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平成21年11月定例会 環境商工観光委員会 質疑要旨
環境部関係
1.廃棄物対策について
 森田恒雄委員の不要品無料回収業者の話は、まさに委員の話に尽きているし、白井部長はじめ石田課長も大変ご苦労されていると思うので、意のあることを汲んでいただき、適切なるご指導をお願いしたい。また1度相談に行くので柔軟に対応をお願いする。
2.廃棄物対策について
 部長に俯瞰的な立場で、環境問題についての所見を伺いたい。低炭素社会、循環型社会が世界中で認識されており、社会、経済構造の歴史的な大転換であると考えなければならない。COP15がデンマークのコペンハーゲンで開かれているが、2012年には2005年に発効した京都議定書が失効する。新しい時代の低炭素社会をいかに構築するかということで、この会議は非常に重要である。オバマ大統領が、10年間で1,500億ドルものグリーンニューディール政策を打ち出して新しい経済・社会を構築し、環境型経済で世界を再構築していこうという大きな試みではないかと思う。従って、商工労働部とも関連してくるが、低炭素社会におけるハイテクノロジーの中に、新しい成長戦略、雇用戦略というのが世界中で出てくると考えられる。ただCOP15における各国の目標を見ると、日本が1990年比で−25%、米国は2005年比で−17%、1990年比にすると−5〜6%ということで非常に低い。EUは−20〜30%、ロシアは−20%で、中国はGDPに対して−40〜50%だが、これから中国は明らかに、年8〜9%の経済成長をしていくということを考えれば、問題がある。今度のCOP15は全会一致でまとまることが重要であり、大成功をおさめることが、新しい日本の展望を開くのではないかと期待しているところである。先ほどの白井部長の説明のように、来年COP10が名古屋市で開かれることになり、ある意味COP10とCOP15は双子の関係になるので、自然保護や生態系の見地からも、新しい歴史的哲学が必要と感じている。燃料電池や太陽電池、太陽電池はドイツに抜かれたが、さらにリチウムイオン電池、超伝導、LED、またエコ住宅やエコカー、省エネ家電など様々な環境関連産業がある。新しい時代のなかで、長野県が色々とプランを立てているが、世界的な動向の中での日本、そして日本の中での長野県ということで、低炭素社会実現に向けた白井部長の心意気を伺いたい。
【白井環境部長】
 話があったCOP15でも、国際社会がどのような合意に至るのか非常に注目をしているが、日本が今後何で食べていくのか、そして何を売りにするのかということを考えた時に、換言すると、経済基盤・外貨をどうやって稼ぐのか。それからもう一つは、世界にどのように貢献していくのかということに尽きると考えている。そうした中で日本が一番やらなければならないことは、非常に高い技術力、特に環境技術を持っているので、更なる技術開発を一生懸命行って産業を育成し、世界に貢献していく道筋が必要だと思っている。まずこのような取組を国レベルで行うことが必要。長野県では何ができるのかというと、知事がしばしば言う大状況・中状況・小状況という捉え方の中で、小状況でいえば、私達にできることは全てやっていくということである。その中には、生活に密着した部分で取り組まなければいけないこともあるし、産業面についても、工業技術総合センター等で技術開発に関するサポートをしているが、産業を育成しながら、なおかつ環境面で配慮するということを一生懸命やっていかなければならない。それと同時にライフスタイルをもう一度よく見直して、省エネ行動などできることは全てやっていくことが大切だと考えている。
3.信州エコポイント事業について
 排出権取引といった国際的な取引が始まり、もし日本が25%の削減に取り組むとすれば、約1兆円をEUに持っていかれるという試算もある。しかしながら、逆に言うと今の長野県経済は閉塞的な状況にあるので、本質的な構造変化が起きていると考えることもできる。今後、むしろ環境部が長野県経済の省エネ化推進の設計図を出していくという意味で、ナノテクも含め、環境部と商工労働部が連携しながら県の成長戦略の指導的立場を果たして欲しい。是非ご期待を申し上げる。

 (1)信州エコポイント事業が8月にスタートして、世間でだいぶ話題になっている。特に、家庭における日常生活の省エネ化に非常に寄与していると思っている。従って、各家庭における排出量削減のひとつのインセンティブというかキーワードにすべきものと考えており、是非とも、これが普遍的に県内に定着することを望んでいる。具体的に、このエコポイント事業の参加登録家庭数や事業の協賛店舗の状況等について、概数で結構なので、教えていただきたい。
【山本環境政策課長】
 8月からのスタートということで、設備機器協力店と事業協賛店舗の数を増やすということを一生懸命やってきた。また登録家庭を増やすよう努めてきた。年度中途の状況だが、参加者にはひとつとして「省エネ・エコ活動」をしてもらう。もうひとつは太陽光発電やエコキュートなどの「省エネ設備機器」を購入すると、その場でポイントがもらえる。省エネ・エコ活動については、8月から来年2月までの電気・ガス・水道の削減量を環境家計簿に記録して提出してもらう。現在の参加家庭数は326世帯となっている。また、設備機器協力店で太陽光発電設備・エコキュート・エコジョーズ等を購入した場合にもポイントが付与される。現在37,130ポイントを設備機器協力店に配布している。今年度の目標が36,950ポイントなので、目標を少し超えてポイントを配布している状況である。なお、設備機器協力店から実際に購入者へどのくらいポイントが付与されているかについては集計中であり、37,130ポイントが全て付与されているわけではない。年度末までに、それらが全て付与されることを期待しているところ。
 (2)途中経過ということで傾向はわかった。エコポイント事業の他県の状況について、WEBで調べたが、京都府はIDカードを利用して、ペーパーレスでエコポイントをカウントできるということが家庭では行われているし、企業はクレジットやカーボンオフセットということで、それが企業に対してCO2削減量にカウントできるという仕組みになっている。長野県の制度は県独自の仕組みで良い部分があるが、それらについても考慮してもらいたい。「言うは易し、行うは難し」とは思うが、この信州エコポイント事業を定着させ、どのように発展させようと考えているのか。その方向性を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 これまでも様々なイベントや、マスコミの報道等を通じて、できる限り県民の目にふれるように、一生懸命事業のPRを行ってきている。また、設備機器協力店と事業協賛店の店舗名が入ったパンフレットを作成し、ポイントが利用できる店や、こういう店が環境に配慮しているということを記載して、県民の目に触れるようにしている。ただ、まだまだ不十分だと思っており、イベントや報道等を通じて、さらに事業が広がっていくようにしていきたいと考えている。外部の意見を聞くと、ただ報道をしたりポスターを掲示するだけではなく、いわゆる口コミが大事ではないかという意見もあるので、そのようなミニコミ誌にも手を挙げていきたいと思っている。また、消費者団体や男女共同参画に取り組んでいる方々の情報力があると思うので、そのような団体にも強く働きかけていきたい。
4.省エネ法の改正について
 ぜひ制度が浸透すべくご努力とご期待を申し上げる。CO2削減については、国が省エネ法を改正したので、来年から新たな展開になるかと思う。対象範囲の問題であるが、県の地球温暖化対策条例と省エネ法を比較すると、原油換算で1,500KL以上の事業所を対象とするなど非常に似ている。両者を比較すると、省エネ法の方が範囲を広く設定しており、一つの企業で300KL以上の事業所が5つあると対象となるわけだが、条例との整合性についてどのように考えているか。
【山本環境政策課長】
 来年4月から施行される改正省エネ法について、改正前は、1,500KLを超える事業所が対象ということで、一事業所ごと対象となっていたものが、改正後は企業のすべての事業所を合算して1,500KL以上であれば対象とするという形に変わる。つまり改正省エネ法の網が広くなったということである。県の条例も、1,500KL以上を対象としており、非常に重なる部分もあるが、こちらは対象企業に排出抑制計画と実績を提出してもらい、それを確認している。ただ、実績の提出がまだ今年度2回目であるので、これらの状況を踏まえて検討してまいりたい。
5.国における事業仕分けについて
 現場でどちらに比重を置くかということで、日本語的には同じようなことを言っており、間違いやすい傾向にあると思うので、事業者がわかりやすく判断でき、迷惑がかからないよう適切な指導をお願いしたい。

 (1)国の事業仕分けについて、知っている範囲でも、都道府県の地球温暖化防止活動推進センター事業への11億8,700万円。それから省エネ技術を自治体が率先導入する際の補助金9億円が廃止と判断されている。また、自主参加型の国内排出量取引制度に用いる22億円が見送りとなっている。これは、長野県がまさに求めている低炭素社会構築が後退するのではないかと懸念されるわけだが、行政刷新会議の環境部門、これは先ほど申した経済戦略等と絡んでくる話だが、これまでに行われた補正予算の執行停止により、県の経済対策やこれまでの数次の補正予算執行にどのような影響が出ているのか伺いたい。
【山本環境政策課長】
 環境部でも、国の補正予算執行停止によりグリーンニューディール基金に影響があるのかということと、事業仕分けにより事業に影響が出るのかということを懸念していた。国の執行停止は、全体で2兆9,000億円を超える規模に及んだが、幸い環境部の予算に係る事業は執行停止の対象とならなかったため、6月及び9月補正で計上した経済対策の推進に係る事業への影響は生じていない。また、他の基金では基金の返納といった事例もあったが、グリーンニューディール基金については、地方自治体の取組ということで、10月16日の閣議決定で取り上げられた事業凍結の中には含まれていなかったため、10月29日付けで交付決定されており、グリーンニューディール基金の事業は予算どおり執行できると思う。それから、事業仕分けの中で、県直接の事業ではないが、地球温暖化防止活動推進センターが行っている、地球温暖化防止推進員の研修事業、それから一村一品知恵の環づくり事業、これは県のセンターも委託を受けて実施しているが、これが廃止ということになっている。地球温暖化防止活動推進員の皆さんも一生懸命やってもらっており、一村一品知恵の環づくり事業もコンテスト的なものだが、これが草の根的に様々な温暖化防止活動に広がっており、非常に残念に思っている。温室効果ガス排出量を大幅に削減するという目標を国が表明しているが、まだ具体的な施策が見えてこない状況の中で事業の廃止・見送りが出てきているので、目標の達成に向け、整合性のある施策を行うよう、国へ要望してまいりたい。
(2)仮に、今答弁があった3〜4事業が完全に廃止になった場合、県の事業にどのような影響が生じるのか。現時点で分かっている部分だけでもよいのでお答え願いたい。
【山本環境政策課長】
 一村一品知恵の環づくり事業はコンテスト的なものなので、大きな影響があるというものではないが、地球温暖化防止活動推進員の研修事業については、毎年度様々な研修をしており、また地道な活動を行っているので、来年度以降の予算(委託費)がないとすれば、非常に困ったなと思うところである。
6.省エネ設備等導入補助事業について
 事業仕分けはひとつのプロセスであり、法的拘束力があるわけではないので、これは党派を超えて、議会側としても環境社会実現のために精一杯努力をしていく。ぜひ車の両輪となって政策の実現を図っていきたいという決意であるので、よろしくお願いしたい。9月補正で予算化した中小企業の省エネ化を支援する、省エネ設備等導入事業補助金について、今年度予算として3,000万円計上しており、11月末で募集を締め切ったようだが、募集状況はいかがか。
【山本環境政策課長】
 県下7箇所で説明会を開催し、引き合いもあったが、現在補助金の第一次募集の中で申請があったのは5件という状況である。まだ予算があるので、現在第二次募集を行っているところ。ただ、年度内に事業が完了して補助金を交付しなければならないので、日程が厳しく、中小企業に無理をかけてもいけないので、出来るだけ呼びかけて、可能な限り補助をしていきたいと思っている。
7.太陽光発電について
 状況は承知した。良い事業あるので、無理のない範囲で努力をお願いしたい。資料4で、家庭部門の分析の中では、電力使用の割合が5割を超えていると部分があったが、家庭における電力の省エネ化というのは非常に大事な項目である。太陽光発電導入が良い傾向になっているとの説明があったが、現在県内にはどの程度導入が進んであるのか。概数でよいが、個人住宅数に占める割合を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 一般社団法人 新エネルギー導入促進協議会で取りまとめた補助金の申請件数を見ると、平成20年度末累計で、長野県が13,748件、全国は456,894件となっている。これを戸建住宅数で割ると、長野県2.39%、全国1.66%の導入率となっており、長野県の導入率が高いのではないかと思われる。
8.暫定税率について
(1)流動的だが、暫定税率の問題は地方に大きな影響があると考えられる。同時に、石油製品が買いやすくなるのでCO2が増えるという矛盾した話になると思うが、環境部の立場からどのように考えるか。
【山本環境政策課長】
 本県の場合、自動車の保有台数が高いという特徴から、温室効果ガス排出量に占める運輸部門の割合は約25%であり、国全体の19%を上回っている。とはいえ、排出量そのものは1996年度をピークに減少傾向であり、2006年度も対前年度比1.4%減であった。ガソリン価格が大きく高騰した際、車の運転を控える機運が高まったように、県民の行動を左右する大きな要素として「価格」があると考えている。暫定税率が廃止されると、1リットルあたり25.1円の値下げとなり、高速道路のETC割引もあるので、車を運転する機会が増え、せっかく減少傾向にある運輸部門の排出量が、増加に転じてしまうのではないかと、非常に懸念している。
(2)環境省では「地球温暖化対策税」創設を要望しているが、灯油の税率が現行の2倍以上となっており家計に対する影響も大きい。家計や企業に対して負担が大きくなりすぎないような制度設計が必要と思うが、その点をどのように考えるか。
【山本環境政策課長】
 非常に難しい問題であり、税制大綱の取りまとめが延長されるといった不確定な要素も多い。環境省の案では2兆円の税収を見込んでいる。その中には、灯油のように2倍以上の課税になるものもあるが、温室効果ガス削減のために環境税を創設することは有効な施策ではあると思っている。しかし厳しい景気の状況などもあり、家計や企業への過度な負担は避けなければならないと考えている。先ほどの環境省の試算では、暫定税率廃止による減税分も考慮すれば、新たに「地球温暖化対策税」を創設しても、平均世帯あたりの税負担は年間1,127円増にとどまるとしているが、課税額や導入時期、税金の徴収方法など具体的な内容は今後の議論による。いずれにしても、議論の状況を引き続き注視するとともに、状況に応じて暫定税率廃止とも併せて、国への要望等をしてまいりたい。
9.長野県内の温室効果ガス排出量について
 政治・行政というのは結局のところ税制をどうするかである。片方で減税、片方で増税というのは、地方が主役の時代において、県もしっかりと理念を持つべきであって、都道府県が霞ヶ関に代わり行政のメジャーとなるべきである。環境部も白井部長を中心に県独自の発信源をしっかりと持ち一層奮闘していただきたい。子ども手当の問題も、扶養控除等に関連して大きな問題となっているが、税制改革というのは政治の最大の要諦であって、地方税や消費税も全部絡んでくる。環境の時代でもあり、明確な意思を持っていただくよう希望する。 CO2の排出については様々な計算根拠があると認識している。長野県の温室効果ガスの排出量の説明では、景気の拡大といった要因があるということであったが、排出量とこの排出係数の関係をもう少し分りやすく説明願いたい。
【山本環境政策課長】
 資料4の5ページに排出計数を記載している。温室効果ガスの排出量を計算する場合、石油・ガス・電力などのそれぞれのエネルギーを算出し、エネルギーごとに決まっている二酸化炭素排出計数を用いるが、電力については電力会社ごとに電源構成(火力発電・水力発電・原子力発電・太陽光発電など)の比率が違い、また年度ごとにも異なっている。各電力会社で年度ごとに全体を平均して、1kW当りの生産時に排出される二酸化炭素の量を公表している。これが二酸化炭素排出計数となる。従って、火力発電の割合の大きな電力会社、または火力発電の割合が大きくなる年度については、二酸化炭素排出計数が大きくなり、その割合が低い会社、年度は二酸化炭素排出計数が小さくなる。つまり、同じ電力量を使用しても、二酸化炭素排出量が異なってくるということになる。先程も申し上げたが、本県では中部電力の年度ごとの排出計数を用いており、2006年度は、たまたま浜岡原子力発電所の一部の炉の停止などがあって、6.4%増となっている。
10.県下一斉ノーマイカー通勤ウィークについて
 県下一斉ノーマイカー通勤ウィークについてはご苦労いただいた。参加事業所数は193事業所で、長野県の全事業所数は約12万事業所であるということを勘案すると、まさに始まったところ。仮にこの取り組みを県下全ての事業者が取り組むと仮定すれば、単純に今回の600倍ものCO2削減が可能になる。もし、今回参加した事業所が年間を通じて毎月1回こうした取組を行えば12倍、ガソリンに換算すれば約38万L、CO2で約900tの削減が可能になり、これは非常に大きな数値であって、環境県長野としても主導的役割が果たせるものである。いずれにしても、総合的観点から、産業界や家庭の協力を含め総力戦でやっていかなければならないが、今回の取組のように、お金をかけずにできる取組を県民運動という形で継続的に定着させていくことも非常に有効な手段である。自動車保有台数が全国トップクラスの本県であり、今回の取り組みを切り口とし一層努力して欲しい。是非、来年度も、環境部の主要事業として県下全体に浸透するようPRに努めながら、企業や交通機関、行政あるいは地域のNPOなど関係者全体の連携のもとに発展させていってほしいと考えるがいかがか。
【山本環境政策課長】
 地球温暖化対策は継続的な取組が必要であり。県民一人ひとりが日頃の生活を見直し、あまり無理なくできることから実行し、継続していくことが大切である。今回、そのような行動の一環として「県下一斉ノーマイカー通勤運動」を呼びかけたが、質問は更に発展するようにという趣旨からのものであると推測する。今回初の取組であり、資料でもご説明のとおり、73.5トン、約5,010世帯分に相当するCO2削減ができた。これは、波田町や御代田町の世帯数に匹敵し、県でも一定の手ごたえを感じており、参加事業所からは「今後も継続して実施してほしい」といった意見が数多く寄せられているところ。一方で、実施時期について「もう少し日の長い時期の実施」や「暖かい時期の実施」といった意見をいただいている。このような意見を踏まえ、実施時期や回数などについて、バス・鉄道事業者、行政機関などと調整するとともに、今回以上の方々に参加していただけるようPR方法を工夫するなど、今回の事業を拡充のうえ継続して実施してまいりたい。
商工労働部関係
1.ものづくり中小企業の受注確保について
 政府がデフレ宣言をしたことは深刻なこと。戦後復興から高度成長、失われた20年、そして現在は歴史的な転換期にある。現在、日本経済は円高・株安・デフレの三重苦の中にいる。国の税収は今年度36兆9,000億円と見込まれ、国債発行が53兆5,000億円に達し、終戦直後の1946年度以来、国債発行が税収を上回る見通しであり、日本が今、国家の危機にあると考えなければならない。また、現在の日本は、相対的貧困率もアメリカに続いて2位であり、雇用情勢も厳しい。中長期のマクロ経済政策が全くない状況の中、中国の回復は大変早く、そういう意味では上海に対する県のアプローチは重要であったと考えられる。先ほどの説明では、受注量は増加したが、収益性が悪化しているのが現実である。DIにおいても2.9ポイントの悪化ということで、販路の積極的な支援が重要である。そこで、中小企業の受注の引合について現在、どのように認識しているか伺いたい。それから収益性ある付加価値の高い受注が最大の課題となる中で、県商工労働部及び中小企業振興センター(以下「振興センター」という)の努力によって企業の商談機会を確保するなど成果が上がっていることはいいことである。そこで、今後の付加価値の高い受注確保のために、さらに県はどのように努力をしていくのか。同時に、そのための展示会やプレゼンの場所についても用意されているのか併せて伺いたい。
【大日方経営支援課長】
 中小企業の受注の引合について、支援体制としては、発注は振興センターの発注開拓推進員を東京に2名、名古屋に1名、6月補正で認めていただいた大阪に1名を配置している。また、県内には受発注取引推進員5名を上小、諏訪、上伊那、松本、長野に設置し、センターの職員と発注開拓や受発注取引に対応している。最近の「発注申出」は、昨年8月以降に急激に減少し、直近のピーク時は月に平均90件ほどあったものが、現在は10件前後まで低迷し、10月末現在では、昨年度の同時期に比べ6分の1から8分の1まで減少している。というのは、発注企業も自社の雇用を守るため外注の絞り込みや内製化に取組んでいる。企業訪問の対応も厳しい環境にあるが、引続き発注開拓に努める。付加価値の高い受注確保については、県内企業数社で「キャラバン隊」を組んで発注企業訪問をしたり、発注企業で展示会を開催することにより、自社の技術や製品を提案する事業が有効で成果を上げている。特に、これから成長が見込まれる分野の企業に的を絞った企業へのキャラバン隊の訪問では、平成19年度から現在までに9社を訪問し、1万件に上る商談、80件以上の取引成立、当初の成約額も合計で2億円を超えた。本年度も大きな成果を上げている。受入企業の選定は厳しい面もあるが今後も、継続的な対応で受注を増やしていきたい。展示会出展については、振興センターが小間を確保して企業出展を支援する方法と企業自らが出展する展示会への助成で対応している。助成金は「中小企業販路開拓助成金」として実施。本年度は6月補正予算で増額するとともに助成対象を団体に加えて個別企業にも拡大したこともあり、50企業の支援を実施している。助成事業は企業が求める専門分野の展示会になるため、より効果が上がっており、来年度以降も支援を強化していく予定である。展示会の場合は、振興センターが一括で小間を確保し、その中で企業が出展して開催している。助成金、展示会とどちらの場合であっても、自社の持っている技術をアピールすることで、今後の受発注の拡大につながるよう努めていきたい。
2.金融支援について
 中小企業金融円滑化法が12月4日に施行されたが、この法律についての見解を伺いたい。また、金融円滑化法が施行されたことにより、県の制度資金に何らかの影響があるのか。国では新たな保証制度を創設すると伺っているが、県信用保証協会の取扱いがどのようになるのか伺いたい。それから、金融の円滑化の支援策を打ち出しても、資金を必要としている中小企業の皆さんが、実際に借りられないという話も聞く。先ほど説明のあった「中小企業経営実態調査結果」からも、「取引状況に変化があった」と回答した人が18%いる。法律を見ると当事者と銀行が話し合って決めるとなっている。スキームとしては評価するが実際には運転資金を借りるのに支障が出るとか、健全に進んでいるところには資金需要に対する検査が厳しくなるのではとの声も聞こえてくるが、どのような対策を考えているのか伺いたい。また、年末を控え、制度資金の今後の需要や、資金ニーズの多様化に対して、スピードが求められるが、その支援策についてもお聞きしたい。
【大日方経営支援課長】
 中小企業金融円滑化法は四つの柱を中心に組み立てられている。まずは、金融機関の努力義務がある。「金融機関は、中小企業や住宅ローンの借り手から申込があった場合は、貸付け条件の変更等を行うよう努める。」というのが一番大きな柱となっている。また、金融機関自らの取組として、責務を遂行するための体制整備及び実施状況・体制整備状況の開示が必要。行政上の対応としては、状況の当局への報告、当局では報告をまとめて公表することとなっている。もう一つは、さらなる支援措置として、信用保証協会、信用保証制度の充実となっている。これに伴い、金融庁では金融検査マニュアル、監督指針を改定して、法律の趣旨に合った検査を行うということも含めて総合的パッケージとなっている。9月議会でも質問のあった、かつての「モラトリアム」のように返済猶予について義務付けるなど、マスコミで大きく取り上げられたが、最終的には、金融機関と当事者の話し合いに委ねた一方で、金融機関に対して実施状況などの開示の義務付けが盛り込まれており、金融機関と事業者がよく議論していただき、お互いに努力することが大切だと思う。制度が有効に使われ、経営改善まで含めた金融支援につながっていけばありがたい。信用保証協会への影響については、新たな保証制度が創設され、県信用保証協会で12月15日から取扱を開始する予定。県信用保証協会の保証や公的金融を利用していない方が対象となり、県の制度資金を利用している方は対象外となる。具体的には、最長で3年間、最高で2億8,000万円まで保証するという制度設計がされている。県の制度資金については、今年2月に「緊急借換対策」資金を創設し、6月には返済期間、据置期間を延長して対応しているが、金融円滑化法については、県の制度資金は対象外となっている。年末の資金ニーズについて、県の制度資金に限らず、12月と年度末は資金需要が高い。先ほど説明したとおり、県の制度資金については10月末までに前年比30%増となり、昨年度を上回るペースで推移している。12月は相当高い需要が予想されるので、十分な相談体制を取っていきたい。金融機関との取引上の変化については、調査の結果、一番多いコメントは「以前より、借入時に現在の経営状況や、将来の見通しなどを把握するための提出書類を要求されるなど金融機関の審査が慎重になった。」というコメントが16ポイント余り増加した。次に多かったのが「経営に対するアドバイスやフォロー、貸付審査や要件の緩和など金融機関の対応が好意的になった」というコメントが10ポイント余り増加しており、前向きな面も相当大きいと感じている。また、「返済の強要」や「貸付条件の厳格化」などについては前回の調査よりも減少している。調査結果を見ると、金融機関においては金融円滑化の方向に沿った対応をしていると感じている。
3.中国市場への戦略的な対応について
 中国人民元が強くなっており、10年から15年後、もしくは数年後には経済の覇権を握るのではないかと言われている。本県は、貿易立県である。対中国の問題をどうするのかにより、本県経済の一番の話だと思う。そこで、対中国マーケットに対する県の大胆な戦略について部長の見解を伺いたい。
【黒田商工労働部長】
 私も実際に上海の展示会(中国工業国際博覧会)に行って、目の色が違うというか、展示方法も我々の方がチマチマしているように見えるほど、ものすごいスペースと人と金を使って展示している感じがした。その事がそのまま勢いになっているということだろう。日本のあるいは長野県の製造業は、世界展開、グローバル化の中で、ある本によると分業トライアングルができているという事、中間財(部品、加工品)を日本、韓国、台湾等の先進的な国で製造し、最終材の組立てを中国、東南アジアで行い、自国のみでなく、欧米や日本などへ製品として持ってくるトライアングル構造になってきていると言われている。この中に長野県も組み入れられている。それを踏まえ、中国や東南アジアは競争相手だと考えるのではなく、どうやって協力関係を保ちながらやっていくのかという事が重要。中国が良くなれば日本も良くなるというような考え方でなければ、生き残れない。今回の上海での経験も活かしつつ、方向性を間違わないようしっかり頑張っていく。
4.デフレ・円高対策について
 デフレ・円高が問題となっている。平成7年当時も商工部の大きな問題となったと思う。平成13年のデフレの時も県も最善を尽くしたと聞いているが、その当時の県の対策等について伺いたい。
【市川産業政策課長】
 昭和60年のプラザ合意の後、円高不況があった。平成7年の円高があり、円の最高値79円を記録した。この年は阪神淡路大震災もあり、これも併せて国は対策を行った。4月に7兆円の緊急円高対策、その後9月にも14兆円を実施。日銀も年2回の公定歩合の引下げを行った。県は、ソフト的な対策を実施。情報収集会議の開催、円高相談窓口の設置、巡回相談などに加え、制度資金の金利引き下げ(0.3%)を実施した。デフレについては、平成3年のバブル崩壊以降デフレ傾向にあったとされている。平成13年に政府の月例経済報告でデフレ宣言をした時が一番底だと思っている。国においては、公定歩合の引下げや経済対策を実施。県は、前回同様に情報交換会の開催、巡回相談、制度資金の金利引下げを実施した。今回はドバイの状況により84円まで円高となった。これからの動向も見極め、過去の対策も参考にしながら適時適切な対策を講じていきたい。
5.地域資源製品開発支援センターについて
 中国とベトナム、アジア、BRICSの成長を含めて、アジアは重要な地点になることは勿論であるが、同時に外需から内需へという一つの方向性がある。実際には複合的にみる必要があり、二者択一ではなく、輸出立国として外需もやる、しかし同時に内需を掘り起こしていくことが政治の責任ではないかと考える。そういう意味では長野県は農産物も含めて非常に多様性があり、食品等、あるいは豊かな木材における伝統工芸品等、観光面でも自然環境という非常に優れた観光資源がある。長野県は内陸県としては、先人の努力によって、産業立県として大きな実績がある。更に二十一世紀の新しい概念として、付加価値の高い商品をもう一度先人の遺産に甘えることなく、技術型の内需産業を育成するということは私共の重要な使命であり、従って、消費者のハイブローな価値観に合わせる、魅力ある特徴ある商品開発をどうして行くかに尽きる。そういう意味で、独創的で個性的であり、創造性がある長野県らしい商品の開発ということでは、地域資源製品開発支援センターは、その中核的な立場から、どのような将来展望を持っているのか。
【小泉参事兼ものづくり振興課長】
 ご指摘のとおり、どこにでもある商品では、お客様は手を伸ばしてくれない。当センターでは、相談に来る方々に対して二つの視点で支援をしている。一つの視点は、商品企画の入口部分で考慮すべき事項を認識いただき、実際に行動してもらうこと。現在、持ち込まれる案件は食品分野が多いものの、機械系、木工繊維系など、多岐に渡るが、まず、共通的な商品企画手法を体系的に指導し、頭の中のアイデアをきちんとした企画書に整理してもらう。その際は、やはりお客様目線が大前提。とかく、自分のアイデアに酔ってしまい、良いものを作ったのだから絶対に売れる、売れないはずが無い、といった思い込みで突っ走る、そんな案件も少なからずある。作り手の都合ではなく買い手の立場で、お金を出してくれる人の感性に働きかけるような、プラスアルファの価値を上乗せすることが有効。更に、販売戦略やアフターケアまで一連の流れを考慮した商品企画の方法を一緒に考えながら支援していく。二つ目の視点は、個別案件ごとに、いかに地域の独自色を味付けしていくか。もし、昔からの伝統や文化、言い伝えなどがあれば、そういったものと結びつけ、商品のストーリー性も加味しながら、デザイン、パッケージ、キャッチコピーなどを独自なものを作り出し、他のものと差別化し、個々の案件ごとに作戦を練って支援している。いずれにしろ、個々の地域資源を商品にもっていく事は、最初から大きな金額は望めない挑戦ではあるが、県内各地で、チャレンジする企業、グループなどが次々と出てくれば、総体的には内需型産業の創出に繋がって行くので、今後も引き続き、地域資源の製品化を積極的に支援していきたい。
観光部関係
1.医療観光について
 医療観光というものが最近テレビで放映された。新潟がロシアと組んで、(ハバロスクからだと思うが、)医療技術が進んでいる日本に来て、ビザの期間中に医療を受けるというもの。パンフレットには新潟・長野・富山と、長野が入っていた。長野県の医療も新潟県に劣らないものがあるので、調べてもらい、連携プレーをお願いしたい。
【石原観光振興課長】
 新潟県と連携しながらロシアの旅行エージェントを招聘し、新潟県と長野県の新しい観光素材として医療機関を紹介したもの。例えば、ロシアのウラジオストクを出発して新潟空港に着き、新潟で人間ドックを行い、長野でリンゴ狩りという体験観光を行った後、軽井沢に泊まるといったコースがある。今後ともこのような医療を含めたコースづくりを近県と協力しながら行っていきたい。
2.高速道路無料化について
 長野県も新潟と協力しながら、シンポジウムや見学を行う、また温泉にも入って、温泉医療と近代医学と、さらに健康長寿としてスポーツも絡めば、長野県の新しい観光の概念として立脚できると思うので、もう一歩踏み込んでいただきたい。高速道路の無料化については、現政権の公約とされているが、平日の観光入込みを増加させるというメリットがある一方で、さまざまな問題が指摘されている。例えば、財源の問題、受益者負担の問題、渋滞の増加、環境問題、公共交通機関への影響などである。この問題についての観光部長の見解を伺いたい。
【久保田観光部長】
 高速道路の1000円、無料化については、利用者にとってのメリットはある。しかし、受入れ側である観光地にとっては、首都圏から近いところは素通りされる、土日に観光地が込み合う、ドライブの時間が長くなることで観光地における滞在時間が短縮されてしまう、目的地における観光消費が増えない、といった問題がある。デメリットが少なくなるよう県としても考えていくとともに、国の予算の動向にも注目していきたい。
3.国における事業仕分けについて
 国においては、国土交通大臣が観光立国の重要性をいっているなかで、先般事業仕分けが行われた。その観光庁関係の予算については、どうなっているのか伺いたい。
【久保田観光部長】
 観光庁においては、8月の概算要求後、要求の積みなおしもあったところ。結果としては、概略を申し上げると、インバウンド関係については2分の1、国内向けは(観光圏)8割程度縮減といったところ。VJCといってインバウンド関係では、地方連携事業があるが、これについてはさほどの影響がなかったと認識している。全体として、内容のわからない点が多いので、動向に注目していきたい。
4.河北省との経済交流について
 中国は沿岸部を中心に経済発展している。前回の委員会で、観光部長から河北省は沿岸部に比べるとまだやや生活レベルが低いとされていたが、国際課は友好交流の窓口として庁内連携をとって、観光、商工農業分野についても河北省との交流を広げてほしい。
【田中国際課長】
 本年6月に胡春華省長が来県し、経済交流についても意見交換をした。これを受け、8月には河北省商務庁視察団が来県し、今月(12月)には河北省が省内の産業団地、企業、各市の関係者などからなる40〜50名の訪問団を連れて来県し、経済セミナーを開催する予定である。だいぶ河北省が積極的になっている感があり、来年度に向けて、河北省側の調査等も出来ればと検討している。
5.DCキャンペーンについて
 先日は、商工労働部が上海で成果を挙げてきたとのこと。友好提携先として、河北省の交流もステップアップさせていってほしい。

(1)DCについて、プレキャンペーンが展開中であるが、キャンペーンの成功のためには、コンセプトの理解促進や県民の気運の醸成が大事である。プレキャンペーンの検証を踏まえて、来年の本番に向けて、どのように取組んでいくのか。
【久保田観光部長】
 DCの理解、気運醸成に向けて、会議や講演会などの場へ直接出かけていってお願いをしている。先日も昼神温泉へ出かけて行ってお話しをさせていただいたところ。「アルクマ」というキャラクターも浸透してきている。足りない部分があれば、できるだけ出向いていって理解を求めていきたい。12年ぶりの開催であり、長野県観光を反転上昇させるよい機会である。全力をあげて対応してまいりたい。
 (2)DCまで1年を切ったところ。大事なのはDCで成功をおさめ、その後をどうするかである。北陸新幹線の延伸問題もあり、松本空港については展望が開けてきたところ。リニア新幹線の問題、今後のインバウンドの展開など、骨格がみえてきた。そこで、中期的な戦略として、アフターDCをどのようにとらえているのか、伺いたい。
【久保田観光部長】
 来年の信州DCは3ヶ月間のキャンペーンであり、それで事足りるとは思っていない。当面はDCにすべてを集中していく。その後も大事であり、DCの取組方針として、DC後を考えつつ事業を展開していく、としているところ。DC後に何をやるか、であるが、明確にはなっていないが、DCの成功をもとに、議論をしながら準備していきたい。

平成21年9月定例会 環境商工観光委員会 質疑要旨
環境部関係
1.地球温暖化対策について
 (1) 持続可能な経済成長と環境問題をどのようにしていくかが21世紀の最大の課題だと思っている。環境部の果たすべき役割は非常に大きい。環境問題は、非常に根の深い問題。総理は、国連で25%削減と言ったが、日本は非常に高いレベルで今日まで来て、2020年までに25%なのだから、実際には30%以上と思ったほうがよい。厳しい数値であり、21世紀に対するメッセージとしては的確な方向性は出ていると思うが、経済成長と環境は、困難な問題を内在している。長野県も十数%、目標値に対して増えている。いかに克服していくか、難しい問題。環境部長の所見を伺いたい。
【白井環境部長】
 ご指摘のとおり、経済というものは、当然、持続可能でなければならない。地球環境問題を考えてみたとき、一つには、私達の住む基盤をなるべく良い形で将来につなげていかなければならないという大きな問題がある。
 また、資源の枯渇の問題も、安全保障的な部分で、食糧同様にある。人間の活動は、現在の温暖化問題に直結しているので、私達の生活そのものが地球にどんな負荷を与えているかよく認識しながら、また一方で、私達が生活していく上での産業、生活基盤など、合わせてやっていかなければならない。先進国として、日本の場合、蓄積した技術等があるので、フルに活用して、人間・生物の生存と経済を両立させていくことが大切だと思っている。
 (2) 難しい時代ではあるが、21世紀の新しい時代の環境部の果たすべき役割は、一層大きいものがあるので、ご精励願いたい。資料5「省エネ対策支援事業」について。この事業は、環境部としての視点もさることながら、県内の中小企業の省エネ化を推進することで製造コストの削減を図り、ひいては企業競争力の強化にもつながっていく施策であろうと思う。産業部門の削減量の3%ということで、先ほど説明があったが、ボトムアップの観点から、もう少しこの数字について説明いただきたい。また、県の排出量は1990年比で15%増加しているということで、この達成についての課題についてもお聞かせいただきたい。
【山本環境政策課長】
 資料5の4「期待される効果」に、1事業者あたりのCO2削減量60トンと書いているが、これは、信州省エネパトロール隊が平成17年度から、約130企業を無料診断する中で、1トンのCO2削減するために10万円程度を要するところから計算している。また、本事業の3年間の総予算額は1億5,000万円、補助率1/3なので、総事業費は4億5,000万円となる。4億5,000万円を10万円で割ると4,500トンとなり、これを長野県地球温暖化防止県民計画での産業部門の削減目標である151,000トンで割ると3%ということになる。
 また、15.3%増加している現状は、非常に厳しいものと認識しているが、技術革新や県民ひとりひとりの行動、また県としても、太陽光発電等の新経済対策等により、削減を図っていきたいと考えている。
 (3) 太陽光発電について。発電量のうち、太陽光発電の割合はほんのわずかである。そこで、エネルギーとしての太陽光に対する認識と、他の都道府県では、個人の設置に補助しているということで、県の補助制度創設についての所見を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 それぞれの家庭や学校で、どれぐらい発電したかどうか、いわゆるエネルギーの地産地消について環境教育の題材となる。またCO2を排出しないクリーンなエネルギーであると認識している。設置件数が一気に増えるというのは難しいが、技術開発等が進むものと考えられる。
 個人への助成としては、知事も6月議会の毛利議員の質問で答弁しているとおり、県の財政力や政策の選択という問題になり、引き続き検討していきたい。
 (4) 個人への助成については、新しい環境の時代のなかで、もう一歩踏み出した施策として要望していきたい。
 燃料電池自動車について。環境教育として、非常に重要。とはいえ、現在ハイブリッド自動車が爆発的に売れ、この次は、日産自動車でも本格的に導入する電気自動車の時代になると思われる。燃料自動車についても技術開発が進むものと思われるが、普及のための壁(課題)も大きいと考えている。これに対する認識を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 こういった車が普及すれば良いという思いはあるが、電池の効率など、まだまだ技術開発の余地が大きいものと考えている。酸素は空気中から取り込めるが、水素は困難なため、充填しなければならず、水素ステーションの整備を進める必要があるという課題もあると考える。
 (5) 家庭用燃料電池については、すでに市販されており、国も助成を実施しており、個人負担は200万円というようなことを聞いている。専門家に聞くなかでは、家庭用燃料電池は今後技術革新がさらに進み、一般へ広く普及していくということであった。家庭用燃料電池に対する認識を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 家庭用のものは、設置可能なサイズであるし、普及が進むことを期待している。
 (6) 太陽光、燃料電池について、すでに一定のマーケットになっており、将来価格が下がってくれば、相当な市場になると思われるので、しっかり取り組んでいただくよう期待する。
 省エネ対策支援事業だが、中小企業の支援にもつながる施策であり、商工労働部との連携が重要と考える。両部の役割分担について伺いたい。
【山本環境政策課長】
 この事業は経済対策としての中小企業対策としても位置付けているため、検討段階から商工労働部とは協議をしてきた。
 環境部で予算要求しており、補助金事務(受付、交付決定等)については環境部が一貫して行うが、商工業の分野においては、企業の生産設備の更新、技術革新の分野でもあることから、商工労働部のこれまでのノウハウ・情報網を活用するため、地方事務所商工観光課とも連携し、申請内容の審査、実施状況の確認、補助金制度に関する普及活動は共同して行う予定。
 また、県庁でも、商工労働部と連携し、審査会等、必要な手続きを進めていきたい。
 (7) 国も、環境省と経済産業省が連携して進めており、県も地域経済の活性化を環境部が担っているという認識を持っていただき、商工労働部と連携して、一層のご努力をお願いしたい。
 また、単に補助金を交付して終わりでなく、資料にもあるように「省エネ指導」や「信州省エネパトロール隊分隊設置」といったフォローアップ事業も非常に重要であると考えるが、事業の継続性について、所見を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 単なる中小企業の設備投資への補助になってしまっては環境部でやっている意味がない。その後の省エネに結びつけるというフォローアップが重要と考える。経験者に聞く中でも、省エネは人なりということで、お金を渡すだけはなく、その後が重要と聞いている。
 温室効果ガスの削減を効果的に行うため、削減効果の高い設備導入に対する補助制度の創設をお願いしているが、省エネルギーは運用の改善によって大きな成果をあげることができるものと認識。
 そこで、補助事業者や地球温暖化対策条例の規定に基づく排出抑制計画書提出事業者を中心に指導事業を実施したい。そこで、資料にもあるとおり、省エネ指導者2名をアドバイザーとして雇って対応していきたいと考えている。
2. 信州の名水・秘水選定事業について
 (1) 信州の名水・秘水選定事業は6月の経済対策のメニューに入っていたが、地域の誇りとなる資源を再発見し、どのように情報発信していくかが課題だと思う。
 どのように地域振興につなげていくかお考えをお聞かせいただきたい。
【前沢水大気環境課長】
 選定後、どのように情報発信して行くかが重要だと考えている。事業のネーミングも単純なものでなく、少し記憶に残るものはないかと考えた。
 選定後は県も様々な広報手段を持っているので、積極的にPRしていきたい。また、選定の経過を節目ごとに報道発表するなど、取り上げてもらえればと考えている。できれば名水シンポジウムの開催などイベントを実施し、PR効果を高めるとともに、名水等を地域づくりに活用している事例の紹介などを行い、名水を核とした地域づくりを支援できればと考えている。
 市町村にも、選定されたことを契機に、地域の資源として生かして、名水にちなんだイベントや名水巡りのモデルコースを開発するなど、名水等が地域の資源として活用されればと考えている。
 (2) 地域振興の大きなテコとして、この事業が展開できることを願っているが、観光立県の長野県でもあり、観光部との連携をどのように考えているか。
【前沢水大気環境課長】
 観光部と相談し、県公式観光サイトで情報発信するとか、来年秋に実施される「信州デスティネーションキャンペーン」でも取り上げてもらえればと考えている。
 どのようなものが選定されるかにもよるが、いろいろな機会を活用してPRに努め、全国の皆さんに信州の素晴らしい水環境を知ってもらい、観光にも生かすことができればと考えている。
3.廃棄物対策について
 来年の「信州デスティネーションキャンペーン」では、観光部とも連携し、この事業が成功することを祈念している。

(1) 3Rは廃棄物対策のカテゴリーかと思う。3Rの普及啓発の取組については、先の信州環境フェアや東京で開催された信州まるごと産業フェアへの出展、あるいは現在諏訪市と協働で取り組まれている「食べ残しを減らそう」推進事業などが、マスコミでも大変注目され報道されているところだが、3Rの推進という角度から知恵をしぼった様々な取組について、廃棄物対策課としてどのように手応えを感じているか。
【石田廃棄物対策課長兼廃棄物監視指導課長】
 「3R」、資源循環型社会の形成に向けては、経済活動全般に3Rの理念を浸透させるとともに、どうしても県民一人ひとりの率先した実践行動が必要。本年度はそのための様々な取組を展開しているが、3Rに関する行事・イベント等に対する県民の関心度や、実施したアンケート結果に対するマスコミ報道での取り上げられ方をみても、3Rに対する県民等の関心が徐々にではあるが確実に高まっていることを感じている。
(2) 今後の3R推進やリサイクルの普及啓発に向けた所見を伺いたい。
【石田廃棄物対策課長兼廃棄物監視指導課長】
 本年度は、県民一人ひとりの生活や経済活動に3Rの理念を浸透させるべく様々な取組を展開しているが、反応として特に意外だったのは、信州環境フェアに併せて開催した「産廃3Rフォーラム」である。産業廃棄物の発生を減らす取組について、県内経済団体と初めて共催したこともあり、各企業の関心がどの位あるかを心配していたが、当日は150名を超える参加があり、質問も技術ややり方等に関する具体的なものであった。
 このフォーラム開催と同時に、(社)長野県産業環境保全協会所属のカウンセラーを派遣しての排出事業者からの3Rの相談にも応じているが、例えば大量に排出され処理に困っている「木製パレット」について、無償での引取先・利用先を紹介する等ができている。こうした草の根的な取組が、個々の企業の経営改善にもつながっていくと思う。
 一般県民に対する啓発としては、これまでもずっと「レジ袋削減県民スクラム運動」を継続しているが、9月28日には南信州に引き続いて、千曲川流域でもレジ袋削減推進協議会が立ち上げられたところであり、今後は地域での取組を期待したい。
 食品残さ、生ごみの発生抑制として今年度、諏訪市と協働で実施している「食べ残しを減らそう」推進事業については、食事利用者の意識アンケートを実施したところであり、今後は、年末に向けて諏訪市内で食べ残しの発生抑制に取り組んでいただく協力店を募集する予定である。
 3Rの推進には、草の根的な取組の積み重ねが大切であり、今後も手を緩めることなく頑張っていきたい。
商工労働部関係
1.今後の長野県経済の再生について
 (1) 県内経済は依然として厳しい状況であるが、これからの長野県経済をどうしていくか、長野県再生戦略について所見を伺いたい。
【黒田商工労働部長】
 今回の不況はアメリカの金融商品に端を発したもので、世界経済に影響を与えた。
 長野県の輸出依存度は現在23.6%だが、30年前は12%程度で依存度が2倍となっている。これにより、世界経済が長野県経済に与える影響は2倍になっていると考えている。
 今後、少子高齢化により人口が減少する中で、内需にも限界があると考えられるので、産業構造としては外需と内需のバランスが大きな問題である。つまり成長分野の見定めが非常に重要である。
 長野県の製造業は、部品加工が得意であるが、中国やアジア諸国の技術力向上、グローバル化によるコスト競争や為替リスクに左右される。このため、今後、製造業の海外移転も考えていかなければならないと思っている。
 今回の景気悪化は、いわば日本の海外マーケットが一時失われたもので、県内製造業が技術力で負けたとか販売力で負けたという訳ではないと考えている。したがって、これまでの戦略を大きく転換するのではなく、ものづくりを基本に据えて技術力を高めていく。その際、外需と内需のバランスが重要なので、内需を見据えた新たな成長分野に取り組むことが必要。例えば、環境、健康、航空機産業などを長野県の成長戦略として取組を始めたところ。
 また、今回の不況では食品分野が底堅かったので、農商工連携、地域資源などによる新産業・新事業、さらに、産学官連携により成長戦略をつかんでいくことが必要。
2 ふるさと大信州市について
先日、東京で行われたふるさと大信州市は入場者が予定の20,000人を大きく上回る28,000人と盛況であったとの報告をいただいた。そこで、今回の成功の要因とそのマーケティング戦略はどのような方法であったか。また、今回の反省点はあるか。今回の成果をどの様に長野県経済に反映するのか伺いたい。
【市川産業政策課長】
 催事に当たり、事前告知を行った。JRの山手線、中央線、京浜東北線の各車輌の中吊り広告、新聞告知、ラジオによる告知などに加え、27日に東京ドームで行われた巨人−広島戦を長野県プレゼントゲームとし、県職員が全てのゲートにおいて12,000枚のチラシを配布し誘客を行った。また、東京の長野県人会連合会、八十二銀行、県内経済4団体を通じ約10,000枚のチラシを配布し、消費者、企業等の来場を促した。一番のポイントは、東京ドーム、ドームシティ内の遊園地等の来場者をうまく捉えたことであった。
 反省点は、黒田部長の説明にもあったが、おいしい信州コーナーにおいて、終了時間前に完売したブースが幾つもあり、来場者の期待に応えられなかったこと。
 現在、出展者に対しアンケート調査を実施している。10月9日(金)の締切りとなっているが、内容を検証し、今後に活かしてまいりたい。
3 県制度資金について
 (1) 中小企業の経営者は、今月をどう乗り切るかが大きな問題であり、制度資金の果たす役割は大きい。県制度資金の利用状況は昨年末から大幅に伸びているが、依然、高水準であると判断してよいか。
【大日方経営支援課長】
 中小企業振興資金は、厳しい経営環境の中で設備投資が停滞していることから、減少している。
 一方、運転資金については、経営を維持していくために資金需要は高く、さらに借入条件がより有利な「特別経営安定対策」資金を活用している。
 新事業活性資金は、いわゆる前向き資金であり、設備資金と同様に需要が低迷している。
 (2) 制度資金のPRにどの様に取り組んでいるか。
【大日方経営支援課長】
 プレスリリースやホームページへの掲載、市町村や商工団体など関係機関を通じて周知に努めてきたが、個々の中小企業の皆さんにより正確に理解し、役立てていただくためチラシを作成し、商工会議所・商工会を通じて全ての企業に行き渡るように配布した。
 また、より幅広く利用していただけるよう、県制度資金に併せて「日本政策金融公庫」の資金メニューも紹介している。今後とも積極的な周知に努めたい。
4 企業誘致について
 (1) 知事と経済4団体との懇談会において、(社)経営者協会から、ものづくり産業において単純作業は海外へ、研究所は国内へという流れの中で、研究所の誘致を積極的に進めるべきであるとの提言がなされた。
 現在の県の取組み状況及び今後の展望を伺いたい。
【大日方正明 経営支援課長】
 長野県産業振興戦略プランにおいて、研究所、研究開発型企業の誘致に努めることを位置づけ、従前よりも研究所も含めた誘致活動に努めている。研究所を持つ企業の場合、ものづくり産業投資応援助成金の交付要件を、投資額5億円に引下げている。8月には企業誘致アンケートとしては初めて、研究所を有する約400社にも調査票を送付した。
 研究所の立地件数は、経済産業省の調査によると、最近23年間では、神奈川県が全国1位、本県は15位となっている。
 (社)経営者協会の提言を受け、(社)経営者協会、(財)長野県経済研究所、商工労働部の3者で検討会を立ち上げ、そこでの検討結果により対応していく。
5 環境関連分野の取り組みについて
 研究所は県の展望を開く突破口であるので、強く期待する。
(1) 工業技術総合センターに環境技術部が設置されたが、環境関連機器の開発、既存製品の省資源化、省エネルギー化及び工場内の環境対策について、具体的にどのような支援を行っているのか。
 また、9月補正で提示している7億9千万円の設備機器について、環境分野の技術支援にどのように活用されるのか。
【小泉参事兼ものづくり振興課長】
 1点目について、リサイクル機器や環境測定分析機器が挙げられる。特徴的な取組みとしては、燃料電池の開発がある。国の資金を導入して工業技術総合センターと共同研究チームをつくり、燃料電池のセパレータの高機能化、長寿命化に取り組んでいる。今回の設備には、燃料電池の評価システムも含まれている。
 2点目について、家電製品や自動車の部品など環境以外の製品の場合でも、企業から材料の節約、軽量化、製造工程の短縮化などについて相談がある。工業技術総合センターでは、材料を変えるなどして軽量化を図り、試作品を測定分析してお手伝いしている。これらにも今回の機器が有効に使われる。
 3点目について、製造工程の無駄を省くことは収益に結びつくため、環境の診断装置を製造工程に持ち込み、診断することで無駄な部分を指摘している。
 これらのように、今回提示した12の設備は、環境分野に貢献できると考えている。
(2) 燃料電池に対してどのような支援をしているのか、具体的に伺いたい。
【小泉参事兼ものづくり振興課長】
 燃料電池のセルを仕切るセパレータの開発について、サイベックコーポーレーションが中心になり、工業技術総合センターと研究を進めており、実用化の一歩手前まできている。これらのように、今回提示した12の設備は、環境分野に貢献できると考えている。
6 第9次長野県職業能力開発計画について
 (1) 審議会の立上げの説明があった。民間機関との重複という問題はあるが、技術専門校の訓練科の統廃合について、健全な意味での合理化の現状について伺いたい。
【成沢人材育成課長】
 第8次計画では民間との役割分担について謳われており、技術専門校において訓練科の統廃合を実施してきた。民間とのやりとりについては、産業人材育成支援ネットワークを立上げて、情報交換のほか、ウェブサイト上で研修情報等を提供している。なお、岡谷技術専門校の自動車整備科については、松本に民間校ができたことから、22年度の募集を停止した。また、松本技術専門校の電気システム科、建築科の2年次への長野及び飯田技術専門校からの編入を認めることとした。19年度からは、岡谷技術専門校において機械制御コース、電子制御コースを設け地域の実情に応じた訓練科とした。
 (2) 技術専門校の地域経済に与える影響は大きい。現下の経済環境に鑑み、将来の匠の技の育成に大きな役割を果たしており、地元としてはデリケートな問題である。地域への説明などを含め、5カ年計画のここ3年半で進めてきたところと承知しているが、今後の職業能力開発の課題、第9次計画に向けての展望を伺いたい。
【成沢人材育成課長】
 訓練科の統廃合については、業界、所在市町村、商工会議所等へ説明し、実施してきた。技術専門校においては、スキルアップ事業等を通じ新しい技術へ対応しているとともに、技能検定へ向けての講習会等を実施し、地域の要望に応えてきているところである。
 第9次計画については、工科短期大学校の南信への設置、技術専門校への高校生の入校の減少に伴う再配置の問題等があり、審議会において調査・審議いただく予定である。
観光部関係
1 長野県観光の再生について
 世界の経済情勢はいまだに好転していない。二番底も予測される。
 こうした状況下において、日本の観光をどうするのかが重要である。外国からみたときに、日本には文化的な理念はなく、重厚さがない。戦後の経済発展とともに、日本の観光地には魅力がなくなったと思う。
 そこで、長野県観光をどのように変えていきたいのか、変わらなければならないのか、お聞きしたい。
【久保田観光部長】
 厳しい経済情勢、人口減少といった状況下において、長野県としては、再興計画の中に、観光再興のスタンスを整理しているところ。
 まずは、観光県として再生するということであるが、これまでは恵まれた観光資源に甘えて、努力が足りなかったと思う。消費者の満足度を高めるということが重要で、そのために、食、おもてなしなどの取り組みをデスティネーションキャンペーンへ集中して実施していく。
 また、観光振興の主役は県民であり、ここの事業である。すべてのプロセスが観光の対象でもある。
 県として観光部という組織ができたことにより、景観、道路といった行政についても、観光の視点から発言し、連携を密にしている。
 やる気を起こし、みんなで取り組むという永続的な運動であると思っている。

平成21年6月定例会 環境商工観光委員会 質疑要旨
環境部関係
1.地球温暖化対策について
 (1) 先ごろ、麻生総理大臣から、2020年までの我が国の温室効果ガス排出量の削減に関するいわゆる中期目標が示されたところである。2005年度比で15%削減という目標は、経済への影響を懸念する立場からは、かなり厳しい目標であるとの意見が出されている反面、環境保全を重視する立場からは、先進国に課せられた責任を果たすには不十分であるとの意見もある。
 2005年度比というのは、京都議定書に基づく基準年(1990年度比)をスライドさせたものであり、一般の方には議論が分かりにくくなっている部分もあると思うが、まず、これまでの目標値との差異及び背景をご説明いただくとともに、併せて県としてこの目標値をどのように評価しているか伺いたい。
【山本環境政策課長】
 京都議定書では1990年比だったものが、今回は2005年比ということで整理が必要と考えている。麻生総理の記者会見等の資料によれば、中期目標を決断するにあたり、6つの選択肢を示したうえで、国民の声を聞いてきたということになっている。
(1) 2005年比で4%削減のケース
(2) 2005年比で6〜12%削減するケース
(3) 2005年比で14%削減のケース
(4) 2005年比で13〜23%削減するケース
(5) 2005年比で21%削減するケース
(6) 2005年比で30%削減するケース
 中期目標である、2005年比15%削減というのは、今後予定されている、ポスト京都議定書の国際交渉(COP15:デンマーク)に望むためでもある。基準年の変更については、この間、排出量が増えているということもあり、2005年度を基準にしたものと思う。2005年度を1990年度に置き換えると、マイナス8%に相当する。2005年比15%減に決定された背景については、3つの考え方がある。
(1) 主要排出国が全て参加するために、日本がリーダーシップをとる必要がある。
(2) 環境と経済を両立させる、実行可能なものでなければならないこと。
(3) 我が国の長期目標(2050年までに60〜80%の削減)達成につながるものでなければならないこと。
 以上の考えの下、世論調査で最も多かった2005年比−14%の案に1%上乗せする形で決断したとしているところ。
 いわゆる環境を重視する立場からは、IPCCが先進国は25〜40%の削減が必要と主張していることも踏まえると不十分ではないかという意見もあるところだが、高い目標にすればするほど家庭や企業の負担が重くなるという問題もある。
 また、今回の目標は、2005年以降の削減幅は欧米の中期目標を上回ることとなるし、さらに森林吸収量や排出量取引による調整を除いた真水ベースの目標値として設定されているため、決して低いハードルであるとは言えず、引き続き低炭素社会づくりに向けた取組の強化が必要であると考えている。
 (2) 国の中期目標は真水ベースということだが、一方で、本県の地球温暖化防止県民計画では、京都議定書に基づく国の目標も踏まえて、森林吸収量を加味した上で2012年までに−6%を目標としている。数字の混乱などもあり、今回の国の決定を受けて、本県の目標を見直す必要があるのか、基本的な考え方について伺いたい。
【山本環境政策課長】
 今回の国の目標は、あくまで2020年までの中期目標であり、2012年までの京都議定書の目標がなくなったわけではない。したがって、本県の目標を直ちに修正する必要があるとは考えていない。
 今回の中期目標では、例えば森林吸収量や排出量取引の問題をどのように整理するかは明らかになっていないし、今後の交渉の過程でどのように定められるかはさらに注視していく必要があると考えている。
 ちなみに、県の第二次環境基本計画には、目標ではないが、長期戦略プロジェクトにおいて「先進国に求められているさらに高い水準の削減を達成することをめざす必要がある」という趣旨を記載しているところであり、この趣旨に沿って低炭素社会づくりを進めてまいりたい。
2. くらし・地域力向上プロジェクトについて
 (1) 平成17年度で基準年度比より約15%増えている状況からすると、今回の目標は非常に高い目標であるということが分かる。いずれにしても、県は県として目標が達成できるよう最大限の努力をお願いしたい。
 さて、グリーンニューディールが普遍的な言葉となり、「環境」が今後の成長分野であることはもはや共通の認識と言ってよいと思う。そこで、本県の産業構造に照らした場合、グリーンニューディール施策が本県経済にもたらす効果として、どのような点が期待できるか、所見を伺いたい。
【山本環境政策課長】
 県の「くらし・地域力向上プロジェクト」でも、公共事業のような速効性のある対策に加え、環境など、今後成長が期待できる分野に先行投資を行うものであり、これは、国のグリーンニューディールと共通するものであると考えている。今回の経済対策の効果として、定性的なもので2点あると考えている。
 まず、環境保全につながる様々な需要を喚起し、県内経済の下支えを図る効果である。太陽光パネルの場合、県内にも大規模な製造工場があるが、例えば設置の際に地元の工務店などの需要を生み出すことができる。エコカーについて言えば、自動車産業は非常に裾野が広く、その活性化は本県の様々な事業所に好影響をもたらすことができる。また、本県の豊かな自然環境の保全は、自然環境を生かした観光、エコツーリズムの振興にもつながるものである。
 2番目は、環境やエネルギーに関する技術の向上を図り、ものづくり産業をはじめとした本県産業の競争力を高める効果である。環境部の事業では、地下熱の利用に関する信州大学の研究との連携などが該当するが、このほかにも大綱の中には環境ビジネスの創出に関して、商工労働部の事業を中心に様々な施策が掲げられており、環境部としても部局横断的にこうした事業に参画していきたいと考えている。
 (2) 個々の施策について具体的に伺いたい。今回の環境部の補正予算では、移転改築を行っている諏訪警察署への太陽光発電の導入が盛り込まれた。県全体では効果の高い施設から順番に導入していくということだと思う。東京都とは財政力が全く違うので、これ以上は申し上げないが、長野県全体として、もっと県民に分かりやすい形で、裾野を広げていくとすれば、その導入をシステム化するとういうことが重要であり、その広がり方について、お伺いしたい。
【山本環境政策課長】
 指摘のとおり、県民の皆様にその効果を実感していただくことが重要。そのためには、多くの県民の方に利用していただいている施設ということで、合同庁舎や警察署などを検討対象としている。
 また、スクールニューディールという国の考えもあるので、県としては、高等学校や特別支援学校への導入も検討している。あわせて県内小中学校にも広げていきたい。こういった大規模な施設だけでなく、県営住宅の外灯や公園などの街路灯にも設置できないかと考えている。加えて環境学習の点から、発電している量が見える装置の導入も重要。今回、設置をお願いしている諏訪警察署にも、警察署を訪れた多くの方に見ていただけるような表示装置を設けることとしている。
 このほかにも、災害時の補助電源等とするなど、必要性の高い施設を優先して設置を検討していく予定であるが、例えば、耐震性能等を考慮した場合設置に際して特段の補強工事を必要とする施設や、有効な日射量の確保できる場所への設置が技術的に困難な施設など、直ちに設置を進めることが難しい施設も多い状況にある。こうした問題や、地域的なバランスなどを総合的に考慮しながら、設置施設の選定を進めてまいりたい。
 (3) 県の公的施設への取組は分かった。次は、一般家庭にどれぐらい普及するかということが重要だと思う。一般質問での回答もあったが、そういった対策も視野に入れてご検討いただきたい。
 手持ちの資料によると、家庭部門のCO2排出量は34.2%増となっており、家庭での対策が重要である。以前から言われていた、コージェネレーションシステムが徐々に具体化するなか、「エネファーム」という燃料電池が出てきた。ガスを媒体として発電もするという機器だが、家庭で設置しようとするとどれぐらいの費用がかかり、どれぐらいの支援があるのか。また将来的には、どれぐらいの値段であれば、一般家庭に普及が可能なのか。ご存知であれば、概要を教えていただきたい。
【山本環境政策課長】
「エネファーム」については、長野都市ガスの社屋にモデル設置されており、興味を持って見ていたが、価格などについては、承知していない。
 (4) 常識的には300万円前後していると聞いている。商工労働部と観光部とで、技術支援など連動しながらやっていくということが重要だと思う。燃料電池、太陽電池、二次電池が三位一体となって、新しい時代を築いていくと認識しているので、環境部としてもよろしくお願いしたい。
 もうひとつの三位一体としては、エコカー、エコハウス、エコ家電がある。こういう分野の技術革新がものすごい勢いで進んでいるところだが、将来に向けた、環境政策課長の見解はいかが。
【山本環境政策課長】
 温室効果ガスの長期目標の達成のためには、大きな技術開発と、行政・事業者・県民の連携、一人ひとりの省エネなどの積み重ねが大切だと思う。最近新聞などでも、宇宙で発電して地球に送るというプロジェクトなどもあると聞いており、今後、革新的な技術開発がなされて、地球環境の保全に繋がればよいと考えている。
 (5) 宇宙での発電も技術的には可能ということで、あとはコスト面だけが問題と聞いている。そういう意味で、長野県が環境立県として、テクノロジーとしてもインセンティブを発揮するように、是非、環境部長のもとで、商工労働部と連携してご努力していただきたい。
 流域下水道の焼却炉建設の前倒しによる、温室効果ガスの削減についての説明があったが、焼却炉の建設によって技術的にどのような効果があるのか。
【小口生活排水課長】
 焼却炉の燃焼を800℃から850℃にすることで、CO2よりも310倍の温室効果がある一酸化二窒素を6割削減できる。
3.生活排水対策について
 現在市町村と作成している「水循環・資源循環のみち2010」構想について、汚泥の持つエネルギーの利活用と安定処理や、今後、人口減少による流入水量の減少、それによる経営の圧迫、維持管理する技術者の不足、施設の老朽化などいろいろな問題がでているようだが、この構想についてもう少し詳しく説明をされたい。
 今後、市町村の生活排水施設においても、県が主導的な立場で進めることになると思うので、その辺もからめて要点の説明をお願いする。
【小口生活排水課長】
 現在、「水循環・資源循環のみち2010」構想の作成を進めている。人口減少への対応や、これまで整備を進める中で、処理施設数が、公共下水道で105,農業集落排水施設で302という状況になっている。
今後、整備から管理経営の時代に移行するにあたり、
(1) 未普及地域の解消と、併せて、生活排水施設の処理区の統合、再編成のプランを作ること。
(2) 下水汚泥の持つエネルギー、たとえば、消化ガスなどのバイオマスを有効に利活用することについてのプランを作ること。
(3) 管理経営に関するプランを作ることが必要である。
 これらを市町村と一緒に、平成22年度までに策定するように進めている。
4.山岳環境保全事業について
 大切な構想なので、県としても指導力を発揮し、市町村との連携の中で良い形で構想が出来るようお願いする。
 (1) アサヒビール株式会社から寄付を受けることになった経緯及び山岳環境保全に活用することになった理由をお聞きしたい。
【塩入自然保護課長】
 アサヒビールが社会貢献施策として全国キャンペーンを行っており、アサヒビール側から申し出があった。
 長野県においては山岳環境の保全が適するということでお互いの意向がマッチしてこのような事業を立ち上げることにした。
 (2) とてもありがたいことである。登山道の管理については不明確な面もある中で、整備についての受益者負担についてはどう考えるか。
【塩入自然保護課長】
 受益者負担は線引きが難しいと考えているが、登山道については受益者負担が適当な分野と考えている。
 現在、信州の登山道リフレッシュ事業においては、山小屋関係者と連携し、県の補助金のみでなく山小屋の募金箱設置で集まった利用者の協力金も併せて、登山道の維持補修を行っている。更に、受益者負担の考えを広げて環境関連の企業などからの協力金をいただけるよう働き始めたところである。
5.廃棄物対策について
 信州の登山道リフレッシュ事業は評価している。
 国の三位一体改革で国立公園は国が整備することになったが、今も縦割りである。山岳県長野として長野県がリーダーシップをとって登山道の明確な線引きをやってもらいたい。

 (1) 廃棄物条例が3月から施行されたが、事業計画協議の提出状況はどうか。
また、運用を開始して生じた課題について要点でよいのでお答え願いたい。
【石田廃棄物対策課長】
 事業計画協議の提出状況であるが、6月29日現在、事業計画概要書が提出されているものが、8件(事業者数8者)である。
 その内訳は、廃棄物処理法に基づく許可に係るものが5件、自動車リサイクル法に基づく許可に係るものが2件、再生利用業の指定に係るものが1件となっている。
 事業計画の内容としては、廃棄物処理法の許可関係では、廃油をBDF(バイオディーゼル燃料)にしようとするもの、現在の中間処理に加えて廃プラスチック類の溶融固化を追加しようとするもの、処理する品目を追加しようとするものなどで、また、自動車リサイクル法の許可関係では、使用済み自動車の解体業、破砕業の許可を得ようとするものなどである。
 事業計画協議の進行状況については、事業計画概要書が提出されると、まず、公表し30日間縦覧を行うが、現在縦覧を行っているものが3件。
 次に、この縦覧期間中に関係市町村長、関係住民は周辺地域の範囲、関係住民の範囲、説明会の開催日時・場所についての意見を提出することができるが、その意見を勘案し、知事意見を公表したものが3件。知事意見の公表準備中のものが2件である。
 その後、事業者は、知事意見を踏まえ、住民説明会を開催するが、住民説明会を開催したものが1件となっている。
 現在のところ、事業計画概要書の協議がされている段階であり、より詳細な事業計画協議の段階まで至っているものはない状況。
 次に、課題についてであるが、廃棄物条例の制定に際し、パブリックコメントの実施、地域ごとの説明会等を行ってきた。事業者に対する周知が必要であると考えており、研修会の開催を予定しているところである。事業計画協議については初めての例であり、今のところ、1件1件慎重に進めているところである。
 今後、色々な課題が出てくると思われるが、必要な対応を図ってまいりたい。
 (2) 47都道府県それぞれ背景や立脚点が違う。多様な意見があるだろうが、粘り強い説明により長野県の条例の正当性を納得してもらえるよう、周知していってもらいたい。
 資源循環型社会の形成に向けた、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rの推進は、健全な経済社会の形成にも不可欠と考えるが、今回の新経済対策においてどのように取り組まれるかを伺いたい。
【石田廃棄物対策課長】
 今回の長野県新経済対策における「循環型社会の形成」に向けた施策としては2つの施策を盛り込んでいる。リサイクルの推進については、一般質問でもいただいたが、信州リサイクル製品の普及をぜひとも進めていきたい。
 信州リサイクル認定製品の普及のためには県において公共工事等での率先利用に努めていくことはもちろんのことだが、認定製品の製造事業者による普及や販売促進の取組への支援も重要と考える。認定事業者による自社製品の展示説明会や、販路開拓・マーケティングの研修、また、新規の認定申請相談会等を、産業関連部局と連携して実施することにより、製品開発の支援にもつながる施策を展開し、リサイクル産業を盛り上げていきたいと考えている。
 「レジ袋削減県民スクラム運動」の推進について、特にどうしてもマイバッグ持参率の低くなりがちな、男性や若年層を対象に、環境教育や様々なイベント等を通じてマイバッグの携帯と使用を呼びかけ、運動のさらなる推進を図ってまいりたい。
 その他、事業系紙ごみ資源化の研究や、食べ残しを減らす取組の試行研究など、当初予算で計上した事業についても併せて実施しながら、3Rの推進を進めていきたい。
商工労働部関係
1.経済対策について
 (1) 県内経済の動向と国や県が実施してきた経済対策について所見を伺いたい。
【黒田商工労働部長】
 長野県は昨年末、全国に先駆けて緊急経済対策を打ち出し、1月補正、2月補正の早期議決など議会の皆様にもご協力もいただきながら実施してきたところ。   
 今回の不況は各界各層に及んでいることから、経済対策の効果も広い分野に行き渡る必要がある。
 今回は国の補正予算に対応しながら、市町村とも連携して取り組んできたことに意味があると感じており、実需の喚起と雇用の確保に努めてきた。
 成果を定量的に示すことは難しいが、一部に受注の改善が見られ、まだ小さな企業まで充分には行き届いていないが出荷にも改善の兆しが見られるなど、一定の効果は現れてきている。
 (2) 「くらし・地域力向上プロジェクト」と銘打った経済対策はどのような観点から立案されたのか。基本的考え方と今後の展開について伺いたい。
【黒田和彦商工労働部長】
 新しい経済対策は県民のくらしと地域力を向上していくため、施策を幅広く実施していくというもの。 
 商工労働部として大切なのは、現在見られる景気改善の兆し、この動きを定着させることなので、更なる需要の喚起が重要と考えている。
 そのためには、信州まるごと産業フェアの開催などを通じて長野県の産業を広くアピールしていきたい。
 また、将来に向けた取り組みも必要であることから、今後は航空宇宙産業や環境分野などに力を入れていきたい。
2 メイド・イン・NAGANO輸出促進事業について
政府は、地方分権改革の流れを加速させようとしており、その先に道州制の導入を見据えているが、このような新たな国と地方のあり方を巡る国の考え方についてどのような所見をお持ちか。本県はどのように対応するか。
【市川産業政策課長】
 本予算議決後、速やかに出展企業の募集を開始してまいりたい。具体的には8月上旬までに募集を終わらせたい。周知の方法は、県のホームページや地方事務所で案内するほか、商工団体に呼びかけ幅広く参加を呼びかける。
 また、7月14日に諏訪市でジェトロと共催で開催する「中国環境・省エネビジネスセミナー」においても企業に出展を呼びかける。
 出展者の経費の関係では、県は小間代及び出展物の中国への輸送料を負担する。各企業に負担いただく費用としては、日本国内集積場所までの出展物輸送経費、出展者の渡航費、滞在費及び宿泊費、出展物にかかる関税等がある。
 過去のこのような事業では、企業に自己負担をいただいていたが、今回は自己負担の掛からない経済対策事業となっている。
 長野県が確保する出展小間数は全部で15小間あり、長野県用のブースを1つ設け、14小間は企業さんに出展いただくので、1小間1社として最低でも14社の出展を確保していきたい。
 県が小間代等を負担することで、これまで中国市場に関心がありながらも進出に躊躇していた多くの企業に参加していただけるものと考えている。
 昨年度の出展企業の評価について、出展者に対するアンケート結果では、75社から回答があり、「役に立った」、「まあ役に立った」と回答した企業の割合が97%に達しているので、今回の事業もこのような成果が得られると考えている。
3 航空宇宙産業の振興と産学官連携について
 航空宇宙産業について、40年ぶりにYS-11のあとMRJ三菱リージョナルジェットがスタートする。またH-2A型ロケットの民営化も進んでいる。
 愛知県では愛知県航空宇宙産業振興ビジョンを策定して、自動車に次ぐ新たな世代を考えている。
 宇宙開発基本法が国において制定され、宇宙に対する重要性も増しており、2020年に二足歩行ロボットを月に送るプロジェクトも稼働するなど、日本が高い技術ポテンシャルを持っている証明になっている。
 しかし、トヨタ1社と比較して航空宇宙産業のマーケットは20分の1ということが新聞でも報道されている。
 これらを踏まえた今後の航空宇宙産業に対する県の展望を伺う。
 また、知的クラスター構想が長野県では非常に大きな成果を収め、今回も、文部科学省と経済産業省の産学官連携拠点に選定されるなど、長野県の技術力あるいはテクノロジーの評価が確立している。
 こういったことを踏まえ、産学官連携により大学の知恵も充分いただくなかで、航空宇宙産業の振興と産学官連携について一括して伺いたい。
【小泉参事兼ものづくり振興課長】
 航空宇宙産業の現状と市場展望について、航空機の部品等は人命に関わることから非常に進出のハードルが高い。特に審査基準としてJIS Q 9100の認証を受ける必要がある。県内では十数社が、国内では百十数社が認証を受けている。南信地方の取り組みが盛んである。
 市場としては平成20年度の数字で航空分野の出荷額が1兆2,262億円になっており、前年比10%増えている。宇宙分野は国の発注が主であり、平成19年度の数字では2,076億円になっている。しかし、世界経済の冷え込みにより航空機需要が落ち込み、航空各社のキャンセルもあり、今後は不確定な部分がある。
 しかし、技術的には軽量化や効率化において日本の技術が不可欠である。お話のあった三菱リージョナルジェット等への参入は名古屋地区に近いという地の利もある。参入には長い期間がかかるため、すぐに収益を上げることは難しいが、自社の高い技術力の象徴として、他の受注につなげていただきたい。
 県としては工業技術総合センターにおいて難削材加工技術等を支援している。また産学官連携の拠点選定は知的クラスターの取り組みに弾みをつけるものであり、この計画では産学官連携のグループにより航空宇宙分野への部品供給を視野に入れている。テクノ財団で立ち上げたNAGANO航空宇宙プロジェクトは信大の先生2名が参加しており、産学官連携拠点の具体的テーマとして取り上げて行きたい。
4 中小企業の支援策について
 次世代の新しい電気自動車等も含めいろんな分野があると思うので、頑張っていただきたい。
 (1) マクロ的には景況感に明るい兆しが見え始めているが、中小企業の金融の状況は依然として厳しい。
 今回の長野県新経済対策において制度資金に「緊急雇用対策枠」を創設しているが、どのような効果をもたらすことを意図しているのか。
 また、国の「経済危機対策」においても中小企業の金融対策が盛られているが、今回の制度資金の拡充と、どのように関連しているのか。
 さらに、今後の資金の見通しについて、どのように予測しているのか。
【大日方正明 経営支援課長】
 「緊急雇用対策」枠については、ハローワークに中小企業緊急雇用安定助成金を申請してから交付までの期間が長く、手元資金がないという実態を踏まえ、この間のつなぎ資金やその他経常経費に利用していただきたいと考えている。6月1日から開始したが、現在までに10件の利用があった。
 中小企業者との関わりが深い、商工会・商工会議所の経営指導員や金融機関の担当者に理解していただくことが重要と考えているが、この他にも、ラジオ県民室への出演や、プレスリリース時の記者会見を通して周知を図っている。
 国は今回の経済危機対策において、緊急保証制度の返済に係る据置期間を1年から2年に延長しており、本県でも「特別経営安定対策」の据置期間を1年から2年に延長した。さらに、県独自の取組みとして「緊急借換対策枠」についても同様の措置をした。
 今年度も資金需要は引き続き旺盛である。「特別経営安定対策」の貸付限度額を3千万円から5千万円に引き上げたことも影響していると思う。国の貸付額は小口化しているが、本県では同じ規模を維持しており、資金需要は今後も高水準で推移すると考える。
 (2) 今回の新経済対策、6月補正予算で行う発注開拓、特にキャラバン隊の狙いと成果についてどのように考えているか。
【大日方経営支援課長】
 新たな受注のためには、発注企業に対して自社の 技術を提案することが重要と考えている。キャラバン隊は個別の企業では難しい発注企業の技術者に直接技術提案できる事業であり回数を増やしていきたい。また、これより事業規模の大きい「成長産業分野キャッチアップ事業」も充実させ受注獲得を目指したい。
5 雇用情勢の見通しと対応について
 先ほど有効求人倍率は速報値で0.39とお聞きした。雇用問題は非常に深刻な状況だと思っている。今日の報道発表によると、ここ半年の失業者数は愛知県が約3万7千人で第1位、長野県が第2位で約1万人という状況である。マクロで見ると中流層が喪失しつつある。勤労者の32%にあたる2千万人が年収200万円以下のワーキングプアということで中流の喪失である。今後の日本の経済、社会、政治のあり方などについて根源的な構造変革が求められるという認識をしなければいけない。正規社員のカットもいよいよ始まってきている。一般論として長野県の雇用情勢の今後の見通しと対応について伺いたい。
【寺澤労働雇用課長】
 最近の雇用情勢に対する認識についての質問。今日発表の有効求人倍率は0.39で、今年に入り国を下回り、かつ5ヶ月連続で過去最低を更新しており、非常に厳しい状況と認識している。今日の発表を見るとパートタイムを含む求職者は約5万6千人、他方、求人数は2万人を切っており厳しい状況となっている。雇止めについては、昨年10月から調査されているが、この頃は若干、人数の伸び幅が減っている。全国第2位については、国の数字の捉え方が一律ではないのではないかということを労働局に申し上げている。いずれにしても実態として雇止めが1万人位あると認識しており、かつてない厳しい状況が続いている。
 景気については、先ほど部長、産業政策課長から話があったが、雇用に関するデータは遅行指数であり、数値は若干遅れて出てくるということなので、今回の景気が本格的な軌道に乗って雇用が確保できればと期待をいたしている。
 足元の雇用を確保するという意味では、県においては基金事業が一番大きなものだと思う。つなぎの雇用ということで緊急雇用は73億円積み増しになるし、全体で1万2千人を雇用できる金額を確保している。先ほど航空宇宙産業の話があったが、長期的に見れば景気回復を図りその中で雇用を確保していくことが重要だと思っている。いろんな施策を組み合わせる中で雇用の確保を図りたいと思っている。
6 技能五輪開催準備の進捗状況について
 (1) 技能五輪の会場は松本、諏訪、アビリンピックの会場は長野と全県にわたる波及効果が大きく、準備に非常に時間がかかると思うが現在の進捗状況はどうか。
 現下の経済状況では企業や業界団体において、選手育成に取組むのが非常に困難だといろいろな方から聞いており、実際そうだと思う。将来の長野県の産業基盤を担う技術者のオリンピックであり、選手育成について県として積極的に何らかの支援をしていくことが大事だと思うがどうか。
 こういう状況下であり、大きな財政負担が予測される。そういう意味では、事業を非常に内容の濃い、規模よりもコンパクトで質感の高いものにしていくという発想により、財源の確保に積極的に取組まないと総体的な予算編成ができないと思う。昨年以降の経済の落ち込みの中、民間からの資金調達が非常に危惧されるが、その辺を含めてどう対応していくのか。
【成沢人材育成課長】
 技能五輪の関係についてのご質問。
 進捗状況については、昨年の12月に推進協議会を立ち上げ、その後3ヶ月ほどは予算を伴わない中、新年度から動ける形で準備を進めてきた。本年4月に第2回の総会を開催し、選手の育成に取組み始めた。
 今年は茨城県で、来年は神奈川県で大会が開催される。各県とも推進協議会を立ち上げて準備を進めているが、本県と大きく違うのは、大会開催の要請が経済4団体を始め11団体からあったという点である。
 選手育成については、長野県職業能力開発協会が中心となり専門部会を引っ張っている。4月以降、各業界、組合と連絡をとり、講師がいるか等の情報収集をしながら講習会の開催に向けて準備を進めている。
 アビリンピックについては、長野県雇用開発協会が主体となり準備を進めている。7月11日には県の大会を実施するなど、障害者の関係についてPRしながら進めている。
 また、県が中心となり経営者協会と共同で進めている総務企画専門部会の中で、お話のあった資金の調達についても考えて行かなければならない。昨年度までは、山口県や香川県など過去の開催県の経費をベースにして、地元負担は約5億円として話を進めてきた。
 今年度は実際にどの程度かかるのか見積ることが一つの事業。その中で県及び松本、諏訪、長野の各開催市で負担をいただく予定としている。
 もう一つ、民間の方々からも協力をいただきたい。この民間の資金については、寄付をいただく場合もあるが、併催事業として、例えば開閉会式の式典やいろいろなイベント、催し物等の事業そのものを担っていただくことも考えている。民間の報道関係を中心としてコンソーシアムを組んでいただき、寄付になるのか、広告宣伝になるのかを考えている。
 いずれにしても、行政だけが進めるのではなく、推進協議会が120名を超える会になっているので、そういう中から、中心になっていただく民間の方を含めて体制を作っているところである。
(2) 選手育成はどのようになっているか
【成沢人材育成課長】
 選手育成については、いきなりスタートとはなかなか行かない状況のため、今年度は県が今まで実施してきたスキルアップ事業や講習会の中で、技能五輪と関連する職種のものを活用しながら、また、認定職業訓練助成金を団体に助成して、研修を実施することも考えている。
 意欲付けとしては、今年度の茨城大会に25名選手を出したいということで、参加費の一部補助等を考えている。
観光部関係
1 観光部2年間の総括
 長野県の産業は観光と製造業だ。そのうち、製造業は今非常に厳しい情況だ。観光について、今後どうするか、21世紀の大きな課題だ。
 いろいろなデータが出されたが、久保田部長は使命感、責任感をもって取り組んでいることに敬意を表したい。関係する機関でも意識改革がされ、指導力を発揮していると思う。観光についても、一体感が出ており、前向きに評価したい。
 しかし、経済情勢は非常に悪化しており、予定しているどおりにはいかない。もどかしいのではないか。
 2年間を振り返って、今日の状況を総括、感想をうかがいたい。
【久保田観光部長】
 平成19年に観光部を新設し、以来2年が経過した。職員50名の体制でスタートし、計画をまず策定。
 これまでの総括として、一つは、体制、観光振興を進めるための枠組みができたと考える。
 二つ目は、関係者とのコミュニケーションがとれるようになったことだと思う。
 しかし、数字は厳しい。右肩下がりになっているが、そこを底打ちさせ、上昇へもっていきたい。
 体制はできたが、中身はこれからと思っているところである。
2 ザガットについて
ザガット長野版については、若い女性に人気。その後の総括はいかがか。
【久保田観光部長】
 3月19日に発刊されたザガットについては、売れ行き好調で、市場流通版で3万部発行されている。メディアでも取り上げられた。長野県では面白いことを始めた、という印象が与えられたのではないか。
 今後は、県外でのプロモーションに活用していく。また、今年度英語版の予算をとってあるので、作成を促進していきたい。
3 人材育成について
 平地観光は非常に厳しい。知人には、ヨーロッパで評価されている旅館があるが、彼らは個性的で独創的だ。優れた旅館に一極集中しているのが現状。
 経営理念、経営戦略というものが大事ではないか。
 人材育成というのも観光振興の大きな要素となるがどうか。
【久保田観光部長】
 観光を産業として捕らえた場合、人材育成は重要である。
 昨年から、経営力の強化ということに取り組んでいる。昨年は研修講座、今年は新規事業で、モデル的に旅館にコンサルを派遣するという事業を考えている。
 人材については、大学との連携も必要。業界団体との関係も密にしていきたい。
4 信州ぐるっとキャンペーン
 信州ぐるっとキャンペーンのような観光キャンペーンは、体系化・システム化するのがよいのではないか。
 善光寺御開帳は、中信地区にも効果があったが、右肩下がりの状況の中で、骨太の観光戦略が必要では。
【石原観光振興課長】
 ぐるっとキャンペーンについては、今後良かったこと、悪かったことを総括する。
 県内周遊、滞在時間の延長に効果があったと考えられるが、分かりにくさについては謙虚に受け止める。
 イベントは対症療法のひとつの手法と考えている。
 大きく発展するには、観光資源を掘り起こし、磨きをかけ、これをキャンペーンに生かしていくことが必要。
5 国内観光について
 国内における旅行先として長野は、春10位、夏4位、秋6位、冬8位であり、自然・グルメ・温泉が好まれている。
 北関東においては、神奈川、都内、千葉に続き4位になっている。
 高齢化社会の中で、60歳以上が持つ個人資産は、全体の60〜70%を占めている。これを有効活用してはどうか。
【久保田観光部長】
 長野県が持つポテンシャルは高い。後はいかに満足度を上げるか、ホスピタリティを向上させるかが大事。デスティネーションキャンペーンに向けて、長期的な視野で、また来てみたいと思えるようホスピタリティを高めていく。
 また、デスティネーションキャンペーンのターゲットは、シニア層・女性とし、人の心を動かす魅力作りに力を入れたい。
6 河北省とインバウンドの推進
 中国では、長野県は東京、京都に次いで3番目のブランド力を持っている。
 このブランド力を活かした河北省との観光面での交流について、どう考えるか。
【久保田観光部長】
 7月1日からは中国の個人観光ビザが、富裕層を中心に解禁されることもあり、中国は今後の成長が期待できる国際観光市場である。
 河北省はまだまだこれからであるが、長い目でのインバウンドの取組として、受入の態勢整備を中心に進めるべきと考えている。

平成21年2月定例会 代表質問の質疑・答弁内容
1.世界と日本、我が県経済を取り巻く危機的状況について
 新年度の県政運営にあたり、現下、世界と日本、我が県を取り巻く危機的状況について、それぞれどのように認識しているか。また、県経済についての現状をどのようにみているのか。景気動向指標などから見た現在の状況及び見通しに対する見解とともに伺いたい。
【村井知事】
 ○ 世界的な景気後退局面を迎える中、欧米・アジアなど、各国の経済成長率が急落しており、先進経済国であるアメリカ、日本などはマイナス成長に陥っている。県内経済においても製造業を中心に大幅かつ急速な生産減、雇用・所得環境の悪化が拡大するなど、危機的ともいうべき状況と認識。
○ 長野県経済は、製造業のウェイトが高く、世界需要の低迷から生産水準が低下し、円高の長期化も加わり、全国に比べて大きな影響が生じており、また、全国平均を常に上回っていた有効求人倍率が全国と並ぶような状況へと急激に悪化していることから、かつてないほどの厳しい状況にある。
○ 今後の見通しに関して、明るさの兆しは未だ見えないが、これまで蓄えられた産業基盤、技術や人材といった地域力を活かして、次の上昇局面をいち早く捉えることができるように取り組んでまいる。
2. 中期財政見通しと県債について
 (1)県内経済を取り巻く状況に大きな変化が見られた今、県の財政が健全であり続けるために何が必要と考えるか。
【村井知事】
○世界的な金融危機が地方の実体経済にまで深刻な影響を及ぼしている中で、基幹税である法人2税の落込みは地方の財政基盤を揺るがしかねない状況となっている。
○このため、県内経済が早期に安定し、活気を取り戻すことが重要であることから、緊急経済対策や中小企業への資金面・技術面での支援など全力で取り組んでいく。
○財政状況が厳しい中にあっては、先ずは、職員一丸となって、知恵を生かし工夫を凝らしながら、「入る」を量って「出ずる」を制するという基本に取り組み、財政健全化に向け弛まぬ努力をしているところ。
○しかしながら、地方が自ら行う財政健全化努力も、そろそろ限界に来ているのではないかと感じており、住民に身近な地方自治体が安定的に行政サービスを提供していくために一必要な一般財源総額の確保が急務となっている。
○このため、税源の偏在性が少なく、安定的な税収が得られる地方消費税の充実を国に強く求めるものである。
○あわせて、地方交付税の原資不足に伴い、大幅な臨時財政対策債の発行を余儀なくされているが、健全な財政運営のためには、過度に起債に頼ることのない制度の確立が必要であり、この点も国に求めていく所存。
2. 中期財政見通しと県債について
 (2)一般会計、特別会計、企業特別会計などを含めた県全体の財政運営の指標となる健全化判断比率の今後の見通しはどうか。また、今後もクリアしていくためには何が重要と考えるか。
【村井知事】
○ 財政健全化法は、一般会計だけでなく特別会計、企業特別会計なども含めた、地方公共団体全体の財政状況を把握する仕組みであり、長野県の平成19年度決算における健全化判断比率は、いずれも早期健全化基準を下回った。
○ 中期財政見通しに基づいて今後の健全化判断比率を試算すると、平成25年度までは実質赤字を出すことなく財政運営が可能と見込んでいる。
○ 実質公債費比率は、平成18年度に20.1%と全国で最も高い数値であったものが、平成20年度には17.3%と改善してきており、現時点では、平成25年度まで早期健全化基準には達しないものと想定される。
○ 将来負担比率についても、当面は悪化する要因は見当たらないところ。
○ 今後とも早期健全化団体に陥ることのないよう、引き続き行財政改革プランの取り組みを徹底し、持続可能な財政構造を目指して、適正な財政達営に努めていくことが必要であると認識。
2.中期財政見通しと県債について
(3)残りわずかな県の基金残高はどのようになっているのか。財政調整基金、減債基金の内訳とともに基金残高の推移見込みについて伺いたい。
【村井知事】
○ 今年度末の基金残高は217億円と見込んでいる。内訳は財政調整基金が63億円、減債基金が154億円
○ 先般、中期財政試算でお示ししたとおり、今後も、なお財源不足は生じることとなる。
○ このため、毎年度、基金の取崩しを行いながらも、更なる財源確保策や効率的な予算執行に取り組むことにより、赤字を出さずに財政運営を行ってまいる所存
○ これにより、基金残高は平成21年度未で192億円、その後、順次減少していき、平成25年度未は33億円程度になると試算したところ。
2.中期財政見通しと県債について
 (4)公社等外郭団体を含めた将来負担比率を現在どのように評価し、今後も算入していくにあたりどのような方針で経営改善すべきと考えるか。
【村井知事】
○ 長野県の平成19年度決算に基づく将来負担比率は、早期健全化基準の400%を下回る220.4%で、都道府県では良い方から17番目。
○ 内容を分析すると、将来負担額1兆9干億円の主な内訳は、(1)県債残高1兆5570億円(構成比82%)、(2)職員の退職手当負担見込額2616億円(構成比14%)となっている。公社等外郭団体に対する負担見込顛は94億円、構成比0.5%と小さい割合に止まっているが、今後とも公社等外郭団体の経営状況の把握と長野県出資等外郭団体「改革基本方針」に基づく経営改善に努めていくことが必要であると認識。
2.中期財政見通しと県債について
 (5)県内各市町村の財政状況はますます深刻な事態になると想定されるが、県内市町村財政への影響について、現状認識と今後の推移をどう捉えているのか。
【村井知事】
○ 県内経済の悪化に伴い、とりわけ製造業が集積している市町村を中心に、法人住民税の大幅な減収が見込まれ、厳しい財政運営を強いられることが予想されるところ。
○ 一方、市町村の税収構造は、景気変動の影響を受けにくいとされる固定資産税が多くを占めていることや、減収の一定の範囲は、地方交付税や臨時財政対策債により捕われ、また、財政調整基金、減債基金からの繰り入れ等による対応も考慮すると、大変厳しい状況下にあるものの、財政運営に著しい支障を来たすような団体は、当面、生じないものと認識。
○ 市町村においては、財政の健全化に向けた取組みを積極的に実施してきているところであるが、これまでにも増して、行財政改革に取り組むとともに、歳入を的確に見込み、より慎重かつ堅実な財政運営に努めていく必要があると考えるところ。
2.中期財政見通しと県債について
(6)早期健全化基準をクリアできない深刻な市町村が出現した場合、県として積極的に支援体制をとる考えはあるか。その場合、どのように対処していくのか、その決意と方法について伺いたい。
【村井知事】
○ 県内では、平成21年度に、木曽郡王滝村が、早期健全化団体となる見通しであるが、村では、平成18年に自主的な財政健全化を基本とした「王滝村自立計画」を策定し、職員給与の大幅な削減や、診療所の休止等の徹底した行財政改革を断行し、これにより確保した財源で繰上償還を実施したことにより、翌22年度には基準を下回り、財政の健全化が図られる見込みと承知。
○ この過程において、県では、村当局との情報交換を密にし、計画の策定や改善策について、村からの相談への対応や助言を、きめ細やかに行ってきたところ。
○ 基準をクリアできない市町村が出た場合とのお尋ねであるが、健全化判断比率が悪化傾向にある市町村においては、詳細な財政分析を行い、基準を超えることのないよう、先行して対策を講じることが肝要と認識しており、県としては、ヒアリング等を通じて、市町村の状況を的確に把握し、対策に係る意見交換を行うなど、財政健全化に向けた取組みが早期に実施できるよう、積極的にサポートしてまいる所存。
2.中期財政見通しと県債について
(7)経済対策と税収減への対応として、相当額の県債を発行することになったが、この結果、平成20年度末の県債の残高はどのようになると見込んでいるのか。
【村井知事】
○ 今年度の経済対策に伴うものや190億円の減収補てん債の発行などにより、県債残高は現時点で1兆5018億円になると見込んでいる。
○ なお、現時点では平成19年度未よりも52億円増える形になっているが、今後の事業の繰越し等の状況によっては今年度分の県債発行額が見込みより減る可能性もあるため、確定値ではない。
2.中期財政見通しと県債について
(8)臨時財政対策債と減収補てん債は別枠として取り扱うべきと考えるがいかがか。
【村井知事】
○ 今後も県債発行額を元金償還額の範囲内にとどめ、県債残高を縮減し将来の世代の負担を減らしていくという行財政改革プランの基本的な考え方を変えるものではないが、当時 予測し得なかった世界的な経済危機に瀕している現在、財政健全化のための手段にこだわるのではなく、県政の目的、即ち、今現在を生活している県民の安全・安心の確保や地域の活性化という本来の役割を果たしていくことが重要。
○ したがって、国の方針により臨時財政対策債の発行を余儀なくされる現状においては、建設事業に充てられる通常債について、その残高、いわゆる実質的な県債残高を減少させることを原則としつつ、生活に密着した社会資本の整備など真に必要な事業の財源としてまいる所存。
2.中期財政見通しと県債について
(9)平成21年度未の県債の残高はどのようになると見込んでいるか。また、臨時財政対策債と減収補てん債は別枠とした場合、どのような状況になるか。今後の経済情勢への対応についての知事の決意を伺いたい。
【村井知事】
○ 平成21年度末における臨時財政対策債と減収補てん債を除く実質的な県債残高は330億円程度減少する見込み。
○ ただし、これらを含む県債については、新年度の臨時財政対策債が564億円と20年度の倍増を余儀なくされることから、県債の発行額が元金償還額を上回ることがほぼ確実となり、残高は120億円程度増える見込み。
○ 今後とも、足元の県内経済の動向や財政状況を見極めながら適時適切な対策を講じてまいる所存。
2.中期財政見通しと県債について
(10)起債は、財政出勤によって景気を刺激し、底支えする、景気停滞局面における重要な役割があると考えるが、自治体・行政、県民・国民にとって起債とはどのような位置付けにあるか。現在の標準的な世界的認識と歴史的経過、基本的かつ一般的な政治経済学にあっての考え方とその有用性についてと、どのように活用すべきかについて伺いたい。
【板倉副知事】
○ 地方債を発行することによって財源を調達することは、地方税、地方交付税等と同じく、地方公共団体の欠かすことのできない財源の一つである。
○ 地方債の機能については、(1)大規模な災害が発生した場合に、その財政負担を後年度に平準化する「財政支出と財政収入の年度間調整」、(2)学校など公共施設の建設について、将来、便益を受けることとなる後世代の住民と現世代の住民との間で負担を分割する「住民負担の世代間の公平を図るための調整」、(3)国が行う経済対策について、地方も一体となって行うことにより政策の実効性を高めるといった「国の経済対策との調整」、など、歴史的な様々な議論を経て、現在に至っているところ。
○ 議員のご指摘のとおり、最近、県債残高の縮減することばかりが注目されて、すべての県債について、「発行しなければしないほどよい」と受け取られている傾向があるように思うが、社会資本整備の財源に県債をあて、起債の仕組みを利用することにより、後世代の住民にも公平に負担をしていただくことは当然であり、自然なことである。一般の家庭で住宅を建てる場合でも、仮に住宅ローンがまったくダメということになれば、何十年もかかって貯金をしなければならず、貯金がたまった頃にはすっかり年をとってしまって、本来必要な時期に利用できなくなってしまうような事態が起こってしまう。住宅ローンを活用して、家を建てることは悪いことではない。問題は毎年の収入とのバランスであり、返済が可能な範囲でなければならない。
○ 長野県債の金融市場での評価は、国債との金利差であるスプレッドで見ると今国の市場公募団体の中位程度となっている。このことは長野県の経済力や財政状況が相応の評価を受けているおり、現在の長野県の県債残高が、他の団体と比べても、危機的なものとは評価されていないことを意味している。
○ こうした状況ではあるが、将来の財政負担等も考慮し、今後も、県民にとって真に必要な事業を実施しながら、県債の発行額を元金償還額の範囲にとどめ、残高の縮減を図ることを基本として、当面は、通常債の残高を増加させないことを原則に取り組んでいく所存。
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
(1)アメリカのオバマ新政権は、ブッシュ前政権からの政策転換を図ろうとするものであり、世界各国、日本、そして本県に及ぶ影響も「チェンジ」してくると思われるが、それはどのようなものと予想されるか。
【村井知事】
○ オバマ政権の政策については、大統領の演説からは、(1)安全保障では、「強硬路線」から「対話路線」への転換、(2)外交や経済では、保護主義の台頭はあるのか、対日外交は重視か、軽視か。(3)環境・エネルギー問題では、「グリーンニューディール政策」等の地球温暖化対策の強化などの論点を捉えることができるが、具体的に政策が打ち出された段階にないため、その影響をはっきりと見通せる状況にはない。
○ しかし、経済活動等がグローバル化した現在にあっては、米国の動向は様々な分野で、直接に、或いは間接に長野県の県民生活にも当然影響を及ぼしてくる。
○ 一方、長野県だけがいくら努力しても、これらの事象に対しては限界があり、地方自治体の長としては、県民の「くらしを守る」ことを第一にできる限りの対応を行うしかないのも事実。
○ 米国には、この厳しい経済状況から早期に脱却するため、世界各国と協調して、しっかりと役割を果たしてもらいたい。また、「日米首脳会談」も開催されたところであり、今後、日本、そして本県にとって、より良い方向性が導き出されることを期待したい。
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
(2)日本を代表する大手企業が軒並み減益・減収による赤字転落を余儀なくされている状況の中、我が国経済の回復の見込みについてどのような見解と期待を持っているか。
【村井知事】
○ 戦後の日本経済の景気循環は14回、景気拡大期間の平均は33カ月、景気後退期間の平均は17カ月で、最も長い不況期は第2次石油危機後の36カ月、次いでバブル崩壊後の車成不況の32カ月である。今回の景気後退は、一昨年の11月から始まっているので、過去の景気循環論が通用するならば、遅くとも来年、2010年後半までには景気が回復すると見ている方もおられる。
○ また、この数年の経済成長率2%のうち、外需の寄与度は0.8%であったが、石油が1バレル当たリ30ドル下がれば、日本のGDP押し上げ効果は0.7%という分析もあり、現在の価格水準で推移するならば、今後外需を上回る経済効果が幅広い業種に及んでくるとも言われている。
○ 今回の景気後退は、これまで経験のないような側面もあり、回復見込みを明確にすることはできないが、景気回復への最大のポイントは,実需を回復させることであるので、国をはじめ県・市町村などの景気対策が実行され、その波及効果と相まって、日本経済が早期に回復することを期待している。
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
(3)景気回復後の消費税引き上げに関する所見を伺いたい。
【村井知事】
○ 現下の経済危機の中にあっては、先ずは、国・地方を挙げて、景気回復に向け、あらゆる手段を講ずることは当然であり、消費税の引き上げには、景気の動向等をしっかりと見極めた上でタイミングを測ることが重要であると認識。
○ そのことを申し上げた上で申せば、今後、急速な少子高齢化の進行に伴い、社会保障関係費の増大が確実に見込まれる中で、安定的な財源をどう確保していくかという問題は、国・地方を通じた共通の課題であると認識。
○ 昨年末に閣議決定された『中期プログラム』においても、「必要な給付に見合った税負担を国民全体に広く薄く求めることを通じて安定財源を確保することにより、堅固で持続可能な「中福祉・中負担」の社会保障制度を構築する。」と政府の考え方が明記されたところ。
○ 私は、国・地方が共に財政が疲弊している現状においては、給付に見合う新たな負担について、臆することなく議論し、広く国民の理解を求めていくことが肝要であると認識。そうした税負担を何に求めていくのかということについては、あらゆる世代が広く公平に負担し、景気に左右されず税収が安定的な消費税・地方消費税の拡充に目を向けていくことは当然であると、私は従前から主張してきた。
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
(4)政府は、地方分権改革の流れを加速させようとしており、その先に道州制の導入を見据えているが、このような新たな国と地方のあり方を巡る国の考え方についてどのような所見をお持ちか。本県はどのように対応するか。
【村井知事】
○ 国と地方のあり方に関する議論に当たっては、まず、住民に最も身近な「基礎自治体」と「国」、そして中間自治体のそれぞれの役割について十分に議論を深め、その上で仕組みづくりを検討するべき。
○ その点から見ると、道州制に関しては「役割」の議論がなおざりにされたまま、地域経済の再生や行財政改革などの課題が全て解決するかのような議論になっていると危倶を感じている。
○ 一方、地方分権改革については、積極的に進めていくべきであり、国の地方分権改革推進委員会の第一次、第二次勧告に盛り込まれたような、国の関与の見直しや権限移譲に関しては、徹底して行っていくことが必要と考えている。
○ また、その前提として、都道府県や市町村がその役割を十分果たせるよう、必要な税財源の配分がされることが不可欠。
○ このため、本県としては、全国知事会を通じるなどして、こうした考え方を、国に対して強く伝えてまいりたい。
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
(5)県下の市町村数は全国2番目に多く、村の数は日本一であるが、過疎化、少子高齢化の進展など地域間格差の拡大が懸念される状況にあって、新合併特例法の期限切れまであと1年となっているが、現時点での市町村合併の動向なども踏まえた現状認識と所見について伺いたい。
【村井知事】
○ 県内市町村の状況は、120から81に再編されたが、人口1万人未満の町村が43、うち5千人未満が24と、なお小規模町村が多数残る状況にある。合併新法下では、現在、「阿智村・清内路村」のほか、「長野市・信州新町・中条村」、さらに「松本市・波田町」で合併に向けた取組みが進められているところ。
○ 住民に最も身近な基礎自治体である市町村が、地域経営の主役として、自らの責任で、将来にわたり持続的に行政サービスを維持・向上させるためには、行財政基盤の強化が必要であり、市町村合併はそのための極めて有効な手段のひとつであると認識しており、昨年8月に策定した「長野県市町村合併構想」でもこの点を明記し、合併新法内での合併を進めてきたところ。
○ 昨今の経済雇用情勢の急速な悪化はもとより、今後の地方分権の進展や人口減少、少子高齢社会の進行など、市町村を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、今後、ますます厳しい行財政運営を迫られることが見込まれ、県内市町村、特に小規模町村において、一層の行財政基盤の強化が必要であると認識している。
○ 国(地方制度調査会)では、現在、合併新法の取扱いを含めた「基礎自治体のあり方」について検討しているほか、広域補完という観点で、中心市と周辺町村との機能分担による「定住自立圏構想」の推進が打ち出されている。
○ 県としては、こうした国の動向に注視しつつ、今後とも市町村の健全な行財政運営に向けてサポートするとともに、合併に向けた取組みに対し、引き続き全力で支援して参る所存である。
4.地方財政計画について
(1)本県における決算と地方交付税の基準財政需要額の関係はどうなっているか。
【板倉副知事】
○ 地方交付税は、全国どの地域でも−定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するもの。地方の実態に即した配分をしようとするあまり、その算式が複雑でわかりにくくなってしまったという指摘を受け、近年、基準財政需要額の算出方法をできるかぎり簡素化しようとする読みがなされているところ。
○ 平成19年度には、人口や面積を基準として算定するいわゆる「新型交付税」が創設され、地方が取り組む施策に対する財政需要を包括的に算定しているため、個別事業での決算との比較が困難な状況が生じている。
○ 個別に算定されている生活保護費などの義務的経費など、決算と基準財政需要額との間に乖離が見られるものについては、財政需要が適切に反映されるよう国に要望しているところ。
4.地方財政計画について
(2)今後の地方財政のあり方、税体系と交付税についてどうあるべきと考えるか。
【板倉副知事】
○ 我が国の県や市町村は、こういう形態をとる国の中では、はるかに多くの仕事を実施する主体とされ、地方税収では賄いきれない行政サービを担っている。
○ 仮に、その全てを地方の税収で賄おうとすると、現状の2.2倍程度の税収が必要となるが、現在の地方税の仕組みにおいては、富裕団体の取りすぎという問題を惹起するなどの課題があり、その一定のレベルまでしか税源を充実できないのが現状。このため、地方に財源を配分する仕組みが不可欠であり、その意味でどんな状況になろうとも、地方交付税制度的な財源分配システムが必要であることは間違いのないところ。
○ ただし、先ほども申し上げたとおり、地方の実態に即した配分を行おうとするあまり算式が複雑で分かりにくくなったと指摘される一方で、簡素化しようとすれば、結局実態から乗離するという相矛盾する事態が生じるという大変難しい課題がある。
○ 地方公共団体が行う行政サービスに対する経費を、全て地方公共団体が徴収する税で賄う制度というのは直ちには考えられないことから、今後こうした地方交付税制度の持つ矛盾を一つひとつ解決しながら、増加が見込まれる社会保障費などの財政需要を適切に反映しつつ、地方卒付税制度が有する財源調整機能、財源保障機能の充実を図っていくことが大切。
○ また、安定した行政サービスを提供するには、毎年度地方交付税が大きく変動することは好ましくないため、地方自治体が安心して財政運営が可能となるような予見可能性の高い仕組みづくりも必要と考えているところ。
5.平成21年度予算案について
(1)来年度に向け予算案に込められた県民に対するメッセージは如何なるものか。
【村井知事】
○ 先ずは、「活力と安心」を基本目標に掲げる中期総合計画を着実に推進し、長野県の地域力を更に高め、暮らしの安心・安定を確保できるよう、県民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、職員一丸となって取り組んでまいる所存。
○ そして、現下の喫緊の課題である経済・雇用情勢に対して、県民の「くらしを守る」ために、本予算を通じて、この難局を県民の皆様とともに乗り越え、将来に向けた基盤を築いてまいりたい。
5.平成21年度予算案について
(2)日本銀行は、2009年実質GDPの成長率見通しをマイナス2%に改定したが、法人二税については、こうした指標なども勘案した上での予算額か。地方法人特別税導入という制度改正により、昨年の数字とは単純に比政できない面があるが、国の地方交付税の動向についての説明もあわせ伺いたい。
【総務部長】
○ 法人二税の税収見込みについては、経済成長率が税収の増減率と直接リンクするわけではないものの、政府の経済見通しを始めとした各種経済指標や法人由公表する経常利益の状況などを参考に、その時点で把握し得る様々なデータを用いて、できる限り正確な見積作業に努めたところ。なお、21年度の県税収入については、地方法人特別税などの、影響も勘案し、全体で20年度当初見込み比80.4%となる2,110億円余を計上したが、国の地方財政計画では、20年度当初見込み比81.9%と見込まれている。また、地方交付税については、全国総額で前年度比4100億円の増(+2.7%)となる15兆8,200億円、臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税の総額では、前年度比2兆7300億円の増(+15.0%)となる20兆9700億円が計上されているところ。
5.平成21年度予算案について
(3)今日の経済政策にもっとも必要なことはスピードである。景気浮揚を図るために積極的に公共事業を主体とした「長野県版ニューディール政策」を敢行するべきと考えるがいかがか。
【村井知事】
○ 「長野県版ニューディール政策」と表現するのは若干躊躇するところであるが、昨年12月、全国に尭駆けて「長野県緊急経済対策」を打ち出し、これを実行するために、1月、2月と連続して編成した補正予算を通じて、安全・安心の確保や生活に密着した社会資本の整備を中心に、切れ目なく県内の実需を喚起することに腐心したところ。
○ 前倒しを行いつつも、いわゆる三公共・三県単のほか、福祉、医療、教育、文化、交通安全等の施設の整備や県有施設の耐震化などの予算へも配慮したところ。
○ 依然として基金の取崩しを余儀なくされている厳しい財政状況下ではあるが、これら普通建設に係る前倒し分を加えた実質的な予算は、前年度を上回る額を確保したところ。
○ (先ほども申し上げたように)今後とも、足元の県内経済の動向や財政状況を見極めながら適時適切な対策を講じてまいる所存。
5.平成21年度予算案について
(4)三県単は、身近な道路の維持・補修といった県民要望が強い事業であるが、毎年厳しい予算削減がなされてきている。三県単に対する知事の基本的認識について伺いたい。
(5)平成21年度当初予算案における三県単の前倒し分を除いた分はどのくらいとなるか。また、前年度当初予算と比較してどの程度の割合になるか。
【村井知事】
○ いわゆる三県単の事業は、道路・河川の維持補修、防災施設の維持補修、農地や山地の災害未然防止なと、県民の「安全・安心」の確保や、「生活密着型社会資本の整備」に必要不可欠な事業と認識。
○ 県単独事業費は、平成21年度当初予算額で150億円(対前年度比18.5%減)、補正予算による前倒し分34億円を含めると、184億円(対前年度比0.1%増)で、厳しい財政状況にあっても、昨年度と同規模の事業費を確保。
○ なかでも、最も身近な社会資本である「道路」の維持補修に関しては、県民から要望が強く、平成19年12月定例会でも「道路の維持管理予算の増額を求める決議」をいただいたことを重く受けとめ、改築系から維持修繕系に予算をシフ卜させることにより、県単独事業の道路の維持管理予算は、前倒し執行分を合わせた、いわゆる15か月予算で見ると、対前年度比14.8%増を図ったところ。
○ 今後も、県民要望を踏まえつつ、限られた財源の中、事業の選択と集中を行い、必要な事業費の確保に努めてまいる所存。
5.平成21年度予算案について
(6)新年度後半になって息切れを起こしては元も子もない。最低でも今年度中に前倒しした分と同じボリュームを来年度のしかるべきタイミングに補正予算を組み必要があると考えるがいかがか。
【村井知事】
○ 国も既に新年度の補正予算の検討を始めていると聞いており、ご指摘の件については、今後の国の動向、さらには、先ほども選べたように、足元の県内経済の動向や財政状況を見極めながら適時適切な対策を講じてまいる所存。
6.中期総合計画と新年度の県政運営について
(1)間もなく中期総合計画の初年度が終了するが、計画に掲げられた施策の実行状況と成果についてどのように促えているか。各分野で濃淡が出ていないか。目標達成への手応えはいかがか。現下の情勢を鑑み、現時点において目標修正の必要性は無いか伺いたい。
【村井知事】
平成20年度は、中期総合計画の初年度として、計画の5つの施策の柱に沿って、それぞれ必要な取組を着実に進めてきたところ。
計画の目指すところを実現するには一定の期間が必要であり、これらの改組の成果がすぐさま現れるという性格のものではないが、例えば喫緊の課題である医師確保対策において、ドクターバンク事業等を通じてこれまでに35名の医師が県内で勤務いただく運びとなり、また、県立須坂病院に2名の産科医を確保し、この3月から分娩が再開できるようになった。
さらに、計画に掲げた127項目の達成目標の20年度数値は年度終了後に確定するものが大半であるが、今の時点で本年度の実績として確実に見込める35項目についてみると、33項目が計画初年度として一定の進捗を示す値となっており、徐々にではあるが着実に進展しつつあると認識。
また、中期総合計画の目標の修正についてのお尋ね。この計画は、県民の皆様や県議会をはじめ多くの方々のご意見をいただき、今後の県政運営のガイドブックとして策定したもの。計画はようやく初年度を終えるところであり、現時点で計画を見直すことは考えていない。
6.中期総合計画と新年度の県政運営について
(3)中期総合計画初年度の実績を踏まえ、来る新年度にはどの分野のどの施策に、より重点をおいた県政運営をするつもりか伺いたい。
【村井知事】
新年度の当初予算では、急激な経済・雇用情勢の悪化や生活の不安に対応して、「くらしを守る」という点に主眼を置き、雇用対東や中小企業などへの支援、生活に密着した社会資本の整備など、地域における「くらしの活力」の創出と、生活 者の視点に立った医師確保、子育て支援、消費生活の安定・向上など、県民の「くらし回り」の安定・充実に、積極的に取り組むこととしている。
今後、新たな政策評価制度も活用し、状況の変化や課題を的確に把握するとともに、厳しい経済・財政状況にあっても必要な施策に重点的に財源を配分し実施するなど、創意工夫を凝らしながら、中期総合計画の着実な推進に努めてまいりたい。
7.緊急経済対策と雇用問題について
(1)臨時会において概ね1ケ月のうちに発注したいと答弁したが、実際の状況はどうなっているか。関連工事の現時点での契約率と施行にいたる状況について伺いたい。
【建設部長】
1月補正分の緊急経済対策につきましては、臨時議会から1か月後となる2月13日までに、予算措置が確定した新規工事約140件全てを入札公告しております。
先週末時点で、このうち開札済みが約9割、契約済みは約5割という進捗であり、エ事着手は契約後10日以内となることから、緊急経済対策のエ事がいよいよ本格化してまいります。
7.緊急経済対策と雇用問題について
(2)小規模工事に限り、入札に参加できる業者の範囲を10ブロックに細分化したが、狙い通りの効果があったか。
【建設部長】
緊急経済対策につきましては、臨時議会でのご指摘を受け、受注希望型競争入札で発注する3千万円未満の土木一式工事等について、競争性を確保した上で、地域要件を地方事務所単位、いわゆる10ブロックで発注するなど、地元企業の受注につながる発注方法としております。
この結果、先週末までに開札された約120件の工事のうち98%が、10ブロック内の企業による受注となる見込みです。
一方、12月までの通常事業の受注状況は、10ブロック内での受注が87%程度でありますので、緊急経済対策が地元企業の受注につながっているものと考えております。
7.緊急経済対策と雇用問題について
(3)議会でも入札制度改革について検討中であり、緊急経済対策の事業執行に当たっては地域性の配慮もされたところであるが、県内建設業の育成を図ることができるような入札制度の確立のため、公正公平な観点から見直しを早期に実施すべきと考えるがいかがか。
【腰原副知事】
緊急経済対策に係る建設工事については、臨時議会での議論を受け、地元企業の受注につながる発注方法としたところ。
建設工事の入札においては、必要な品質が確保され所要の事業効果が得られること、競争性・透明性・公正公平性が担保されることが必須条件。
この範囲内で、地域を支える優良な建設企業が活躍できるようにしていくことが、県民生活の安心・安全の確保や地域経済活性化の上で必要と認識。
県では、「地域を支える建設業検討会議」での議論などを踏まえ、4月より、低価格入札対策など制度の改善を図る予定。
今後も、入札実施状況を検証し、地元企業が活躍できる入札制度の確立を目指す。
7.緊急経済対策と雇用問題について
(4)国の第2次補正予算により創設された「ふるさと雇用再生対策特別交付金」あるいは「緊急雇用創出事業交付金」による基金などを最大限効果的に活用して、早急に地域雇用を創出し、県民の暮らしの安定を図るための施策を打ち出すことが求められるが、地域雇用の創出に向けた県としての基本的な方針について伺いたい。
【知事】
国の第2次補正による交付金の交付を受け、2月補正予算において「ふるさと雇用再生特別基金」42億5千万円、「緊急雇用創出基金」33億4千万円、合わせて75億9千万円の基金を設置する。
この基金を財源とし、平成20年度に実施できるものは、2月補正予算により早期の事業着手を図り、今後平成23年度にかけ、県及び市町村において、雇用創出に効果的な事業をできるだけ前倒しにより行い、今後3年間では5000人分以上の雇用創出を図る所存。
また、基金による個別の雇用対策事業の実施とともに、先頃の1月補正予算、今回の2月補正予算編成による緊急経済対策により実需の喚起を図っていくこととしているが、今後も切れ目のない対策を講じて、雇用の維持・創出に努めてまいる。
7.緊急経済対策と雇用問題について
(5)「求人と求職のミスマッチ」といった懸念に対して、どのように対処されるか。
【知事】
今般の2つの基金事業については、国における制度設計上、ふるさと雇用再生特別基金事業」では、雇用期間が1年以上の雇用とされ、「緊急雇用創出基金事業」では雇用期間が6か月未満の雇用とされている。
これは、失業者等のために、行政としてできるだけ多くの皆さんに雇用の機会を提供し、その間に安定的な就職先を確保していただくという制度の趣旨からきている。
従って、県としては、基金事業の実施とともに、将来の安定的な雇用につながるよう、ジョブカフェ信州におけるハローワーク等との連携・協力による再就職支援や、人手不足が続いている分野での職業訓練の実施などに積極的に取り組んでまいりたい。
7.緊急経済対策と雇用問題について
(6)福祉分野、農林業分野、環境やエネルギー関連分野での雇用拡大に向けて、どのような具体的手段を講じてきたのか。効果は出ているのか。今後どのような対策を講じていくのか。解雇者に対する県営住宅入居状況を含め、今後の雇用対策について伺いたい。
【知事】
既に福祉分野では、「福祉の職場説明会」を追加開催するなど、これまで延べ3014人の求人に対し、延べ768人の求職があり、このうち100人を超える方が就職に結びつく見込み。
農業分野では、先頃開催した「農業法人等就業緊急フェア」に24の農業法人が参加し、175人の相談者のうち20人程度の採用が見込まれる。
林業分野では、今月より行っている「林業就業支援講習」を46人が受講している。また、「共同就職説明会」に約500人が参加し、このうち50人程度の方が就職する見込み。
さらに、環境・エネルギーなど、新たな雇用拡大が期待される分野については、来年度、産学官連携により、新たな技術開発を行う企業等を支援する体制整備を図り、関連分野の産業振興に努めてまいる。
また、解雇による離職者等の県営住宅への入居については、提供した98戸のうち、2月20日現在、56戸が入居している状況。
県としては、基金を活用した雇用創出事業の推進とあわせ、福祉等人材不足分野への求職者の誘導など、安定した雇用につながる取り組みを推進してまいる。
8.商工業の振興・商工会について
(1)現下の県内企業の経営状況をどのように肌で感じ、把握・分析しているか、現状認識について伺いたい。
【商工労働部長】
最初に、現下の県内企業の経営状況についてでございますが、商工労働部が昨年12月に実施した「緊急中小企業経営実態調査」では、資金繰りが苦しいとする回答が全体の6割を超えているほか、人員や賃金の削減を予定している事業所の割合も、増加傾向にあります。
県内各地域の状況につきましては、市町村、ハローワーク、商工団体、金融機関等を参集して、地方事務所ごとに「地域経済情報交換会」を開催し、実情の把握に努めているところでございますが、各機関には、運転資金や労働・雇用問題などに関する多数の相談が寄せられております。
また、私自身も企業訪問をさせていただく中で、受注の大幅な落ち込みや不透明な先行きに対する不安なども実感しているところでございます。
このように、県内企業は世界的な景気の悪化や円高の影響により、主要産業である製造業を中心に大変厳しい経営状況にあり、資金繰りや雇用環境も厳しさを増しているものと認識しております。
また、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費が弱まっており、小売やサービス関連などへの影響も懸念されます。
今後も、日々目まぐるしく変わる経済情勢を注視しながら、現在取りまとめております景気動向調査のヒアリングなどを通じまして、県内企業の経営実態を把握してまいりたいと考えております。
8.商工業の振興・商工会について
(2)緊急経済対策に当たり、年末年始の休日を返上して経営相談、中小企業に対する融資制度の充実強化、勤労者に対する生活資金緊急融資制度の創設などが実施されたが、現在の県民・事業者からの相談内容や融資の件数など、全体の状況について伺いたい。
【商工労働部長】
中小企業経営者や労働者、生活者など広範な相談事項に迅速・円滑に対応するため、昨年12月24日に総合相談窓口を開設して以来寄せられた相談件数は、2月23日現在で245件となっています。
年末の相談件数は、事業者の越年資金の相談件数が多かったことなどから182件ありましたが、1月が54件、2月は9件と減少してきております。
相談内容としましては、事業者向けや生活者向けの資金に関する相談、非正規労働者の雇止めに伴う労働や住宅に関するものが多く寄せられております。
中小企業融資制度資金の利用実績は、1月末現在、全体で1万80件、846億4千万円余の利用があり、設備資金が減少したものの運転資金が大きく伸びたことから、前年同期比8%の増となっております。
これは、国のセーフティネット保証5号における不況業種の指定の拡大に伴い「特別経営安定対策」資金の利用が急増したためで、昨年12月は、ひと月で80億円と前年に比べて8倍余り、1月は59億円で前年に比べて約10倍となっております。
生活資金索急融資制度につきましては、本年1月15白から受付を開姶し、2月23日現在、受付件数は15件で、融資を予定している件数は1件となっております。
8.商工業の振興・商工会について
(3)力強い長野県経済の構築を図るために、商工労働部の役割はかつてないほど重要であるとともに、今こそ英知を結集して県内産業を支える思い切った手段を講じることに期待するが、その決意と、新年度、県としてどのような対策を打ち出していこうとしているのか。また、県内産業の更なる飛躍発展のために、今、何が必要と考えるか。将来的に経済基調が上向きになってきたときに必要となる施策の具体例をあわせ伺いたい。
【商工労働部長】
長野県経済の早期の再生と持続的発展を目指して、策定しました産業振興戦略プランによる新たな製品化を支援する地域資源製品開発支援センター、国内外への販路開拓を支援するマーケテイング支援センターなど4つの支援センター事業をはじめ、8つの重点プロジェクトが順調に動き始めており、基本的にはこれらの施策展開を着実に図っていくことが大切と考えている。
新年度においては、緊急に対応が必要な経済・雇用対策として、中小企業融資制度資金の融資目標額を増額して1150億円とするとともに、雇用相談や職業訓練の充実、基金事業を活用した雇用機会の創出を図ってまいります。
さらに、地域を支える力強い産業づくりを図るため、農商工連携による新たな事業展開や商品開発に対する支援、創業間もない企業への投資の促進、技能五輪全国大会に向けた取り組み、県出身学生の∪ターン事業による産業人材の確保などに取り組んでまいります。
県内産業の更なる飛躍を図るには、次の時代の柱となるような産業分野へシフトさせていく施策も必要であり、また、経済変動の時期は新しい技術分野への展開を加速させるときでもあると考えております。
将来的な成長産業分野として、環境・エネルギー、航空・宇宙などが期待されておりますので、来年度から工業技術総合センターに環境技術部を創設し、環境に対応した製品づくリヘの技術開発支援を行うとともに、将来成長が期待されるナノテクノロジー分野の関連技術の普及・活用を推進するなど、将来に向けて競争力のある産業集積を図ってまいります。
8.商工業の振興・商工会について
(4)小規模事業経営支援事業費補助金の配分基準の見直しを検討されてきたが、これから具体的にどのような方針で臨まれるか伺いたい。
【商工労働部長】
補助金制度の見直しに当たりましては、昨年、商工会及び商工会議所への実態調査を実施するなど、多方面から御意見を伺いながら検討を進めてまいりました。
検討を進める中で、統合・合併の必要性は認められているものの、地理的・経済的状況や歴史的背景などの理由により、統合・合併が進まない地域の実情を改めて認識した上ころです。
こうしたことから、併存団体においては、「1市町村1商工団体」の実現に向けて努力していただくことを基本としつつも、地域の自主性に配慮し、それぞれの商工団体が自らの将来のあり方を見据えた上での判断を尊重していきたいと考えております。
そこで、平成21年度未とした統合期限や、統合・合併の進捗度合いにより格差のある補助率、また、平成22年から5年間の段階的な補助額の削減を廃止したいと考えております。
また、現行の配分基準額表に基づく補助額の決定方式から、小規模事業者数に応じた算出方法へと改めていくとともに、27年度新制度施行に向けた体制整備の期間を設けていきたいと考えております。
新たな補助制度につきましては、1月下旬に商工団体へ案をお示ししたところであり、今後、御意見を伺いながら、詰めてまいりたいと考えております。
9.農業振興について
(1)長野県農業が厳しい背景に、農業従事者の高齢化や、担い手の減少、輸入農産物の増加や地域間競争に伴う価格の低迷などが挙げられるが、こうした中、長野県農政のあるべき姿についてどのように考えるか伺いたい。
【農政部長】
長野県の農業は、担い手不足、農産物価格の低迷など様々な課題に直面しております。
この様な課題に対応するためには、特に、生産者の皆様がやりがいを持ち、所得が確保できる農業を実現することや「農の営み」を通じ、農業のもつ多面的な機能が維持され、そこに暮らす人々にとって魅力や活力を感じ、訪れる人々が心の安らぎを得られるような農村が形作られることであると考えております。
また、農業者は安全・安心な農産物を安定的に提供しく消貴著は地域で生産される農産物を率先して消費するなど、農業者と消責暑が「食」と「農」の価値や役割を十分認識しあい信頼関係を築くことが求められているものと考えております。
県といたしましては、関係機関・団体との連携を密にし、農業が夢や希望がもてる産業として発展し、活力や魅力のある農村づくりの実現に向け取り組んでまいる所存でございます。
9.農業振興について
(2)マーケティング対策について、組織的な強化を図り、販路拡大戦略のパワーアップを図ったこの1年間でどのような実績を残すことができたのか。また、新年度には「農業王国長野」再興の鍵を握る農業産出額増加、自給率向上のために県としてどの様な独自施策を講じるつもりか。
【農政部長】
マーケティングの実績としましては、地産地消キャンペーン推進委員会の取り組みやトップセールスの実施などにより、県内コンビニエンスストアにおいて長野米の使用が開始され、現在も毎月10トンのペースで利用されているほか、信州サーモン弁当をはじめ、県産食材を使用した新たな商品の販売なども開始されました。
また、軽井沢での「クーカル」や首都圏での県産食材のプロモーションにより、ザガットやミシュラン掲載の首都圏の有名レストランでも「信州サーモン」、「信州黄金シャモ」などの食材を使用したメニューの提供が始まっております。
続きまして、長野県農業再興に係る県の独自施策についてでございますが、新たに「りんごフェザー苗供給体制構築事業」を創設し、省力で早期多収が可能なりんご新わい化栽培用苗木の供給体制の確立を図り、その迅速な導入・普及を進めるほか、市場評価の高い「シナノスイート」やアスパラガスなどの県オリジナル品種の生産拡大、きのこの産地体制の強化などに引き続き取り組み、本県農業生産額の6割を占める園芸産地の再構築を図ることとしております。
また、自給率向上への取組につきましては、米の消費を拡大するため新たに「米粉普及推進事業」を創設し、洋菓子や麺など米粉を使った新たな商品開発と消費拡大を促進するほか、水田のフル活用による飼料用稲など自給飼料の生産拡大の取り組みを強化してまいります。
10.県立病院の地方独立行政法人化について
(1)県立病院の地方独立行政法人化にあたり、115億円を超える累積欠損金の扱いはどうなるのか、人件費削減を狙ったもので職員の給与カットにつながるのではないか、職員や地元住民への十分な説明をすべきではないか、へき地医療など不採算部門が切り捨てられるのではないかとの不安の声も聞かれるが、これまで議論となっていた多くの課題はクリアできたという判断のもと独立行政法人化への移行を決定したのか。
(2)1年間という残された期間で、移行への準備は間違いなく整うのか、その体制はどのような計画となっているのか、県民に理解可能な具体的な説明を伺いたい。
【局長】
まず、議員ご指摘の、これまでに議論されてきた課題についてですが、115億円の累積欠損金については、それと相殺可能な資本剰余金が285億円余りありますので、適切な処理を行うこととしております。
次に、人件費削減が狙いではないかとのことですが、これまで何度も申し上げてきたとおり、経営形態の見直しは県立病院が今後も住民に対して「安心で質の高い医療サービス」を将来にわたり提供していくために行うものであり、決して人件費削減や人員削減のために行うものではありません。
次に、病院職員や地元住民への説明ですが、病院職員に対しては、経営形態の見直しを行う理由、審議会での検討経過、地方独立行政法人制度などについて説明会を開催し、あるいは、病院職員の代表から成る「県立病院の地方独立行政法人化に向けた検討チーム」を7回にわたり開催してきております。更に、職種別の説明会も行っておりまして、概ね職員の理解は得られてきているのではないかと考えております。
地域住民の皆様方へは、年明けに県内6カ所で説明会を開催いたしました。約410名の県民の方々に出席いただいたところです。
住民説明会では、法人化すると県立病院の存続も含めて医療サービスが低下するのではないか、採算がとれない診療科が廃止されてしまうのではないか等のご質問が出されました。
現在の経営形態では、病院経営を行うにあたり様々な制度的制約がありますが、地方独立行政法人化は、こめ制約を解消し、県立病院が担っているへき地医療や高度専門医療などの不採算医療提供体制の崩壊を防いで、今後も継続して地域に必要な医療を提供していくために行うものであることを説明してまいりました。
これまで申し上げましたとおり、議員ご指摘の課題につきましては、十分、解決できるものと考え地方独立行政法人への移行を決定いたしました。
今定例会で定款案と評価委員会条例案を議決いただければ、4月中にも評価委員会を設置し、県立病院が提供する医療サービス等を定める中期目標等の策定を進めてまいります。策定に際しては、現場の医師、看護師、コメディカル職員等と一緒に議論しながら、より良い医療サービスを提供し、職員も満足感が得られるような制度設計を行ってまいります。
また、パブリックコメントや県民に対する説明会等を行って地域住民の声、県民の声をよくお聞きして、病院が果たしている地域での役割を十分に考慮しながら、どうしたらきちんとした医療を提供し続けられるのか、より質の高い医療を提供できるのかという気持ちで病院づくりを進めてまいります。
なお、中期目標につきましては、遅くとも県議会12月定例会までに案を取りまとめ、議会にお諮りする予定ですのでよろしくお願い申し上げます。
10.県立病院の地方独立行政法人化について
(3)地方独立行政法人化について、歴史的経過を踏まえて大局的な視点から率直な所見を伺いたい。
【部長】
本県の県立病院は、いまだ終戦の混乱の中にあった昭和23年に須坂病院と阿南病院を当時の日本医療団から移管を受け、発走したのが始まりです。
その後、昭和31年には唯一の県立精神科病院として駒ヶ根病院が、昭和39年には、へき地医療対策の一環として木曽病院が、さらに平成5年には高度小児医療の専門病院としてこども病院が開設されて、現在の5病院体制となりました。
このように、県立病院は約60年にわたり地域のため、患者のために、その時代の必要に応じた診療体制を構築しながら、地域とともに歩んでまいりました。
長野県の医療行政に責任を持つ者として、それぞれの時代に医師、看護師、医療技術者等が、皆それぞれの立場で県立病院を支えてきたことに、大きな意義を感じているところであります。
今回、県では県立病院の新たな経営形態として地方独立行政法人化を選択いたしました。この選択は決して県立病院の担ってきた役割を投げ出すために行ったものではありません。
今日、医師不足等、医療を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。こうした中、病院運営についても、その時代に即したものに変えていく必要があります。
県立病院は地域のため、県民のために存在し、我々は先輩諸氏が守り続けてきた医療をこれからも守っていかなくてはいけません。
地方独立行政法人化は、県立病院が今後もその役割を果たし続けるために行うものであり、県立病院の新たな歴史を刻む第一歩となるものと考えております。
11.社会福祉について
(1)来年度は第4期の介護保険計画、第2期の障害福祉計画がスタートする年度であるが、新計画のスタートにあたり、介護サービス・福祉サービスの向上のために、予算上配慮した点について伺いたい。
【社会部長】
まず、従事者の処遇改善や人材確保などの観点から行われる介護報酬等の増額改定を踏まえ、介護給付や障害者自立支援給付の県負担額について、昨年度比19億円余り増額の約284億円を計上するなど、サービスが安定的に提供されるよう配慮いたしました。
また、喫緊の課題とされる福祉・介護人材の確保を図るため、国の基金事業も活用して、養成校への支援、あるいは事業所における求人活動・合同研修への支援などを3年間で集中実施することとし、そのための予算とし七、1億8千万円余を計上いたしました。
更に、増加しております認知症高齢者施策として、地域包括支援センターへの専任職員の配置や、市町村が行う認知症研修への支援を新たに行うなど医療・介護の連携を図るほか、権利擁護のため成年後見制度の活用を促進してまいります。また、障害者自立支援対策臨時特例基金を活用し、事業者の運営安定化、障害者の就労促進などの施策を拡充することとしております。
その他、国庫財源の活用や県単独補助金の統合メニュー化など、サービスの維持・向上と効果的な施策展開が図られるよう、特に配慮したところでございます。
11.社会福祉について
(2)「地域福祉総合助成金」について、統合したことによりどのような効果が期待できるか。また、組織再編により新たに発足する保健福祉事務所が、その機能を発揮するためにも、補助金の統合メニュー化は有効な手段と考えるが、目的・効果をどのように考えるか。
【社会部長】
市町村に対する県単補助金は、高齢者等の住宅改良、障害児者のタイムケア、乳幼児保育など福祉制度や国庫補助の隙間をそれぞれ細かく事業化して執行してまいりました。流用も困難なため、19年度決算では1億円余、本年度は4千万円程度の不用額が生じる見込みとなっています。
そこで、これら事業を「安心生活支援」・「障害者支援」・「子育て支援」の3つの大括りのメニューに整理統合し、併せて新たに市町村からの提案事業も可能にし、市町村が地域の実情に応じて事業を選択活用していただける仕組にしました。
新たに設置する保健福祉事務所では、市町村提案事業に対する事前評価を行うほか、市町村の課題に応じたメニュー選択の助言など、現地機関としての機能を活かせるようにしてまいりたいと考えております。

平成21年2月定例会 社会衛生委員会質疑要旨
3月9日(月) 社会部関係
1.介護保険制度について
 介護保険制度開始から9年間の総括として、本県の運営状況を、どのように評価しているか。具体的な指標もあわせて伺いたい。また、今後の課題と県の対応は。
【清水長寿福祉課長】
 介護保険制度が始まる前は、介護サービスは行政が提供する措置制度ということで、基本的に税で賄われていた。また、サービスの供給者も行政や社会福祉法人等で、サービスの供給量も限られていた。高齢化が進み、家族介護の問題、介護の社会化を進めることなどから措置制度に変わるものとして、介護保険制度が始まった。
 代表的な指標として、H10年度の特養の定員数は5,993であったのが、H20年度末は9,037に、ディサービスの年間延べ利用量はH10年度859,000回がH20年度末では2,473,000回に、ホームヘルプサービスの年間延べ利用量はH10年度1,070,000回がH20年度3,500,000回と、それぞれ150%から300%強となっている。
 課題は、介護人材の確保、介護報酬の検証、要介護認定の問題などあるが、最大の課題は増大していく介護給付費の財源の確保であり、今回の改定を見ても、給付自体を抑制していくことは困難であり、現時点では介護を含む社会保障全般についての将来像が描けていないのではないかと考える。
 この点については、国の社会保障国民会議の最終報告でも、社会保障に対する安定的財源確保のための改革の道筋を示し、国民の理解を得ながら具体的な取組に着手すべきとしている。
 県としては、これまでも国に様々な機会を通じ要望をしてきているが、こうした国の動向に注視しつつ対応していきたい。
2.報酬改定について
 障害者自立支援法の報酬改定の視点や改定内容について、効果を含めて伺いたい。
【寺沢障害福祉課長】
 障害者自立支援法の施行後初の改定で、人材の確保、事業者の経営基盤の安定、サービスの質の向上、地域生活基盤の充実、中山間地域等への配慮、新体系への移行の促進を期待している。
3.景気低迷の障害者福祉施設への影響等について
 経済危機が社会的に深刻な影響を与えているが、障害者福祉施設の仕事への影響とその対応については。
【山本障害者自立支援課長】
 障害者福祉施設に対し、昨年12月26日と今年2月3日に電話による聞き取り調査を実施した。調査対象は工賃アップ対象施設102施設から過半数にあたる55施設を抽出し、景気後退による仕事量の変化について調査した。
 その結果、自主製品は、ほぼ横ばいの状況で、施設外就労についても、現状維持が9割という状況にあった。しかしながら、下請け業務については、12月調査時で26.6%が、2月調査では50%が減少または大幅減となっており厳しい状況と認識している。対応としては、一つの事業での対応は難しい課題でもあることから、色々な事業を実施し対応している。
 その一つとして、施設単独での対応から連携・共同での対応を進めている。タカタカマーケットや麻布十番での販売を実施するとともに、セルプセンターでの共同販売についても昨年度の27回から今年度は42回と増やして実施している。
 工賃アップ基礎セミナー、計画策定支援セミナー、ステップアップセミナーに加えて、成功事例を報告するなどして、施設に元気を出してもらうセミナーを緊急的に追加して、3月5日、6日に開催した。
 施設外就労については、コカ・コーラの分別作業を東御市の加沢で1月から新たに始め、3施設が参加している。また、工賃アップ応援宣言に登録のアイオーテクノ駒ヶ根工場では、12月から6人の障害者が施設外就労をしている。工賃アップ応援宣言制度により、引き続き企業に協力を求めたい。
 官公需に関しては、県の各機関及び市町村に対し、1月及び2月に優先発注の協力依頼を実施した。
 リストラされた障害者の就業に関しては、ハローワークで対応しているが、地域における「心のケア」の部分を就業支援ワーカーが担っている。
4.DV被害者支援について
一時保護体制の状況、警察からの一時保護依頼の状況はどうか。女性相談員の配置状況と自立に向けた課題と県の取り組み状況は。
【中村こども・家庭福祉課長】
 県直営の一時保護施設は北信と松本の2か所である。一時保護委託施設は東信3か所、南信1か所、中信1か所の計5か所である。なお、施設の性格上、場所は非公開としている。緊急避難施設については、10圏域に14施設を確保しており、これも非公開である。
 今年度の一時保護状況は現在55件であり、その内8件は警察経由の保護である。特に一時保護時には危険度が高いので、警察と連携の上支援していきたい。
 県の女性相談員等従事者は14名である。市は5市に7名設置。市の相談が多いため未設置の市に対し相談員の設置をお願いしており、平成21年4月から1市で設置予定である。
 被害者保護後の自立支援が大切で、住居や経済的支援の他、継続的支援が必要である。同伴している子どもの関係では、転校先に加害者が来ることもあるので、教育委員会と連携の上支援していきたい。
5.生活福祉資金について
 昨年12月、県の緊急経済対策本部が設置されて以降、現在まで社会部において取り組んできた対策の概要について、特に資金については緊急対応の結果としてリスクが高まっているのではないか。また、貸付原資の準備は十分されているのか。
【青木地域福祉課長】
 生活福祉資金は、年末年始9連休中の生活困窮者の資金需要に対応するため、緊急小口資金の貸付審査の処理期間の短縮等、銀行が閉まるギリギリまで貸付期間を延長した。リスクと原資との関係では、、生活困窮者向けセーフティネット貸付で、もともとリスクが高い貸付事業。国と県で総額17億円余りを造成し、現在自転している。
 「累積償還率」は19年度末現在81.8%。全国平均76.7%より5ポイントほど良い。
 緊急小口資金などリスクも高まってはいるが、貸付利子の3分の1は欠損補填のために積み立てられ、今後更に資金需要が高まったとしても、十分に応えられる。
6.生活保護について
 生活保護については、離職者の動向、外国人やホームレス等の増加が心配されるが、それらについて、現状と今後の見通しを伺いたい。
【青木地域福祉課長】
 生活保護の動向は、委員会資料9及び本日の委員会冒頭で2月分を説明したとおり、1月に入っての増加が急であり、特に都市部での増加が目立っている。離職者の状況を相談の多い5市から1月分について聞き取った状況を申し上げると、相談(106件)の内訳は、パート・臨時5割弱、派遣労働4割弱、残り1割が常雇で、派遣労働者の9割近くは県外から来ている方、また、外国人は1割弱という状況である。
 申請率は、42.5%で相談者の多くが数ヶ月先の生活不安から生活保護制度の適用条件を知るために相談に訪れている等、直ちに申請に至るというケースばかりではない状況である。
 ブラジル国籍の離職者の多い伊那市と上田市では、市の総合窓口へ、税の減免、就学、就労、住宅等の相談は急増しているものの、生活保護相談は数件に留まっている状況である。
 ホームレスについては、毎年1月に全国調査が行われ、その結果で見ると本県は13人が確認され、昨年も同数であったので、数の上での増加は認められない。この間、生活保護適用は1件のみ。なお、本日午後全国状況が公表される予定である。
 今後、年度末の雇い止めによる雇用情勢の更なる悪化が予想されるため、生活福祉資金やホームレス対策によりしっかりカバーし、最後は、生活保護制度がしっかり機能するよう、雇用対策・住宅関係機関や市町村等とも連携しながら対応してまいりたい。
3月11日(水) 衛生部関係
1.健康福祉部の設置について
 平成22年度から社会部、衛生部の本庁組織が健康福祉部となる。スタートのための準備の状況と課題を伺いたい。
【野池参事兼医療政策課長】
 昨年の10月に両部長、主管課長等が集まって、どのように進めるか、共通認識を持つための打合せを行った。
 保健と福祉の両方のサービスを必要とする方への窓口を一元化するのは意義深いことであり、庶務、企画・経理部門も統合してより効率性を高めるということを共通認識とした。その後、事務レベルで例えば、精神科医療と精神障害者支援の連携など関係課による検討を進めている。
 統合の際には、有機的な統合を目指す。大きな組織になるので、非効率とならないよう、効率性を高めることが重要と考えている。また、意思決定の迅速性を含め、風通しのよい組織となるよう検討していきたい。
2.医師の不足数について
 全県では、総じては足りているが偏在がある、勤務医の待遇等いろいろ言われているが、具体的に何人の医師が足りないのかテーマになっていない。
 長野県でどのくらいいれば比較的健全な地域医療ができるのか。年配の医師は中期的にはリタイアしていくなどの状況もある。大まかでよいが何人足りないのか。
【桑島衛生技監兼医師確保対策室長】
 長野県で医師がどれくらい不足しているのか議論するのは難しい。医師数は、どの程度の医療を行うのか目指すべき医療による。当方でつかんでいるのは病院の求人数である。これは今の医療を維持するため必要な医師数といえると思うが、363名である。
 年齢構成の面では、平成18年末の調査では県内の医療施設従事医師数は4,159名であるが、そのうち705名が65歳以上である。10年間程度の間にリタイアするとすれば、その分も確保する必要がある。
3.福祉医療制度について
 福祉医療給付事業検討会の議論の中で、引上げによって受給者負担金が全国で中位レベルになるというが詳しく説明してほしい。
 また平成15年7月から受給者負担金が導入された経緯と理念を説明願う。福祉医療費の推移はどうなっているか、今後の見通しはどうか、今後どのような観点で検討を進めてゆくのか。
【吉岡国保・医療福祉室長】
 医療費自己負担額に占める受給者負担金の割合について、医療費が確定した平成18年の状況を受給者負担金を有する各県に照会したところ、26道府県から回答があり、長野県は19位であった。仮にこれを500円に引き上げると13位になるということで、中位にあたるとして、検討会で資料提供した。
 平成14年8月に、福祉医療費給付額が伸びている状況から、県と市町村で共同設置した福祉医療制度あり方検討委員会の提言を受けて、受給者にも制度を支えていただく観点から受給者負担金を導入することとし、平成15年7月から実施した。
 昭和50年度に約3億8千万円だった福祉医療費が平成19年度には42億7千万円になっており、この5年間で見ても11億6千万円、37.4%増となっている。その間一般会計で見ても、決算額が約15%も減っている中での増加である。
 このような状況の中で、受給者にも負担できる範囲で負担をお願いしたいということで、今回受給者負担金の引上げの検討をいただいた。今後については市町村長に対しアンケートを行い、検討項目を決定し、よりよい制度となるよう引き続き検討会で検討していただきたいと考えている。
4.大麻事犯の状況について
 大麻事犯が増えているようであるが、県内の摘発状況はどうか。
【寺沢薬事管理課長】
 全国的には若年層の摘発が増えている。県下の状況は、県警資料によると平成20年の検挙人員は9人であった。押収量は乾燥大麻が370g、樹脂が49gであった。昨年の検挙者は11人なので、県内では増加していない。
5.タミフル耐性インフルエンザの県内の状況について
 タミフル耐性インフルエンザが全国で発生しているが、県内の状況はどうか。
【鳥海健康づくり支援課長】
 一般のインフルエンザについては、タミフル耐性ウイルスが昨年はヨーロッパで流行した。今シーズンは国内でもAソ連型で多数発生しており、本県でも同様の状況となっている。検査では耐性の結果が出るが、現場の医師からは「けっこう効いている」との声もある。なお、リレンザに対する耐性は現在確認されていない。
6.県立病院の地方独立行政法人化について
 本会議でも議論されていたが、独立行政法人化による柔軟な勤務形態についてはどうか。また、県立病院における短時間勤務の導入は進んでいるのか。
 独立行政法人化になればより柔軟な対応は可能になるのか。那覇市立病院を視察されたようだが、その内容、成果、どのような課題があるか教えてほしい。
【北原病院事業局次長】
 短時間勤務制度は、県の条例として、育児期間中のみ導入できるというものを11月の定例会で認めていただいたので、この4月から対応できる状況になっている。短時間勤務は、1日4時間で週20時間、1日5時間で週25時間 週3日で24時間、週2日半で20時間、などバリエーションを持った勤務形態をとれるが、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員に認められた制度であり、今の公務員制度ではこれが法律上の限界であると考えている。
 県立病院では、女性医師を活用しないと医師不足を解消できないと考えているので、この辺の幅を地方独立行政法人後は広げてやっていけるのではと思っている。
 看護師の場合は、育児休業制度が平成14年から始まったばかりなので、その制度を利用しながら勤務を組んでいるのが実態である。今後は、短時間勤務制度の良い点を啓発しながら、定数は足りているわけではないのでこの制度を活用しながら定数の確保をしていきたい。
 地方公務員制度の中で認められているのは、小学校就学前までという条件である。実際には週3日勤務してもらえれば育児休業期間中でなくても対応できるような制度を作らなければ、女性医師の確保は難しい場合がある。女性医師だけでなく、週2日位は来てもらえるなどの柔軟に対応できる勤務形態を用意しないと、医師不足への対応は難しいと思っている。独立行政法人化後は、地方公務員の枠が外れるので、そのような制度ができることを期待している。

【北原病院事業局次長】
 2月20日に視察を行った。那覇市立病院は、病院を取り巻く周囲の環境を考え、これを変えていかなければいけないということで病院側から独立行政法人化を申し出たという経過がある。基本的には病院の中で将来像を描いて独立行政法人化を成し遂げたところである。職員も納得し、新しい体制をとって7対1の看護体制を確立している。
 独立行政法人化のデメリットや市民の反応について聴いたが、市民からは当初、独立行政法人化することは大変なことになるねという同情の声もあったと聞いているが、現実には、病院は順調な運営がなされている。
6.信州大学への寄附講座について
 信大への寄附講座の設置に関して地財法の協議の関係の状況を伺いたい。大学との協議の経過について要点で結構だが伺いたい。あわせて、今後の連携についても伺いたい。
【桑島衛生技監兼医師確保対策室長】
 現在、総務省との協議を水面下で協議中である。大学とは随時協議を行っており、内容を詰めている。
 信州大学は県内唯一の医育機関であり、医師確保の面やその他さまざまな面で連携しており、今後とも連携しながら進めていきたい。

平成21年知事への要望
1.来年度予算編成について
硬直化した県財政に加え、更なる景気悪化による県税収入の減少が見込まれる。来年度の予算編成にあたっては、県民ニーズに的確に応え、疲弊した県内経済に潤いを取り戻す観点から、必要十分な財政出動を行う必要がある。その財源として県債の活用を検討するにあたっては、臨時財政対策債及び減収補てん債を別枠として取り扱うなどの柔軟な対応をすること。
2.長野県中期総合計画に基づく施策の推進について
長野県中期総合計画に沿った施策を積極的に展開し、数値目標が達成できるよう努めるとともに、県民、誰もが明るく希望の持てる県政を推進すること。
3.県財政の健全化について
(1)行財政改革プランに掲げた持続可能な財政構造の構築を目指し、引き続き県財政の健全化に努めること。
(2)地方交付税等の地方一般財源の確保を図るとともに、大都市と地方の財源の偏在を是正するよう、強く国に働きかけること。
(3)県税及び県営住宅家賃の滞納に係る未収金の徴収対策を強化するとともに、国庫支出金の確保や受益者負担の適正化に取り組むなど、収入の確保を図ること。
4.医療及び医療従事者の確保について
(1)新型インフルエンザの流行に備えた、市町村ごとの行動計画・対策マニュアルを早期に策定することが求められているが、その対策レベル格差の縮小と広域レベル対策の有効性を担保するため、県として早期に準則を提示すること。また、新型インフルエンザ対策に係る準備費用、発生時の費用に対する市町村への財政支援を図ること。
(2)県立病院をはじめとする公的医療機関の医療従事者確保を強力に推進すること。特に地域において誰もが安心して子供を産み育てることが出来るよう、民間医療機関を含め、産科、小児科の医師確保に全力であたること。
(3)公益法人制度改革に伴い長野県地域包括医療協議会の役割は必要不可欠のものであり、本部の再開にあたっては財政的支援を図ること。
(4)健康で安心して生活するために必要な医療サービスが確実に安定して公平に提供されるよう、県が中心となって公立病院の連携や役割分担を進めること。また、自治体病院が地域の実情に配慮された中核病院として中長期的に安定した経営が確保できるよう必要な支援を行うこと。
平成21年知事への要望(5)看護職員不足が深刻な状況のなかで、医師会立等民間看護師等養成所に対する運営助成金を早期に交付すること。
(6)県民の総合的歯科保健推進のために、歯科の専門性、業務量を勘案し歯科医師、歯科衛生士を県職員として配置すること。
(7)議会において「歯科保健衛生施策の推進を求める決議」を可決したところであるが、平成21年度も8020(ハチマル・ニイマル)運動の推進をはじめ、口腔疾患予防等のための事業を拡充するよう財政措置を行うこと。
(8)過去の大地震(阪神淡路大地震等)の教訓として情報伝達手段の欠如による救急医療活動の阻害が指摘されているが、これらの教訓を生かした県全体を網羅する災害拠点病院等間の衛星携帯電話システムの構築に取り組むこと。
5.産業振興対策について
(1)地域産業の技術開発力強化など、長野県産業振興戦略プランに沿って、県内産業の活性化を図る施策を推進すること。
(2)知事のトップセールス等により、未売却となっている県営産業団地への企業誘致を図るとともに、優遇制度および企業へのサポート体制の更なる充実を図り、様々な機会と人脈を通じて県内各地への企業立地を促進し、雇用の創出と経済の活性化を推進すること。
(3)疲弊する県内産業を守り県税収入を上げるため、公共事業等の県発注事業についての資材調達は地産地消にすること。
(4)商業関連振興策を拡大・充実すること。
(5)商工団体の統合については、年度期限を設けずに地域の状況を配慮したものとし、また、既に県の方針に沿って統合した場合においても地域小規模事業者の支援策を確立するとともに、職員配置要件の緩和を図ること。なお、小規模事業経営支援事業費補助金は、小規模事業者数を基準とする配分基準の見直しを行うこと。
(6)急激な経済変動に対処するため、県制度資金を利用しやすいようにするとともに、「借り換え」の緩和措置の拡大を図ること。
6.観光対策について
(1)航空会社が運営計画を立てやすくするため、松本空港の運用時間の拡大を図り、定期便の運行本数の増加を働きかけるなど、松本空港の利用促進を強力に推進すること。
(2)広域観光ルートの開発を進め県内外観光客の利便性を図るとともに、県外からの観光客の県内滞在日数を増やす対策を促進すること。
(3)「健康」をセールスポイントとした、温泉の利用と地元食材による食事を提供する長期滞在型観光プランの作成など、観光旅行者のニーズにあった誘客対策を図ること。
(4)国外観光客への情報発信及び誘客を促進すること。
7.農林業活性化対策について
(1)輸入食品を含めた食の安心・安全確保対策を強化するとともに、県の食料自給率を示すことにより県内農産物の消費拡大を図ること。
(2)長野県のブランドである、りんご三兄弟、ナガノパープル、信州サーモン、信州黄金シャモをはじめとする農産物の生産拡大・販売促進を国内外に積極的に推進すること。 
(3)畜産農家の経営は、飼料価格が高騰する一方、生産コストの増加相当分を販売価格に転嫁することが困難な大変厳しい状況にあるが、安全で安心な畜産物を生産するために懸命に経営努力している畜産農家に対し、早急に抜本的な支援施策を講じること。
(4)中山間集落営農づくり支援事業の拡充を図るとともに、中山間地域農業直接支払い事業を存続し、中山間地域における多面的機能の維持・増進と耕作放棄を防止する対策を引き続き講じること。
(5)森林税を有効に活用し、「信州の森林(もり)づくりアクションプラン」に基づいて間伐を着実に行うとともに、間伐材の搬出・利用の促進を図ること。
(6)県産材の需要促進を図る「信州ふるさとの住まい助成金」については、制度の利用者が年々、増加傾向にあることを踏まえ、制度を財政的理由により廃止することなく、助成金額及び対象等の制度内容を検討し存続すること。
(7)野生有害鳥獣による農業被害が広域化・深刻化しているため、新たに策定された「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づき、その対策に主体的に取り組んでいる市町村に対して、引き続き必要な財政措置を講じること。
8.地域公共交通対策について
広く県民の生活を守るため、地域の公共交通を運営する民間企業等への直接的な支援、市町村が運営する様々な旅客運送に対する積極的な支援制度の復活など、地域公共交通への支援体制を拡充すること。
9.生活基盤の整備について
(1)県民の生命財産を守る治山・治水等減災事業は、滞ることなく計画的に行うこと。
(2)県民の生活に直結する道路維持補修や道路改良事業を積極的に行うこと。
(3)県内の橋梁の一斉点検をした結果に基づき、危険性のある箇所については、補修工事を早期に計画的に行うこと。
(4)県庁舎や県立高等学校等、県有施設の耐震化を早急に実施すること。
(5)老朽化した県営住宅の改築を促進すること。
(6)市町村における災害危険箇所を住民に周知するための洪水及び土砂災害ハザードマップの作成を推進するとともに、掲載内容を適時更新する経費に対する助成制度を確立すること。
10.生活環境対策について
(1)県内で排出される廃棄物の適正処理を推進するための対策を早急に実施すること。
(2)地球規模で問題となっている地球温暖化防止対策を更に推進するため、長野県地球温暖化防止県民計画を着実に実施すること。
11.県発注の入札制度の見直しについて
(1)建設業界は公共事業費の縮減、落札率の低下、資材価格の高騰によって非常に厳しい局面にあり、経営環境は急速に疲弊している。また、コスト調査結果によれば約6割にもおよぶ工事で採算割れが生じているため、早急に失格基準価格を引き上げるとともに、不良不適格業者の排除や技術と経営に優れ住民の付託に応えられる業者に発注できる入札制度に改善すること。
(2)県内建設業者の育成を図ることが出来る入札制度の確立を図るため、公平・公正の観点から制度や加点配分の見直し等を検討すること。
(3)間伐等の森林整備にかかる競争入札については、経費の大部分が人件費であり、低落札価格がそのまま給与に反映するため、給与水準と人材育成に悪影響を与えている。早期に失格基準を引き上げるとともに、森林育成の視点に立った複数年度にまたがる発注が出来るよう制度の改善を図ること。
12.教育について
(1)県民の理解と協力を得ながら、高等学校再編を推進するとともに、特別支援学校再編とそのあり方についても早期検討を進め、現状と将来運営を考慮した対策となるように取り組むこと。
(2)校長のリーダーシップと教員の資質の向上及び学力アップを図る対策を講じること。
13.元気な地域づくりについて
(1)過疎対策及び中山間地対策を積極的に図り、地域格差の是正に取り組むとともに、ポスト過疎法の制定について積極的に働きかけを行うこと。
(2)限界集落対策に市町村と連携して取り組むこと。
(3)地域発元気づくり支援金は、高い地域ニーズと実績に配慮し、来年度についても引き続き市町村要望が充足されるよう予算確保を図ること。
(4)市町村と協議の上、財源と一体となった権限移譲を具体的に進めるとともに、自主的・主体的に合併を選択した市町村に対して、積極的に支援するなど、市町村が主役の県づくりを進めること。
(5)整備新幹線の建設に伴う並行在来線の安定した経営を確保すること。
14.現地機関の見直しについて
(1)現地機関の再編実施案では、農業改良普及センターについて現行の10所+8支所体制を2所(小海・阿南)だけ存置して他を本所に統合することとしているが、地域の特性に配慮した中山間農業の進展する農業指導の展開が引き続き確保されるよう配慮すること。
(2)現在6ケ所にある教育事務所を4ケ所に再編し、学校管理等の対応を行う事務所を飯田合庁に設置して4教育事務所+1事務所体制とすることとしているが、人員体制や予算措置などの面において、地域の教育低下を招くことのないよう配慮すること。
(3)16カ所の建設事務所については、14カ所に再編し、維持管理業務を行う3カ所の事務所を設置して14建設事務所+3事務所体制にするとともに、一部の所の特定業務を他所へ集約することとしているが、均衡ある道路整備の推進や災害時における迅速な対応等はもちろんのこと、建設業者等の関係者に不利益が生じないよう配慮すること。
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