1.世界と日本、我が県経済を取り巻く危機的状況について
|
新年度の県政運営にあたり、現下、世界と日本、我が県を取り巻く危機的状況について、それぞれどのように認識しているか。また、県経済についての現状をどのようにみているのか。景気動向指標などから見た現在の状況及び見通しに対する見解とともに伺いたい。
|
|
【村井知事】
○ 世界的な景気後退局面を迎える中、欧米・アジアなど、各国の経済成長率が急落しており、先進経済国であるアメリカ、日本などはマイナス成長に陥っている。県内経済においても製造業を中心に大幅かつ急速な生産減、雇用・所得環境の悪化が拡大するなど、危機的ともいうべき状況と認識。
○ 長野県経済は、製造業のウェイトが高く、世界需要の低迷から生産水準が低下し、円高の長期化も加わり、全国に比べて大きな影響が生じており、また、全国平均を常に上回っていた有効求人倍率が全国と並ぶような状況へと急激に悪化していることから、かつてないほどの厳しい状況にある。
○ 今後の見通しに関して、明るさの兆しは未だ見えないが、これまで蓄えられた産業基盤、技術や人材といった地域力を活かして、次の上昇局面をいち早く捉えることができるように取り組んでまいる。
|
|
|
2. 中期財政見通しと県債について
|
(1)県内経済を取り巻く状況に大きな変化が見られた今、県の財政が健全であり続けるために何が必要と考えるか。
|
|
【村井知事】
○世界的な金融危機が地方の実体経済にまで深刻な影響を及ぼしている中で、基幹税である法人2税の落込みは地方の財政基盤を揺るがしかねない状況となっている。
○このため、県内経済が早期に安定し、活気を取り戻すことが重要であることから、緊急経済対策や中小企業への資金面・技術面での支援など全力で取り組んでいく。
○財政状況が厳しい中にあっては、先ずは、職員一丸となって、知恵を生かし工夫を凝らしながら、「入る」を量って「出ずる」を制するという基本に取り組み、財政健全化に向け弛まぬ努力をしているところ。
○しかしながら、地方が自ら行う財政健全化努力も、そろそろ限界に来ているのではないかと感じており、住民に身近な地方自治体が安定的に行政サービスを提供していくために一必要な一般財源総額の確保が急務となっている。
○このため、税源の偏在性が少なく、安定的な税収が得られる地方消費税の充実を国に強く求めるものである。
○あわせて、地方交付税の原資不足に伴い、大幅な臨時財政対策債の発行を余儀なくされているが、健全な財政運営のためには、過度に起債に頼ることのない制度の確立が必要であり、この点も国に求めていく所存。
|
|
|
2. 中期財政見通しと県債について
|
(2)一般会計、特別会計、企業特別会計などを含めた県全体の財政運営の指標となる健全化判断比率の今後の見通しはどうか。また、今後もクリアしていくためには何が重要と考えるか。
|
|
【村井知事】
○ 財政健全化法は、一般会計だけでなく特別会計、企業特別会計なども含めた、地方公共団体全体の財政状況を把握する仕組みであり、長野県の平成19年度決算における健全化判断比率は、いずれも早期健全化基準を下回った。
○ 中期財政見通しに基づいて今後の健全化判断比率を試算すると、平成25年度までは実質赤字を出すことなく財政運営が可能と見込んでいる。
○ 実質公債費比率は、平成18年度に20.1%と全国で最も高い数値であったものが、平成20年度には17.3%と改善してきており、現時点では、平成25年度まで早期健全化基準には達しないものと想定される。
○ 将来負担比率についても、当面は悪化する要因は見当たらないところ。
○ 今後とも早期健全化団体に陥ることのないよう、引き続き行財政改革プランの取り組みを徹底し、持続可能な財政構造を目指して、適正な財政達営に努めていくことが必要であると認識。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(3)残りわずかな県の基金残高はどのようになっているのか。財政調整基金、減債基金の内訳とともに基金残高の推移見込みについて伺いたい。
|
|
【村井知事】
○ 今年度末の基金残高は217億円と見込んでいる。内訳は財政調整基金が63億円、減債基金が154億円
○ 先般、中期財政試算でお示ししたとおり、今後も、なお財源不足は生じることとなる。
○ このため、毎年度、基金の取崩しを行いながらも、更なる財源確保策や効率的な予算執行に取り組むことにより、赤字を出さずに財政運営を行ってまいる所存
○ これにより、基金残高は平成21年度未で192億円、その後、順次減少していき、平成25年度未は33億円程度になると試算したところ。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(4)公社等外郭団体を含めた将来負担比率を現在どのように評価し、今後も算入していくにあたりどのような方針で経営改善すべきと考えるか。
|
|
【村井知事】
○ 長野県の平成19年度決算に基づく将来負担比率は、早期健全化基準の400%を下回る220.4%で、都道府県では良い方から17番目。
○ 内容を分析すると、将来負担額1兆9干億円の主な内訳は、(1)県債残高1兆5570億円(構成比82%)、(2)職員の退職手当負担見込額2616億円(構成比14%)となっている。公社等外郭団体に対する負担見込顛は94億円、構成比0.5%と小さい割合に止まっているが、今後とも公社等外郭団体の経営状況の把握と長野県出資等外郭団体「改革基本方針」に基づく経営改善に努めていくことが必要であると認識。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(5)県内各市町村の財政状況はますます深刻な事態になると想定されるが、県内市町村財政への影響について、現状認識と今後の推移をどう捉えているのか。
|
|
【村井知事】
○ 県内経済の悪化に伴い、とりわけ製造業が集積している市町村を中心に、法人住民税の大幅な減収が見込まれ、厳しい財政運営を強いられることが予想されるところ。
○ 一方、市町村の税収構造は、景気変動の影響を受けにくいとされる固定資産税が多くを占めていることや、減収の一定の範囲は、地方交付税や臨時財政対策債により捕われ、また、財政調整基金、減債基金からの繰り入れ等による対応も考慮すると、大変厳しい状況下にあるものの、財政運営に著しい支障を来たすような団体は、当面、生じないものと認識。
○ 市町村においては、財政の健全化に向けた取組みを積極的に実施してきているところであるが、これまでにも増して、行財政改革に取り組むとともに、歳入を的確に見込み、より慎重かつ堅実な財政運営に努めていく必要があると考えるところ。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(6)早期健全化基準をクリアできない深刻な市町村が出現した場合、県として積極的に支援体制をとる考えはあるか。その場合、どのように対処していくのか、その決意と方法について伺いたい。
|
|
【村井知事】
○ 県内では、平成21年度に、木曽郡王滝村が、早期健全化団体となる見通しであるが、村では、平成18年に自主的な財政健全化を基本とした「王滝村自立計画」を策定し、職員給与の大幅な削減や、診療所の休止等の徹底した行財政改革を断行し、これにより確保した財源で繰上償還を実施したことにより、翌22年度には基準を下回り、財政の健全化が図られる見込みと承知。
○ この過程において、県では、村当局との情報交換を密にし、計画の策定や改善策について、村からの相談への対応や助言を、きめ細やかに行ってきたところ。
○ 基準をクリアできない市町村が出た場合とのお尋ねであるが、健全化判断比率が悪化傾向にある市町村においては、詳細な財政分析を行い、基準を超えることのないよう、先行して対策を講じることが肝要と認識しており、県としては、ヒアリング等を通じて、市町村の状況を的確に把握し、対策に係る意見交換を行うなど、財政健全化に向けた取組みが早期に実施できるよう、積極的にサポートしてまいる所存。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(7)経済対策と税収減への対応として、相当額の県債を発行することになったが、この結果、平成20年度末の県債の残高はどのようになると見込んでいるのか。
|
|
【村井知事】
○ 今年度の経済対策に伴うものや190億円の減収補てん債の発行などにより、県債残高は現時点で1兆5018億円になると見込んでいる。
○ なお、現時点では平成19年度未よりも52億円増える形になっているが、今後の事業の繰越し等の状況によっては今年度分の県債発行額が見込みより減る可能性もあるため、確定値ではない。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(8)臨時財政対策債と減収補てん債は別枠として取り扱うべきと考えるがいかがか。
|
|
【村井知事】
○ 今後も県債発行額を元金償還額の範囲内にとどめ、県債残高を縮減し将来の世代の負担を減らしていくという行財政改革プランの基本的な考え方を変えるものではないが、当時 予測し得なかった世界的な経済危機に瀕している現在、財政健全化のための手段にこだわるのではなく、県政の目的、即ち、今現在を生活している県民の安全・安心の確保や地域の活性化という本来の役割を果たしていくことが重要。
○ したがって、国の方針により臨時財政対策債の発行を余儀なくされる現状においては、建設事業に充てられる通常債について、その残高、いわゆる実質的な県債残高を減少させることを原則としつつ、生活に密着した社会資本の整備など真に必要な事業の財源としてまいる所存。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(9)平成21年度未の県債の残高はどのようになると見込んでいるか。また、臨時財政対策債と減収補てん債は別枠とした場合、どのような状況になるか。今後の経済情勢への対応についての知事の決意を伺いたい。
|
|
【村井知事】
○ 平成21年度末における臨時財政対策債と減収補てん債を除く実質的な県債残高は330億円程度減少する見込み。
○ ただし、これらを含む県債については、新年度の臨時財政対策債が564億円と20年度の倍増を余儀なくされることから、県債の発行額が元金償還額を上回ることがほぼ確実となり、残高は120億円程度増える見込み。
○ 今後とも、足元の県内経済の動向や財政状況を見極めながら適時適切な対策を講じてまいる所存。
|
|
|
2.中期財政見通しと県債について
|
(10)起債は、財政出勤によって景気を刺激し、底支えする、景気停滞局面における重要な役割があると考えるが、自治体・行政、県民・国民にとって起債とはどのような位置付けにあるか。現在の標準的な世界的認識と歴史的経過、基本的かつ一般的な政治経済学にあっての考え方とその有用性についてと、どのように活用すべきかについて伺いたい。
|
|
【板倉副知事】
○ 地方債を発行することによって財源を調達することは、地方税、地方交付税等と同じく、地方公共団体の欠かすことのできない財源の一つである。
○ 地方債の機能については、(1)大規模な災害が発生した場合に、その財政負担を後年度に平準化する「財政支出と財政収入の年度間調整」、(2)学校など公共施設の建設について、将来、便益を受けることとなる後世代の住民と現世代の住民との間で負担を分割する「住民負担の世代間の公平を図るための調整」、(3)国が行う経済対策について、地方も一体となって行うことにより政策の実効性を高めるといった「国の経済対策との調整」、など、歴史的な様々な議論を経て、現在に至っているところ。
○ 議員のご指摘のとおり、最近、県債残高の縮減することばかりが注目されて、すべての県債について、「発行しなければしないほどよい」と受け取られている傾向があるように思うが、社会資本整備の財源に県債をあて、起債の仕組みを利用することにより、後世代の住民にも公平に負担をしていただくことは当然であり、自然なことである。一般の家庭で住宅を建てる場合でも、仮に住宅ローンがまったくダメということになれば、何十年もかかって貯金をしなければならず、貯金がたまった頃にはすっかり年をとってしまって、本来必要な時期に利用できなくなってしまうような事態が起こってしまう。住宅ローンを活用して、家を建てることは悪いことではない。問題は毎年の収入とのバランスであり、返済が可能な範囲でなければならない。
○ 長野県債の金融市場での評価は、国債との金利差であるスプレッドで見ると今国の市場公募団体の中位程度となっている。このことは長野県の経済力や財政状況が相応の評価を受けているおり、現在の長野県の県債残高が、他の団体と比べても、危機的なものとは評価されていないことを意味している。
○ こうした状況ではあるが、将来の財政負担等も考慮し、今後も、県民にとって真に必要な事業を実施しながら、県債の発行額を元金償還額の範囲にとどめ、残高の縮減を図ることを基本として、当面は、通常債の残高を増加させないことを原則に取り組んでいく所存。
|
|
|
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
|
(1)アメリカのオバマ新政権は、ブッシュ前政権からの政策転換を図ろうとするものであり、世界各国、日本、そして本県に及ぶ影響も「チェンジ」してくると思われるが、それはどのようなものと予想されるか。
|
|
【村井知事】
○ オバマ政権の政策については、大統領の演説からは、(1)安全保障では、「強硬路線」から「対話路線」への転換、(2)外交や経済では、保護主義の台頭はあるのか、対日外交は重視か、軽視か。(3)環境・エネルギー問題では、「グリーンニューディール政策」等の地球温暖化対策の強化などの論点を捉えることができるが、具体的に政策が打ち出された段階にないため、その影響をはっきりと見通せる状況にはない。
○ しかし、経済活動等がグローバル化した現在にあっては、米国の動向は様々な分野で、直接に、或いは間接に長野県の県民生活にも当然影響を及ぼしてくる。
○ 一方、長野県だけがいくら努力しても、これらの事象に対しては限界があり、地方自治体の長としては、県民の「くらしを守る」ことを第一にできる限りの対応を行うしかないのも事実。
○ 米国には、この厳しい経済状況から早期に脱却するため、世界各国と協調して、しっかりと役割を果たしてもらいたい。また、「日米首脳会談」も開催されたところであり、今後、日本、そして本県にとって、より良い方向性が導き出されることを期待したい。
|
|
|
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
|
(2)日本を代表する大手企業が軒並み減益・減収による赤字転落を余儀なくされている状況の中、我が国経済の回復の見込みについてどのような見解と期待を持っているか。
|
|
【村井知事】
○ 戦後の日本経済の景気循環は14回、景気拡大期間の平均は33カ月、景気後退期間の平均は17カ月で、最も長い不況期は第2次石油危機後の36カ月、次いでバブル崩壊後の車成不況の32カ月である。今回の景気後退は、一昨年の11月から始まっているので、過去の景気循環論が通用するならば、遅くとも来年、2010年後半までには景気が回復すると見ている方もおられる。
○ また、この数年の経済成長率2%のうち、外需の寄与度は0.8%であったが、石油が1バレル当たリ30ドル下がれば、日本のGDP押し上げ効果は0.7%という分析もあり、現在の価格水準で推移するならば、今後外需を上回る経済効果が幅広い業種に及んでくるとも言われている。
○ 今回の景気後退は、これまで経験のないような側面もあり、回復見込みを明確にすることはできないが、景気回復への最大のポイントは,実需を回復させることであるので、国をはじめ県・市町村などの景気対策が実行され、その波及効果と相まって、日本経済が早期に回復することを期待している。
|
|
|
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
|
(3)景気回復後の消費税引き上げに関する所見を伺いたい。
|
|
【村井知事】
○ 現下の経済危機の中にあっては、先ずは、国・地方を挙げて、景気回復に向け、あらゆる手段を講ずることは当然であり、消費税の引き上げには、景気の動向等をしっかりと見極めた上でタイミングを測ることが重要であると認識。
○ そのことを申し上げた上で申せば、今後、急速な少子高齢化の進行に伴い、社会保障関係費の増大が確実に見込まれる中で、安定的な財源をどう確保していくかという問題は、国・地方を通じた共通の課題であると認識。
○ 昨年末に閣議決定された『中期プログラム』においても、「必要な給付に見合った税負担を国民全体に広く薄く求めることを通じて安定財源を確保することにより、堅固で持続可能な「中福祉・中負担」の社会保障制度を構築する。」と政府の考え方が明記されたところ。
○ 私は、国・地方が共に財政が疲弊している現状においては、給付に見合う新たな負担について、臆することなく議論し、広く国民の理解を求めていくことが肝要であると認識。そうした税負担を何に求めていくのかということについては、あらゆる世代が広く公平に負担し、景気に左右されず税収が安定的な消費税・地方消費税の拡充に目を向けていくことは当然であると、私は従前から主張してきた。
|
|
|
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
|
(4)政府は、地方分権改革の流れを加速させようとしており、その先に道州制の導入を見据えているが、このような新たな国と地方のあり方を巡る国の考え方についてどのような所見をお持ちか。本県はどのように対応するか。
|
|
【村井知事】
○ 国と地方のあり方に関する議論に当たっては、まず、住民に最も身近な「基礎自治体」と「国」、そして中間自治体のそれぞれの役割について十分に議論を深め、その上で仕組みづくりを検討するべき。
○ その点から見ると、道州制に関しては「役割」の議論がなおざりにされたまま、地域経済の再生や行財政改革などの課題が全て解決するかのような議論になっていると危倶を感じている。
○ 一方、地方分権改革については、積極的に進めていくべきであり、国の地方分権改革推進委員会の第一次、第二次勧告に盛り込まれたような、国の関与の見直しや権限移譲に関しては、徹底して行っていくことが必要と考えている。
○ また、その前提として、都道府県や市町村がその役割を十分果たせるよう、必要な税財源の配分がされることが不可欠。
○ このため、本県としては、全国知事会を通じるなどして、こうした考え方を、国に対して強く伝えてまいりたい。
|
|
|
3.世界・我が国・我が県状況への認識について
|
(5)県下の市町村数は全国2番目に多く、村の数は日本一であるが、過疎化、少子高齢化の進展など地域間格差の拡大が懸念される状況にあって、新合併特例法の期限切れまであと1年となっているが、現時点での市町村合併の動向なども踏まえた現状認識と所見について伺いたい。
|
|
【村井知事】
○ 県内市町村の状況は、120から81に再編されたが、人口1万人未満の町村が43、うち5千人未満が24と、なお小規模町村が多数残る状況にある。合併新法下では、現在、「阿智村・清内路村」のほか、「長野市・信州新町・中条村」、さらに「松本市・波田町」で合併に向けた取組みが進められているところ。
○ 住民に最も身近な基礎自治体である市町村が、地域経営の主役として、自らの責任で、将来にわたり持続的に行政サービスを維持・向上させるためには、行財政基盤の強化が必要であり、市町村合併はそのための極めて有効な手段のひとつであると認識しており、昨年8月に策定した「長野県市町村合併構想」でもこの点を明記し、合併新法内での合併を進めてきたところ。
○ 昨今の経済雇用情勢の急速な悪化はもとより、今後の地方分権の進展や人口減少、少子高齢社会の進行など、市町村を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、今後、ますます厳しい行財政運営を迫られることが見込まれ、県内市町村、特に小規模町村において、一層の行財政基盤の強化が必要であると認識している。
○ 国(地方制度調査会)では、現在、合併新法の取扱いを含めた「基礎自治体のあり方」について検討しているほか、広域補完という観点で、中心市と周辺町村との機能分担による「定住自立圏構想」の推進が打ち出されている。
○ 県としては、こうした国の動向に注視しつつ、今後とも市町村の健全な行財政運営に向けてサポートするとともに、合併に向けた取組みに対し、引き続き全力で支援して参る所存である。
|
|
|
4.地方財政計画について
|
(1)本県における決算と地方交付税の基準財政需要額の関係はどうなっているか。
|
|
【板倉副知事】
○ 地方交付税は、全国どの地域でも−定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するもの。地方の実態に即した配分をしようとするあまり、その算式が複雑でわかりにくくなってしまったという指摘を受け、近年、基準財政需要額の算出方法をできるかぎり簡素化しようとする読みがなされているところ。
○ 平成19年度には、人口や面積を基準として算定するいわゆる「新型交付税」が創設され、地方が取り組む施策に対する財政需要を包括的に算定しているため、個別事業での決算との比較が困難な状況が生じている。
○ 個別に算定されている生活保護費などの義務的経費など、決算と基準財政需要額との間に乖離が見られるものについては、財政需要が適切に反映されるよう国に要望しているところ。
|
|
|
4.地方財政計画について
|
(2)今後の地方財政のあり方、税体系と交付税についてどうあるべきと考えるか。
|
|
【板倉副知事】
○ 我が国の県や市町村は、こういう形態をとる国の中では、はるかに多くの仕事を実施する主体とされ、地方税収では賄いきれない行政サービを担っている。
○ 仮に、その全てを地方の税収で賄おうとすると、現状の2.2倍程度の税収が必要となるが、現在の地方税の仕組みにおいては、富裕団体の取りすぎという問題を惹起するなどの課題があり、その一定のレベルまでしか税源を充実できないのが現状。このため、地方に財源を配分する仕組みが不可欠であり、その意味でどんな状況になろうとも、地方交付税制度的な財源分配システムが必要であることは間違いのないところ。
○ ただし、先ほども申し上げたとおり、地方の実態に即した配分を行おうとするあまり算式が複雑で分かりにくくなったと指摘される一方で、簡素化しようとすれば、結局実態から乗離するという相矛盾する事態が生じるという大変難しい課題がある。
○ 地方公共団体が行う行政サービスに対する経費を、全て地方公共団体が徴収する税で賄う制度というのは直ちには考えられないことから、今後こうした地方交付税制度の持つ矛盾を一つひとつ解決しながら、増加が見込まれる社会保障費などの財政需要を適切に反映しつつ、地方卒付税制度が有する財源調整機能、財源保障機能の充実を図っていくことが大切。
○ また、安定した行政サービスを提供するには、毎年度地方交付税が大きく変動することは好ましくないため、地方自治体が安心して財政運営が可能となるような予見可能性の高い仕組みづくりも必要と考えているところ。
|
|
|
5.平成21年度予算案について
|
(1)来年度に向け予算案に込められた県民に対するメッセージは如何なるものか。
|
|
【村井知事】
○ 先ずは、「活力と安心」を基本目標に掲げる中期総合計画を着実に推進し、長野県の地域力を更に高め、暮らしの安心・安定を確保できるよう、県民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、職員一丸となって取り組んでまいる所存。
○ そして、現下の喫緊の課題である経済・雇用情勢に対して、県民の「くらしを守る」ために、本予算を通じて、この難局を県民の皆様とともに乗り越え、将来に向けた基盤を築いてまいりたい。
|
|
|
5.平成21年度予算案について
|
(2)日本銀行は、2009年実質GDPの成長率見通しをマイナス2%に改定したが、法人二税については、こうした指標なども勘案した上での予算額か。地方法人特別税導入という制度改正により、昨年の数字とは単純に比政できない面があるが、国の地方交付税の動向についての説明もあわせ伺いたい。
|
|
【総務部長】
○ 法人二税の税収見込みについては、経済成長率が税収の増減率と直接リンクするわけではないものの、政府の経済見通しを始めとした各種経済指標や法人由公表する経常利益の状況などを参考に、その時点で把握し得る様々なデータを用いて、できる限り正確な見積作業に努めたところ。なお、21年度の県税収入については、地方法人特別税などの、影響も勘案し、全体で20年度当初見込み比80.4%となる2,110億円余を計上したが、国の地方財政計画では、20年度当初見込み比81.9%と見込まれている。また、地方交付税については、全国総額で前年度比4100億円の増(+2.7%)となる15兆8,200億円、臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税の総額では、前年度比2兆7300億円の増(+15.0%)となる20兆9700億円が計上されているところ。
|
|
|
5.平成21年度予算案について
|
(3)今日の経済政策にもっとも必要なことはスピードである。景気浮揚を図るために積極的に公共事業を主体とした「長野県版ニューディール政策」を敢行するべきと考えるがいかがか。
|
|
【村井知事】
○ 「長野県版ニューディール政策」と表現するのは若干躊躇するところであるが、昨年12月、全国に尭駆けて「長野県緊急経済対策」を打ち出し、これを実行するために、1月、2月と連続して編成した補正予算を通じて、安全・安心の確保や生活に密着した社会資本の整備を中心に、切れ目なく県内の実需を喚起することに腐心したところ。
○ 前倒しを行いつつも、いわゆる三公共・三県単のほか、福祉、医療、教育、文化、交通安全等の施設の整備や県有施設の耐震化などの予算へも配慮したところ。
○ 依然として基金の取崩しを余儀なくされている厳しい財政状況下ではあるが、これら普通建設に係る前倒し分を加えた実質的な予算は、前年度を上回る額を確保したところ。
○ (先ほども申し上げたように)今後とも、足元の県内経済の動向や財政状況を見極めながら適時適切な対策を講じてまいる所存。
|
|
|
5.平成21年度予算案について
|
(4)三県単は、身近な道路の維持・補修といった県民要望が強い事業であるが、毎年厳しい予算削減がなされてきている。三県単に対する知事の基本的認識について伺いたい。
(5)平成21年度当初予算案における三県単の前倒し分を除いた分はどのくらいとなるか。また、前年度当初予算と比較してどの程度の割合になるか。
|
|
【村井知事】
○ いわゆる三県単の事業は、道路・河川の維持補修、防災施設の維持補修、農地や山地の災害未然防止なと、県民の「安全・安心」の確保や、「生活密着型社会資本の整備」に必要不可欠な事業と認識。
○ 県単独事業費は、平成21年度当初予算額で150億円(対前年度比18.5%減)、補正予算による前倒し分34億円を含めると、184億円(対前年度比0.1%増)で、厳しい財政状況にあっても、昨年度と同規模の事業費を確保。
○ なかでも、最も身近な社会資本である「道路」の維持補修に関しては、県民から要望が強く、平成19年12月定例会でも「道路の維持管理予算の増額を求める決議」をいただいたことを重く受けとめ、改築系から維持修繕系に予算をシフ卜させることにより、県単独事業の道路の維持管理予算は、前倒し執行分を合わせた、いわゆる15か月予算で見ると、対前年度比14.8%増を図ったところ。
○ 今後も、県民要望を踏まえつつ、限られた財源の中、事業の選択と集中を行い、必要な事業費の確保に努めてまいる所存。
|
|
|
5.平成21年度予算案について
|
(6)新年度後半になって息切れを起こしては元も子もない。最低でも今年度中に前倒しした分と同じボリュームを来年度のしかるべきタイミングに補正予算を組み必要があると考えるがいかがか。
|
|
【村井知事】
○ 国も既に新年度の補正予算の検討を始めていると聞いており、ご指摘の件については、今後の国の動向、さらには、先ほども選べたように、足元の県内経済の動向や財政状況を見極めながら適時適切な対策を講じてまいる所存。
|
|
|
6.中期総合計画と新年度の県政運営について
|
(1)間もなく中期総合計画の初年度が終了するが、計画に掲げられた施策の実行状況と成果についてどのように促えているか。各分野で濃淡が出ていないか。目標達成への手応えはいかがか。現下の情勢を鑑み、現時点において目標修正の必要性は無いか伺いたい。
|
|
【村井知事】
平成20年度は、中期総合計画の初年度として、計画の5つの施策の柱に沿って、それぞれ必要な取組を着実に進めてきたところ。
計画の目指すところを実現するには一定の期間が必要であり、これらの改組の成果がすぐさま現れるという性格のものではないが、例えば喫緊の課題である医師確保対策において、ドクターバンク事業等を通じてこれまでに35名の医師が県内で勤務いただく運びとなり、また、県立須坂病院に2名の産科医を確保し、この3月から分娩が再開できるようになった。
さらに、計画に掲げた127項目の達成目標の20年度数値は年度終了後に確定するものが大半であるが、今の時点で本年度の実績として確実に見込める35項目についてみると、33項目が計画初年度として一定の進捗を示す値となっており、徐々にではあるが着実に進展しつつあると認識。
また、中期総合計画の目標の修正についてのお尋ね。この計画は、県民の皆様や県議会をはじめ多くの方々のご意見をいただき、今後の県政運営のガイドブックとして策定したもの。計画はようやく初年度を終えるところであり、現時点で計画を見直すことは考えていない。
|
|
|
6.中期総合計画と新年度の県政運営について
|
(3)中期総合計画初年度の実績を踏まえ、来る新年度にはどの分野のどの施策に、より重点をおいた県政運営をするつもりか伺いたい。
|
|
【村井知事】
新年度の当初予算では、急激な経済・雇用情勢の悪化や生活の不安に対応して、「くらしを守る」という点に主眼を置き、雇用対東や中小企業などへの支援、生活に密着した社会資本の整備など、地域における「くらしの活力」の創出と、生活 者の視点に立った医師確保、子育て支援、消費生活の安定・向上など、県民の「くらし回り」の安定・充実に、積極的に取り組むこととしている。
今後、新たな政策評価制度も活用し、状況の変化や課題を的確に把握するとともに、厳しい経済・財政状況にあっても必要な施策に重点的に財源を配分し実施するなど、創意工夫を凝らしながら、中期総合計画の着実な推進に努めてまいりたい。
|
|
|
7.緊急経済対策と雇用問題について
|
(1)臨時会において概ね1ケ月のうちに発注したいと答弁したが、実際の状況はどうなっているか。関連工事の現時点での契約率と施行にいたる状況について伺いたい。
|
|
【建設部長】
1月補正分の緊急経済対策につきましては、臨時議会から1か月後となる2月13日までに、予算措置が確定した新規工事約140件全てを入札公告しております。
先週末時点で、このうち開札済みが約9割、契約済みは約5割という進捗であり、エ事着手は契約後10日以内となることから、緊急経済対策のエ事がいよいよ本格化してまいります。
|
|
|
7.緊急経済対策と雇用問題について
|
(2)小規模工事に限り、入札に参加できる業者の範囲を10ブロックに細分化したが、狙い通りの効果があったか。
|
|
【建設部長】
緊急経済対策につきましては、臨時議会でのご指摘を受け、受注希望型競争入札で発注する3千万円未満の土木一式工事等について、競争性を確保した上で、地域要件を地方事務所単位、いわゆる10ブロックで発注するなど、地元企業の受注につながる発注方法としております。
この結果、先週末までに開札された約120件の工事のうち98%が、10ブロック内の企業による受注となる見込みです。
一方、12月までの通常事業の受注状況は、10ブロック内での受注が87%程度でありますので、緊急経済対策が地元企業の受注につながっているものと考えております。
|
|
|
7.緊急経済対策と雇用問題について
|
(3)議会でも入札制度改革について検討中であり、緊急経済対策の事業執行に当たっては地域性の配慮もされたところであるが、県内建設業の育成を図ることができるような入札制度の確立のため、公正公平な観点から見直しを早期に実施すべきと考えるがいかがか。
|
|
【腰原副知事】
緊急経済対策に係る建設工事については、臨時議会での議論を受け、地元企業の受注につながる発注方法としたところ。
建設工事の入札においては、必要な品質が確保され所要の事業効果が得られること、競争性・透明性・公正公平性が担保されることが必須条件。
この範囲内で、地域を支える優良な建設企業が活躍できるようにしていくことが、県民生活の安心・安全の確保や地域経済活性化の上で必要と認識。
県では、「地域を支える建設業検討会議」での議論などを踏まえ、4月より、低価格入札対策など制度の改善を図る予定。
今後も、入札実施状況を検証し、地元企業が活躍できる入札制度の確立を目指す。
|
|
|
7.緊急経済対策と雇用問題について
|
(4)国の第2次補正予算により創設された「ふるさと雇用再生対策特別交付金」あるいは「緊急雇用創出事業交付金」による基金などを最大限効果的に活用して、早急に地域雇用を創出し、県民の暮らしの安定を図るための施策を打ち出すことが求められるが、地域雇用の創出に向けた県としての基本的な方針について伺いたい。
|
|
【知事】
国の第2次補正による交付金の交付を受け、2月補正予算において「ふるさと雇用再生特別基金」42億5千万円、「緊急雇用創出基金」33億4千万円、合わせて75億9千万円の基金を設置する。
この基金を財源とし、平成20年度に実施できるものは、2月補正予算により早期の事業着手を図り、今後平成23年度にかけ、県及び市町村において、雇用創出に効果的な事業をできるだけ前倒しにより行い、今後3年間では5000人分以上の雇用創出を図る所存。
また、基金による個別の雇用対策事業の実施とともに、先頃の1月補正予算、今回の2月補正予算編成による緊急経済対策により実需の喚起を図っていくこととしているが、今後も切れ目のない対策を講じて、雇用の維持・創出に努めてまいる。
|
|
|
7.緊急経済対策と雇用問題について
|
(5)「求人と求職のミスマッチ」といった懸念に対して、どのように対処されるか。
|
|
【知事】
今般の2つの基金事業については、国における制度設計上、ふるさと雇用再生特別基金事業」では、雇用期間が1年以上の雇用とされ、「緊急雇用創出基金事業」では雇用期間が6か月未満の雇用とされている。
これは、失業者等のために、行政としてできるだけ多くの皆さんに雇用の機会を提供し、その間に安定的な就職先を確保していただくという制度の趣旨からきている。
従って、県としては、基金事業の実施とともに、将来の安定的な雇用につながるよう、ジョブカフェ信州におけるハローワーク等との連携・協力による再就職支援や、人手不足が続いている分野での職業訓練の実施などに積極的に取り組んでまいりたい。
|
|
|
7.緊急経済対策と雇用問題について
|
(6)福祉分野、農林業分野、環境やエネルギー関連分野での雇用拡大に向けて、どのような具体的手段を講じてきたのか。効果は出ているのか。今後どのような対策を講じていくのか。解雇者に対する県営住宅入居状況を含め、今後の雇用対策について伺いたい。
|
|
【知事】
既に福祉分野では、「福祉の職場説明会」を追加開催するなど、これまで延べ3014人の求人に対し、延べ768人の求職があり、このうち100人を超える方が就職に結びつく見込み。
農業分野では、先頃開催した「農業法人等就業緊急フェア」に24の農業法人が参加し、175人の相談者のうち20人程度の採用が見込まれる。
林業分野では、今月より行っている「林業就業支援講習」を46人が受講している。また、「共同就職説明会」に約500人が参加し、このうち50人程度の方が就職する見込み。
さらに、環境・エネルギーなど、新たな雇用拡大が期待される分野については、来年度、産学官連携により、新たな技術開発を行う企業等を支援する体制整備を図り、関連分野の産業振興に努めてまいる。
また、解雇による離職者等の県営住宅への入居については、提供した98戸のうち、2月20日現在、56戸が入居している状況。
県としては、基金を活用した雇用創出事業の推進とあわせ、福祉等人材不足分野への求職者の誘導など、安定した雇用につながる取り組みを推進してまいる。
|
|
|
8.商工業の振興・商工会について
|
(1)現下の県内企業の経営状況をどのように肌で感じ、把握・分析しているか、現状認識について伺いたい。
|
|
【商工労働部長】
最初に、現下の県内企業の経営状況についてでございますが、商工労働部が昨年12月に実施した「緊急中小企業経営実態調査」では、資金繰りが苦しいとする回答が全体の6割を超えているほか、人員や賃金の削減を予定している事業所の割合も、増加傾向にあります。
県内各地域の状況につきましては、市町村、ハローワーク、商工団体、金融機関等を参集して、地方事務所ごとに「地域経済情報交換会」を開催し、実情の把握に努めているところでございますが、各機関には、運転資金や労働・雇用問題などに関する多数の相談が寄せられております。
また、私自身も企業訪問をさせていただく中で、受注の大幅な落ち込みや不透明な先行きに対する不安なども実感しているところでございます。
このように、県内企業は世界的な景気の悪化や円高の影響により、主要産業である製造業を中心に大変厳しい経営状況にあり、資金繰りや雇用環境も厳しさを増しているものと認識しております。
また、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費が弱まっており、小売やサービス関連などへの影響も懸念されます。
今後も、日々目まぐるしく変わる経済情勢を注視しながら、現在取りまとめております景気動向調査のヒアリングなどを通じまして、県内企業の経営実態を把握してまいりたいと考えております。
|
|
|
8.商工業の振興・商工会について
|
(2)緊急経済対策に当たり、年末年始の休日を返上して経営相談、中小企業に対する融資制度の充実強化、勤労者に対する生活資金緊急融資制度の創設などが実施されたが、現在の県民・事業者からの相談内容や融資の件数など、全体の状況について伺いたい。
|
|
【商工労働部長】
中小企業経営者や労働者、生活者など広範な相談事項に迅速・円滑に対応するため、昨年12月24日に総合相談窓口を開設して以来寄せられた相談件数は、2月23日現在で245件となっています。
年末の相談件数は、事業者の越年資金の相談件数が多かったことなどから182件ありましたが、1月が54件、2月は9件と減少してきております。
相談内容としましては、事業者向けや生活者向けの資金に関する相談、非正規労働者の雇止めに伴う労働や住宅に関するものが多く寄せられております。
中小企業融資制度資金の利用実績は、1月末現在、全体で1万80件、846億4千万円余の利用があり、設備資金が減少したものの運転資金が大きく伸びたことから、前年同期比8%の増となっております。
これは、国のセーフティネット保証5号における不況業種の指定の拡大に伴い「特別経営安定対策」資金の利用が急増したためで、昨年12月は、ひと月で80億円と前年に比べて8倍余り、1月は59億円で前年に比べて約10倍となっております。
生活資金索急融資制度につきましては、本年1月15白から受付を開姶し、2月23日現在、受付件数は15件で、融資を予定している件数は1件となっております。
|
|
|
8.商工業の振興・商工会について
|
(3)力強い長野県経済の構築を図るために、商工労働部の役割はかつてないほど重要であるとともに、今こそ英知を結集して県内産業を支える思い切った手段を講じることに期待するが、その決意と、新年度、県としてどのような対策を打ち出していこうとしているのか。また、県内産業の更なる飛躍発展のために、今、何が必要と考えるか。将来的に経済基調が上向きになってきたときに必要となる施策の具体例をあわせ伺いたい。
|
|
【商工労働部長】
長野県経済の早期の再生と持続的発展を目指して、策定しました産業振興戦略プランによる新たな製品化を支援する地域資源製品開発支援センター、国内外への販路開拓を支援するマーケテイング支援センターなど4つの支援センター事業をはじめ、8つの重点プロジェクトが順調に動き始めており、基本的にはこれらの施策展開を着実に図っていくことが大切と考えている。
新年度においては、緊急に対応が必要な経済・雇用対策として、中小企業融資制度資金の融資目標額を増額して1150億円とするとともに、雇用相談や職業訓練の充実、基金事業を活用した雇用機会の創出を図ってまいります。
さらに、地域を支える力強い産業づくりを図るため、農商工連携による新たな事業展開や商品開発に対する支援、創業間もない企業への投資の促進、技能五輪全国大会に向けた取り組み、県出身学生の∪ターン事業による産業人材の確保などに取り組んでまいります。
県内産業の更なる飛躍を図るには、次の時代の柱となるような産業分野へシフトさせていく施策も必要であり、また、経済変動の時期は新しい技術分野への展開を加速させるときでもあると考えております。
将来的な成長産業分野として、環境・エネルギー、航空・宇宙などが期待されておりますので、来年度から工業技術総合センターに環境技術部を創設し、環境に対応した製品づくリヘの技術開発支援を行うとともに、将来成長が期待されるナノテクノロジー分野の関連技術の普及・活用を推進するなど、将来に向けて競争力のある産業集積を図ってまいります。
|
|
|
8.商工業の振興・商工会について
|
(4)小規模事業経営支援事業費補助金の配分基準の見直しを検討されてきたが、これから具体的にどのような方針で臨まれるか伺いたい。
|
|
【商工労働部長】
補助金制度の見直しに当たりましては、昨年、商工会及び商工会議所への実態調査を実施するなど、多方面から御意見を伺いながら検討を進めてまいりました。
検討を進める中で、統合・合併の必要性は認められているものの、地理的・経済的状況や歴史的背景などの理由により、統合・合併が進まない地域の実情を改めて認識した上ころです。
こうしたことから、併存団体においては、「1市町村1商工団体」の実現に向けて努力していただくことを基本としつつも、地域の自主性に配慮し、それぞれの商工団体が自らの将来のあり方を見据えた上での判断を尊重していきたいと考えております。
そこで、平成21年度未とした統合期限や、統合・合併の進捗度合いにより格差のある補助率、また、平成22年から5年間の段階的な補助額の削減を廃止したいと考えております。
また、現行の配分基準額表に基づく補助額の決定方式から、小規模事業者数に応じた算出方法へと改めていくとともに、27年度新制度施行に向けた体制整備の期間を設けていきたいと考えております。
新たな補助制度につきましては、1月下旬に商工団体へ案をお示ししたところであり、今後、御意見を伺いながら、詰めてまいりたいと考えております。
|
|
|
9.農業振興について
|
(1)長野県農業が厳しい背景に、農業従事者の高齢化や、担い手の減少、輸入農産物の増加や地域間競争に伴う価格の低迷などが挙げられるが、こうした中、長野県農政のあるべき姿についてどのように考えるか伺いたい。
|
|
【農政部長】
長野県の農業は、担い手不足、農産物価格の低迷など様々な課題に直面しております。
この様な課題に対応するためには、特に、生産者の皆様がやりがいを持ち、所得が確保できる農業を実現することや「農の営み」を通じ、農業のもつ多面的な機能が維持され、そこに暮らす人々にとって魅力や活力を感じ、訪れる人々が心の安らぎを得られるような農村が形作られることであると考えております。
また、農業者は安全・安心な農産物を安定的に提供しく消貴著は地域で生産される農産物を率先して消費するなど、農業者と消責暑が「食」と「農」の価値や役割を十分認識しあい信頼関係を築くことが求められているものと考えております。
県といたしましては、関係機関・団体との連携を密にし、農業が夢や希望がもてる産業として発展し、活力や魅力のある農村づくりの実現に向け取り組んでまいる所存でございます。
|
|
|
9.農業振興について
|
(2)マーケティング対策について、組織的な強化を図り、販路拡大戦略のパワーアップを図ったこの1年間でどのような実績を残すことができたのか。また、新年度には「農業王国長野」再興の鍵を握る農業産出額増加、自給率向上のために県としてどの様な独自施策を講じるつもりか。
|
|
【農政部長】
マーケティングの実績としましては、地産地消キャンペーン推進委員会の取り組みやトップセールスの実施などにより、県内コンビニエンスストアにおいて長野米の使用が開始され、現在も毎月10トンのペースで利用されているほか、信州サーモン弁当をはじめ、県産食材を使用した新たな商品の販売なども開始されました。
また、軽井沢での「クーカル」や首都圏での県産食材のプロモーションにより、ザガットやミシュラン掲載の首都圏の有名レストランでも「信州サーモン」、「信州黄金シャモ」などの食材を使用したメニューの提供が始まっております。
続きまして、長野県農業再興に係る県の独自施策についてでございますが、新たに「りんごフェザー苗供給体制構築事業」を創設し、省力で早期多収が可能なりんご新わい化栽培用苗木の供給体制の確立を図り、その迅速な導入・普及を進めるほか、市場評価の高い「シナノスイート」やアスパラガスなどの県オリジナル品種の生産拡大、きのこの産地体制の強化などに引き続き取り組み、本県農業生産額の6割を占める園芸産地の再構築を図ることとしております。
また、自給率向上への取組につきましては、米の消費を拡大するため新たに「米粉普及推進事業」を創設し、洋菓子や麺など米粉を使った新たな商品開発と消費拡大を促進するほか、水田のフル活用による飼料用稲など自給飼料の生産拡大の取り組みを強化してまいります。
|
|
|
10.県立病院の地方独立行政法人化について
|
(1)県立病院の地方独立行政法人化にあたり、115億円を超える累積欠損金の扱いはどうなるのか、人件費削減を狙ったもので職員の給与カットにつながるのではないか、職員や地元住民への十分な説明をすべきではないか、へき地医療など不採算部門が切り捨てられるのではないかとの不安の声も聞かれるが、これまで議論となっていた多くの課題はクリアできたという判断のもと独立行政法人化への移行を決定したのか。
(2)1年間という残された期間で、移行への準備は間違いなく整うのか、その体制はどのような計画となっているのか、県民に理解可能な具体的な説明を伺いたい。
|
|
|
【局長】
まず、議員ご指摘の、これまでに議論されてきた課題についてですが、115億円の累積欠損金については、それと相殺可能な資本剰余金が285億円余りありますので、適切な処理を行うこととしております。
次に、人件費削減が狙いではないかとのことですが、これまで何度も申し上げてきたとおり、経営形態の見直しは県立病院が今後も住民に対して「安心で質の高い医療サービス」を将来にわたり提供していくために行うものであり、決して人件費削減や人員削減のために行うものではありません。
次に、病院職員や地元住民への説明ですが、病院職員に対しては、経営形態の見直しを行う理由、審議会での検討経過、地方独立行政法人制度などについて説明会を開催し、あるいは、病院職員の代表から成る「県立病院の地方独立行政法人化に向けた検討チーム」を7回にわたり開催してきております。更に、職種別の説明会も行っておりまして、概ね職員の理解は得られてきているのではないかと考えております。
地域住民の皆様方へは、年明けに県内6カ所で説明会を開催いたしました。約410名の県民の方々に出席いただいたところです。
住民説明会では、法人化すると県立病院の存続も含めて医療サービスが低下するのではないか、採算がとれない診療科が廃止されてしまうのではないか等のご質問が出されました。
現在の経営形態では、病院経営を行うにあたり様々な制度的制約がありますが、地方独立行政法人化は、こめ制約を解消し、県立病院が担っているへき地医療や高度専門医療などの不採算医療提供体制の崩壊を防いで、今後も継続して地域に必要な医療を提供していくために行うものであることを説明してまいりました。
これまで申し上げましたとおり、議員ご指摘の課題につきましては、十分、解決できるものと考え地方独立行政法人への移行を決定いたしました。
今定例会で定款案と評価委員会条例案を議決いただければ、4月中にも評価委員会を設置し、県立病院が提供する医療サービス等を定める中期目標等の策定を進めてまいります。策定に際しては、現場の医師、看護師、コメディカル職員等と一緒に議論しながら、より良い医療サービスを提供し、職員も満足感が得られるような制度設計を行ってまいります。
また、パブリックコメントや県民に対する説明会等を行って地域住民の声、県民の声をよくお聞きして、病院が果たしている地域での役割を十分に考慮しながら、どうしたらきちんとした医療を提供し続けられるのか、より質の高い医療を提供できるのかという気持ちで病院づくりを進めてまいります。
なお、中期目標につきましては、遅くとも県議会12月定例会までに案を取りまとめ、議会にお諮りする予定ですのでよろしくお願い申し上げます。
|
|
|
10.県立病院の地方独立行政法人化について
|
(3)地方独立行政法人化について、歴史的経過を踏まえて大局的な視点から率直な所見を伺いたい。
|
|
【部長】
本県の県立病院は、いまだ終戦の混乱の中にあった昭和23年に須坂病院と阿南病院を当時の日本医療団から移管を受け、発走したのが始まりです。
その後、昭和31年には唯一の県立精神科病院として駒ヶ根病院が、昭和39年には、へき地医療対策の一環として木曽病院が、さらに平成5年には高度小児医療の専門病院としてこども病院が開設されて、現在の5病院体制となりました。
このように、県立病院は約60年にわたり地域のため、患者のために、その時代の必要に応じた診療体制を構築しながら、地域とともに歩んでまいりました。
長野県の医療行政に責任を持つ者として、それぞれの時代に医師、看護師、医療技術者等が、皆それぞれの立場で県立病院を支えてきたことに、大きな意義を感じているところであります。
今回、県では県立病院の新たな経営形態として地方独立行政法人化を選択いたしました。この選択は決して県立病院の担ってきた役割を投げ出すために行ったものではありません。
今日、医師不足等、医療を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。こうした中、病院運営についても、その時代に即したものに変えていく必要があります。
県立病院は地域のため、県民のために存在し、我々は先輩諸氏が守り続けてきた医療をこれからも守っていかなくてはいけません。
地方独立行政法人化は、県立病院が今後もその役割を果たし続けるために行うものであり、県立病院の新たな歴史を刻む第一歩となるものと考えております。
|
|
|
11.社会福祉について
|
(1)来年度は第4期の介護保険計画、第2期の障害福祉計画がスタートする年度であるが、新計画のスタートにあたり、介護サービス・福祉サービスの向上のために、予算上配慮した点について伺いたい。
|
|
【社会部長】
まず、従事者の処遇改善や人材確保などの観点から行われる介護報酬等の増額改定を踏まえ、介護給付や障害者自立支援給付の県負担額について、昨年度比19億円余り増額の約284億円を計上するなど、サービスが安定的に提供されるよう配慮いたしました。
また、喫緊の課題とされる福祉・介護人材の確保を図るため、国の基金事業も活用して、養成校への支援、あるいは事業所における求人活動・合同研修への支援などを3年間で集中実施することとし、そのための予算とし七、1億8千万円余を計上いたしました。
更に、増加しております認知症高齢者施策として、地域包括支援センターへの専任職員の配置や、市町村が行う認知症研修への支援を新たに行うなど医療・介護の連携を図るほか、権利擁護のため成年後見制度の活用を促進してまいります。また、障害者自立支援対策臨時特例基金を活用し、事業者の運営安定化、障害者の就労促進などの施策を拡充することとしております。
その他、国庫財源の活用や県単独補助金の統合メニュー化など、サービスの維持・向上と効果的な施策展開が図られるよう、特に配慮したところでございます。
|
|
|
11.社会福祉について
|
(2)「地域福祉総合助成金」について、統合したことによりどのような効果が期待できるか。また、組織再編により新たに発足する保健福祉事務所が、その機能を発揮するためにも、補助金の統合メニュー化は有効な手段と考えるが、目的・効果をどのように考えるか。
|
|
【社会部長】
市町村に対する県単補助金は、高齢者等の住宅改良、障害児者のタイムケア、乳幼児保育など福祉制度や国庫補助の隙間をそれぞれ細かく事業化して執行してまいりました。流用も困難なため、19年度決算では1億円余、本年度は4千万円程度の不用額が生じる見込みとなっています。
そこで、これら事業を「安心生活支援」・「障害者支援」・「子育て支援」の3つの大括りのメニューに整理統合し、併せて新たに市町村からの提案事業も可能にし、市町村が地域の実情に応じて事業を選択活用していただける仕組にしました。
新たに設置する保健福祉事務所では、市町村提案事業に対する事前評価を行うほか、市町村の課題に応じたメニュー選択の助言など、現地機関としての機能を活かせるようにしてまいりたいと考えております。
|