと取り組んでまいりたい。

信州アフターDCについて

【本郷委員】
 6月26日の日経新聞では、天候に恵まれなかったことで山岳などの自然資源に依存している観光施策が浮き彫りになった、と指摘されていた。観光部はアフターDCを3年間の集大成として位置づけ、指摘の点についてチャレンジしていくとメッセージを発しているが、天候に左右されない観光コンテンツの充実というところはこれからの信州観光を推進していく上で大変重要なところである。具体的にどのようなビジョンをもっているか。
 また、ネット予約機能の充実や情報発信の強化について、どのような取組みを進めていくのか。

【丹羽観光誘客課長】
 ご指摘のとおり、昨年の取組みを通じて、雨の中でも楽しめるような体験メニュー等を増やしていくことの重要性を感じたところ。
 今年の2月に県下10エリアにおいて、エリア魅力開発事業を実施し、それぞれの地域課題について研究、議論するワークショップを行った。体験メニューの開発・販売につなげるために着地型観光を先進的に取り組んでいる方を講師にお招きしてセミナーを行ったり、今後、10地区でワークショップを行う中で様々な体験メニューを開発していく。
 この取組みは、県だけということではなく商工会連合会の皆様と連携してやっていこうという事になっている。新しい体験メニューを作って、長野県に来てお金を落としていただくための取組みをしっかりさせていただく。
 今年においては「asoview!」という国内最大の体験予約サイトに長野県のページを設け、作った体験商品を見て予約していただけるような仕組みを取り入れている。
 その他に「食」が弱いという部分があり、旅館業、ホテル業の皆様と連携して「朝ごはんプロジェクト」を推進している。これは、お宿の皆様に独自の朝食メニューを作っていただき、朝ごはんを目当てに宿泊していただけるよう取組みを行っているところ。先ほど少しご説明させていただいたとおり、「絶景がみえるカフェ」や「古民家のカフェ」といったように、ただ食べるだけではなく雰囲気を味わうことで、雨が降っても行こうと思っていただけるようなコンテンツを充実させていきたいと思っている。
 私どもの事業だけではなく、農林水産省が農泊を積極的に推進している。外国の方含め、農家に宿泊することに関心を持つ方が多いということで、関係部局と連携しながら農泊も推進していく。
 ネットでの発信については、今までなかなか情報発信うまくいっていなかった部分もあるかと思うが、今年については、先ほどの「asoview!」のような予約サイトと連携し、見ていただいた方が体験メニューの予約をしていただける、また、宿泊なら宿泊の予約をしていただけるような仕組みを信州DC公式サイトにつくった。
 情報発信については、最近、ドローンが普及してきているが、いま、ドローンを使った新しい映像を作る準備をしている。それができたらまたDCのホームページ等に紹介するので、ご覧いただければと思う。
 もう一つ流行しているツールとしてインスタグラムがあるが、今年の5月に信州大学の学生を中心に「長野県観光インスタ投稿チーム」を作って色々な写真を撮って投稿している。
 この投稿写真は、ただ単に撮ったというものではなく、専門家がアドバイスをしたものでなおかつその専門家のチェックを通ったものしか掲載されないという仕組みにしている。
 信州DCの公式サイトをご覧いただき、それを見た方が、そこに自分を置きたい、そこに行きたいと思っているような取組みになるよう進めているところ。
 今回の取組みを契機として来年度以降にもつながるような取組みにしていきたい。

インバウンド推進協議会について

【本郷委員】
 2月定例会の観光部長の総括説明の中で、“意欲ある事業者を中心にオール長野で取り組む「インバウンド推進協議会」を立ち上げ、民間主導による一体感のある海外プロモーションや、統一感のある強力な情報発信を推進する体制を構築していく。”という説明があった。
 現在、県内においては、地域間や事業者間で、インバウンドに対する意識や取組状況にかなりの温度差がある。しかし、人口減少社会を迎え、インバウンド需要の取り込みなしに地域経済の活性化は難しい。
  そこで、やる気のある事業者が協力してインバウンドに取り組み、成功事例を示すことで、様子見をしていた地域や事業者の目をインバウンドに向けることができ、ひいては長野県全体がインバウンドの受入に積極的となり、それにより受入環境が充実し、インバウンドが更に増加するという好循環を生み出すこととなる。
 そういった点で、やる気のある事業者が協力できる組織は必要と考えるが、「インバウンド推進協議会」は、具体的にはどういった組織を想定しているのか。また、現在の進捗状況と今後のスケジュール観は。

【宮原国際観光推進室長】
 「インバウンド推進協議会」は、インバウンド需要の取り込みを積極的に行っている宿泊業、飲食業、旅客運送業、索道事業者等観光関連事業者や市町村、観光協会などを会員として想定しており、金融機関や経済団体等も賛助会員などの形で、協議会に参画いただき、オール長野でインバウンド施策に取り組んでいく。
 事業内容としては、定期的なインバウンド情報(市場の動向、国の補助金等)の提供、会員向け研修会(外国人旅行者対応、受入環境整備等)の開催、プロモーション(現地旅行会社へのセールスコール、旅行博への参加、商談会の開催)の検討、プロモーション素材(映像、パンフレット)の検討・作成、観光資源の発掘、モデルコースの策定、受入環境整備等の国への政策要望などを想定している。
 会費については、一律で徴収することは考えていない。事業ごとに、その事業に参加する者からの実費徴収を想定している。
 現在、関係団体等への説明を行っているところであるが、参加したいという前向きな反応がほとんどである。今後は、9月中に幹事会が開けるよう、役員の選出等を行っていく。

銀座NAGANOについて

【本郷委員】
 銀座NAGANOの大ブレイクに対し敬意を表したい。300万人を達成したが、達成要因をどう分析しているか。今後さらにステップアップしていくことに対しどのような見込みを持っているか。

【斎藤信州ブランド推進室長】
 GINZA SIXのオープンによる影響が大きいと考えている。GINZA SIXがオープン前の昨年4月と本年4月時点で比較すると180%と伸びが大きく、GINZA SIXオープン後の5月は111%となっており、GINZA SIXオープン後は10%程度の増加を推移している。そのような影響もあり、全体で昨年度比122%となっている。今後は10%程度の増を目標にしてしっかり取り組むことを考えていきたい。今年度は、現在増加しているメンバーズ会員、コア層をしっかりと誘引するよう、新しいものにも取り組みながら情報提供を行っていきたい。

【本郷委員】
 首都圏に向けた発信拠点としての役割をしっかり果たす必要があり、現在も進めているが、今年度の発信力強化についてどのような認識を持っているか。

【斎藤信州ブランド推進室長】
 既存の雑誌・メディアなどでも取り上げていただき認知度も上がって評判も良く、これまでの取り組みが出てきていると思う。
 今年度は、インターネット検索サイトでニュースとして、ニュースソースを提供している業者に「つなぐ」の情報を提供しながら、検索サイト上位に表示され、今まで情報が届かなかった方など新しいものを取り入れるために試行的に取り組みたいと考えている。
  また、昨年立ち上げたメディア県人会の方にも相談し、協力を得て情報発信力の強化を図っていきたい。

平成30年2月定例会 本郷一彦 一般質問・質疑 質疑要旨
(1)平昌冬季オリンピックについて

【本郷委員】
 平昌冬季オリンピックの女子スピードスケート競技で素晴らしい成績を収め、多くの県民に勇気と感動を与えてくれた小平奈緒さんに対し、県民栄誉賞を授与することを提案するがどう考えるか。

【知事】
 今月9日から開催されている平昌冬季オリンピックについては、私も連日、テレビや報道等、かじりついて日本選手、長野県関係選手の活躍、目を凝らすと同時に大変うれしい思いを持ちながら、見守らせていただいている。とりわけメダルを獲得された小平奈緒選手、渡部暁斗選手、菊池彩花選手、髙木菜那選手、本当に素晴らしい活躍だと思っている。多くの長野県の皆さまが喜ばれていると思っている。関係の皆さまに心からお祝い申し上げたい。
 特に小平選手は、日本選手団の主将を務められるとともに、1,000mでの銀メダルに続いて、500mではオリンピック新記録での女子スピードスケート日本人初となる「金メダル」を獲得され、私たち長野県民に大きな勇気、希望そして誇りをもたらしてくれた。また、未来に向かう子どもたちに大変な夢と希望を与えていただいた。
 平昌オリンピックでのご活躍以外にも、ワールドカップ500mで2度にわたり総合優勝されるとともに、15連勝中であること。また、昨年12月には、1000mで世界新記録を樹立されるなど、まさに、スピードスケートのトップ選手として世界をけん引され、顕彰するにふさわしい活躍をされていると思っている。私共としては、県民栄誉賞やスポーツ特別栄誉賞を含め、賞の贈呈について検討してまいりたい。

【本郷委員】
 平昌オリンピック女子スピードスケート金メダルの小平選手に対する県民栄誉賞の受賞について、大変前向きな答弁と受け止めた。県民としても議論の余地がないと思うので、可及的速やかな県民栄誉賞の受賞となるようご要望申し上げる。

(2)次期総合5か年計画について

【本郷委員】
 計画策定に当たり、長野県を今後どのような方向へ持って行こうと考えているか。また、それを実現するためにどのような取組を行っていくのか。

【知事】
 長野県を今後どのような方向に持って行こうと考えているのか、そのためどのような取組を行っていくのかという御質問です。
 急速な人口減少と少子高齢化、そして東京圏への人口一極集中が進んでいく中、右肩上がりの経済成長や人口増加を前提とした旧来の社会の在り方というものは、もはや通用しなくなってきていると思っています。
 他方で、連日報道でAI、IoTなどの言葉を聞かない日がなくなっているように、世界規模で急速な技術革新が進んでいます。
 このように変化が激しい時代にあっても、県民の皆様の暮らしをしっかりと維持していく、確かな暮らしを守っていくことが大変重要だと思っています。
 県民の皆様が明日への希望を持って暮らすことができる社会、そして万が一の場合には温かな支援を受けることができる安心感がある社会を引き続き目指していきたいと思っていますし、あわせて、大きく時代が変化する中で、長寿県である長野県が「人生100年時代」における、新しい価値観や生き方、暮らし方を積極的に創造できる地域でありたいと考えています。
 こうした時代の転換期では、一人ひとりの県民の皆様方、また私ども県組織を含めて常に学び続けることが大変重要だと思っていますし、価値観が多様化する社会にあって、それぞれの地域の中で、あるいは長野県という大きな自治体の中で、多くの皆様方の思いを実現するためには、自治の充実が極めて重要だと思っています。
 こうした考え方から、「しあわせ信州創造プラン2.0」(案)の基本目標を「確かな暮らしが営まれる美しい信州」、サブタイトルを「学びと自治の力で拓く新時代」としました。
 基本目標を実現していくために「学びの県づくり」、「自治の力みなぎる県づくり」の大きな二つの要素を政策推進のエンジンにしてまいります。
 また、未来志向でクリエイティブな社会をつくる観点で「産業の生産性が高い県づくり」と「人をひきつける快適な県づくり」、さらには、県民の皆様方の思いに寄り添いながら安心で希望あふれる社会をつくる観点での「いのちを守り育む県づくり」と「誰にでも居場所と出番がある県づくり」を「政策推進の基本方針」に掲げさせていただきました。
 今後、長野県として政策を進めるに当たりましては、こうした基本方針に則した政策を具体化したいと思っています。
 あわせて私ども県組織自体も「学ぶ県組織」への転換を図ってまいりたいと考えています。

【本郷委員】
 次期総合5か年計画では、計画名を「しあわせ信州創造プラン2.0」とし、現行の計画を継承しているところがあるが、その意図するところは何か。

【知事】
 現行総合計画「しあわせ信州創造プラン」の名称を継承した意図についての御質問です。
 今後も県民の皆様の確かな暮らしを守りぬくことが、県の最も重要な役割だと思っています。
 こうした観点で、基本理念は次期計画においても引き継がせていただきたいと思っています。
 「しあわせ信州創造プラン」という名称は維持させていただきながらも、今日の課題に対応するため内容を充実させたことを表すため、計画の名称に「2.0」を付けバージョンアップさせたことを明示させていただいたものです。

【本郷委員】
 計画初年度となる平成30年度当初予算をどのように位置付けているか、2期目任期残りの思いと併せて伺う。

【知事】
 今回の当初予算案、しあわせ信州創造プラン2.0(案)の策定と並行して行わせていただきました。そういう観点で、やはり「学びと自治の力で拓く新時代」を強く意識して、編成をさせていただきました。また、新しい総合計画のスタートにふさわしい内容となるように、計画で掲げた事項の第一歩を記すことができる予算となるよう努めたところでございます。
 そういう観点で、6つの政策推進の基本方針に基づいた編成を行わせていただきましたし、また、特に部局横断で推進していくべき重要な政策については、14の政策パッケージとして、県民の皆様方にもわかりやすくお示しをさせていただいたところでございます。
 私の2期目の任期もあと約半年という形になってまいりました。これまで多くの皆様方のご支援、ご協力のもとで県政を進めてきたわけでありますけれども、今回の予算案は、新しい計画とセットで策定をさせていただいたということもあり、1つは大きな転換をさせていこうということを意識をさせていただいたことと同時に、信州創生戦略を含めて、これまで私どもが取り組んできたものを、引き継ぐべきものについてはしっかりと引き継ぎ具現化する、という観点で今回の当初予算を編成させていただきました。
 私の任期の最後の予算編成になるわけでありますけれども、これまで私が取り組み、県議会、県民の皆様方から様々ご意見いただいたことも十分踏まえて今回の予算編成をさせていただいたところであります。

【本郷委員】
 策定に当たり、県民の声をどのように汲み取り、計画の中でそれをどのように反映させているか。

【知事】
 計画策定に当たり、県民の声をどう汲み取り、反映させたかという御質問です。
 県民の皆様の夢や希望をできるだけ汲み取った計画にしたいということで、私をはじめ本庁・現地機関の職員が、様々な県民の皆様方と丁寧な意見交換をさせていただきながら計画策定を行ってきました。
 全庁を合計すると、400回を超える対話を行った上で、取りまとめさせていただいたところです。
 こうした御意見は様々ありますが、私は今回特に若い世代との意見交換を重視してきました。
 若い世代は特に長野県のことを愛している若者が多いなというのが私の率直な思いです。
 ただ、もう少し長野県が若い世代にとって、魅力があった方がよいのではないか、というのが多くの若者の共通感覚だと感じました。
 そうした観点で今回「人をひきつける快適な県づくり」を掲げ、その中でも「快適な生活空間の創造」ということで、若い世代もひきつけられる、定住したくなるようなまちづくりを目指して取り組んでいこうということも盛り込ませていただきました。
 また若い世代は就職・結婚に対し切実な悩みや課題を持っていますので、就職や結婚支援の充実についても計画の中に盛り込ませていただきました。
 これ以外にも市町村長の皆様方からは地域交通の充実や安心できる医療体制の構築など様々な御意見をいただきましたので、それぞれの部局においても関係者の皆様からの御意見を十分に意識し、また最終的な取りまとめに当たっても、意見交換の成果や結果を踏まえました。

【本郷委員】
 次期計画は「信州創生戦略」を統合・継承するとしているが、具体的にどのように反映されているか。

【知事】
 「しあわせ信州創造プラン2.0」への「信州創生戦略」の反映状況についての御質問です。
 今回、信州創生戦略を「しあわせ信州創造プラン2.0」に吸収させるという形にさせていただきました。
 具体的には、政策の構築・実行に当たっての共通視点として「人口減少に立ち向かう」ということを明記させていただきました。
 また、結婚・出産・子育てへの支援、郷学郷就の観点での人材の育成・確保、一人多役や人生二毛作、移住施策の推進など信州創生戦略で重点的に取り組んでいる施策については今回の「しあわせ信州創造プラン2.0」(案)にも確実に引き継いでいます。
 また、数値目標やKPIについても重点目標や関連目標として引き継いでおり、信州創生戦略と連続性が保たれた案になっていると考えています。

【本郷委員】
 6つの基本方針はいずれも重要であるが思うが、その中でも私はとりわけ「産業の生産性が高い県づくり」が重要であると考える。
 ものづくり産業のみならず、県内には様々な企業や産業が活躍しているが、必ずしも生産性は高くない。
 また、好景気を背景として、有効求人倍率は高い値を示しているものの、深刻な人手不足が生じている。
 次期総合5か年計画では、「産業の生産性が高い県づくり」を政策推進の基本方針にしているが、今後の長野県産業をけん引するものづくり産業の成長に向けた産業戦略や産業人材育成・確保について知事に伺う。

【知事】
 現在、次期総合5か年計画に掲げた「産業の生産性が高い県づくり」の実現をものづくり産業の振興の面から支えるものとして「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」を策定しているところでございます。
 このプランでは、研究開発から販路開拓に至るまでの企業の基盤力強化や、大学や企業のシーズを基にした産業集積を図ることにより、絶え間なくイノベーションが創出されていく「産業イノベーション・エコシステム」の形成を図っていきたいと考えております。
 具体的には、基盤力の強化においては、新たな事業分野や市場を開拓にあたり企業の皆様方が課題と感じている「市場ニーズの把握」や「ビジネス化の見極め」を、専門家の皆様方の力も活用しながら支援をしていきたいと思っております。
 産業集積の形成については、これまで成長期待分野として位置づけてきた「健康・医療」「環境・エネルギー」「次世代交通」、こうした大きな枠組みは踏襲しつつも、「航空機システム」や「機能性食品」など、地域の強みを活かした新しいチャレンジを積極的に後押ししていこうという考え方にたっております。
 また、こうした取組を加速化していくため、様々な産業支援機関がありますが、今一度、産業支援のあり方について検討し、支援体制の強化を図っていきたいと考えております。
 また、産業人材の育成・確保については、有効求人倍率はご案内のとおり、平成4年以来25年ぶりに1.7倍を超える等、人手不足が顕著な状況になっております。産業振興を図っていく上で人材の育成・確保は大変重要な課題になっていると思っています。
 そうしたことから、多様な人材の労働参加の促進、そして専門人材の確保、さらには若い世代が自らの就業にしっかりとビジョンを描けるように、キャリア教育の推進を行っていく、こうしたことを進めていきたいと考えています。
 特に喫緊の課題に対応していかなければならないということで、県内の様々な皆様の力を結集していかなければならないということで、経済団体、労働団体の皆様とも連携して「長野県就業促進・働き方改革戦略会議(仮称)」を早期に設置して、具体的・効果的な人材確保策を構築していきたいと思っています。
 また、企業のインターンシップを働きたい人としっかりマッチングすることによる、若者の県内就職促進であったり、あるいは小・中・高校生を対象とした「ものづくり未来塾」の開講であったり、さらには、県の教育機関である工科短期大学校、技術専門校における、今のニーズに合った教育訓練の実施、こうしたことによる産業人材の育成・確保を進めてまいります。
 また、子育て中の女性の再就職支援を始めとする女性の就業率の向上を図っていくほか、高齢者、障がい者、外国人等、こうした潜在的な労働力となりうる皆様が企業と出会う機会を積極的に作っていきたいと考えております。
 こうしたことを通じて喫緊の課題である人材不足対策に県としても積極的に取り組んでいきたいと考えています。

(3)予算案及び組織について

【本郷委員】
 厳しい財政状況の中、予算編成の進め方で工夫した点は何か。

【知事】
 やはり変化の激しい時代にあっては、ボトムアップで粛々と予算編成をするということだけではなくて、トップマネジメント層、具体的には部局長レベルでしっかりとした方向性を示して、大きな舵を切っていくことが重要だと思っております。
 そうした観点で、今回の予算編成方針の中でも、各部局長には、強いリーダーシップを発揮してもらうということを明記をさせていただき、その上で、これまでの政策の取組の成果・課題を検証した上で、ゼロベースで政策を見直して優先順位をつけた要求を行うこと、また、限られた予算でありますので、成果が確実に上がる事業を厳選して要求すること、こうしたことを指示してきたところでございます。
 新しい計画策定と並行しての予算編成作業ではありましたが、各部局長には、それぞれ工夫をして、県民ニーズにあった、そして新しい時代を切り拓くにふさわしい予算を作り上げていくことができたというように考えております。

【本郷委員】
 長野県立大学開学、県立武道館建設、信濃美術館整備などの大規模建設事業が財政運営に与える影響をどうみているか。また、中期財政試算では基金の取り崩しが続く状況だが、どのように財政運営していくのか。

【知事】
 県立大学、県立武道館、信濃美術館の整備改修こうしたものを進めていこうというわけでありますが、財政的影響につきましては、2つの観点があると思っております。
 1つは投資的経費、建設事業費の関係であります。これにつきましては、こうした大規模な事業を織り込んだ上で将来の投資を出しておりますが、こうした事業を織り込んだ上でも通常債残高は引き続き減少していく見込みと考えております。したがって、このこと自体、財政に特段の影響を与えるものではないと考えております。
 また、運営費でありますが、それ自体、必ずしも少なくない金額ではございますが、例えば、平成30年度当初予算案を昨年の当初予算案と比べましても、様々な減額努力によりまして、例えば、公債費でマイナス43億円削減しておりますし、人件費もマイナス24億円削減という形にしております。また、これまで既存施設の縮減・廃止というファシリティマネジメントに取り組んできておりまして、県財政全体の中で、十分対応しうるものと考えております。
 これまでいろんな努力をしてきておりますが、基金残高も私が知事になる前の残高は約270億円程度でありましたが、ここしばらくは500億円以上キープすることができております。
 引き続き、財政の健全性に配慮しながら、しかしながら他方で、県民ニーズにしっかり応えることができる、メリハリのある予算編成を心がけていきたいと考えております。

【本郷委員】
 きめ細やかな行政サービスを安定的に提供していくための基盤として安定的な地方税体系を構築することが必要であるが、持続可能な税財政構造の構築に向けて所見を伺う。

【知事】
 持続可能な税財政構造の構築に向けた所見、というご質問でございます。
 このことについては、何よりも我々が県民の皆様方の暮らしを支えていく上で、重要な要素だと思っております。そうした観点で、まずは地方税財政の分権、国においてしっかりとした安定的な地方税財政制度を構築して貰うことが必要だと思いますし、具体的な提案を我々もしていくことが重要だと思っております。
 特に法人課税を見ますと、都市部に極めて税収が集中しているという状況であります。法人県民税・事業税を合算した人口1人当たり税収を見ますと、都道府県間で約6倍の格差があるということで、極めて偏在性が大きい形になっております。
 このことについては、私ども大きな問題意識を持って、国に対してしっかりと具体的な提案を考えていかなければいけないと思っております。
 いずれにいたしましても、行政サービスの充実強化と持続可能な税財政構造の構築は一体でございますので、引き続き税財政構造の安定化、そして県財政の健全化、こうした点についてしっかり配慮しながら政策を進めていきたいと考えております。

【本郷委員】
 予算規模の減少理由として、制度融資枠の適正規模化などが理由であると聞いているが、その分を差し引いても、地域経済を支える産業・雇用分野への予算が縮小されたことは大いに心配である。目指す姿に掲げた「産業の生産性が高い県づくり」のスタートアップにあたり知事として配慮した点をお聞かせ願いたい。

【知事】
 この度の予算編成にあたっては、全体を通じて新しい時代への対応ということを重視しました。とりわけ、AI、IoT時代に対応するということで、先端技術の活用ということについて、意を用いたところであります。
 産業の生産性の部分についても、2つの観点、ひとつは、先端技術を長野県のものづくり産業の中で、AI、IoT時代に相応しい製品を開発していくということ、もうひとつは、AI、IoT時代の新しい技術を様々な産業分野の生産性向上のために用していく、この二つの観点を意識して計画をつくっております。
 例えば、先端技術の開発の観点では、「IoTデバイス事業化・開発センター」を松本の工業技術総合センター環境・情報技術部門に新設したいと思っております。プロフェッショナル人材を招へいすることで、世界水準のIoTデバイスを創出していく拠点にしていきたいと思っております。
 また、利活用の観点では、ものづくり産業はもとより農林業、建設業、介護・福祉産業など幅広い分野で利活用を進めることが重要であります。そうした観点で、専門家の皆様方のご意見をいただきながら「AI、IoT利活用戦略」を策定していきたいと思っております。
 こうした新しい時代に対応した取組を通じて、長野県の産業の生産性を更に高めていきたと考えております。

【本郷委員】
 平成30年度予算案は、どのようなところに重点を置いて予算編成したのか。

【知事】
今回、14の政策パッケージ、とりわけ部局横断で推進していこうということで取りまとめさせていただきました。それぞれ重要でありますが、その中でも、とりわけ私としては「学びの県づくり」さらには「先端技術の活用」、こうしたことについて、力点を置いて編成をさせていただいたところでございます。
 例えば「学びの県づくり」におきましては、2020年度までに県立高校全てでICT 機器を整備をしていきたいと思います。こうした機器を活用してクリエイティブな教育をしっかり行っていきたいと思っております。
 また、「信州・タウンキャンパス(仮称)」この構想をスタートさせていきたいと思っております。どこでも、誰でも、いつでも主体的に学ぶことができる環境整備に踏みこんでいきたいと思っております。
 また、「先端技術の活用」におきましては、AI・IoT先ほど申し上げましたが、例えば農林業の分野においても、ICTあるいはドローンといった技術を積極的に取り入れていこうということで予算計上させていただいております。
 引き続き、新しい時代に積極的に向き合って、そして新しい技術を積極的に取り入れながら長野県の発展を目指していきたいと思っております。

 地域振興局長からの事業提案、予算要望の仕組みと結果についてのご質問でございます。
 今回、地域振興局長からの事業提案、予算要望を受け付ける仕組みを構築させていただきました。これは試行的に今回行わせていただきましたが、複数の事業を地域の目線から一体的に実施する「事業提案」、そして部局が実施しています現行事業の予算に対する「改善意見・要望」、この2つを地域振興局長から出してもらったところでございます。
 諏訪湖の環境改善対策、あるいは御嶽山の安全対策等、10項目の事業提案、そして11項目の改善意見・要望がありました。こうした提案・要望については、できる限り尊重した上で、今回の予算案に反映させていただいたところでございます。

【本郷委員】
 計画には「学ぶ県組織」への転換を掲げるが、「学ぶ県組織」とは具体的にどのようなものか。またどこに力点を置きマネジメントしていくのか。

【知事】
 「学ぶ県組織」への転換、具体的にどのようなものか、どこに力点をおいてマネジメントするかということでございます。社会環境の変化が非常に急速になっておりますので、こうした変化を敏感に感じ取り、スピード感を持って、県民、社会の要請に応える組織にしていく、そのことを通じて最高品質の行政サービスを提供する組織にしていくということが重要だと考えています。
 「学ぶ県組織」への転換の方向性としては、例えば、目的達成力の高い機能的組織構造の実現であったり、あるいは県民起点を徹底する組織風土の形成であったり、いくつかの観点を今回、総合計画で掲げさせていただいているところでございます。
 私としては、特に、新しい知識や技術を職員一人ひとりが主体的に学び続けていく、我々としてはそうした環境を作っていくことの重要性、そして職員の能力を最大限に組織として発揮できる環境を作っていく、こうした点がこれからの我々マネジメント層の留意すべき点だと思っております。今、働き方改革を県組織内でも行わせていただいておりますけれども、やはり職員一人ひとりがしっかりとモチベーションを保ちながら県民のための仕事をしていくことができる環境づくりにこれからも全力をあげていきたいと思っております。

【本郷委員】
 計画の推進に当たり、県組織を見直す必要もでてくると思うが、具体的に見直し等を検討しているか。また、計画の6つの横断的プロジェクトにはどのように対処していくのか、具体的に組織再編を行う考えはあるか。

【知事】
 5か年計画案にも記載のとおり、複雑化、多様化する県民ニーズに迅速、的確に対応するためには、組織の総合調整機能を強化するとともに、従来の型に捉われない柔軟な組織へと変革していくことが重要だと思っている。今後、こうした観点での具体的な検討を行っていきたい。
 また、チャレンジプロジェクトを6つ掲げている。このチャレンジプロジェクトも私としては県組織の仕事の仕方を変えていく一つの大きな契機にもしていきたい。
 こうした観点で、今回のプロジェクトは、部局や職位の垣根を越えたプロジェクトチームにしていきたいと思っている。また、若手の幹部職員をチャレンジプロジェクトの推進を担うポジションに配置するなど、これからの長野県の組織の動き方を変えていくべく、工夫をしながらプロジェクトの編成を行っていきたい。
 こうしたことを通じて、今までの前例踏襲的な仕事の仕方を、今回の総合計画の策定を契機に、できる限り今の時代に合った仕事の仕方、組織の動き方に変えていきたい。

 地域課題を解決する組織のあり方、地域振興局の成果と機能・役割を今後どうするかとのご質問でございます。
 これまでの1年間、各局長は地域戦略会議の場、あるいはタウンミーティング等を行っていただき、地域の皆様方、市町村長の皆様方と多くの機会を作ってきたと思っております。そうした観点で、地域の声はこれまで以上に組織の中に入ってきつつあると感じておりますし、また、そうした局長が捉えてきた地域の思い・考え、こうしたものも部局長会議、地域振興局長会議を通じて、我々本庁職員との間での共有もこれまで以上に円滑に行われていていると思っております。
 こうした声については、今回の新しい5か年計画案の地域計画、あるいは全体の中にも的確に反映されてきていると考えております。今回の新しい計画案におきましては、これまで以上に地域計画の充実を図っているところでありまして、今後とも地域重視・現場重視で県政を進めていきたいと思っておりますので、地域振興局の果たす役割はたいへん大きいと思っております。今後ともその機能・役割の充実に引き続き努めていきたいと考えています。

【本郷委員】
 次代を担う職員の人材育成をどのように進めていくのか、重視する点は何かを伺う。

【知事】
 職員の人材育成につきましては、外部環境の変化を敏感に感じ取り、自ら分析し、自律的に行動できる職員を育成していくということを主眼として、共感力・政策力・発信力の更なる強化を図るため、現在、人材育成の基本的方向性を定めた新たな「人材育成基本方針」の策定を進めているところでございます。
 人材育成に当たりましては、中長期的な視点に立って、職員の意欲と能力を最大限に引き出すということを基本として、採用から育成、評価、任用まで一体となった取組、そして働きやすい職場環境づくりなど、総合的に進めていきたいと考えております。

(4)自治のあり方について

【本郷委員】
 知事は、この度の全国知事会の「憲法における地方自治の在り方検討ワーキングチーム」による憲法改正草案をどのように評価されているか、併せて、憲法における地方自治の本旨の明確化、補完性の原理、それと表裏一体の関係となる徴税権限や財源保障といった点を含め、これからの地方自治、都道府県の在り方について、知事のご所見をお聞かせいただきたいと思います。

【知事】
  全国知事会、憲法における地方自治の在り方について議論をしてきているわけでありまして、これから地方自治の在り方を充実させていくことを考えているときには知事会からも一定の発信をしていくことが必要だと思っています。
 他方で、この憲法の問題というものは国民の皆様ひとりひとりの思い、考えということが尊重されなければいけないわけでありますので、そういう意味で地方自治の在り方も含めて国民的な議論、あるいは国会の場での十分なご検討ということが求められていると考えています。
 地方自治全般については、地方分権ということが長年叫ばれ続けながらも、先ほどの税財源の問題も含めてまだまだ道半ばというふうに感じているのが私の率直な思いでございます。引き続き全国知事会等を通じて更なる自治の充実、特に今回「学びと自治の力で拓く新時代」ということを総合計画でも打ち出しておりますので、ぜひ具体的に地方分権が進むように県としても取り組んでいかなければいけないと思っています。
 また、都道府県の在り方、これは広域的な自治体としての役割を責任もって果たしていくことが重要だと思っています。長野県の場合は、特に小規模な自治体が多いということもあります。これからも市町村の皆様方との問題意識の共有、積極的な対話、こうしたことに努めながら、ぜひ市町村、とりわけ小規模な市町村の皆様方の思いにしっかりと寄り添って県政を進めていきたいと考えております。

(5)知事の政治姿勢について

【本郷委員】
 知事の公約に対する現状認識と、総仕上げである平成30年にどのように取り組むか。また、3期目に向けてどのような決意でいるのか伺う。

【知事】
 次に、私の公約に対する現状認識と、3期目に向けての決意はいかがなものかということでございます。
 公約の実現につきましては、私の信条の中で「県民の皆様方とのお約束を守る」ということを掲げておりますが、この観点から誠実に実現に向けて取り組んできたところでございます。2期目に掲げた公約につきましても自己評価をさせていただいておりますけれども、やや厳しめに捉えているところ、あるいは、やや、もしかしたら県民の皆様方からすると甘めかなと思われるところもあるかもしれませんが、私としては、おおむね8割方は実行してきたのではないかと感じております。子ども・若者支援、高等教育の振興、産業振興、自然エネルギーの促進、こうしたことについては着実に進めてくることができたと思っておりますが、まだまだ充実・強化を図らなければいけない分野というものもあると思っております。今回の新しい総合5か年計画の策定の中でも、こうしたことについては意識をしながら取りまとめさせていただいております。ぜひ、この「確かな暮らしが営まれる美しい信州」の実現に向け、ぜひ県議会にもご理解、ご協力をいただきながら、県全体で積極的な取組を進めていきたいと思っております。
 また、私も知事就任から7年半が経過したわけでありますが、この間、多くの皆様方の支援と県議会の皆様方のご協力、そして県職員の頑張りによって県政を進めてくることができたと思っております。今の正直な思いは、まだ重要な県議会中でもございますし、まだ任期が約半年残っているという状況でございます。まずは、県民の皆様方から今与えていただいている任期を、しっかりと責任を持ってやり遂げるということに全力を尽くしていきたいと考えております。その後の話につきましては、県民の皆様方の声に真摯に耳を傾けつつ、責任を持って決断をしていきたいと考えております。

(6)信州まつもと空港の国際化について

【本郷委員】
 28年6月の「信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針」の策定からこれまでの成果とその評価をどのように捉えているか。

【知事】
 次に松本空港の関係でのいくつかのご質問でございます。
 先ず、国際化の成果と評価というご質問でございます。
 松本空港の発展・国際化に向けましては、昨年度と今年度、集中・具現化期間という位置づけで取組を行ってきております。私、或いは副知事も海外等出かけた際には、トップセールスに努めているところでございます。
 こうした結果、昨年4月、約2年ぶりに国際チャーター便が実現いたしました。その後もチャーター便就航していただき、今年度は14便の就航までこぎつけることが出来ました。
 また、国内線におきましても、昨年度、9年ぶりに利用者が12万人を突破いたしました。今年度さらに上回る見通しとなっております。FDAに伺いますと、国内定期便への外国人利用客も増えつつあると聞いております。
 松本市をはじめとする関係自治体、県議会、経済団体、様々な皆様方のご協力の下、一定の成果が出つつあると考えております。

【本郷委員】
 昨年7月「訪日誘客支援空港」認定されたが、国の支援は具体的にどのようなものか。また、支援によっていかなる成果が上がったのか。

【知事】
 次に、訪日誘客支援空港認定に伴う国の支援と成果というご質問でございます。
 信州まつもと空港が「育成支援型」という形で認定されたことを受けまして、早速、国土交通省内に「松本空港訪日誘客促進戦略会議」、こうしたものが設置をされているところでございます。
 この戦略会議におきましては、本県と国土交通省航空局のほか、観光庁、日本政府観光局など航空・観光分野の国の責任者と、松本空港の国際化に向け、国際線就航や訪日誘客促進に係る課題の検証を共に行わせていただいているところでありまして、こうした場が、国の関係機関と一緒にこうした松本空港の将来像を考える場が出来たということ自体、大変大きな前進だというふうに考えております。こうした国の伴走型の支援も積極的に活用させていただきながら、今後、さらに国際チャーター便の誘致、或いは定期便の就航につなげていきたいと考えております。

【本郷委員】
 国際定期便就航に向けた現在の状況と、具体的にいつまでに信州まつもと空港の国際化を実現させるのか伺う。

【知事】
 次に、国際定期便の就航見込みについてのご質問でございます。
 本年度、先ほど申し上げたとおり計14便の国際チャーター便が就航見込みでございます。来年度は、30便以上を目標に取り組んでいきたいと思っております。
 今後も、実績をさらに積み上げた上で、取組方針のロードマップに示しております平成31年度から33年度の「上昇期間」中に、国際定期便の就航を実現すべく最大限努力していきたいと考えております。
 加えて、空港の国際化には、単に国際定期便の就航のみならず、国内外の方々に、松本空港が本州中央部の「空の玄関口」であると認識され、海外との移動方法の選択肢としても定着していくことが重要だというふうに思っております。
 このため、国内線の充実、或いは国際線との乗り継ぎなどについても、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。

【本郷委員】
 国際線ターミナルについて、建設時期、規模等の基本的な構想をどのように考えているか。また、RNP-ARの導入に対する現在の状況と今後の見通しについて伺う。

【知事】
 次に国際線ターミナル建設についてでございます。
 国際線を受け入れるにあたりましては、C.I.Q、税関・出入国管理・検疫などが必要になってまいります。空港内における搭乗者の導線を国内線とは明確に分けることが必要でございます。
 国際便の便数がまだ現時点では少ない状況でありますので、その都度、臨時的に施設内に仕切りを設けて対応させていただいている訳ではありますが、今後、本格的に国際線を受け入れていくためには、しっかりと導線を分けた空港施設の整備が不可欠と考えております。
 平成31年度から33年度までの「上昇期間」中に国際定期便を実現させるため、来年度は、必要な施設の規模、或いは設備等の基本的な構想の検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、RNP-AR方式についてでございますが、これは、国土交通省とFDAの理解と決断があって実現するものでございます。
 県としては、国土交通省に対しまして、訪日誘客促進戦略会議の場でも導入を要請しているところでございます。また、FDAに対しては、私から直接会長、社長に導入のお願いをさせていただいているところでございます。今後とも、引き続き早期の導入に向けて働きかけを行っていきたいと考えております。

【本郷委員】
 駐車場の確保は国際空港化に向けて極めて重要な環境整備となるが、蔵説についての考えを伺う。

【知事】
 空港駐車場についてでございます。
 現在でもゴールデンウィーク、お盆や年末年始、或いは連続休暇等、満車となる日が増えていると承知しております。
 今後、国際定期便の就航に向けた誘致、或いは空港活性化の観点で来訪者を増やしていくことを考えますと、駐車場のキャパシティ不足は大きな課題であり、増設等の対策が必要だと考えております。
 検討にあたりましては、平成31年度の信州花フェスタ開催に向けた周辺の公園整備も踏まえて考えていきたいと思っております。

(7)有料道路の一般道路化について

【本郷委員】
 県はこれまでどのような考えで有料道路制度を活用し、道路整備を行ってきたのか。また、有料道路の整備により県内にどのような効果がもたらされたと考えているか。

【知事】
 有料道路についてのご質問でございます。
 まず、有料道路の活用と県内における効果についてお答えします。
 本県は主要な都市が急峻な山岳地形で隔てられていることから、各地を結ぶ幹線道路の整備には大規模な投資が必要になってきます。
 限りある予算の中、峠を貫く大規模なトンネル等を短期間で完成させ、早期に効果を発揮させるため、受益者負担の考え方のもと、有料道路制度を県内各地域で活用してきたところでございます。
 特に、東信・中信・南信を結ぶ道路網についてはそれまで脆弱でありましたが、三才山トンネルや新和田トンネル有料道路の整備によりまして、県土の一体化が図られてきたと考えております。
 また、北信地域の有料道路については、長野オリンピックの成功を輸送面で支えたほか、現在でも渋滞緩和や、あるいは交通の円滑化に寄与していると考えております。

【本郷委員】
 有料道路の一般道路化について、具体的にどのような視点で検討を進めてきたのか、その検討結果について伺う。

【知事】
 有料道路の一般道路化検討の視点とその結果および今後の方針についてお答えします。
 有料道路の一般道路化につきましては、包括外部監査での指摘を踏まえまして、各路線の収支状況や、一般道路化により利用者が負担していた通行料金が経済活動に回ることによる経済波及効果、出資金の未返還額や維持改良費など県の財政負担の増加など、様々な視点で検討を進めてきたところでございます。

【本郷委員】
 検討結果を踏まえた上で、三才山トンネル有料道路をはじめとする有料道路の一般道路化についてどのような方針で進めていくのか伺う。

【知事】
 検討の結果、県としては、松本トンネルを含む三才山トンネル有料道路については平成32年夏ごろまでに、また、新和田トンネル有料道路は平成33年夏ごろまでに、一般道路化することが可能と考えております。
 これによりまして、三才山トンネル有料道路は、当初予定していた事業期間の約1年以上の短縮、新和田トンネル有料道路は約3年半以上の短縮となる見込みでございます。
 また、白馬長野、志賀中野、五輪大橋有料道路の3路線については、当初より予定している事業期間後の一般道路化を基本に考えていきたいというところです。

(8)2027年国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会について

【本郷委員】
 49年ぶりとなる本県での両大会の開催は大変意義深いが、大会後も見据え、どのような方針で大会を開催していくのか、考えを伺う。

【知事】
 国民体育大会・全国障害者スポーツ大会についてご質問をいただきまして、まず開催方針についてでございます。2027年の両大会の開催に向けましては、昨年12月に設置をいたしました、各界各層の関係団体で構成いたします「準備委員会」におきまして、大会開催と大会後を見据えた開催基本方針を決定いたしたところでございます。
 この中で、両大会は、「県民の元気と力を結集して、スポーツの持つ限りない力と本県の多彩な魅力を発信する大会」として開催することを定めますとともに、大会後を見据えては、「スポーツを通じた元気な長野県」の実現を目指すことを基本に、5つの実施目標を定めたところでございます。
 今後、準備委員会の会長として、オール信州、県民全体の力を結集して、この開催基本方針で定めた目標の実現に向かって、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

【本郷委員】
 総合開・閉会式会場を含め、競技会場地等の選定は今後どのようなスケジュールで取り組んでいくのか。

【知事】
 総合開・閉会式会場及び各競技会場地は、それぞれ準備委員会で選定していくことになりますが、まずは、具体的な選定方法やスケジュールを検討する専門委員会を来月立ち上げ、本格的な選定作業に着手をしてまいります。
 現時点で予定しております手順としては、「総合開・閉会式会場」につきましては、求められる施設の基準、先催県の例を参考にしまして、最も相応しい会場を準備委員会で選定していきたいと考えております。
 また、「競技会場地」につきましては、事前に市町村と競技団体に向けた説明会を開催した後、それぞれから希望を調査し、現地調査やヒアリングなどを行いながら、順次選定をしていく予定でございます。
 「競技会場地」の選定は、遅くとも中央競技団体の視察が行われます2021年までに完了する必要がありますので、市町村等における準備期間も考慮して、できるだけ早期に選定できるよう取り組んでまいります。

【本郷委員】
 9年後の国体に向けた選手の競技力向上についての決意と方針を伺う。

【知事】
 国民体育大会に向けた競技力向上についてでございます。
9年後の国体、開催県として相応しい成績を目指していきたいというふうに思っております。
 競技力向上のためには、「競技団体の組織強化」、「選手の発掘・育成」、「指導者の養成・確保」、「選手等を支える環境づくり」この4つの視点が重要であります。そのため、来年度新たに、関係者、スポーツ医科学の専門家等で「競技力向上対策本部」を設置する予定でございます。
 関係者一丸となった新しい取組によりまして、本県の競技力の向上に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。以上でございます。

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