県政フォトレポート
|
県政レポート
|
リンクURL
県議のコラム
|
プロフィール
|
お問い合わせ

県政レポート

令和4年の記事 令和3年の記事 令和2年の記事 令和元年の記事 平成30年の記事
平成29年の記事 平成28年の記事 平成27年の記事 平成26年の記事 平成25年の記事
平成24年の記事 平成23年の記事 平成22年の記事 平成21年の記事 平成20年の記事
平成19年の記事 平成18年の記事
 信州まつもと空港国際化早期実現に向けて全力を傾注致します!
  信州まつもと空港国際化早期実現に向けて全力を傾注致します!
提供:松本地方事務所

 県は、昨年6月に信州まつもと空港の発展・国際化への取組方針を策定し、国際化に向けた取組が本格的に始動しました。
 策定にあたり、国際化の最終目標である国際定期便の就航に向けて、スピード感を持って取り組み、数年以内には目途を立てるよう、私は県に強く要望したところであり、県もできる限り早期に就航させるべく取り組むとしておりますが、今後、何をどのように取り組んでいくのか、具体的な戦略が重要となってまいります。

専門部署の設置

(1)松本空港利活用・国際化推進室
 空港の発展・国際化への取組方針を着実に実行するためには、体制の充実強化が必須です。私が知事に対して設置を提案しました専門部署として「松本空港利活用・国際化推進室」が昨年11月1日付けで県庁内に設置されたところであります。
 この組織は、従前の交通政策課空港活性化係を充実強化するため、係から独立の「室」に格上げし、5名の職員で組織されました。本年4月からは松本市から職員1名が派遣される予定で、組織の充実が図られますが、数年で成果を挙げるためには現在の倍以上の20名近くの職員が必要になると考えております。

(2)プロジェクトチーム
 専門部署の設置とあわせて、取組方針の実現には地元市や空港関係者との連携を深める必要があり、これらの関係者で構成されるプロジェクトチーム(PT)が設置されました。このPTは、空港の発展・国際化に向けて、今後取り組むべき方策の視点や方向性を検討することとしており、また、PTのもとに方針の柱である「国内路線の拡充」「空港の国際化」「観光・賑わいの拠点としての活用」について、それぞれ担当者レベルによる作業チームを設置し、具体策や実施方法を検討することとしております。

信州まつもと空港と国際観光戦略

(1)各種ビジョン
 日本政府観光局が1月17日に発表した平成28年の訪日外国人観光客は2400万人(推計)となっており、国は平成32年には4000万人、平成42年には6000万人を目標としております。
 こうした中、長野県でも「長野県国際観光推進アクションプラン」において、外国人延べ宿泊者数を平成31年に200万人泊とする目標を立てております。
信州唯一の空の玄関口である信州まつもと空港は、本県の交流ネットワークの核であります。
 県が策定した「信州創生戦略」や「長野県新総合交通ビジョン」においても空の玄関口であるとの位置づけがされており、その活性化や機能強化の必要性を謳っております。
 現在、県では新たな総合5か年計画の策定が進められております。この計画においても信州まつもと空港を空の玄関口として位置づけ、県のさまざまな取り組みを進めていかなければならないと考えております。

(2)松本市における観光の拠点
 
一方で、信州まつもと空港は「やまびこドーム」を擁する松本平広域公園「信州スカイパーク」との一体的な活用により観光拠点としての機能を有しております。
 松本市には、中心市街地に松本城という国際的な観光拠点があり、空港と松本城は2眼レフの松本の拠点といえます。
 これからアジア・太平洋の時代を迎えるなかで、中心市街地とを結ぶアクセスを整備し、空港の周囲には諸外国を交えた国際会議等の開催ができるような会議場やホテルといったコンベンションの拠点を整備するなど、松本市も国際水準並みの観光都市を目指していく必要があります。

空港の国際化への道筋

 信州まつもと空港の国際化への取組の最終目標は、上海や台北などの東アジアの都市を結ぶ国際定期便を2路線週4便と国際チャーター便の年100便の運航ですが、取組方針では、まずチャーター便の就航を進め、次に定期便の前段となるプログラムチャーター便を経て最終的に定期便化へと段階的に進めることとしており、直近の目標として国際チャーター便の就航誘致を進めることとしております。
 県では11月補正予算でチャーター便誘致に係る経費として約1000万円を計上しました。国際チャーター便就航に対する助成を行うなど、インセンティブを充実することで、航空会社や旅行会社から選ばれる空港を目指すとしております。また、現在FDAが定期便を就航している福岡空港や新千歳空港からアジアや北米等へ向かう乗継利用の検討も進めることとしており、国内線の利用拡充も重要な取り組みの柱であります。取組方針では関西空港や韓国仁川空港などの近隣の国際ハブ空港との路線開設の実現も目指すこととしております。

国際化への課題

(1)国際線ターミナルビルの建設等
 信州まつもと空港の国際定期便の就航に向けて、まずは「1便でも多く国際チャーター便を就航してもらう」ことに取り組むこととしておりますが、国際線ターミナルビルの建設、エプロン(駐機場)の拡張や駐車場の増設といった重要かつ早急に取り組むべき課題もあり、国際チャーター便の就航誘致と並行して取り組んでいかなければなりません。
 また、空港のジェット化開港から20年が経過し、空港全体のリフレッシュ、アップグレートも必要と考えます。

(2)CIQ対応(関税・出入国管理・検疫)
 国際線ターミナルビルの建設の他にも「CIQ」といわれる「税関=Customs」「出入国管理=Immigration」「検疫=Quarantine」への対応が欠かせませんが、これには財務省、法務省、厚生労働省といった国の機関が関わることから十分な調整が必要となります。

(3)GPSを利用した着陸援助装置
 空港の機能強化のためには、視界が悪くても着陸を可能とし、飛行経路の短縮や就航率の向上に効果が期待されるGPSを活用した「RNP―AR進入方式」の導入が有効であり、航空会社と連携しRNP―AR進入方式による航路の設定等に向けた関係機関等との調整を行っていくとしております。

最近の旅客機開発

 民間航空機の市場調査を専門とする日本航空機開発協会によれば、世界のジェット旅客機の運航機数は2015年の20814機から2035年には38313機に増加すると予測されています。
 座席が100席以下のリージョナルジェット(RJ)と呼ばれるラスは現在、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルという外国の航空機メーカー2社がシェアを独占しておりますが、日本初の国産ジェット旅客機を目指す三菱のMRJのほか、ロシアや中国においても新機種の開発が進んでおります。
 RJは、価格が40~60億円ともいわれておりますが、航続距離が信州まつもと空港を起点にすると東アジアをほぼカバーする3000~4000キロあることから、RJの普及は信州まつもと空港の活用の幅を広げる大きなチャンスと期待をしております。

おわりに

 長野県における唯一の「空の玄関口」である信州まつもと空港の国際化は、松本市のみならず長野県全域の発展に欠かせないものであることは衆目の一致しているところです。
 現在は山積された課題に対して、その解決の端緒についたばかりではありますが、これから県を中心に地域が一体となってスピード感を持って確実に実施していかなければなりません。
 そのため、私としても県政最重要課題として県当局とともにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

平成28年6月定例会 総務企画警察委員会 本郷一彦委員 質疑応答概要
警察力維持強化のための人的基盤強化に関する取組について

【本郷委員】
長野県警においては、尾崎本部長を中心に崇高な理念のもと昼夜を分かたず、県民の安全安心のために尽力をいただいていることに心から敬意を表する。
刑法犯も縮小傾向にあり、交通事故も減少しているということであるが、反面で、文明化社会の成熟とともにサイバーの問題が出てきて、ICTの進化に伴い事案が複合的に内在化してきている。また、暴力団の問題、覚せい剤、特殊詐欺など、事案が多面的になっている。加えて、県民からも様々なニーズがあり、警察官が過重な仕事をしていることについて、私どもも何とかしなければならないという気持ちでは同じ土俵に乗っているつもりである。
基本的には、近代国家の秩序の維持、あるいは統治機構の視点から、警察の果たすべき役割は極めて重要である。
2020年に4千万人のインバウンドが予測される一つの要因として、秩序が保たれていることがあるが、そこでも警察行政の役割の重要性を再認識できる。
警察力の維持・強化のための人的基盤強化の取組の視点から質問する。
当県の警察官の一人当たりの負担人口は全国的に見ても非常に高く、警察官の計画的な増員は、極めて重要な課題であると認識している。
その一方で、増員と並行して、大量退職期がまさに到来中であることを踏まえつつ、警察力の維持・強化のため、警察官一人ひとりのスキルアップを図りながら、執行力の維持・効果を図っていくことが重要であると思う。
県内の総人口は、かつて222万人であったところ、現在は219万人となっているが、少子化が急速に進んでいる中で、いかに優秀な人材を確保していくかが警察力の維持・強化においても大変重要なポイントではないかと思う。
また、優秀な人材確保とともに新規採用者の早期戦力化に向けた様々な取組、職員個々の誇りと使命感の醸成、知識と技能を有する退職警察職員の効果的な活用など、警察力の維持・強化のためには広い視野で俯瞰的な立場から施策を実行する必要があると認識している。
全体状況の認識は、本部長と共通していると思うが、それを分解して数点質問する。まず、近年の定年退職者及び新規採用者の推移について伺う。

(油井警務部首席参事官兼警務課長)
委員ご指摘のとおり、本県警でも大量退職時代が続いている。
平成10年度頃までは、毎年度70名前後で推移していたところ、それ以降、徐々に増加傾向に転じ、平成18年度からは毎年150名前後が退職している。こうした傾向は、あと5年程度、平成33年度までは続く見込みである。

【本郷委員】
実戦的な現場を知っているフットワークや判断力の良い警察官が喪失していくわけである。いかに現状の戦力を維持するか、議会側としても相談して努力していきたい。
さらに分析すると、年代別構成比率が問題になってくると思う。各年代のバランスが非常に大事になってくると思うが、いかがか。

(油井警務部首席参事官兼警務課長)
大量退職に伴い新規採用者も増えており、今年も160名前後の新規採用者を採用予定である。年代別の構成比であるが、若手警察官の占める割合が増えており、本年4月現在で30%強、3分の1に近い者が30歳未満の警察官というのが実情である。

【本郷委員】
その3分の1の若手警察職員の方々は優秀であると思うが、現場第一主義ということで言えば、できるだけ知恵を使って、実戦に対応できる警察官が偏在化しないように、普遍的に県下で対応できるように考えていただきたい。
長野県警察の受験は非常にグレードが高いため、IQの高い方が入っていると聞くが、それだけ警察の仕事が高度化していることの証左である。警察官採用試験の受験倍率の推移と優秀な人材の確保のための取組と努力について伺う。

(油井警務部首席参事官兼警務課長)
先ほど申し上げたように若手警察官が非常に増えている中で、若手の早期育成が重要であり、また、その前段として、優秀な人材の確保は極めて重要である。そのような認識の上で、現在、組織的な課題として捉えているところである。
受験倍率については、最近の雇用情勢や少子化の影響もあると思うが、県警の倍率も落ちている。従前は競争倍率が7倍前後で推移していたが、昨年度の競争率が4倍と落ち込みが激しく、今年も同様の状態が続いている。

【本郷委員】
思っていた以上に難しい問題が内在化していることを確認した。したがって、若手警察職員の早期戦力化というのは簡単ではないことは素人でも予測できるが、若手警察官の戦力強化においては、執行部としても苦慮していると思う。現状の取組状況はいかがか。

(油井警務部首席参事官兼警務課長)
若手警察官の育成については、従来は、先輩の背中を見て覚えろという風潮もあったが、現状ではそんなことも言っていられず。1日でも早く若手を戦力化する必要があるのが実情であり、教養の手法として、様々な職務執行を自ら体験させるロールプレイング方式というものに力を入れている。
また、現職の警察官の中でも、それぞれ卓越した技能を有する者がいるため、そういった者を「技能指導官」として指定した上で、若手の指導に当たらせるなど、実戦的な教養手法を取り入れている。

【本郷委員】
ぜひ、実効性あるものにしていただきたい。実力のある経験豊かな退職した警察職員の活用状況も重要な点であると思うが、その点について、配慮している点を説明願いたい。

(油井警務部首席参事官兼警務課長)
退職警察職員の有効活用という点であるが、若手職員の早期育成、あるいは、現職のすべての職員に、自分の仕事に誇りと使命感を持たせるという意味でも、退職警察職員の伝承教養は非常に重要であると捉えている。現状として、それぞれの部門で優れた実績を残した先輩方を伝承官として委嘱し、警察学校や警察署に出向いて経験に基づいた生の職務倫理教養を行っていただいている。また、それに加えて、再任用制度の拡充や交番相談員やスクールサポーターといった非常勤職員の活用を通じて、退職者の組織での活用を図るとともに、若手の指導育成にも尽力いただいているという状況である。

【本郷委員】
有機的に絡ませながら束ねて、長野県警の警察力の低下を招かないように一層の努力を願いたい。
天皇皇后両陛下をお迎えしての植樹祭では。大変厳しい警備の中で、見事にクリアをされ、たいへん感謝を申し上げる。また、山の日、交通大臣会合と、今年は3大事業があるわけだが、並行して、今日も梓川で大変な事件が起きたようで、それぞれ次元の違うことであっても、大変な状況であるので、なお、一層頑張っていただきたい。
最後に、他県に先駆けて実施している施策や今後の重要課題について伺う。

(油井警務部首席参事官兼警務課長)
全国警察で相当工夫を凝らして行っているところである。ある意味出尽くしたというところもあるが、警視庁では、優秀な人材確保のためにインターシップ制度を取り入れているといった取組も図っている。他県の状況を参考にしながら、人的基盤の強化に組織として取り組んでいきたいと考えている。

松本空港の国際化について

【本郷委員】
< 要望 >
松本空港の国際化については、各党の定例会ごとに、知事に対して要望してきたが、ようやく方向性が示された。課題はいろいろあるが、小岩企画振興部長から国際化に向けて強い意志表明があり、また10年というスパンではなく、数年というスパンで実現を目指すという決意も感じ取っているところ。是非ともスピード感を持って進めてほしい。
また、私から知事に提案した「松本空港国際化推進室」については、9月から10月ぐらいには設置するようお願いしたい。それが本庁の基幹的発進力になり、同時に市町村とのプロジェクトチームで推進するという方向でお願いする。
松本空港は、アジア太平洋時代における長野県の国際化における窓口として大変重要であるので、なお一層の取組を進めていただきたい。議会側も全面的にサポートしていきたい。

大北森林組合問題について

【本郷委員】
現代の企業経営にとってコンプライアンス(法令遵守)の重要性は益々高まっている。フォルクスワーゲンや東芝など世界的な大企業でも企業経営の根幹を揺るがす事態に発展している例がみられる。地方自治体においても、住民からの信頼に応え、効率的・効果的に住民サービスを提供するためには、民間企業以上にコンプライアンス体制の構築が必要である。
県では、大北森林組合等の補助金不適正受給案件を受け、本年を「コンプライアンス元年」として、林務部のみならず県組織を挙げて取組を進めているところと承知している。具体的にどのような方策でコンプライアンスを推進していくのか。最終的に、目指すべき姿をどう考えるか。

(小林総務部長)
大北森林組合等における補助金不適正受給事案については、県職員一人ひとりが重く受け止め、ひとり林務部の話ではないというところが出発点だと考えている。私たち一人ひとりが、これを契機にどのように県民の期待や要請に応えられる組織になっていくか、これは時代の変化もあるので、それに即応してやっていかなければならないと深く自覚する必要があると思っている。具体的には、本年度、各部局及び地方事務所ごとにコンプライアンス委員会を立ち上げ、それぞれのところで行政経営理念を始め、発生した事案や今後の働きやすい職場づくりや取組みなどの検討を始めているところ。そういった中で、全庁一斉に業務の棚卸を各部局で実施している。総務部から取組をはじめているところであるが、これは経費の削減ということもあるが、より職員が働きやすい、風通しがよい職場づくりにもつなげていかなければならないと思っている。
これらを十分達成できるように、これから各部局等のコンプライアンス委員会及び部局長会議の場で共有しながら、しっかりと取組み、そうした組織に再生していくことが私どもの目指すところであると考えている。

【本郷委員】
ぜひ、全職員が一丸となって県民の幸せと生活向上のために一層コンプライアンス意識を徹底してもらいたい。

現地機関の見直しについて

【本郷委員】
信州創生戦略は、計画策定段階から具体的な施策の実行段階へと新たなステージへ移行している。国・県・市町村の総合戦略においてすべての枕詞は、「人口減少」であり、先進国の中でも日本国は大きなパラダイムシフトが起きていることは周知のとおり。県民参加のもと、関係機関の連携によって地域自らが主体的に取り組める体制地域自らが主体的に取り組める体制の構築が求められている。一億総活躍社会、活力ある日本社会を維持するためには、地方創生はその中核を成すものであり、「信州創生戦略」の成功こそが、現在の県政の最重要テーマであることは言うまでもない。
総合戦略において長野県の人口は、一定の政策を講じたとしても2060年には161万人。更に、特段の政策を講じない場合は2060年に130万人余りまで減少するとされており、生産年齢人口の減少など人口減少がもたらす影響は、我が国経済ばかりではなく、私たちが暮らす地域社会の存立をも脅かすものであり、その影響は計り知れない。
「現地機関の見直し」はそうしたパラダイムシフトを認識した上で、「信州創生に一丸となって取り組み、県民の期待に応えることができる新たな現地機関を目指して」としており、時代認識は正鵠を射たものとなっている。この度の見直しは、10圏域における主体性、或いは現地住民との複合的なコラボレーションなど、従来の形だけのものではなく、時代の変革に合わせた改革が必要である。現地機関の見直しの趣旨と目指すところについて、行政改革課長にお聞きするとともに、総務部長の意気込みを伺う。

(井出行政改革課長)
人口減少が進行しているという時代の流れにあって、これまでの行政の枠組み・体制だけでは対応できない課題が生じている。こうした状況を踏まえ、これまでの組織の壁、或いは縦割りの壁を越えて、連携しながら総合力が発揮できるような現地機関にしていかなければならない。具体的には、横断的な対応が必要な課題について、地方事務所を改組した地域振興局が中心となって他の現地機関とともに取り組む体制を構築していきたいと考えており、そのために必要な予算・人員等を確保することができる仕組みとしていきたい。これにより、地域振興局長がリーダーシップを発揮し、地域で課題に取り組める「課題解決をする機能」を持つ組織としたい。

(小林総務部長)
現地機関の見直しの大きな流れとしては、現地のことは現地でできるようにすることであり、横の連携をしっかり行い、地域課題に立ち向かことが重要である。これまでも数十年かけて取り組んできた課題であるが、それが十分に達成できていないということでもある。したがって、単に局ができればいいという訳でなく、それぞれの専門性や迅速性などの長所を活かし、しっかりと横の連携を取りながら、本庁サポートのもと、局を中心に現地が動いていくといった組織とすることが重要と考えている。まさに「背水の陣」で取り組みたい。

【本郷委員】
他県の地域振興局を視察してきたが、形だけで中身が変わっていないという印象を受けている。最終的には予算の独立性、人事、本庁との関係など難しい問題もあるが、長野県方式の実効性のある現地機関となるように、熟慮を重ね、他県の例も参考にしながら血の通ったシステムとしてほしい。

地方と大都市の関係について

【本郷委員】
暮らしやすく、子どもを産み、育てやすい地方から人口が流出し、結婚できない、子どもが出来ない環境下にある一都三県へ一極集中している。こうした不条理な現状をふまえ、地方創生における「地方と大都市の関係」をどのように認識しているのか。

(小岩企画振興部長)
地方創生は「地方を良くしよう」という単純なものではない。地方と都市の両方があって日本があるわけで、その両方が良くならなければこの国全体は良くならない、と認識している。景気が悪化すると、都市部への人口流入が加速する、というのがデータ上も明らかであり、国全体の景気が良くならないと、地方はますます疲弊していく悪循環に陥る。以前は、地方からの人口流入先の都市部が、日本全体の景気を引っ張っていたが、現在は、都市部もインフラ整備、医療や政治などの面で限界が出てきている。長野県を「地方」と位置付ければ、長野県のことだけを考えるのではなくて、地方から見た都市部の課題を含めた広い視野を持ち、地方と都市の相関関係の中で地方のあり方を考えていくべきである。この趣旨に基づいて、信州創生戦略の中に「相乗効果」という言葉を敢えて入れさせてもらった。大きな捉え方の中で地方創生に取り組んでいきたいと考えている。

移住施策の推進について

【本郷委員】
創生戦略の「郷学・郷就」という造語は、的を射ておりいい表現。だが、現実的に日本の企業を見ると、世界トップ企業の1,200社のうち、日本企業は150社であり、東京に本社を置くのは105社。集中度は70%。アメリカ企業は489社あるが、(首都に本社を置くのは)40社に過ぎず集中度は9%。スイスやドイツも同程度。本社を置くことは、雇用を生むなどいい影響がある。研究所にも同様の効果がある。地方に本社機能・研究所を誘致することが好循環の一つの始点となり、それが真の社会のイノベーションに繋がる。そういう意味で大都市からの移住についてどう取り組むのか。

(丹羽 楽園信州・移住推進室長)
現在、個人の価値観が多様化している中で、多様な働き方、暮らし方を定着させていく必要がある。信州創生戦略においては、農ある暮らしとやりがいのある仕事を両立するライフスタイルや、長野県独自の豊かなゆとりある暮らしを発信することとしている。また、子育て世代・家庭、女性の視点を大切にしながら、官民一体となって移住施策を推進していく。具体的には、田舎暮らし「楽園信州」推進協議会を活性化・体制強化し、官民一体となって移住施策を推進していく。また、民間事業者と連携し、「楽園信州空き家バンク」での住まいの情報提供や、UIターン転職セミナーの中で就職情報を提供していきたい。さらに、三大都市圏に専門の移住相談員を配置し、ふるさと回帰支援センターでは相談体制の充実強化をしながら、きめ細かに移住相談の対応をしていく。他にも、本日提案させていただいた、大都市と比較した長野県での暮らしの優位性を数値化し、それを説得あるものとして発信し、移住施策を推進していきたい。

地方創生について

【本郷委員】
長野県の労働生産性は全国平均の約800万円より少ない約700万円で第33位である。労働生産性を高めるためには相応の賃金、安定した雇用形態、やりがいのある仕事が必要である。県や市町村、産業界、労働界がオール信州で有機的につながり施策を実行することが信州創生の成功の成否を握ると考えている。具体的にどのような体制で総合戦略を推進していくかお聞きしたい。

(伊藤総合政策課長)
信州創生戦略は県だけでなく、様々な機関にも同じ方向を向いて取り組んでいただく必要がある。このため戦略の策定に当たっては、産学官労の11団体で構成する「長野県人口定着・確かな暮らし実現会議」を立ち上げた。これは諮問機関ではなく、戦略を実行していくための推進組織として位置づけている。具体的には、宅建協会と連携した移住施策、金融機関と連携した企業の経営指導、経済4団体や連合長野、長野労働局と連携した働き方改革などを行っている。実現会議をハブとして県がコーディネートしながら各機関と連携して施策を進めていく。

【本郷委員】
世界経済は大きな転換期にある。資本が増加するための実物投資空間が限界を迎えており、グローバリズムを安易に広げていくわけにはいかない。グローバル化や東京への一極集中は地方創生の目指す姿とは正反対の方向であり、長野県としてどう対応していくかお聞きしたい。

(小岩企画振興部長)
イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選、東南アジアの様々な問題など、グローバル化の反動が出てきている。知らないうちに大きな流れに飲み込まれることの無いように、グローバル化と適切な距離感を保ちながら今後すべきことを見極める必要がある。信州創生戦略では「活力と循環の信州経済の創出」を掲げているが、外に依存しすぎない、ある程度自立した経済構造に体質改善していく必要があると考える。

第15回 都道府県議会議員 研究交流大会 議会人の、議会人による、議会人のための研究集会 ~真の地方自治を目指して~
【本郷議員】
 今日は北海道の三好先生もご一緒でございますが、最初のご指名ということでお許しをいただいた次第でございます。
 私、長野県議会議員の本郷一彦でございます。ただいま6期日でございまして、所属会派は自由民主党県議団、現在は団長をさせていただいております。
 本日、地方創生と議会の役割というテーマの分科会での事例発表ということでございまして、私が長野県議会地方創生総合戦略研究会の会長を仰せつかっておりますことから、長野県版の地方創生総合戦略の策定に当たっての長野県議会での取組状況をご説明させていただきたいと思う次第でございます。
 まず、皆様ご承知のとおり、昨年11月、少子高齢化による人口減少や東京一極集中などの問題に対応し、将来にわたって活力ある日本社会を維持するためのまち・ひと・しごと創生法が制定され、その中で、都道府県及び市町村はそれぞれの地方版総合戟略を策定するよう努めなければならないこととされました。また、12月には、まち・ひと・しごと創生法に基づくまち・ひと・しごと創生総合戟略が閣議決定され、地方自治体はこれを勘案し、地方版の総合戦略を平成27年度中に策定することとされ、各自治体とも総合戟略の策定を進めているところでございます。
 長野県におきましては、平成25年度を初年度とする総合5か年計画、しあわせ信州創造プランを策定し、施策を推進しているところであります。今般の総合戟略、長野県では、・長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戟略と名づけていますが、しあわせ信州創造プランを基本とし、人口減少の抑制と人口減少を踏まえた地域社会の維持、活性化に向けた施策をさらに深化、展開させるものとして策定したところでございます。

 県では、取組を全県挙げて推進するため、長野県人口定着・確かな暮らし実現会議を全国に発駆けて昨年9月に設置し、これは県、市長会、町村会、長野労働局、経営者協会などにより構成するものですが、この実現会議を中心に議論を進め、これからご紹介いたします長野県議会地方創生総合戦略研究会との議論、また市町村やさまざまな団体との意見交換会等を踏まえ、この10月に給合戦略を策定したところでございます。
 長野県議会としましては、県の総合戦略の策定に当たり、二元代表制の一翼を担う議会として、総合戟略の策定段階から執行部と意見交換ができるよう、各会派代表者との打合せ会議におきまして長野県議会地方創生総合戦略研究会の設置を.決定し、本年6月から活動してきたところでございます。委員は11人とし、ドント方式により各会派から委員を選出していただきました。研究会では、県の総合戟略の策定状況に応じ、執行部から説明を受け、さまざまな観点から建設的な提言をしてまいった次第でございます。
 県では、少子化、結婚の現状、人口の現状分析等を踏まえ、施策展開の方向性、現状と課題、人口の現状と将来展望など、段階ごとに実現会議、議会の研究会、市町村、さまざまな団体と議論、意見交換を行い、総合戟略を策定したところでございます。
 ここで、長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略の概要について触れさせていただきます。人口の現状と将来展望としては、長野県人口は2000年をピークに減少に転じ、2010年には215万人となっております。特段の政策を講じなければ、2060年には129万人と推計されますが、結婚、出産、子育て支援等により、合計特殊出生率の上昇、さらには多様を人材の定着や経済構造の転換などにより人口流出を食い止め、人を引きつけることで、2060年で161万人、長期的には150万人程度で定常化すると見込んでおります。また、生産年齢人口は一般的に15歳から64歳とされており、長期的には55%と見込まれるものの、高校進学率がほぼ100%となり、平均余命や健康寿命が延びている今日において、元気で活躍できる年代を20歳から74歳と捉えることにより、60%を超えて定常化すると見込んでおります。
 このような人口の将来展望を踏まえ、単に5か年間の戦略を提示するだけでなく、中長期にわたる施策構築の考え方や、未来の姿を明確にして取り組むため、人生を楽しむことができる多様な働き方・暮らし方の創造、若者のライフデザインの希望実現などの6つの柱からなる基本方針を定めています。これは他県に見られない戦略策定の手法となっております。
 また、基本方針の実現に向け、自然減への歯止め、社会増への転換、仕事と収入の確保、人口減少下での地域の活力確保の4つの基本目標を設定し、今後5年間での達成を目指して具体的な施策を展開することとしているものであります。
 研究会としましては、全国の自治体で総合戦略が策定される中、ダイナミックで独自性のある戦略を求めたところであり、一例を申し上げます。これは議会側の研究会の例でございます。1つは、産科医不足対策として、産科医を目指す学生への手厚い助成制度、結婚の世話を焼くような人がいなくなっている時代、結婚支援のための実効性あるシステム、企業の本社機能・研究所等の誘致に併せた県独自の助成制度、県内就職を促進するため、インターンシップに関わる経費の助成、大学進学時などに多くの若者が県外へ流出していることから、社会増のための県内高等教育の質的・量的な充実、また、一番重要でございますけれども、産業の問題でございますが、価格決定力のある製造業への転換など、ほかにもさまざまな提案を行い、多くが総合戦略に反映されたところであります。
 長野県は全国で4番目の面積で、市町村の数も77と北海道に次いで多く、人口は、県庁のございます長野市の37万7000人から、最少の520人の村まであり、地域の特性、課題など、さまざまな違いがあります。県の総合戦略の策定に当たっては、こうした地域の実情を踏まえ、県と市町村が有機的に連携し、策定していく必要がございます。今後、年度末までに総合戟略を策定する市町村も多くありますが、県では引き続き市町村等と取組の方向性を共有しながら施策を構築し、年度末をめどに県の総合戦略を改定することとしております。
 まとめに、10月までに総合戦略を策定するというスケジュールの中、県議会議員の改選により、6月からの研究会の活動となり、短期間ではありましたが、県執行部だけでつくり上げた計画を議会で議論するのではなく、議会として策定段階から関与し、県執行部と議論、意見交換する中で、地域の状況をよく知っている議員の考えや意見を伝え、総合戦略に反映できたことは非常に有意義であったと認識しております。今後、事業の執行段階においても、議会として効果検証を行い、人口減少社会の中でも輝ける長野県として進化できるよう、県執行部と車の両輪となって推進してまいります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

 総合戦略につきましては、先ほどちょっと触れまして、早口言葉だったのでわかりにくいと思いますけど、中期総合計画を策定するときにおきましても、同じく議会側もコミットしてきました。したがって、こうした最近の傾向でございますけれども、都道府県における戦略性のあるいろんなプログラムの根本的な問題については、議会も、先ほどの講師の先生のお話のとおり、政策形成能力、政策立案能力、つまり議会の本質的な問題は執行機関に対する議決機関であります。したがって、チェック機能の向上が一番の役目でございますけれども、同時に車の両輪としての役目が非常に重要であるという認識が長野県議会では普遍性を持っております。そういう意味において、今度は2度目の研究会でございまして、中期総合計画においても私、たまたま会長を仰せつかりましてやってきた、そんな経過がありまして、そういう意識が醸成して、4月の統一地方選挙の直後でございましたけれども、できるだけ速やかに各会派の合意ができて今日に至ったと、こういう経過でございます。

 今度の地方創生総合戦略は、一番の原点は、増田レポートのショッキングな、あれがインセンティブになっていると思うんです。思い出せば、田中内閣における日本列島改造論、それから大平内閣における田園都市構想、竹下内閣におけるふるさと創生等々をやって、あらゆる社会的インフラ、特に交通関係において立派な日本をつくってきたんですが、結果的には増田レポートのような状況が起きている。それが一番問題だと思います。
 一極集中については、東京の方や神奈川や埼玉や千葉の先生方に失礼かもしれませんが、東京がGDP90兆円、それから神奈川が横浜を持っていますので40数兆、それから埼玉、千葉が30兆、大体合わせますと200兆、カウントの仕方によりますけれども、我が国のGDPは490から500兆であります。総理は今後、2020年までに600兆やると言っておりますが、それはそれとして、実は大変な格差が起きております。長野県はGDPはわずか8兆円でございます。他県も多分、200万人前後はほとんど同じだと思います。したがって、交通インフラを整備し、あるいは港湾を整備し、新幹線をつくり、高速道路をつくったということの中において、こういう問題が起きたのは一体どういうことであるかということが実は根源的な、本質的な問題が複合的に内在していると。その辺のことをしっかりしなければならないということであります。
 それで、10月までに内閣府が言ったのは、これは先行型交付金で、全国の市町村、約1700前後のうち、42%が提出しただけでございます。つまり、あとは提出をまだされておりません。ですからどうだというような稚拙な話ではなくて、地方創生の本格的な、今、三好先生のところもうちも大きい考え方は言いましたけれども、具体的な政策と予算的な裏づけについては極めて難しい問題があるわけです。
 したがって、内閣府は来年度、地方創生について1000億という線を今から何カ月か前に出しました。今度の10月の先行型交付金は各市町村1000万でございます。都道府県も約1000万というふうに考えたて、と思うんです。そういう意味において、来年度予算がどういう形で、いよいよ概算要求が今、国会のほうで動いて、今日、多分、永田町、霞ケ開は各都道府県の知事さんや副知事さんが大挙していると思います。そういう中において、基本的には財政的な裏づけをきちんとしなければ、先ほど島根県さんのは極めて先行型で、一つの例になると思いますが、なかなか財政が逼迫している中における地方創生をどうするか。つまり好循環に持っていかなければいけませんので、これだけ閉塞感のある地方経済にインセンティブを与えるには、どう考えてもケインズ的な有効需要、つまり財政出動することによって一つのブレイクスルーをしなければいけない。こういうものが背景にあると。
 その中における、先ほどの三好先生や僕らの考え方でございますが、これをいかに肉づけをして、政策として実行して、ある意味では、今まで列島改造論、田園都市構想、地方創生の竹下内閣のものが完全に成功したとは言えないということにおいては、やや歴史的な文明論で見れば、最後の崖っぷち、日本の地方経済再生の、地方創生の一番のパラダイムシフトのところにいると、こういう認識を、今の先生方のお話を開いて感じたところでございます。

 先進国の中における人口における公務員の割合は、今、先生がおっしゃったとおり、日本が一番低いんです。霞ヶ関文学という表現をいろんな方がされていますけれども、一種の都道府県文学と言ってもいいと思うんですが、SNSがものすごく発達した関係で、ほとんどが似たようなものが出ているという状況であります。したがって、議会がなぜコミットするかと言えば、議会人のほうが現場あるいは社会情勢に対するリアリティー、そういうものの感性や発想力というものが、俗にいう県庁の地方官僚よりもすぐれたものを持っている人がかなりいらっしゃるということです。したがって、それをいかにコラボレーションするかということが大事で、文章的には、机上プランでは非常に優秀なものが出てくるんですが、それがある年限がたつと、どこかにお蔵入りされてしまう。こういうものの繰り返しだったわけです。
 そういう意味において、先ほどのお話のとおり、大社さんのお話のとおり、議員の持つフットワークや現場感覚、特に感性や想像力や発想力というものは、今日ご出席の先生方はずば抜けたものを持っていると思うんです。しかし、そういうものがないと、21世紀の日本の国土形成あるいは地域社会のコミュニティーの醸成は無理だと思います。ちなみに、50年後には日本の人口は8000万人、そして100年後には4000万人と言われています。終戦直後が7000万人、江戸時代が4000万人ですから、そういうことがもし起きたとすれば、超高齢化社会というよりも、超高齢社会に対して今、社会保障費は全部をカウントしますと156兆円であります。国家予算が95兆円でありますから、毎年1兆円ずつ増えて、ついに医療費は40兆を超えました。そういうものを産業政策と社会保障のバランスをどうするかということが、実は地方においても根源的な問題であります。
 たまたま長野県には5000人前後の、下條村という村がありますが、これは実は人口が増えております。それから、川上村という日本一の高原野菜の村が、これは全国町村会長をやられている、藤原さんが町村会長で、4期日の会長をやっておりますが、年収は大体3500万から4000万でございます。
 つまり、増田レポートの言いたかったことは、1つは、僕ら自身が当事者意識を相当強く持たなければいけないと同時に、首長の持っている将来に対するビジョンなり、政治理念なり、哲学なり、発想力というものによって、幾らでも何とでもなるわけです。その辺の本質論や根源論について、私ども議会側も共有しながら、この危機をいかに突破するか、こういうことではないかと、こう思っております。

 大社先生から観光面についてお話しいただいたものを、私から先生のお話に共感しながらお話ししていきたいと思うんですけれども、つまり観光とまちづくりの共有ということで、全国にすばらしい都市はいっばいございますけれども、例えば湯布院ですね。湯布院は、今、年間400万人くらい来ているようでございますし、あるいは津和野とか、岐阜県の高山とか、あるいは先日、初めて角館へ行ってまいりました。つまり、まさに観光とまちづくりが完全に一体になっております。去年、道後温泉に視察に行きましたら、商店街連盟と温泉が完全に一体化しまして、非常にコンパクトですけれども、非常に質感の高いまちづくりがここ何年かでできていました。
 今度リニアがいよいよ名古屋と品川を結ぶわけですけれども、この間、長野県は飯田市になりますけれども、飯田市と品川が20分、名古屋と品川が40分ということになり、そういうときに、私ども地方創生において考えなければいけないのは、まちづくりをするのに潜伏期間が、高山でも大体15年、ほかのところも大体15年から20年かかっているわけで、つまり、今度の地方創生戟略というものは5か年計画でありますが、もうちょっと長いスパンで日本の国づくりというもの、あるいは地域づくりというものをしなければいけないと、こういう感じを持っておりますが、いずれにしても、その地域における物語性、ストーリー性、あるいは歴史とか伝統とか文化というものが複合的に加味されないと、まちの本当の魅力か出てこないと。そういう意味で、先生のさらなるご解説をいただければと思います。

 実は、三菱リージョナルジェットがいよいよテイクオフ、大成功いたしました。あれは実は1500メートルでテイクオフできるわけです。長野県には、唯一松本に2000メートルの空港があって、国内線でやっておりますが、観光戦略としましては、三菱リージョナルは航続距離が約3500キロぐらい、時速800キロから900キロということで、あと2500時間の耐久テストを受けて、2年後にマーケットに出てまいります。
 そういう意味から、私が申し上げたいのは、最大限、高雄、台北、上海、北京、仁川、ウラジオストク、ハバロフスクまで行けます。したがって、攻める観光ということにおいては、信州まつもと空港を国際空港化にすべく、今、県当局はかなり緻密に、私もそのど真ん中におりますけれども、詰めております。エンブラエルも、ブラジルのE2型というのをつくっておりますが、いずれにしても、日本の航空産業が、航空機というのは約100万個の部品があるわけであります。したがって、ご関係の県の先生方も多いと思いますけれども、航空宇宙クラスター構想を各県が打ち立てております。こういうものが好循環にかみ合えば、ロボットや人工知能や航空機、その他ナノテク、言えば切りがございませんが、次世代産業というものをきちんと育てていかなければいけない。
 それからもう1点、これは産業面でございますけれども、健康面でございますが、先般、長野県と松本が経済産業省のヘルスバレー構想、あるいはヘルスラボ、これが採択をされました。特に松本市は、健康寿命延伸都市という、ちょっと分かりにくい言葉でございますけれども、これが首長の最大の理念としてやっておりまして、松本市35ブロック、大きなブロックの中に公民館と福祉施設を複合的にハードを全部そろえました。そういう意味において、これから健康長寿が国策としても地方行政としても最大の問題でございますから、それに絡めて、特養、老健、あるいはケアハウス、その他もろもろ高齢者向け住宅、あるいはデイサービス、それから、今、皆さんご専門の地域包括ケアシステムをいかに具現化していくかと。これは机上プランとしては非常にいいんですが、開業医の先生や看護師の先生方、施設から在宅への理念の転化でございますから、こういうものも今、ヘルスバレー構想の中として全力で具現化するようにしているというのが長野県の現状でございます。

 大阪の大先生からご指摘いただきまして、1点は、経済財政諮問会議がそういう役目があって、今、一定の存在感がなくなってきて、先ほどの先生のお話の中の国と地方の協議の場、これは実は官邸で地方六団体がイーブンの関係で話をするわけです。したがって、政策問題を含めてこの機能を相当強く言わなければいけない。したがって、知事あるいは市町村長、そういう地方六団体が来ておりますので、少し現実的な話として活用していくことが、実際問題として、政治的な現実とすれば、官邸におけるその機能をより一層、先生の政治力で活用していただければと、このように思うところでございます。
 それから、根源的には、地方交付税は戦後、シャウプ博士が、シャウプ勧告によってやって、あまりにも日本が疲弊していて、びっくりしまして、地方交付税というものを、全く新しいシステムを日本に導入して、今日の日本の繁栄の基盤をつくったことは先生ご承知のとおりでございます。
 しかし、もう一歩、今の先生のお話を進めますと、税制改革の問題になってまいりますので、国と地方、あるいは財務当局等々の全体のバランスの中でどうしていくかというような問題が出てきますが、政治は税であるということを言った国会議員もおりますが、今の問題は非常に重要でございまして、よく地方財政の借金の問題等もあって、あと裏負担で国で持つからという、臨時財政対策債の問題等も含めて、もう一度地方に財源がより豊かに来るように持ってくることが一番大事であって、首都圏は首都圏としての悩みがあることは十分承知していますが、今の状況が続けば、かつて3割自治と言われた日本の自治が、長野県におきましても、一般会計で約9000億前後から1兆円近いんですが、自主財源は2200億でございます。他県も多分同じだと思います。そういう中において、根源的な税制改革というものをやらなければいけない。
 それと同時に、今、先生のおっしゃるとおり、対応としては、国と地方の協議の場、これはかなり影響力が出ます。ですから、長野県に限らず、農業のTPPの問題も大変重要な問題であります。余分なことでございますけれども、欧米は安全保障の観点は、1点は食料です。これはご承知のとおり39%、今、下がりつつあります。エネルギーが自給率5%、防衛問題は言うまでもございません。ですから、そういう意味において、実は欧米は大体所得の8割ぐらいがいろんな引き出しから来た税金で対応しているんです。しかし、それは内在化しております。表面には出てきません。それで、年次改革要望で毎年アメリカから日本にいろんな要望が来ておりますが、そういう問題とも微妙に絡んでおりまして、私どもが主権国家として真に日本の統治機構をどうするかということにおいては、今、先生がご指摘のとおり、地方の自立性を担保するための新たなる税制の枠組みというものを、まさに真の地方分権のために努力するのが僕らの責務じゃないかと、こういう認識を持っております。

 規制改革、コンサバティブな立場で言いますと、そのバランスが非常に重要で、閉塞感を突破するには特区の意味はあると思うんです。しかし全体のバランスの中においてどうするかということにおいては、相当各関係者とも協議の場が必要ではないかと。
 規制のものを守るとか、そういうことよりも、日本の持っている本当の意味での伝統や歴史や地域の共同体とか、そうしたものも基盤として、精神構造として持っていませんと、グローバリズム的な、中国がシンセンを特区にして、あれがインセンティブになって今日の中国の繁栄があるわけでございますが、現在の中国の状況を見たときに、大変な事態に陥っているわけです。そういう意味においても、先ほどの話を整理しますと、県と市と観光協会とコンベンションビューロー、こういうものが全体に体系的に整理されていないということは事実だと思います。ですから、その辺のところをまずきちんと統一感を持ってやることが観光施策の上で非常に重要な視点ではないかと、このように思っております。

 ちょっと私は違う角度から同様のことを答えたいと思いますけれども、地方自治が団体自治で団体法であるという、先ほど先生からのお話がございました。したがって、議会が決めたことが果たして団体意思と言えるかどうかというご意見もいろいろあるというふうに先ほど講師の先生がおっしゃいました。
 プラトンの国家論の中で、古代からプラトンは直接民主主義の危機を訴えております。つまり、極めて一時的にモチベーションが上がるんですが、そこに非常に危機が内在しているということであります。そういう意味からいくと、私ども議会の果たすべき役割は、一種の代議員制であり、間接民主主義ではありますけれども、議会の持つべき今後の役割というのを、単なる熱狂の中だけでやっていくことは極めて危険であります。そういう視点から、専門性あるいは、もっと固く言えば政治理念なり、政治思想なり、政治哲学というものを明確に持って、都道府県議会議員が大変重要な役割の位置付けにいるという、そういうご認識を持って、大いに矜持、プライドを持って今後の運営に当たっていただくことが一番大事ではないかと、このように感じております。

平成28年2月定例会 環境産業観光委員会【産業労働部関係】質疑要旨
産業政策監としての今後の進め方、考え方について

【本郷議員】
 今回の新年度予算(案)を見ると、主要6本の柱のうち「信州産業のイノベーション創出」や「地消地産の推進」など、経済・産業の再生・振興が県政の大きな部分を占めていることが認められる。施策は関係部局が連携・協働して進めていると認識しているが、縦割り体制の中で成果を上げていくのは大変だと思う。産業振興を束ねてパワーを付けていかなければいけない立場で、石原部長に今後の進め方、考え方についてマクロ的な観点から所見を伺う。

【石原産業政策監兼産業労働部長】
 産業労働部で(施策を)行う中で、やはりこれからグローバル経済だといっても、地域経済がしっかりしていかなければ、グローバル経済、国際経済の中でも勝つことはできないと考えている。したがって、今回、私どもが作った予算案の中でも、足腰の強い自立した経済構造づくりを大きなテーマとして挙げているところ。日本という国は資源がないので、外から原材料を入れて、中でしっかりと付加価値を付けて、また外に出していく、という基本形は今後も変わらないと考えている。ただ、技術の優位性を保てる時期が以前に比べてかなり短くなってきており、2番手グループが1番甘いところ、よいところを持って行く形になっている。しかし、日本、長野県は、常に一番バッターを走り続けなければならない状況にあるのではと考えている。したがって、技術をこれからもしっかりと振興し、日本でなければ、長野県でなければ出来ないようなものを作り続ける、という高い志で今後も続けてまいりたい。その中において、今回の予算案は、外の市場を取りに行くということが1つある。また、県外から買っていたものを県内のものに置き換えることによっても同じ効果が出るということで、「地消地産」という新しい考え方をしっかりと進めてまいりたいと考えている。新しい予算の中においては、「地消地産」と「外貨を稼ぐ」、この2つを中心に、成功事例を作ることにこだわって、来年度はやってみたいと考えている。

新年度予算(信州ならではの働き方推進)について

【本郷委員】
 産業の振興と並んで、働き方の推進は大事な考え方。部局横断的な取組が必要である。移住したい県10年連続第1位といった中、「信州ならではの働き方推進」についてその考えを伺う。

【山本雇用就業支援担当部長】
 信州創生のためには、産業振興と相まって人材の育成、確保が極めて重要と考えている。6本柱の中でも「郷学郷就の県づくり」ということで、故郷で学び故郷に就職してもらうということを大きな柱としている。そのためには、どこの地方でも人材を求めているので、信州らしい働き方を推進して人材を育成・確保していく必要がある。まず、信州の暮らしを支える人材として、クリエイティブな人材や医療・福祉を支える人材を確保していく。そして、こうした人材が信州で多様な働き方をすることによって、人生を楽しみ、生きがいをもって仕事をしていくという社会を実現し、そうした長野県で働き、暮らす人達を見て、都会で働いている皆さんが、長野県に移住して仕事をしてみたい、ということで移住を促進していく。このサイクルを回して人材を育成し、確保していくということが重要であると思っている。そのためには、先ほど委員から話があったとおり、産業労働部だけでなく、企画振興部、県民文化部、健康福祉部等、様々な部と連携して進めていく必要があると考えている。各部と連携し、部局横断で「信州ならではの働き方推進」を進めていくのでよろしくお願いしたい。

【本郷委員】
 是非、部長の精励をお願いしたい。信州らしい働き方の実現に向けて、協力していきたい。

マイナス金利導入が県内企業に与える影響について

【本郷委員】
 新しい価値観であるマイナス金利については評価が分かれるところではあるが、マイナス金利についての石原部長のお考えを伺う。

【石原産業政策監兼産業労働部長】
 デフレ脱却に対して政府が強い姿勢を出してきたのだと感じている。政府全体を見ると、財政バランスが一つの大きな課題。景気にてこ入れして、まずはデフレから脱却することを先にやるべきということを強い意思で示しているものと考えている。アベノミクスの第1・第2の矢の、財政・金融施策により、我々は成長する時間をもらった。県としては、長野県産業イノベーション推進本部を中心として、県の中でできる施策を自分自身でしっかりと考えてまいりたい。

【本郷委員】
 財政再建は政治の基本的な背骨。ただし、増税によって財政再建を果たした国は世界史的にない。唯一の成功はクリントン政権下でICT革命によってプライマリーバランスを実現したこと。その後湾岸戦争によりお金を使いすぎておかしくなってしまったが、健全な成熟した経済成長によってしか財政再建はできない。その元凶はデフレであり、その点、石原部長の見解と一致。マイナス金利で設備投資が進むといわれる。一部上場企業の内部留保は300~400兆円といわれるが、県内企業とはステージが異なる。マイナス金利導入の導入による、県内企業への実体的な影響について、現状はいかがか。

【内田産業政策課長】
 施策導入の効果、影響については、県内企業の設備投資、民需を喚起することにより経済循環をよくするということであるが、今のところ導入されたばかりで、どんな状況かというのは出てきていない。ただ、一部には、企業に対して金融機関から融資の話が来ているということがある。設備投資が今後どうなっていくか、少し期待できるところと考えている。また、個人消費に関しては、今日の日経新聞にも出ていたが、住宅ローンの借換が2.5倍になっているということで、今後、新規の需要が出てくるということがあるし、住宅建設に関しては、来年4月の消費税の駆け込み需要が既に始まっているという話もあるので期待できるところ。また、円高に振れていた為替レートも、ここのところ2~3日、円安の方向に来ており、再び円安に進めば、原材料高を差し引けば輸出企業やインバウンドにも好影響があるのではないかと考えている。

マイナス金利政策の県中小企業融資制度資金への影響について

【本郷委員】
 日本銀行のマイナス金利政策と県制度資金の連関性はどうなっているか。

【林産業立地・経営支援課長】
 県制度資金は「一般の金融ベースに乗り難い中小企業」への金融支援が目的。現状では、マイナス金利政策による市中金利への下押し圧力が、波及効果として徐々に出始めている。そのような状況を注視していかなければならないが、素直にとらえれば、金融機関の融資姿勢は積極化するだろうと思っている。しかし、逆に、金融機関の経営が低金利で圧迫されることで、貸し渋りがおきるのではないかという識者もいる。マイナス金利政策が、良い影響と悪い影響の両面を持っていることを念頭に置いて、資金需要のバランスをみながら、金融機関と連携して対応したい。今回全体として利率を0.2%引下げたが、マイナス金利政策への対応というよりも、昨今の市中金利の低下に対応するため、金融機関と連携して決定した。今後についても、バランスを見ながら対応してまいりたい。

【本郷委員】
 正確に現状を認識している。バランスをとって、制度資金が有効に稼働するようお願いしたい。

メディカル産業振興について

【本郷委員】
 2月15日に中小企業振興審議会が開催され、長野県ものづくり産業振興戦略プランの次期改定について議論された。現プランでは、次世代産業として「健康・医療」、「環境・エネルギー」、「次世代交通」の3分野の振興を図ってきた。「長野県ヘルスケア機器等製品開発事例集」は、よくまとまっているが、特に、「健康・医療」分野のメディカル産業について、これまでの成果についてはいかがか。

【上原参事兼ものづくり振興課長】
 メディカル産業への取組について、国の補助金を受け、産学官連携で取り組んできた。具体的には、松本に、文部科学省の補助金を活用し「信州メディカルシーズ育成拠点」を整備し、さらに経済産業省の補助金を活用し、共同研究施設「信州地域技術メディカル展開センター」を整備した。ここに県内企業8社が入居し、医学部と連携して最先端の研究を進めている。また、東京の医療機器製販企業との連携による新たな市場への参入を図る取組を進めている。その成果として、特許出願件数が178件、商品化件数が50件以上であり、売上は60億円を超えている。数字的にも確実に成果が上がっている。

【本郷委員】
 特許について、取得件数世界上位50社のうち15社が日本企業であり、トップである。技術貿易収支というカテゴリでは、20年連続黒字で2兆3000億円となっている。いずれ5兆円になると言われている。是非、現在、基盤ができつつあるので、さらにステップアップできるよう努力願いたい。

「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」の改定作業を進める体制について

【本郷委員】
 「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」の改定について、どのような体制で作業を進めていくのか。

【内田産業政策課長】
 現在のプランの計画期間が平成24年度から平成28年度ということで、改定の時期を迎えているということ。改定の方向性としては、長野県中小企業振興審議会が中小企業の振興に関する事項について調査審議をするということになっているため、同審議会を中心として、その中に次期プランを検討する専門部会を設置して、検討作業を進めていく。2月15日の審議会では、専門部会の委員に、県内製造業の経営者やものづくり産業に知見を有する方6名を私どもの方で専任させていただき、承認を得たところ。今後のスケジュールについては、TPPの関係や国際経済が一部活発化しているということもあり、その辺りを十分考慮する必要性と、現行プランが上位計画である「しあわせ信州創造プラン」の計画期間と1年間のずれがある。今回は上位計画の計画期間とあわせたいため、次期5か年計画が平成30年度から平成34年度であるため、それにあわせるように改定を進めていきたいということで、審議会の了承を得た。改定作業は28年度、29年度の2年間となり、29年度が空白期間となるため、その部分については暫定プラン等を策定するという対応をしたい。

【本郷委員】
 是非よい改定プランができるようお願いする。鴻海精密工業は昔よくいわれた水平分業。従って、シャープの液晶技術だけ取られてしまうとどうするのかとよく話をしている。大変心配である。日本の企業はどちらかといえば垂直型の産業構造。そのような意味でパナソニックも、先日若手社員と話をしたが、ほとんど住宅産業の方だった。住宅産業は裾野が広い。パナソニックは次のステージにいった。ただし、充電器については、ものすごい力を持っている。三菱電機、富士通ホールディングス、三菱重工、日立、IHIはものすごい力を持っている。これも産業構造の変化。白物家電がアジア、インドあるいはバングラデシュ等にいくのは一つの時代の流れ。いずれにしても、改定プランについては何分お願いしたい。

ものづくり産業の現状と課題、課題の克服策について

【本郷委員】
 長野県の産業構造は、加工組立型産業に特化し、部品製造企業が多く、価格決定権をもつ完成品メーカーが少ないため、県内の付加価値生産性が低いのではないかとの認識である。そこで、本県ものづくり産業の現状と課題をどう認識しているか、また、その課題をどのように克服していくのか、見解を伺う。

【上原参事兼ものづくり振興課長】
 委員ご指摘のとおり、今年の1月29日に公表された経済産業省の工業統計によると、本県の付加価値生産性は全国比で82・4%と低い状況である。その理由は、下請型の部品製造企業が多いからと認識している。この課題を克服するためには、2つの面からアプローチしていく必要がある。1つ目は、下請型であっても他社ではできない高度な技術力を持ち、差別化を図る、あるいはイノベーションを起こしていくことである。2つ目は、信州ものづくり生産革新事業などを通じて、生産現場の生産性を高めることである。この両面から、本県ものづくり産業の付加価値生産性を高めていくことが必要と考えている。

インターンシップの経費助成について

【本郷委員】
 新年度予算では若手人材の確保に関して県外学生に対するインターンシップへの支援として経費助成を行うとしているが、どのような内容で実施し、施策の効果はどうなのか労働雇用課長に伺う。

【酒井労働雇用課長】
 インターンシップの経費助成は、県外学生が県内企業で概ね5日間以上のインターンシップに参加していただいた際に交通費及び宿泊費に対し、1人当たり4万円を上限に助成するもの。具体的には企業のインターンシップ参加証明というようなものを各学生から添えて申請していただくような形を考えている。効果については、県外に進学した学生の方はなかなか長野県の企業のことを知らないということを耳にするし、また県外に行ってしまうと、例えばインターンシップなどでも長野県に戻ってくるには旅費などがかかり費用面でのハードルが高いという話を聞くので、この経費を一部助成することにより、長野県内でのインターンシップを促し、長野県の企業の魅力だけでなく、5日間以上としているので、あわせて長野県内で働くという長野県での魅力ということも知ってもらい県内企業の人材確保につなげられるのではないか。また学生自らの職業適性とか将来設計についてもインターンシップを通じ考える機会になるため、就職する上でのミスマッチの解消により、大学生の離職の防止にもつながるのではないかと考えているところ。

平成28年2月定例会 環境産業観光委員会【観光部関係】質疑要旨
観光大県づくりについて

【本郷議員】
 知事は来年度から観光行政を転換して、「観光大県づくり」に着手するとしている。「観光大県」とはどのようなイメージのものなのか。また、観光行政を転換するためには、そのための新しい仕組みが必要と考えるが、どの様な体制で「観光大県づくり」に臨もうとしているのか。

【吉澤観光部長】
 長野県は、全国有数の観光県になっているが、世界的に見ると知名度はもう一つといったとこである。自然環境や景観を考えた場合に、ポテンシャリティは高いが、必ずしも活かしきれていない。観光産業については、飲食、宿泊、交通、土産品の製造販売など裾野の広い産業であり、ここをしっかりやることで、県の主要な産業に育てる価値があると考えている。昔は「観光地」という捉え方だったが、これからは「観光地域」と捉え、そこで働く方々や観光事業者だけでなく新しい事業者を含めた観光地域づくりを進めていくことが必要。観光大県として我々が求めていくものは、(1)今まで、測定単位としては人で考えていたが、これからは観光消費額を大事にし、「稼ぐ」ことにこだわって、地域と一緒に進めていく。(2)外から持ち込んでいただいた外貨は、今までは観光業者だけの狭い範囲にしか落ちていなかったが、それを農林業、商工業の方など、違う職業の方を巻き込む形で、広く地域内で循環させていく。(3)観光産業を大きくとらえ、その地域に来る、移住する、若しくはその地域で雇用される人を増やすことで、各地域において持続的な形で観光地域づくりを進め、それにより長野県全体の持続的な発展を図っていく。こうした姿が観光大県として目指すものと考えている。具体的な仕組みとしては、(1)観光版の推進本部をつくり、知事を本部長として観光部がリードする形で全体を引っ張っていく。県全体が観光行政にかかわっていくという認識のもとにやっていく。インフラ整備、人材育成など各部局にまたがるものは、タスクフォースを設置し、強力に推進していく。(2)プロモーションは、今までキャンペーンが主体であったが、ウェブサイトなどインターネットを使って情報を必要としている方に局所的に当るようなマーケティングを展開していく。(3)現在、世界水準の山岳高原観光地づくりは、3地域で進めているが、各地にDMOという動きがあり、また、山、健康長寿は長野県全体に共通する価値であるので、DMOの推進を含めて、地域づくりを推進していく。(4)急速に進んでいる個人旅行化、リピーター化を含めてインバウンドの強化に取り組んでいく。

観光大県づくりにおけるプロモーション手法の抜本的な見直しについて

【本郷委員】
 インターネット広告やSNS等のWebプロモーションとは、どのように行い、どのような効果を期待しているのか。

【戸田観光誘客課長】
 ホームページを制作し、バナー広告等を掲載するだけでなく、当該ページへ誘導を図るため、ターゲットを明確にし、伝えたい情報を無駄なく伝える積極的なPRをして参りたい。具体的には男女別、年齢別だけでなく、居住地を限定し情報を発信するほか、趣味・興味に合わせた情報発信も可能になる。そのようにターゲットを組み合わせてアクティビティの情報発信をして参りたい。また、動画視聴による課金制広告の実施や、ホームページの閲覧状況を確認し、必要に応じてターゲットの再設定を行う等、PRの費用対効果を向上させ、多くのお客様に信州に訪れていただけるように努めて参りたい。

【本郷委員】
 媒体を使った情報発信の手法は日々変化している。戦略的に、高度な次元で社会の変化に対応いただくようお願いしたい。

外国人宿泊者数の目標について

【本郷委員】
 インバウンドについては、平成27年長野県は96万3千人で、前年比45・8%増加と大幅な伸びとなっている。平成31年の目標は倍増の132万人を設定しているが、目標に大きく近づいている。先程の説明の中では、中国マーケットを意識しているが、中国経済が後退期に入っており、不安材料があるが、東アジア東南アジアでは所得層の人口が今後5年で倍増するとの予測されている。TPPも絡んでくるが、もう少し高い目標を目指してもよいのではないか。当初政府の目標はオリンピックまでに2000万人であったがこれをほぼ達成しており、2020年までに3000万人となるとイギリス、イタリアのレベルになるが、もう少し目標を上げるべきではないか。

【花岡国際観光推進室長】
 「長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略」の中でのインバウンドの目標の設定についての御質問をいただいた。この戦略の策定にあたり、考え方は、外国人延べ宿泊者数の目標を、平成26年の66万人泊をベースに、対前年比の20%強の伸び等を考慮し、倍増を目指して132万人に設定した。委員ご指摘のとおり、平成27年は45%増と前年に比べ大きな伸びを示し、132万人の目標達成に必要な増加人数の45%を1年で達成した。さらには、一般的に海外旅行に出かける収入層は、アッパーミドルと区分されており、1人あたりの可処分所得が1年間15000ドルを超えると海外旅行に行く人が増える。現在この層が中国で約3億人、東南アジアで約1億人といわれており、シンクタンクの予想によると、2020年にかけて倍増すると予測しているところがある。こういった状況を踏まえて、現在進めている「長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略」の改定に合わせ、31年の目標を200万人とする案について県民の皆様からパブリックコメントをいただいているところ。目標の改定については、いただいたご意見を検討し改めて設定するが、設定した目標の実現に向けて、より多くの海外からのお客様に長野県を訪れていただけるよう、効果的な取組みを進めてまいりたい。

【本郷委員】
 もう少し高い目標でもおかしくないが、加えて受入のためのインフラ整備をお願いしたい。

信州ブランド再構築・発信事業について

【本郷委員】
 ブランド力はあらゆる分野でもっとも大事であり、信州ブランド戦略を策定してから3年が経過している。これまで行ってきた取組の総括として課題や展望はいかが。

【中村信州ブランド推進室長】
 信州ブランド戦略としては、1つはモノのブランド力、もう1つは地域のブランディングの2つがあげられる。銀座NAGANOもブランド戦略の一環として取り組んでおり、モノのブランド力という点で首都圏に発信、一定の成果がでてきている印象。一方、地域のブランディング、企業でいうところのコーポレートブランドについては発展途上。しあわせ信州という言葉を広めるにあたり、パンフレットや商品に年間100件程度の使用実績はあるものの、全国や海外に向けてはまだ印象が薄い。「しあわせ信州」を具体的に表す言葉で打ち出していくなど、イメージで知ってもらう地域ブランディングが必要と認識。イメージの発信と具体的な中味及びその発信を両輪として地域のブランド力の向上を目指す。

【本郷委員】
 事業では統括ディレクターを起用し、しあわせ信州の具体的なイメージ作りに取り組んでいくとのことだが、事業の狙いとブランドの方向性はいかが。

【中村信州ブランド推進室長】
 地域ブランディングやCMづくりに実績のある統括ディレクターを公募型で起用し、信州のイメージづくりを統一的に戦略的に考えていただく。著名人を使うのか使わないのか、使うならどのように使うのか、どういう時期にどういう発信方法をとるのか、単年度だけでなくもう少し長期のスパンでイメージがきちんと伝わるように、また、海外にも長野はいいところだねと思っていただけるような発信を展望を持って取り組みたい。

本郷一彦公式ウェブサイト
Copyright (C) 2014- h-kazuhiko.jp. All Rights Reserved.