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令和元年11月定例会 産業観光企業委員会(産業労働部関係)
災害への対応(グループ補助金)について

【本郷委員】
 台風第19号災害により、産業労働部でも約700億円の被害が出ており、工場や店舗、工作機械や設備などへの直接被害だけでなく、県内外のサプライチェーンの断絶などを通じて、県内経済だけでなく日本の経済も大きな被害を被っている。行政当局においては、日々その対応に追われていると思うが、県政史上最大の災害であり、一層の精励をいただきたい。議会側も被害状況をまとめ国へ参る予定だが、行政と議会が両輪となってこの災害に対応していきたい。
 国際情勢では、米中間の貿易摩擦は国際社会の覇権争いになっている状況で、日本にも直接影響を与えている。WTOの上級委員会も機能がストップしており、国際貿易は今までのように調整役がなくなっている状況である。
 日本はこれから、ただでさえ経済の見通しが不透明な中、一刻も早く復旧・復興しなければならないが、そのことを東北信の議員は深刻に認識しており、中南信では観光を含めいろいろな影響が出ていることから、全県上げてこの問題に取り組んでいかなければならない。補正予算で計上されている「中小企業等グループ補助金」が主力になると思うが、早期の執行が何より重要である。そこでグループ補助金は、サプライチェーンや商店街などで、まずはグループを作り、「産業活力の復活」、「雇用の維持」などを目的に、「復興事業計画」を作る必要がある。制度のポイントではあるが、グループ補助金自体が県内では初めての実施であり、事業者は戸惑っていると思われる。こういう時こそ、県が指導力を発揮し、商工団体と連携を取りながら、被災事業者を支援すべきだが、どのように対応しているのか伺う。

【庄村産業復興支援室長】
 グループ補助金はグループの形成が第一段階である。事業者も初めてだが、県としても初めてであり、国や他県から意見を聞きながら制度の最終段階にきている。グループの要件はサプライチェーン型、経済・雇用貢献型等5類型あるが、長野市穂保の工業団地は、工業関係中心で一つのまとまりとして動くと聞いている。それ以外は中小企業が多く、対象が工業だけでなく商業、農業、開業医など多岐にわたっているので、商工会、商工会議所単位で地域生活・産業基盤型でまとめていくのがいいと思われるが、基本的に経済団体と一緒に取り組んでいく。事業者への説明も始まっているが、その前段で商工会等にもどのようなやり方がいいのか説明している。講師派遣の依頼も来ており、我々も勉強しながら中小企業にとって使いやすい制度にしていかなければいけない。商工団体と協力していくと同時に、農政、林務など22名の兼務職員と一丸となって対応していきたいと思っている。

災害への対応(雇用対策)について

【本郷委員】
 今回の台風では、長野県下で約8,000世帯が被災したが、家が全壊してローンだけ残るという問題が内在しており、深刻な状況である。台風の影響で勤め先が休業し、一時的に離職を余儀なくされた方もおり、事業者も被災した設備の入れ替えに時間がかかるなど事業再開をあきらめてしまうと、家庭経済の基盤が崩壊する。こうした事態に、県としてきめ細かく対応しなくてはいけないと思うが、個人的なレベルの話ではあるが重要な問題であるので、県の考えを伺う。

【福田雇用・就業支援担当部長】
 発災直後の13日に、商工関係事業所相談窓口を本庁、地域振興局に設置し、資金繰りなど経営面の問題だけでなく、雇用に関しても対象として対応している。雇用維持の問題については、国の雇用調整助成金が大きな力になる。事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練などを行って雇用を維持する場合に助成されるが、今回被災した中でも事業再開し、雇用を維持する意欲を持ち続けてもらうために、国に助成率の引き上げなど特例措置を講ずるよう要請した。これが認められ中小企業の助成率が5分の4まで引き上げられた。
 離職を余儀なくされた方への対応として、11月1日から被災した佐久、上田、長野、北信の地域振興局において、職業紹介事業の対象として被災された方も追加した。まだ雇用情勢は堅調であるが、離職を余儀なくされた方への対応については、労働局とも連携し、きめ細かく対応していく。

【本郷委員】
 全力で対応していることは我々も受けとめているが、もう一つ深堀して日常生活が戻るような環境を作っていただき、被災した家が完全に元に戻る前に冬がくるので、暖かい視点で雇用の確保に努めていただくよう要望する。

災害への対応(風評被害対策)について

【本郷委員】
 今回の災害はメディアで大きく取り上げられたことから、リンゴをはじめとする県産品販売への影響も心配される。風評被害への対応は簡単ではないと思われるが、県の高度な舵取りが必要である風評被害に対する県の取組について伺う。

【熊谷信州ブランド推進監兼営業局長】
 今回、リンゴの収穫、販売目前で被害を受け、発災直後から落ちたリンゴ、水没したリンゴでもいいから買って応援したいという声が多く寄せられた。これに対し、水没リンゴ、泥付きリンゴが販売されているような報道がみられたため、営業本部としては、農政部を中心に、報道各社に風評被害対策と、食品衛生法上売ってはいけないリンゴを売っているかのような誤った報道をしないよう要請し、テレビ、ラジオを通じ、直ちに呼びかけを行った。
 被災地のリンゴの支援については報告のとおり実施しているが、次に長野のリンゴは出荷されないのではという逆の風評もあり、これに対し、銀座NAGANO、無印良品銀座などで、水没していない傷付きリンゴを被災地支援として販売した。販売の際、被災地の状況を示したり、県全域でリンゴ栽培はされていて、おいしいリンゴが収穫できていることなど、正しい情報の伝達に努め、2次的な風評被害に対処した。
 結果として、相鉄ローゼン55店舗で販売しているが、バイヤーから前年比3割増と長野県のリンゴは売れているとの反応であった。これから最盛期を迎える「ふじ」の出荷は、贈答用ではなく、被災地支援で一般流通に多く出しており、一般消費者の反応も非常に好調である。この勢いのまま被災地支援をしていき、一気に長野県のブランド力を強力に発信していきたいと考えている。

【本郷委員】
 いい方向で反転攻勢に出ている感じを受けるが、引き続き、風評被害については対応策を一層深めていただきたい。

未来志向の経済戦略について

【本郷委員】
 今回の災害の影響で、来年度の県財政への影響も心配される。こういう時にこそ、復旧・復興の先にある、未来を見据えた前向きな戦略を産業労働部としてとらなければいけない。今、長野県の分水嶺にあり、部長を中心に成長戦略について別のステージで、未来志向で努力いただきたい。
 特に中国では、5Gの次を見据えた6Gの開発に向けて、1兆5千億円の予算付けを行ったとメディアでみた。2021年には、GDPの半分以上をデジタル製品やサービスが占めると予想される中、産業構造が本質的に変わっていき、AI、IoT、5G等を含め、10年後には想像できないような社会が来るが、労働生産者が急激に減る、超高齢化が進む、2025年には700万人が後期高齢者に入り社会保障はどうするのか、少子化対策は依然として進んでいかない。こういう状況で本当の意味で地方創生は現政府において軌道に乗らず、首都圏に人口が流入している状態である。
 中長期的な観点で、AI・IoTを柱に据えた県内産業の生産性向上や製品の高付加価値化を進めなければならない。政府はデジタルニューディール政策を閣議決定し、1兆円の補正予算も決定した。この状況で長野県として、県内企業によるAI・IoT関連機器やシステム開発、事業化をどのように支援していくのか伺う。

【西原ものづくり振興課長】
 県では4月に工業技術総合センター環境・情報技術部門にAI活用/IoTデバイス事業化開発センターを設置し、ここを拠点に支援を行っている。AI関連では、このセンター内にデータ処理スピードの速いコンピュータを設置しており、使用イメージとして、企業が目視で行っている製品の良否判別について、一定の学習をさせることにより判別できる学習済みAIができ、一般的なパソコンとカメラを組み合わせ、判別システムを導入することができる。複数の企業から問い合わせがあり、AIの作製に取り組んでいる企業もある。社内で取り組みたい企業に対しては、センターから職員を派遣し、センターが開催するセミナーに参加してもらったりしている。IoT関係では、IoT機器を導入して工場の生産性を向上したいと考える企業が多いが、非常に高額であったり、費用対効果もわからないため、導入が進まないという課題があったが、センターでは非常に安価なコンピュータボードを使いセンターIoTキットを作り、企業に試していただくことを行っている。工作機械の稼働状況を示す赤、黄、緑のランプを検出し、パソコン上に稼働状況をグラフで示し、工場の実態を見える化して現場改善につなげるもので、すでに県内24社で使っており、さらに高度なものを自社開発した企業もある。また、構造物等の振動を検出し異常の有無を分析する新しいシステムを作り事業化したいという企業もある。テクノ財団、信州大学も支援して、経済産業省のサポインという補助事業に採択され取り組んでいるところである。今後もセンターを拠点としつつ、関係機関と連携して取り組んでいく。

今後の産業戦略について

【本郷委員】
 災害からの復旧・復興に取り組む今こそ、未来に向けた戦略が産業労働部としての責務である。
 革命的とも言える先端技術の活用が、当たり前となる時代が迫る中、県内産業が、世界の中で独自性を発揮し、生き残るためには、先端技術を有効に活用しながら、県が産業界と一体となって、県内各地でイノベーションを起こすべく、戦略的に支援していく必要があると思う。未来の諸課題を切り開く選択肢の一つとしてイノベーションを無視するわけにはいかない。ドローン宅配、AIスピーカなど、新しい技術が出てくる中、復興に軸足を置きながら、令和の時代の新しい産業戦略について、産業労働部長の所見を伺う。

【林産業労働部長】
 県が分水嶺を迎えている時代であり、長野県経済を支えてきたものづくり産業でいえば、平成に入る前と令和に入るところで、約1万社が5千社に激減する中で、さらに少子高齢化を迎えている。イノベーションは日々進んでおり、技術革新にも取り組んでいかなければならない中で、産業振興、産業政策は頂点を高める施策、支援というものと、裾野を広げる、ベースを厚くする施策と両方が必要と感じている。
一般論の政策論や普及施策を行うのではなく、企業がグローバル経済に挑み続けられるように、この復興から単に同じレベルに戻すのではなく、未来に向けた戦略を持った復興となるように、企業に寄り添った伴走型の支援体制を組んでいかなければと思っている。一番は技術革新と販路開拓、そして人材育成だと思っているが、その分野における企業のニーズをしっかり踏まえ、工業技術総合センター、テクノ財団、中小企業振興センター等、現地機関と一体となって、総合力を発揮できるように取り組んでまいりたいと考えている。

【本郷委員】
 かつて長野県は地方道府県のリーダーであったが、ここ2、3年が勝負である。遅れをとると、米中の国家戦略の狭間に埋没してしまい、長野県に直接影響があると思われる。県政、国政に関わらず、そういう認識をもって産業戦略について、明確な実効性のあるものを発掘するようにご努力いただきたい。

令和元年11月定例会 産業観光企業委員会(観光部関係)
台風第19号被害の復興戦略について

【本郷委員】
 今定例会は台風第19号対策がほとんどであるが、国においても事業規模で26兆円、予算は13兆円で全力で対応している。行政、議会が両輪となってこの復興にあたらなければならない。観光議員連盟の会長としても、また観光産業振興協議会の会員からも相談を受けている。
 H30年の観光消費額は約8,100億円であり、長野県の経済戦略の中においても観光部の果たす役割は重要なものになっている。
 台風19号問題については、現在提出されている被害額が約2,600億円で県政史上最大の災害である。キャンセルが30-40%に近く出たほか、顕在化していないが、忘年会も非常に多くキャンセルが出ている。秋の一番の稼ぎ時で経済的な損失は大きい。
 また、長野県を含む14都道府県でふっこう割が実施されるが、これを一つのテコとして、宿泊事業者のみならず索道事業者、沿道サービス、バス、タクシー事業者等も含めて観光産業全体が元気になるような戦略性のある施策を実行していかなければならない。
 被災地の県会議員も非常に深刻に受け止めているが、気候変動の状況も踏まえ、これからは東日本、長野県も含めて全く新しい視点での観光戦略、観光産業全体が元気になる取組が必要であるが、観光部長に所見を伺う。

【中村観光部長】
 宿泊キャンセルについては、台風の接近に伴い増加し、その後の交通関係が遮断した状況に加え、被災地に遠慮し、行ってもいいのかと旅行をためらう方が多く、被災地だけでなく松本、諏訪、阿智村などでもキャンセルが多かったとお聞きしている。また、宿泊以外の土産物や食事などの現地消費がかなり大きく、影響は宿泊の倍以上にはなるのではないか。イベント関係でも中止を余儀なくされたものもあった。長野県の場合は日帰り客が多く、その方々の消費部分もかなり打撃を受けており、宿泊のキャンセル以上に問題は大きいと受け止めている。
 また、こういうときに出歩いていいのか、お酒を飲んでいいのか、ということでマインドが冷え込んでいるという話も聞く。長野駅近くのホテルなどは、一時期台風の影響でキャンセルが増加したが企業やボランティアの皆さんの宿泊で回復してきたという一方で、宴会場などは依然キャンセルが多いとお聞きしており、大変憂慮すべき問題と捉えている。
 昨年の観光消費額は8,100億円ということで、観光産業は大きな産業であり色々な分野に影響もある。今回の被害は被災地だけではなく全県にわたり、さらには各地によって異なる影響がある中、被災者のお気持ちなどに配慮し、タイミングを見計らいながらキャンペーンを打つ時期を探っていたところ。復興へムードを変えるべく12月から徐々に進めていく。
 また、災害対策本部でも切り替えをし、再建本部を設置して取り組む。その中で、観光関係、物産関係の復興を進める「がんばろう信州!推進チーム」を設けたところ。集中的に部局横断でやっていく。関係機関やチームと連携し、呼びかけを行うなど、色々な方を巻き込んでいくことが大事。
 ふっこう割では、沿道サービスやガイドタクシーをはじめ様々な観光サービスにお金が落ちるような商品造成や販売に取り組むほか、様々な企業、団体、ボランティアの皆さんなど、応援していただいた方々を巻き込み、もう一度長野県に来ていただき、イベントに参加してもらうなどの工夫を行ってまいりたい。
 さらには、「ONE NAGANO」を復興の合言葉に色々な呼びかけをしているので、それと方向を同じにしながら進めてまいりたい。

【本郷議員】
 宿泊キャンセルは全県に渡って影響が出ている。県のGDPの約1割を占める観光産業なので、マインドを変え、戦略的に踏み込んで対応していただきたい。

「がんばろう信州!観光キャンペーン」の狙いと効果について

【本郷議員】
 「がんばろう信州!観光キャンペーン」の狙いと具体的な効果について伺う。

【大槻観光誘客課長】
 今回のキャンペーンの最大の狙い、目的は、長野県の元気を取り戻し、早期に観光需要を回復させ、新たなマーケットを取り込むことである。
 そのためには、災害により受けた観光関連産業の直接的な経済損失や、ブランドイメージの低下、風評被害的な損失を一日も早く、回復、払拭し、「ふっこう割り」の効果的な活用とJNTOなど国の機関やマスコミ、旅行会社、交通事業者等と連携し、正確な情報発信やプロモーションを積極的に展開することであると考えている。
 また、今回、全国各地から多くのボランティアの方々に来ていただいているほか、支援物資や義援金など全国各地からご協力をいただいているところ。本県への応援・支援に感謝するとともに、こうした「連帯と協力の輪」を観光面での復興の力につなげていきたいということも本キャンペーンの狙いとなっている。 
 また、県内の各地域では、観光事業者や市町村等が、様々な誘客の取組みを既に始めている。こうした動きが十分に相互連携できていないと、せっかく労力とお金をかけても、散発的かつ一過性なもので終わってしまう恐れがあるため、本キャンペーンでは、資料3で説明した「観光復興に向けた地域協働事業」などを活用して、県全体として、各イベント、取組みが関連性と連続性を持たせるような仕掛けをしていきたいと考えている。
 そうした過程を通じて、地域DMOや広域の観光団体の機能強化を図るとともに、今後の財産となる観光産業の基盤強化にもつなげていきたいと考えている。
 県の「災害復旧・復興方針」にもあるように、「より良い復興(ビルドバックベター)」を観光分野でも目指し、春以降の誘客にも結びつくよう3月まで切れ目のないプロモーションを地域と一体となって全力で取り組み、観光需要を最大限喚起してまいる。

県観光機構の取組状況について

【本郷委員】
 県観光機構は県全体を対象とする地域連携DMOとして、統計分析、マーケティング、旅行商品造成、発信、販売促進、体制整備など機能強化に加え、地域の稼ぐ力を引き出す人材確保、育成に努めて、観光地経営と観光地域づくりの舵取り役としての専門性を高めるとしている。広域型DMOの形成支援や、人材育成、インバウンドの推進など各取組が行われているが、現在の取組状況について伺う。

【塩原山岳高原観光課長】
 平成30年度に長野県観光戦略を策定した際に、県観光部と県観光機構の役割分担を改めて見直したところ。その役割分担に基づき、県観光機構では、行政の枠に囚われずに積極的に観光振興を推進するとともに、高度な専門人材を結集し、各地域で観光ビジネスの創造や支援に取り組んでいるところ。
 具体的な主な取組状況については、まず、広域的DMOの形成支援として、昨年度設置したDMO形成支援センターを中心に、地域の稼ぐ力を引き出すとともに、経営の視点に立った観光地域づくりを推進するために、各地域の課題の共有や戦略の策定、組織作り等の支援を行っている。また、地域マネジメントを担う人材を育成するために、先進的なDMOの事例紹介に加え、マネジメントやマーケティングに関する専門的なセミナーを開催しているところ。つづいて、インバウンドの推進について、今年2月に設置した長野県インバウンド推進協議会の事務局を観光機構で持っている。旅行商品造成やおもてなし、受入環境の整備など4つの部会を設け具体的取組等について検討するほか、先日はインバウンド受入環境整備セミナーを開催するなど、オール長野でインバウンドに取り組む体制を整えている。3点目として、デジタルマーケティングの強化。県観光部と県観光機構の役割分担の中で、プロモーションの主体を徐々に観光機構に移してきているところ。その中で、これまで3つあったHPを統合した長野県公式観光サイト「Go NAGANO」を10月1日よりスタートしている。グローバルサイトとして世界に長野を発信するという位置づけで、各地域のアクティビティや体験ツアー等の予約誘導を図るとともに、公式サイトを見に来ていただいたお客様のデータを分析し、地域にフィードバックすることで地域素材の磨き上げや新たなコンテンツの開発につなげていく予定。

インバウンドにおける広域観光の推進について

【本郷委員】
 国際便が就航していない本県にとって、2大都市圏である大阪からの外国人旅行者をいかに取り込むか、非常にポテンシャルも高く重要であると思うが、県の現在の取組みと、今後どのように進めていくのか伺う。
 また、神戸空港の国際化が活字化されてきたが、長野県への訪日観光客数を倍にできるよう神戸空港とまつもと空港の連携を視野に入れ、企画振興部とも連携をとって、起爆剤になるようによろしくお願いしたい。

【小林国際観光推進室長】
 大阪には多くの訪日外国人観光客が来ているが、長野県は本州の中央に位置する利点を活かし、関東圏では関東観光広域連携事業推進協議会(1都10県)、セントレアのある愛知県とは中央日本総合観光機構(9県)と連携をして取組んでいる。
 関西圏との連携はこれまでなかったが、この度、大阪観光局と協定を結ぶこととなった。長野県への来訪者は、首都圏からは約57%、中京圏からは約17%、大阪をはじめとする関西圏からはまだ約9%となっており、関西圏からは伸びしろがあると考えている。
 訪日客はゲートウェイとなる成田、羽田、セントレア、関西国際空港から入り、長野県を訪れることが多く、JR Passを使う自由なFITが主流であるので、こういったことに関してはすぐに動いていきたい。
 飛行機の使用に関して、資料の「信州まつもと空港発着路線の活用に関すること」のとおり、8月の伊丹空港に続き、10月から神戸線がデイリーで開通したので、旅行商品を造成するために具体的な打ち合わせを開始したところ。
 大阪側からの緑豊かな長野県と組みたいとのオファーに対し、私どもの長年の相互往来が協定という形で実を結んだので、この勢いを大切にして関西圏からの誘客を進めたいと考えている。

令和元年11月定例会 産業観光企業委員会(企業局関係)
台風第19号災害の企業局への影響について

【本郷委員】
 WMO(世界気象機関)は、過日、2018年の二酸化炭素(CO2)の世界平均濃度が407.8ppmに達し、過去最高を更新したと発表し、「将来の世代が気温上昇や生態系破壊など気候変動の深刻な影響に直面することになる」と警鐘を鳴らしている。一方、テクノロジー、イノベーションの進化は、米国のグーグル最先端のスーパーコンピューターで約1万年かかる計算を、同社の量子コンピューターは3分20秒で解けるという。こうした中、人間社会の進化と惑星の変化という観点から、企業局の運営は、本県の経済社会の持続可能な発展を基盤から支えていくために大変重要であると認識するところである。総合的な認識のうえに立ち、質問させていただく。
 台風第19号による災害は、企業局の経営にどんな影響を与えたのか。
 また、経営戦略の改定スケジュールを見直すとされているが、大規模災害への対策に関して、どのような内容を盛り込んでいくのか。

【藤森経営推進課長】
 事業運営上の大きな被害はなかったが、今後の影響としては、被災者支援で実施している水道料の減免により、一定期間料金収入が減少すると思われる。
 今回の台風災害は、長野県内では初めて大雨特別警戒警報が出され、上下水道を中心に、ライフラインが広範囲で停止した。幸い企業局では被害はなかったが、決して他人ごとではないと考えている。今回の被害では、ハザードマップ上の浸水エリアにある公共施設が被災していることから、浸水エリア内にある施設については、浸水対策を盛り込むことが必要と考えている。また、台風第15号により千葉県で長期停電があったが、本県でも起こりうる事態であり、そのため発電所の自立運転や自家発電などの対策についても盛り込んでいく必要があると考えている。関係市町村と丁寧な意見交換をしながら、必要な対策を盛り込んでまいりたい。

大規模災害に対する企業局(電気事業)の役割について

【本郷委員】
 ダムと水力発電所を管理している電気事業では、今回の災害にどう対応したのか。とりわけ、ダムの放流については、一般質問でも論議されたが、どのような対応をしたのか。
 今後、同様の事態が生じた場合は、どう対応するのか。
そのほか、電気事業を所管する企業局としては、大規模災害に対してどんな役割を担い、どう取り組んでいくのか。常に密接不可分な関係であり、極めて深刻な問題である。ダムの新規着工も含めてお伺いする。

【青木電気事業課長】
 発電事業の施設については、発電所の取水口に至る道路の損壊などがあったが、大きな被害はなかった。
 ダムの放流については、企業局が管理するダムのうち、湯の瀬ダムは貯水容量も小さく、上流の裾花ダムと一体運用をしており、裾花ダムで行う洪水調節を妨げないよう同時放流をしている状況で、今回も同様の放流を実施した。高遠ダムは、国管理の美和ダムが大きく、洪水調節の役割を担っていて、今回、高遠ダムも美和ダムに合わせて放流を行った。菅平ダムは県単独管理で、かんがい等を目的とした利水ダムで、治水を目的としたダムではないが台風接近前には、ダムの貯水率を10%としていた。最大84%まで貯水することにより200万トンを貯水することができた。ダムへの流入量は最大毎秒80トンだったものを、放流は順次調整しながら最大でも毎秒28トンで、50トン以上出水をカットした。下流の神川の水位は、ダム放流前午後6時30分に3m5cmを記録、ダム放流後は最大でも2m52cmで放流後の方が下流の河川水位は下がっていた。上田市国分地点で千曲川が越水したが、越水時刻がダム放流開始と同時刻の午後8時と聞いている。ダムからの放流水が上田市国分地点到達するには1時間40分程度要することからも、影響があったとは考えられないと認識している。
 菅平ダムの構造は、放流ゲートがダムの堤体の上部にあり、通常は発電取水によりダムの水位をコントロールしている。このため、放流ゲートからの事前放流が難しい構造になっている。国において、利水ダムを含めた既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討を始めており、情報収集に努め、今回のようにあらかじめ発電取水により貯水率を可能な範囲で下げることにより、治水にも貢献できるよう取り組んでいく。
 大規模災害への今後の取り組みについて、各地で約14万戸が停電しており、最長で5日間停電したところもあった。病院や水道ポンプ施設、携帯基地局でも停電しており、現在の生活は電気がないと成り立たない。千葉県での停電や、北海道でのブラックアウトを考えれば、水力発電所の特徴として、燃料補給なしで電源供給できるのは大きな魅力。企業局で運営、建設着工している発電所は20か所で、10市町村に所在している。多くは中山間地に立地しており、今後は自立運転機能を擁する発電所として、法的に直接電力供給が難しいこともあるが、今後の動向を見据え、自立運転機能を活かし地域電源として提供していきたい。

大規模災害に対する企業局(水道事業)の役割について

【本郷委員】
 広域的な用水供給事業と末端給水事業を所管する企業局では、今後、大規模災害に対し、どんな役割を担い、どう取り組んでいくのか。

【竹花水道事業課長】
 水道事業者としての立場と県の一員としての立場の両面から説明する。
 水道事業者としての立場としては、安定的な水道水の供給のための取組として、今回の災害では施設に大きな被害はなかったが、台風が接近した10月12日には上田市にある諏訪形浄水場の所在する地域にも避難指示が出されたこと、また環境部のまとめによれば10以上の水道事業者に被害が発生したことを鑑みると、改めて浸水リスクや長時間停電に伴う断水リスクを検証する必要があると考えている。
 企業局ではこれまでも施設・管路の耐震化を計画的に進めるとともに、安心の蛇口の整備、市町村との災害時連携協定に基づく定期的な防災訓練の実施など、ハード・ソフト両面から災害対策に取り組んできた。
 また本年度は、用水では奈良井川の原水の濁度上昇や上流からの流木対策として、片平取水場の取水機能の強化の検討、末端では受援体制の整備の検討を始めたところであるが、このたびの災害に接し、改めて地元市町村との連携が重要と考えることから、浸水対策や電源確保策等について地元市町村との検討を進め、収支のバランスを取ったうえで、具体的な取組を新たな経営戦略に盛り込んでまいりたい。
 次に、県の一員としての立場としては、被災した市町村への支援を行うという取組になるが、水道の分野では、日本水道協会が主体となって全国的な相互応援体制を整えている。
 その一方で、被災地に近い事業体のほうが、より早く応援にも駆けつけられることから、企業局としては、県内水道事業体が被災した際は、県環境部が全体の調整をとる中で、長野市、松本市等の中核的な事業体とも連携をとりながら、迅速な支援に取り組んでまいりたい。

今後の長野県企業局の経営について

【本郷委員】
 こうした大規模災害における被災状況を踏まえ、今後の長野県企業局の経営について、公営企業の管理者として大局的な観点から、未来志向での所見を伺いたい。

【小林公営企業管理者】
 これまで説明した取組については、例えば、新規電源開発では建設中が4カ所、さらに9カ所水力発電所について調査を実施している。また水道事業においても、新たに経営区域内の市町村との連携の場を持ち、あるいは経営区域外も、知事部局とともに、お出かけ相談等で対応している。こうした取組は、長野県企業局としては今取り組んでいるところだが、全国的には例のない取り組みである。今後も地域と連携協力、知事部局との連携協力も大事だが、長野県内の水道、発電のリーディングカンパニーであり、あるいは全国の公営企業でもこれだけやっているところはないと承知しているので、リーディングカンパニーとして志高く取り組んでいく。それに当たっては人を活かす組織、あるいは専門性を更に高めて、この取組を進めていく。これが、大規模災害においても力を十分に発揮できる組織、事業になっていくと考えている。


令和元年9月定例会 産業観光企業委員会(産業労働部関係)
世界経済の動きについて

【本郷委員】
 本日は中国の建国70周年ということだが、米中の貿易摩擦はかなり長期化するだろうと、新冷戦構造の入ったと見なければならないというのが見識者の意見である。長野県の製造業も下方曲線に入っており、明らかに大きな影響が出ている。アメリカが法改正までして中国に対して強い規制をかけている。オバマ、クリントンと前の大統領はオープンだったが、トランプ大統領は全く違う発想で中国に対応している。中国は5Gから6Gの段階に入っていて、ファーウェイというIT企業があり、アップルやグーグルもかなわない状況がかなり普遍化している。OECDの中でもトップクラスにいた日本企業がその中に入っていない状況ですが、米中貿易摩擦というのは、本質的にはまさに最先端のイノベーションにおける戦いの勝者であり、グローバルシンキングという観点から長野県としてのローカルアクティブをさらに骨太にして前進してほしい。全体像としては国際情勢のファンダメンタルズが基本的に変わってきているという認識を持つうえで、私どもが東アジアに対する戦略を組まないと、政治と経済は極めて密接不可分な関係であり、特にEUではドイツは一人勝ちだが、議会政治発祥のイギリスが混迷を深めている状況も含めて、国際社会のファンダメンタルズが構造的に変化していると、こういうものを視野に入れながら長野県の戦略を組んでいかないと時代に先遅れていく。日本全体が世界の中でITでは遅れているわけですから、次元の違う話であるがご精励いただきたい。
 令和になって経済は非常に不透明で不安定な状態にあるというのが現実であり、緩やかな回復という日銀松本支店のデータなどではなく、もう少し深堀して戦略、戦術を行政側が中期的な展望で視野に入れていかなければいけない。特に少子化問題はOECDの中でも日本だけがトップで加速化しており、あと3年もすれば団塊の世代約700~800万人が後期高齢者となり社会保障制度に直撃するが、その時に行政が何をすべきか言うまでもないが、頑張っていただきたい。
 その中で、県は2018年3月に長野県産業の強みである製造業の一層の振興を図るべく「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」を策定したが、これまでの取組みとその成果について伺う。

【宮島産業政策課長】
 国際情勢は様々だが、それにより県内産業で特に影響を受けるのは、従業者数、生産額が最も多い製造業であり、意識しなければならない注意すべき視点であることを認識。どんな状況でも適切に対応できる産業を作っていくことが大事で、産業戦略プランでは、9つの重点施策、県内各地で16の個別プロジェクトを実施している。重点施策においては、産業支援だけでなく、人材の育成と確保という観点からも両輪として取り組んでいる。
 重点施策ではAI・IoT先端活用新技術創出支援として、4月にAI活用/IoTデバイス事業化・開発センターを開設し、IoT分野における高付加価値化に取り組みを始めた。産業人材の育成、確保については、8割近くの学生が県外に出て、長野県に戻って就職する率が4割という中、高度な技術、専門性を持った人材の不足は事実であり、大学と連携し、インターンシップの促進やプロフェッショナル人材の誘致のためのマッチングにも力を入れている。これらの成果は即効性があるものではないので、中長期的な観点で取り組みながら成果を挙げていきたい。また、個別プロジェクトについては、地域の特徴を生かして、例えば佐久地域では病気の予防という観点の新たな産業の創出・集積を目指しており、長野・北信地域では発酵食品、機能性食品の集積を目指すなど、それぞれの地域で取組を進めている。
 県内総生産額を見ると、なかなかリーマンショック前には戻らないが、徐々に近づいてきている状況と考えている。プラン策定から1年半経過したところだが、計画期間の最終が令和4年度であり、今申し上げたのはアウトプットの成果だが、アウトカムの更なる成果を目指し取組を進めていく。

長野県医療機器産業振興ビジョンについて

【本郷委員】
 2019年3月に「長野県医療機器産業振興ビジョン」が策定されたが、本県の技術的な優位性や強みということもあるが、医療機器では兵庫県神戸市に大きな医療機器開発センターが造られたが、長野県においては高いテクノロジーを持っているとしても医療機器の完成品は目につきにくい。医療機器に対する本県の技術的な優位性をどのように分析されているか。また、このビジョンを具体化するためにどのような取組を行っているのか伺う。

【西原ものづくり振興課長】
 医療機器に対する本県技術の優位性や強みについては、医療機器は大きく3つに分かれ、1つはPETやMRIなどの診断系機器、2つ目が人工関節や内視鏡用の処置具などの治療系機器、3つめがコンタクトレンズや歯科用材料などのその他に分かれる。長野県の技術の優位性や強みを生かせるのは2番目の治療系と考えている。長野県企業は特に精密技術があり、信州大学は材料技術の国内トップクラスであり、非常に微細な加工をした部品を組み立てた製品には生かしていける。県内では、呼吸器内視鏡用の鉗子で直径0.7ミリという世界で最も細い鉗子を開発した中小企業グループもある。顕微鏡を覗きながらリンパ管と静脈をつなぐ手術で、今までは直系50ミクロンという細い針をピンセットでつまんで手術していたが、その針を持ってうまく回せる器具を開発し発売した県内中小企業もある。このため、ビジョンにおいては治療系機器をターゲットの中心に据えている。診断系機器においても、特に在宅医療の分野では、小型軽量の機器が必要となるため長野県の精密、電子技術が生かしていけるため、その分野でも取り組み、産業の裾野を拡大したいと考えている。
 ビジョンの取組状況は、2つ進めており、1つは医療機器の開発から事業化までを支援する機能としての信州医療機器事業化開発センターで、ここには医療機器メーカーのOBや医療機器の審査を行う医薬品医療機器総合機構(PMDA)のOBなど専門人材をそろえ、医療機器開発に取り組む企業からの相談に応じるとともに、産学官連携の医療機器開発プロジェクトも運営している。2つ目は、県内企業による国内外の医療機器メーカーへの技術提案を支援する機能として、信州メディカルデバイスグローバル展開センターを構築している。ここでは、現在ドイツ等での展示会への出展に向け医療機器に取り組む企業への訪問など準備を進めている。国内を含め、世界の医療機器市場は拡大傾向にあるが、まだまだ米国やドイツが圧倒的に強い分野である。ビジョンの世界の医療機器産業発展に貢献する長野県を目指し、今後も中長期的に取り組んでまいりたいと考えている。

信州ITバレー構想について

【本郷委員】
 AI・IoTが普遍化した表現になっており、さらに5Gや最先端では6Gまで進んでいる。産業構造が本質的に変化をしていることはいうまでもなく、IT人材の確保が世界戦略の中における最重要課題になってきている。この獲得競争において米中が覇権競争をしている。したがって、関係者から協力をいただき「信州ITバレー構想」が取りまとめられたと聞いているが、この構想に期待するところは大きいが、この構想を具体的にどのように戦略的に進めていくのか伺う。

【丸山創業・サービス産業振興室長】
 信州ITバレー構想推進協議会ネットワーク(仮称)のイメージ図のとおり、県内の産学官30数機関予定しているが、協議会に参画いただき、各事業主体のコーディネートを行いながら協働効果を創出することとしている。コーディネートについては推進コーディネーターを配置して、産業界、支援機関、大学、国・県の施策をまとめ、司令塔となって創造的、共生的な取組を行っていく。すでに取り組みが始まっている善光寺門前地域や、11月にサザンガクがオープンすると聞いている松本市や、茅野市・八ヶ岳山麓に展開する企業や大学によるコンソーシアムを拠点にグローバルに展開できるIT人材やIT産業の集積を目指していく。地域の特性を生かしたシステムを作ることにより、県内各地にネットワークとして拡大していき、本県産業のものづくり産業をはじめ、観光、農林業、医療、福祉サービスなどあらゆる分野の生産性向上と技術革新を進められるよう競争力強化を図ってまいりたい。

農産物や加工品の海外展開について

【本郷委員】
 これから自由貿易がさらに進展し、特に長野県は健康志向、日本食への高い評価と発酵食品をベースに海外から注目を集めているが、こうした中、営業局長は8月にベトナム、タイを訪問したが、今回の訪問を通じて、海外市場への販路開拓についての課題や手応えをどのように感じているか。
 また、今後農産物を中心とした県産品の海外販売戦略についてどのように展開していくのか伺う。

【熊谷信州ブランド推進監兼営業局長】
 今回の訪問で見えてきた課題は3点あり、1点目は今までの海外フェアの展開が一過性のもので終わっており、効果が薄いとの指摘をいただいたこと。長野県大フェアと開催しても、まず長野とはどこなのか、地方産品はどのように食べるのかわからない、これは何かと伝えようとしても丸ごとフェアでいろいろなことを伝えようとするため、結局印象に残らないで終わってしまう。従来の手法を象徴的なものに絞り込んで、地域に根付いたストーリーやブランドをしっかり伝えるように、という指摘をいただいた。2点目は、輸出に対しては規制があり経費が掛かる。高付加価値で売っていけば乗り越えることもあろうかと思うが、今まで個別に業者が行っていた輸出に対する規制や経費について、地域・行政として対応していかなければいけない部分もあることを学んだ。3点目は、タイの国家食品研究所において、タイはタイ料理を世界にという合言葉のもと、国が研究をし、民間で商品化し、国と共に海外に発信していくという、まさに行政と民間が一体となった食品戦略を行っており、こういうことをやっていくべきではないかと感じた。手応えとしては、凍り豆腐や味噌をタイ風料理にアレンジしたが、双方に蓄積された食文化・歴史があるもの同士を掛け合わせると、1+1が3以上になるような相乗効果を生み出すと同時に、長野県の長寿世界一というストーリーがあいまって、現地で好評を得たという手応えがあり、これからは素材だけでなく、料理にして提供していく、感性に訴えるという展開が必要と感じた。
 今後の展開としては、長野県は非常に高品質のものであり、それを高価格で売れるチャンネルをしっかり見つけること。海外の輸出規制や経費を上回るような商品を強くしていくこと。しっかりした輸出の手堅いルートを構築していくこと。この3点を固めて海外展開を1つでも増やしていきたいと考えている。

外国人材の受け入れについて

【本郷委員】
 人手不足問題は深刻で各分野にわたっているが、海外訪問の際にベトナム政府とは観光や介護分野の人材育成に関して覚書を交わしたと聞いている。少子化と超高齢化と生産労働人口の減少という中において、戦略的に外国人労働者を受け入れなければ、長野県としてもたないと考える。
 外国人労働者の受け入れに際して、現状や課題をどのように捉えているのか、雇用・就業支援担当部長に伺う。

【福田雇用・就業支援担当部長】
 8月に知事がベトナムを訪問し、労働・傷病兵・社会問題省と覚書を締結した。これは観光部、健康福祉部が中心に行ったもので、観光や介護分野におけるベトナム人技能者、技能実習生の派遣・受け入れに関する協力を含め、広く人材育成について協力促進する内容になっている。これまでもベトナム政府とは交流推進してきたところだが、インバウンド需要が高まっている観光分野、要介護高齢者が増加する介護分野、いずれも受け入れの必要性が高いため、覚書の締結に至ったもの。
 本県における外国人労働者は、人手不足を背景として増加しており、昨年の段階で1万8千人近くに達している。過去最高で、国別では最多は中国だがベトナムが非常に増加してきている。在留資格別でも増えているのは技能実習生という状況で、製造業、農業を中心に活躍いただいている状況。今年4月から特定技能の制度が開始され、まだ試験が行われているのが14業種中3業種であり、本格的な受け入れは始まっていないが、今後、外国人労働者の増加が見込まれるところである。
 適正に必要とされる分野に受け入れが進むことは、本県産業のために必要なことであるが、課題として、1点目は法令を遵守した受け入れでなければならないこと、企業が受け入れに関心を持っていても、労務管理も含め企業側にノウハウがない、コミュニケーションに不安があるという声があったり、受け入れを行った企業においても、仕事に必要な日本語を習得が大変であったり、いろいろな生活支援のサポートや文化の違い対する対応が必要という声がある。また、地域との共生を図っていただくこと、外国籍県民として暖かく迎えるという観点も重要であり、課題であると思っている。
 現在、就業促進・働き方改革戦略会議においても、外国人の受け入れについて検討しているところで、年度末にまとめる方針の中で整理をし、取組を深めていく。

事業承継対する支援について

【本郷委員】
 地域の商店や事業者が急速に減っている。建設業界もここ何年かで1千社減っていると聞いた。4年くらいで4千以上もの事業者が減っている。事業承継に対する支援については、常にこの委員会でも議論してきたが、これまでの事業成果と課題と今後の支援について明確な答弁をいただきたい。

【小林産業立地・経営支援課長】
 これまでの事業と成果は、平成26年に中小企業振興センターに事業引継支援センターを開設し、金融機関や商工団体との連携のもとで、事業の継続・発展が見込まれる中小企業、小規模事業者の第3者承継などの相談、マッチングや、親族内承継の相談などに取り組んできた。今年8月末までで、3,208件の相談を受け、478件のマッチングに取り組み、71件成約したという状況である。同じく平成26年には後継者バンクの仕組みを創設し、譲り受け譲り渡し双方の登録制度を始めたが、現在までに譲り渡し希望者が130件、譲り受け希望者が102件登録されている状況である。さらに、平成30年に市町村や商工団体、金融機関136機関で事業承継ネットワークを構築した。早期に、事業承継、事業継続の今後を考えてもらうため、事業承継診断を実施したところで、事業引継支援センターや税理士などの専門家に引き継ぐという取り組みをしている。昨年度実績で診断1,728件、専門支援機関に119件、センターへ23件をつないでいる。この他に、県では制度融資で信州創生推進資金(事業承継向け)を本年度創設した。また、平成20年に制定された中小企業経営円滑化法に基づき、事業承継の税制で相続税、贈与税の納税猶予などの事務を行っている。さらに、事業承継の特例承継計画の確認や、金融支援のための認定なども行っている。制度融資では、平成30年24件、今年度7月末までで7件取り扱いがあった。承継税制では平成21年から今年8月末までで特例承継計画の確認60件、納税猶予の認定90件を行った。
今後の課題は、2月に中部経済連合会が事業承継に関しての提言を出し、事業承継が進まない背景を分析している。本県も該当するが、1つは県内中小企業、小規模事業者の多数がファミリービジネスで、世襲ありきの根強い意識があること。2点目として、少子化が進み承継候補者が絶対的に不足していること。3点目として事業承継には様々な問題があり、他人に知られたくない意識が経営者にあり、なかなか相談につながらないということが言える。こうした中で県の課題としては、経営者の準備不足を改めていただき、いかに早期に承継の事前準備を促していくかというのが1点。2点目としては、親族内承継ではなく、今後は従業員の承継や個人承継、あるいはM&Aなどの第3者承継がカギになってくる。3点目としては、第3者承継を行う際に、承継を受ける者の障壁をいかに低くするかということ。これらを踏まえ、県として、1つはコーディネーターを3名に増員し、事業承継ネットワークのスキームを使い、特に商工会、商工会議所の指導員の研修と連携に力を入れて、いかに小規模事業者に承継診断を受けてもらうか、そのうえで専門支援機関へのつなぎを増加させていきたい。2点目は、県の移住推進の部署や、民間の人材ビジネスの会社などと連携し、大都市圏などの移住、転職希望者に事業承継に向けたアプローチをする必要があること。3点目は、現在国でマッチング支援のデータベースを作っているが、これを金融機関、税理士など、民間でもデータ入力が可能になるよう改修しているので協力していくこと。また、事業承継時の後継者の経営者保障の解除や、株式譲渡の税優遇も経済産業省で検討を進めており、注視しながら、実施される場合には協力していきたいと考えている。

今後の産業戦略について

【本郷委員】
 現在、5Gという概念がロボットを含めて出ているが、一種の産業革命が起きている。全産業において時代が変わってきており、大変なパラダイムシフトが起きていることは御承知のとおりである。先端技術を活用して、製造業はもとより、サービス業、医療・福祉など多岐にわたって、しっかりと支援をしていくことが大事である。産業労働部の存在感を発揮し、中長期の戦略的な観点から、主体性のある産業戦略をさらに磨きをかけなければいけない。そういう視点を産業労働部全体で理解されていると思うが、最後に、今後の産業政策をどのように打ち出していくのか、産業労働部長に伺う。

【林産業労働部長】
 冒頭、激化するグローバル競争の中で、少子化を迎えた我が国の経済の位置という話をいただいたが、先日渋澤栄一氏について、氏が説かれていた正しい道理の富や、経営の社会的責任などの話にも触れながら懇談させていただいたが、新紙幣が発行される中で経済活動に向かう時にどうしたらよいかということを踏まえながら、産業振興にあたらなければと考えている。
特に本郷委員がおっしゃられたパラダイムシフトは劇的に動いており、単なる物の購入から物を通じたサービスへと変貌したり、あるいは業種を超えていくこともあり、それぞれの業界が融合しつつあるという中にある。その中で、我々の支援機関が今までのように縦割りでは対応できないというのが私の思いであり、分野を超えた思考とアンテナを高くして臨み、スピード感を持って対応していきたいと思っている。イノベーションの主役は県内企業とそこで働く県民であり、現場で支えている工業技術総合センターや労政事務所、あるいはテクノ財団や中小企業振興センター、商工会、商工会議所とも連携を深め、最大効果をもたらせるよう、そして働きやすくなるような方策を用いていきたいと思っている。

令和元年9月定例会 産業観光企業委員会(観光部関係)
観光消費額(平成30年度)の評価について

【本郷委員】
 昨年度のしあわせ信州創造プラン2.0政策評価において、8つの重点目標の1つである観光消費額は、2022年の達成目標である8,100億円を上回る8,146億円とのことであったが、過去5年間をみると、日本人の延宿泊者数は微減傾向、外国人の延宿泊者数は全国を上回るペースで増加しているものの増加率が鈍化しているという分析である。このような傾向を踏まえ、長野県のさらなる観光振興のため中長期的にどのように取り組んでいくのか、戦略的な視点から部長の所見を伺う。

【中村観光部長】
 資料2で説明したように、8,146億円であり、全体的には増加傾向にあるが、資料の表のとおり下がっている部分もあり、ここが課題である。日本人の傾向、外国人の傾向があるが、特に全国と比べて、日本人の県外の方が減少傾向にあることが大変危惧されているところである。インバウンドも増加しているが、他県に比べて少し緩やかになっているところがある。他県の取組みを見ると非常に積極的でインバウンドにも力を入れている。これは行政だけでなく、観光事業者、地域が一体となって行っている部分があり、こうしたことも意識しなければならない。こうした中で、委員が言われるとおり中長期的に考えていかなければならない。単発でイベントを行うのではなく、どこを狙っていくのか、分析した弱いところにどういう手を打っていくか、行政的にどうやるかというところをしっかり考えていく必要がある。そうした中で、特に外国人観光客が長野県に入ってきてから出て行くまでに、どこでお金を消費してもらえるか、どこを回ってもらうか、それによってどのくらい長く滞在していただけるか、どのくらい高いものを買ってもらえるか、ということを地域の皆さんと考えなければならない。新しい傾向とすると、滞在時間をどう延ばしていくか、受け入れ環境についてしっかり取り組んでいく。長野県の場合は県外の観光客が多いが、今までは団体旅行という形で旅行会社と一緒に引っ張ってくるパターンが多かったが、今は多様になってきており、個人旅行やいろいろな興味があってくるため個々ばらばらという傾向である。そういうところにどう対応していくか。また、働き方改革と言われる中で、首都圏の企業の方がどのように休みを取るか、どのように緩やかに仕事をするかという部分を、リゾートテレワークやワーケーションと言われているが、仕事の合間に休みを取る場所を長野県にしてもらう取り組み。また、移住政策の中では、関係人口と言っているが、つながり、何度も訪れてもらう仕掛け、仕組みといった施策を、従来型の観光旅行と言われる団体旅行とは違う狙い、取組みを視野に入れながら施策を行っていく必要があると思っている。また、長野県の場合には首都圏の観光客が多いので、これからは関西圏に目を向け、関西空港やセントレアに来る観光客を外国人も含めてどのように長野県に来てもらうかという施策を考えていかなければならないと思っている。

【本郷議員】
 今回の観光消費額の評価を見ると、長野県観光が抱える課題が見えてきて、その分析を部長がされたわけだが、今回の結果をどのように分析し、今後の施策に反映していくか山岳高原観光課長の立場でどう考えるか。

【塩原山岳高原観光課長】
 今回、観光消費額が大きく伸びた理由は、県外の日帰り客及び外国人の宿泊客が人数・消費単価ともに伸びたことによるものと考える。県外宿泊客については、人数は増えたものの消費単価が下がったため、観光消費額は減少している状況もある。観光部では、これまで観光客の滞在時間・日数の増加をめざしてさまざま取り組んできたが、日本人の平均宿泊日数は横ばいで1.3日であり、必ずしも良い成果に結びついていないことがわかった。また、消費単価も、県外の日帰り客と外国人は増加したものの、それ以外では減少しているということで、観光消費額を増やすためには、まず来訪者数を増加させる施策、具体的にはリピーターを増やす、あるいは若年層、関西圏からの新しい顧客の獲得が必要になってくると思われる。また、消費単価を増加させるための施策は、周遊箇所数を増やすことや体験プログラムを充実させるということで、滞在時間、滞在日数、いわゆる宿泊数を増やすと、併せて高付加価値化やサービスの向上により、消費額を増やす取組が必要と考えている。これから来年度に向け予算編成をしていくが、魅力的な観光コンテンツや体験プログラムの充実、ストレスなく旅行を楽しむことができる受入れ環境の整備、これは、外国人だけに限らず、障がい者や高齢者も旅を楽しむことができるユニバーサルツーリズムの推進を含む。また、二次交通の充実、温泉や食のブランド価値向上、戦略的な情報発信による新規顧客の開拓、北陸新幹線の延伸やリニア中央新幹線の開通を見据えた北陸圏・関西方面からの誘客等に、関係部局や地域振興局とも連携しながら取り組んでいきたいと考えている。

【本郷議員】
 信州まつもと空港活性化議員連盟の幹事長を仰せつかったが、神戸線により関西経済圏が1時間となった。空路の国際化の窓口である松本空港利活用・国際化推進室と連携していただきたい。

観光業の人手不足対策について

【本郷委員】
 昨年度から就業促進や働き方改革を推進するため、「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」が設置され、今年3月に「当面の取組方針」をまとめている。その中のポイントは、「観光の現状と課題」として3つあり、県内観光業は慢性的な人手不足、人手不足や労働環境の改善等が必要との意見が多いということ、人手不足や働き方改革、外国人材の活用への対応を要望する意見も多かったと挙げられている。
 観光部長も知事と一緒にベトナムを訪問し、人材育成に関する覚書を締結したと報告をいただいたが、観光業の人手不足を解消するため、外国人材の受入を含め、当面どのような取組を具体的にしていくか、今後の方針について伺う。

【大槻観光誘客課長】
 人手不足・人材不足は、業種を問わず全国的な課題となっている。観光部が昨年行った観光に関するアンケート調査の結果によると、「従業員が不足している」と答えた観光事業者は46.1%で、また、人材確保に向けた取組の中で、「外国人材の積極的活用」については「実施中」又は「実施したい」と回答した事業者が29.3%と関心の高さが示された。こうした状況を踏まえ、「長野県観光戦略」の中で観光を担う人材の育成・確保は重要な施策と位置付けられており、昨年度から「観光人材育成強化事業」を、また、今年度も新規事業として「観光業人手不足緊急対策事業」として各種事業を実施している。主な取組としては、若者の観光業への就業を促進するため、観光インターンシップ支援事業として、県観光機構にインターンシップ推進員を1名配置し、県内の大学や専門学校、高校等のインターンシップ希望者を開拓するとともに、受入企業とのきめ細やかなマッチングを実施している。
 先月初めには、日本学生観光連盟と全旅連青年部と連携したインターンシップ事業を山ノ内町をフィールドに、25名の学生に参加いただき開催した。旅館・ホテルの労働環境の課題や改善点、また地域の観光振興等について逆に提案をいただくなど、観光事業者や我々にとっても非常に勉強になった。
 また、名古屋・東京で開催したインターンシップフェアに産業労働部とともに参加し、県内観光業の現状や移住等について伝える場を設けている。
 外国人材の関係では、外国人材採用支援事業を実施するほか、産業労働部が行う国内の外国人留学生に向けた企業説明会「グローバル・キャリア・フェア」、今年度1回目は5月に開催しているが、そこに県内の観光事業者の出展支援を行った。また、国際課が窓口となり、日中友好事業の一環として、平成24年度から中国の大学生のインターンシップを現在実施している。今年も春・夏に19か所のホテル・旅館で受入れており、67名の学生がインターンシップを行った。
 こうした事業を踏まえ、今後の取組みとしては、今年度、長野県就業促進・働き方改革戦略会議の全体会議において、「中長期的取組方針」と「外国人材の受入れ方針」を策定する予定となっており、この動向を踏まえながら、分野別の「観光業就業促進・生産性向上協議会」において、官民連携のもと課題の整理と取組を検討したいと考えている。今年2回、分野別会議を開催したが、現時点で課題として捉えられている点を踏まえ、今後の取組みの大まかな方向性としては、先ほども申した若者の就業と定着が大きな課題であることから、インターンシップ事業のさらなる充実を図るとともに、外国人材については、働きやすく、住みやすい環境を整備することが重要となっており、県としては、受入に当たっての地域での意識改革を進めるほか、事業者向けの受入支援、また、外国人材が企業や地域に定着できる支援事業を具体的に検討し、来年度事業にも反映させたいと考えている。

政策対話の実施状況について

【本郷委員】
 昨年3千万人を超え、政府の最終目標6千万人ということになれば、全く風景が変わってくる。文化の違う外国人が来るため、対応した受け入れ態勢として環境づくりを早めに手を打たないと、いろいろなトラブルが起きることが予測される。本年9月5日に白馬村で「インバウンド推進における受入環境の整備について」というテーマで政策対話が行われたと聞くが、どのような意見が出され、今後の施策にどのように反映していくのか伺う。

【小林国際観光推進室長】
 9月5日に白馬バレー地区ということで、大町市、白馬村、小谷村の宿泊事業者、観光事業者、小売業者にお集まりいただき、白馬ハイランドホテルを会場に政策対話を実施した。事業者のほかに、白馬高校国際観光学科の生徒、先生にも参加いただき、総勢30名で、「インバウンド推進における受入環境の整備について」をテーマに、観光部として政策対話を実施した。県からは、観光部長、山岳高原観光課長、国際観光推進室長が参加した。政策対話では、切実な現場の声を直接お聞きすることができた。出された主な意見として、一部の外国人が、屋内で花火をして騒ぐ、飲酒して夜騒ぐなどトラブル事案が見受けられるという意見があった。また、外国人のスキーのインストラクターの養成も重要な課題になっており、就労ビザを申請してもほとんど認められず、ニーズが高いにもかかわらず苦慮しているという意見もあった。小谷からの意見は、十分な通信環境が整っていないことに加え、ATMも限られているので、早期に解決していかないといけないという意見もあった。また、キャッシュレスの導入についても、高齢の事業者の賛同が得られず、地域として進まないという意見もあった。キャッシュレスは、地域がこうしていくというコンセンサス、一体となって進めていかなければいけないという意見のほか、外国語表記について、統一した基準で進めるべきであることや、世界級のリゾートを目指すのであれば、バックカントリーも含め、スキーヤーの安全パトロールのレベルを上げるべきだなど、様々な意見があった。
 白馬地区は、外国人旅行者の受入れの経験が豊富なことから、長期滞在者のトラブルなどについても、日頃事業者が抱える問題について多岐にわたり直接お聞きし、大いに参考になった。政策対話でいただいた意見を、今後、「長野県インバウンド推進協議会」の受入環境整備部会と地域の抱えている課題としてとらえ、啓発活動だけにとどまらず、具体的な実効性のある施策を行っていくよう、次年度の施策の参考としたいと考えている。

【本郷議員】
 観光振興協議会には、観光議員連盟の会長として総会に出席したが、観光事業者の経営基盤が非常に脆弱であるという側面があり、非常に御苦労が多いようである。設備投資や環境整備について、観光部として、前向きに事業を進めるために県議会とも相談し、サポートしていただきたい。

令和元年9月定例会 産業観光企業委員会(企業局関係)
長野県公営企業経営戦略の改定について

【本郷委員】
 2018年5月のアメリカのイラン核合意からの離脱表明以降、中東地域の緊張が非常に高まっており、特にアメリカとイランの対立が大きな懸念材料である。日本はエネルギー需給率が数%で、食料自給率はカロリーベースで38%くらいである。我が国の存続として、エネルギーの安定確保が危ぶまれる事態で、エネルギー調達の多様化を一層進める必要性を国際情勢の中で再認識したところである。
9月23日、ニューヨークにおいて国連の気候行動サミットが開催された。このサミットでは、若者を代表してスウェーデンの環境活動家、16歳のグレタさんが世界の指導者が地球温暖化対策に本腰を入れていない現状について強くアピールをした。20日には東京、ロンドン、シドニーなど約400万人の若者が街頭デモを実施するなど、各国に脱炭素社会に向けた取組のインセンティブを与えたことが大きく印象に残っている。したがって、政治が県政、国政においても政治家あるいは行政が文明論を再認識しなければ、地球の永遠性は担保できない、歴史的転換期に来ているという基本認識を持ったところである。
地球温暖化対策としては、政府は2016年5月に「地球温暖化対策計画」を閣議決定し、その中で温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比マイナス26%としているが、特に福島の問題があり内在する問題は複合的だが、石炭火力発電所の新増設計画などについては、国際社会から非難がある。また、台風15号により社会インフラが壊滅的な状況になっているという概括的な基本認識のうえで質問させていただく。
 企業局においては、一般会計へ5億1千万円を繰り出すなど、積極的に地域貢献に取り組んでおり、高い経営能力に敬意を表する。世界的な社会・経済の情勢やエネルギー需給の見直しなどを踏まえ、今後さらに磨きをかけ、企業局が安定的に経営を行っていくために、対応が必要な課題などを含め、今後の見通しについて、どう考えるか伺う。

【藤森経営推進課長】
 経営戦略がスタートした平成28年度以降の経営状況は、電気、水道ともに、計画を上回る利益を計上し、経営の安定が確保されている。しかし、今後、電気事業については、電力の小売自由化に伴う売電価格の変動や2020年度に見直しが予定されるFIT制度に不透明感があり、また、水道事業においては、人口減少に伴い水需要が減少していくことが予測されている。
 このような情勢を踏まえて、現在、改定作業中の経営戦略では、安定経営を維持しつつ、将来にわたり住民生活に不可欠なライフラインを維持できるよう、投資財政計画の作成作業をを進めているところである。
 電気事業においては、再生可能エネルギーの更なる供給拡大のため、新規発電所の建設を進めるほか、老朽化が進む既存発電所の改修も進めて行かなければならないところであるが、これらの取組を経営的に有利に進めて行くためには、現行FIT制度の認定を最大限に活用しながら実施できるよう、スピード感を持って進めて行かなければならないと考えている。とりわけ、今後、総電力量の約4割を占める美和、春近発電所などが大規模改修に入り停止する際には、一時的に電力収入が大幅に減ることが見込まれ、経営も厳しくなるが、この間は、これまで以上に経費削減に努めるとともに、他の発電所に、事故や故障が起こることの無いよう、細心の注意を払っていくことが必要と考えている。
 水道事業について、特に、末端給水事業については、当面、現行の料金水準を維持して安定的経営を維持できるものと考えているが、長期的にみると、日本全体が人口減少社会を迎える中で、企業局の水道事業も同様に、人口減少による水需要が減ることから、経営が厳しくなるものと認識している。今後は、このような社会情勢の変化を十分想定していく中で、関係市町村との広域連携なども検討しながら、効果的、効率的な経営ができるよう、しっかり取り組んでいかなければならないと考えている。
 いずれにしても、企業局事業を取り巻く状況の変化を踏まえつつ、将来にわたり質の高い住民サービスを安定的に提供できるよう、組織の見直しや人材の確保、先端技術の活用などを通じて、更なる経営努力を図ってまいりたいと考えている。

水道事業の今後の取り組みについて

【本郷委員】
 また、昨年12月に公布された改正水道法が、10月1日に施行されたところであるが、長野市で開催した「持続可能な水道経営の確立に向けたシンポジウム」の説明もありましたが、水道事業について、今後の企業局の取組はどうあるべきだと考えるか伺う。

【竹花水道事業課長】
 「持続可能な水道経営の確立に向けたシンポジウム」は水道法改正を踏まえ、県と市町村が同じ方向性を向いて、互いに連携しながら、しっかりと事業経営に取り組んでいくためのきっかけづくりとして開催した。
 当日の基調講演やパネルディスカッションに出席した国の方々や、東洋大学の石井客員教授からは、「広域連携」をテーマに掲げて、市町村など県内の水道関係者が一堂に会した会議は、他県ではあまり例もなく、特に知事部局と公営企業部門が連携した、このような取組また市町村支援の取組について高い評価をいただいたところである。
 このたびの法改正では、市町村などの水道事業者に対して、「適切な資産管理の推進」が求められ、具体的には一定の期限までに施設や管路などの資産台帳を整備しなければならないとされている。この取組から更に一歩前へ進め、各市町村が保有する水道施設や管路等の情報を、互いに共有することができれば、様々な連携の可能性が考えられるのではないかと思うところである。現在、国では、インターネット空間において各水道事業者が保有する各種情報を共有・活用するシステムの実装化を進めており、企業局においても、国の主催する事業促進委員会に参加するなど、同システムの活用について研究を進めている。今後も、実務者としての知見を活かしながら、知事部局との連携の下、県の特性を踏まえた連携のあり方について県内市町村と一緒になって考えていきたい。

大規模災害発生時の備えについて

【本郷委員】
 台風15号による千葉県の問題は、いろいろな要素からあのような形になっているが、日常生活の基本である電気と水道というライフラインを担う企業局として、このような大規模災害の発生に対して、どのような備えをしているか伺う。

【青木電気事業課長】
 台風15号に起因する電力送配電設備倒壊被害については、送電線の鉄塔倒壊が2基、約2,000本に達する電柱倒壊・損傷があり、これにより93万戸が停電し、復旧には約3週間を要した。
なお、各地で観測した最大風速は、千葉市約36m/sで最大瞬間風速は千葉市で約58m/sなど、多くの地点で観測史上1位を記録している。
 企業局電気事業では、大鹿発電所の電気を送るための大鹿送電線など鉄塔62基を有しており、鉄塔の倒壊があった場合、電力会社への送電は不可能となる。県内の最大風速は長野市で26m/s程度で、鉄塔の基準としては国が定めた基準で、風速40m/sに耐える設備となっており、現状においては十分な強度を有している。今回の千葉での被害を受け、国では鉄塔や電柱の倒壊防止のため、安全基準を厳しくすることが検討されることも見込まれ、今後検討の状況に注視したい。
 災害時等の地域電源としての発電所の活用について、今回の千葉、昨年の北海道など長期停電に対しては水力発電所からの電力供給が極めて有効ではないかと考えている。現状では、法規制により直接配電線を通じての電力供給はできないが、今後の規制緩和等を見据えながら、企業局の水力発電所を災害時の地域電源として活用する方法についても検討してまいりたいと考えている。

【竹花水道事業課長】
 厚生労働省の調べによれば、台風15号による停電などにより、千葉県や東京都、静岡県内の複数の市町村において、長いところでは2週間以上にわたり断水が発生し、最大で約13万9000戸に影響が生じたところである。企業局では、突然の停電に備え、浄水場を有する3つの現地機関に自家発電装置を整備するとともに、特に、給水区域内に標高の高い地域を抱え、浄水場の水を複数の配水池にポンプアップして配水している上田水道管理事務所においては、中部電力の複数の変電所から供給を受けられるような体制をとり、万が一1つの系統がダウンしても別の系統から電力を得られるようになっている。また、土砂災害や風水害の発生時に、住民の皆さんの避難先となる避難所等において、いつでも水が飲めるよう、応急給水施設「安心の蛇口」の整備を計画的に進めているほか、災害時に避難所となる学校や病院などを、地元市町と協議のうえ「重要給水施設」と定め、これら施設等に至る管路の耐震化も優先的に進めている。
 昨年、一昨年は台風や梅雨前線豪雨などにより、用水供給事業において、取水していた奈良井川の原水濁度が大幅に上昇し、一時的な取水・送水制限を余儀なくされるなど、松本市など2市1村への用水供給に大きな支障が生じたところである。このことを踏まえ、河川を管理する建設部や国などの関係機関と課題を共有し、対策を協議するとともに、今年度から企業局の片平取水施設における取水機能の強化について検討に着手する予定である。
 今後も関係機関と連携しながら、ハード、ソフトの両面から取組を進めていく。


令和元年6月定例会 産業観光企業委員会(産業労働部関係)
AI活用/IoTデバイス事業化開発センターについて

【本郷委員】
 国際社会が多極化、流動化している。米中貿易摩擦は貿易戦争の域に達しており、安全保障を含め、あらゆる分野に影響を与え、長野県内でも製造業を中心に影響が出始めていると報道されている。イギリスのEU離脱問題など国際経済の先行きが不透明の中、県内企業も生産拠点の移転など不安感が増している。こうした中、生産体制の強化など適時適切な対応により、グローバル経済の進展を見据えた国際競争力のある企業を長野県として育てていくことが重要である。国際社会と地方経済は極めて密接不可分な関係に近づいており、一層都道府県行政や議会の責任は重くなっている。
 労働生産性を高めることが議論になるが、長野県の労働生産性は760万円で全国23位と低い状況。完成品メーカーも少ない現状が指摘されている。「ものづくり産業振興戦略プラン」に掲げている高付加価値型産業への体質転換の時期に差し掛かっている。「Society5.0」への対応も踏まえ、科学技術基本法も5年目で超スマート社会を作るという将来展望ですが、AI・IoTを柱に新しい時代に対する先見性のある戦略を組み立てることが、産業労働部として求められる。議会も対応していきたいと思っている。松本にAI活用/IoTデバイス事業化開発センターが設置されたが、これまでのセンターの運営や、具体的な取組状況について西原ものづくり振興課長に伺う。

【西原ものづくり振興課長】
 AI活用/IoTデバイス事業化開発センターの運用状況について、5月末までの利用実績は、技術相談24件、依頼試験28件、機器貸付9件、研究8件という状況。
 具体的な内容は、研究では塩尻の企業とAIを用いた製品の画像検査技術の開発、諏訪市の企業とIoT技術を活用した機械の稼働状況を見える化する研究も進められている。見学会は8回実施し300名を超える見学者が来ている。
 この分野は非常に技術進歩が速いので、早期に成果につながるよう取り組んでいく。

SDGsを活用したビジネスモデル普及事業について

【本郷委員】
 SDGs、持続可能な開発目標で、環境、社会、経済の課題を統合的に解決。世界の共通言語となり、大きく注目されている。県内企業等で先見性のある方はSDGsバッジを皆つけている。これは、環境問題も含め、SDGsの理念は非常に重要である。グローバル化、ボーダレス化が進む中で、これからSDGsが果たす役割は重要であり、企業の社会的責任と言われるCSRの活動にとどまらず、企業の持続的な成長や、ビジネス面で大きな効果が期待でき、基本的には社会的な企業の理念として進めることが重要である。この活動をすることにより選ばれる企業となり、人材確保、世界マーケットを見据えた販路拡大など、大きなメリットが見込まれ、産業労働部を中心として県内産業界への促進を期待する。県では登録制度と共にSDGsを活用したビジネスモデルの普及を進めていると聞いているが、SDGsによるビジネスモデル事業の進捗状況や今後の展開について、小林産業立地・経営支援課長に伺う。
 
【小林産業立地・経営支援課長】
 5月に長野県SDGs推進企業登録制度を全国でもいち早く創設したところで、この先の事業としてSDGsを活用したビジネスモデル普及事業を企画し予算化したところである。中小企業のSDGs認知度は15.8%と低い状況を踏まえ、7月19日にSDGsをビジネスに生かすというタイトルで、中小企業向けセミナーを開催する。SDGsの取組意義や基調講演を行うほか、SDGsを考えたビジネスとしている企業の事例発表や、パネルディスカッションを計画、準備している。
 ビジネス展開につながるようなモデル的な取組を、来週から公募する予定。採択した取組には経費を補助する計画。採択事業者には県が委託したコンサル会社による伴走型支援を行う予定で、年度末にはこのモデル事業の成果報告会を開催し、他の中小企業への波及を狙っている。
 今後の展開として、SDGsに関心の高い企業とのビジネスマッチングの市場開拓に取り組み、SDGsを中心とした仕組みづくりを検討している。事業を通じ、社会課題の解決を進めることは県の成長戦略であり、県内企業の競争力強化につながると考えており、一層の取組みを図っていくこととしている。

営業本部の事業展開について

【本郷委員】
 営業本部が事業展開したが、行政部門では初の試みである。米中摩擦など保護主義的な動きがある一方で、TPP、EPA等自由貿易圏の経済のグローバル化は加速化している。加えてインバウンドの増加、海外の健康志向、日本食文化への関心の高まり等、日本、中でも発酵食品が世界から注目されている。一方、人口減少(長野県でも30年後160万人なる)によるマーケットの縮小、自由化による輸入食材の流入など、今後ますます市場は厳しい環境が予想される。こうした中、県産品の高付加価値販売、世界標準の商品力の向上など取り組むことにより、海外も視野に入れた営業戦略を定めて展開していくことは、きわめて状況を正確に把握していると認識している。銀座NAGANOの知見や、観光部の経験を踏まえ、県産品の強みを厳しい市場環境の中でどのように発揮していくのか。海外に対し、どのようなアプローチで販売開拓を進めていくのか。ブランド力の強化や情報発信の方向性も含め、熊谷信州ブランド推進監兼営業局長に見解を伺う。

【信州ブランド推進監兼営業局長】
 銀座NAGANOというステップをやっておいてよかったと思っている。一般消費者も体に良いものや、周辺レストランも本当においしいもの等を求めている。大量流通の熾烈な流通世界とは別なものが都会で生まれている。長野県のシェアは大きいが1個人としては小ロット、ですが高品質であり、これをうまく生かしていく今がチャンスである。例えば醤油工業組合では一升瓶1.8リットルを出荷すると1本500円だが、あるこだわりの業者は丁寧に300ccに詰めて500円で売っている。一升換算で3,000円、6倍で売れている。やはり正しいもの、おいしいものを求めている人に正しく丁寧に伝えていく、これが長野県のチャンスではないかと銀座NAGANOで学んだ。また、長野県は素材で出すことが多く、商品になっていない問題がある。商品にして付加価値を高めていくことが必要であると思っている。
 海外のアプローチでは、健康や日本文化は注目されており、商品をタイアップさせて出していくことはタイミングが合っている状況である。お六櫛は国内だと1万5千円だが、フランスだと8~9万円で売れる。海外だと経費を気にしがちだが、経費を上回る価格で売れるところもある。これから追究してまいりたい。
 ブランド発信力の強化は、信州のイメージや文化を発信しながら強い商品力を出していく。グローバルギャップ等世界標準を装備して商品を出していくことも重要。
 台湾で学んだことは、「ナガノパープル」は「長野紫」となりどんなものかわからなくなる。表現の仕方も工夫をしていかなければいけないと思っている。

人材確保・働き方改革について

【本郷委員】
 人手不足の産業界の共通する重要な問題は、人材確保と働き方改革だと認識している。しあわせ信州創造プラン2.0でも、県では「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」において議論がされている。今後、中長期的な取組を検討していくとのことだが、特に公共事業でも、今年2月から3年間で7~8兆円の景気対策を政府は出しているわけだが、働き手がいない状況で、これは、来年の東京オリンピック、パラリンピックとも連関しているが、3年間の中で、地方創生、地方再生、地方復権が、日本の最後に残った骨太における戦略論として、まだ軌道に乗っていない。中長期的な取組を検討するにあたり、人材確保と働き方改革の促進という視点で現段階での課題や認識と、今後の進め方について福田雇用・就業支援担当部長に伺う。

【福田雇用・就業支援担当部長】
 就業促進、働き方改革に関する中長期的取組方針についてのご質問。現状、雇用情勢か堅調に推移しており、有効求人倍率は高く、人手不足感が強まっている状況。雇用情勢自体は、短期的には景気動向の影響を受けて変わってくることはあるが、中長期的には、今後予想される生産年令人口の減少も考慮して、さらに今後、経済成長を続けていくことが必要という観点に立つと、大きな人材不足が今後も生ずると考えている。人材確保という取り組みは、中長期的にも重要な取組と認識している。
 課題としては、若者を地域に定着させるにはどうしたらよいかに関していえば、早くから地元で働く、地元の企業について認識を持ってもらう、そのためのキャリア教育が必要という指摘をいただいたり、若者にとって魅力のある街づくり、地域づくりが必要ではないかという非常に幅広い検討が必要という意見をいただいている。
 女性活躍推進という観点では、出産、育児等との仕事の両立、M字カーブの回復が重要で、子育て支援はもちろん必要だが、長野県は女性管理職の割合が低いという指摘もあり、女性のキャリアアップを離職防止の観点からも考えていかなければとの指摘もあった。今後、ワーキンググループを開催し、課題について意見を伺ったり、各部局が行っている産業別会議、地域振興局ごとの地域会議、昨年度体制を整えたので幅広い議論をしていただき、年度末までに中長期的取組方針を作成していく。

産業支援体制のあり方について

【本郷委員】
 しあわせ信州創造プラン2.0で、産業の生産性の高い県づくりは、県政における1丁目1番地であり、実現には各種産業政策をトータルで複合的で戦略的かつ効果的に進めることが極めて必要である。そのために、産業労働部と、現場では工業技術総合センターや中小企業振興センター、テクノ財団が十分に産業支援に取り組むことが不可欠である。県では5か年計画やものづくり産業振興戦略プランにおいても、次の時代に迅速に対応できる企業支援体制を構築しているところである。最後に産業支援のあり方について、これまでの取組みと、今後の展望について、林産業労働部長に伺う。

【林産業労働部長】
 価値創造社会「Society5.0」への実現に向け、グローバル化の競争の中で県内企業は、相当の技術革新や新しいビジネスモデルの創出に大変な努力をされ、日夜取り組まれている。平成の時代はバブル崩壊、円高不況、その後リーマンショック、震災後のBCP対応で企業は大変な思いをしていた。今は、人口減少で労働力が不足する中、事業承継まで課題になっていることを見ながら、どんな体制をつくればいいのか、行政はしっかり応えられる組織になっているのかを意識しないといけない時期だと思っている。
 一番大事なのは、企業から見て真に効果的な施策が展開できる組織になっているか、そういう意識をもって臨まなければいけないと思っている。
 二つ考えていることは、グローバルシンキングという視点を持ちながら、全体としての施策をどうするかということと、県内約7万3千社の企業が着実に歩みを続けられるよう寄り添った支援はどうあるべきかを議論していく必要があると思っている。現在、産業労働部、商工会等含め千人弱の支援員がいる中で、うまく連携しながら県内企業の役に立つ組織にしていくという視点で臨みたいと思っている。

令和元年6月定例会 産業観光企業委員会(観光部関係)
「長野県観光戦略2018」の推進について

【本郷委員】
 昨年3月の観光戦略策定後2年目となる本年は、「『感動県信州』の創造」をテーマに据えた施策を進めるとのことだが、昨年1年の成果を踏まえて、長野県観光の強みをどのように伸ばしていこうと考えているのか。
 米中経済摩擦などの長期化、国際社会が不透明感を増す中において、中期的な展望をしながら長野県の観光産業をどのように振興していこうとしているのか。
 また、観光戦略では「目指す姿」として「そこに暮らす人も訪れる人も『しあわせ』を感じられる世界水準の山岳高原リゾート」を掲げている。昨年終了した「信州デスティネーションキャンペーン」においても、キャッチフレーズとして「世界級リゾートへ、ようこそ。山の信州」を掲げていた。長野県観光が目指す「世界水準」「世界級リゾート」を実現するために、発想力、構想力が必要と思うが、未来に向かってどのような絵を描こうとしているのか、部長の所見を伺う。

【中村観光部長】
 観光戦略は今年2年目、戦略の3つの柱として「経営体づくり」、「基盤」、「インバウンド」に取り組んでいる。
 成果とすると、3年間のDC期間で様々な取組を行い、DC期間中ものぼり調子でアフターDCも非常に良かった。関係者としっかり関係を築くことができた。また、市町村域を越えたエリアの取組が各地域で出てきた。
 インバウンドも153万人と過去最高となっているが、強みとして、長野県の場合は自然、健康、三大都市圏から近いことが挙げられるが、これだけではだめだと思っており、一番はそこに旅の目的、旅行の目的をしっかり作ってあげること。例えば、最近、小諸市で庄屋を改装して、古民家を高級ホテルにしている。粂屋という取組をしているが、これは歴史を大事にしている。こういった取組を点ではなく線で結び付けていく、面でやっていくとか大きな取組にしていくことが必要だと思うので、これからも期待したい。
 次に最近の景気について、マインドが下がっていることもあるし、米中の貿易摩擦など、観光に影響がないか心配されるところだが、特に中国との関係を伸ばして行った方がいいと思う。
 私も2、3年観光部を離れていて、戻ってきて驚いたことが、中国も団体旅行からかなり個人旅行へシフトしている。個人旅行は、その地域に行きたいとか、人に会いたいとか、こういう体験をしたいという風に時代は変わってきている。
 長野県内の素材の中には人がいて、それが長野県人の自負だと思うので、こういうところをしっかりと打ち出す、伸ばすことだと思う。
 もう一点、世界級リゾート、世界水準の取組について、これから交通網が大きく変わる。
 リニアの関係、北陸新幹線の延伸ということで関西圏からも入込みがあるだろうし、まつもと空港の国際化に向けて、利活用を考えなければいけない。こうした中で、インバウンドも人の流れが大きく変わると思うので、そこを狙っていく。
 先ほど強みで自然と申し上げたが、ダイナミックな自然は世界級だと思っている。それだけではダメで、どうやって来ていただくか、主要な空港などからストレスなく来ていただくことが大事。そういった流れをしっかり作ってあげることが世界級リゾートになっていく一つのキーだと思う。
 先ほど申したように新しい取組を点から線、面、エリアで考えて、打ち出していくこと。それから、受入を流れでストレスなく来ていただき、楽しく長期滞在できるようにしていくこと。外国人に向けては、自然とか歴史・文化があることが非常に強みなので、ホスピタリティなどと組み合わせた形でしっかり打ち出していきたい。

広域型DMOの形成支援について

【本郷委員】
 先月の観光戦略推進本部会議において、大町市、白馬村、小谷村をエリアとする 「HAKUBAVALLEY TOURISM(ハクババレー・ツーリズム)」を、県が重点的に支援する広域型DMOに指定した。この3市村は、北アルプスという共通の資源を軸に、エリア内の10スキー場で統一ICカードを導入するなどの官民連携を進め、海外からも多くの人が訪れているとのことだが、県が広域型DMOを支援する意義は何か。
 また、「世界から選ばれる山岳 観光地域の構築」をコンセプトに掲げているが、県は具体的にどのような支援を行う予定か。

【塩原山岳高原観光課長】
 県が広域型DMOを支援する意義について、人口減少・少子高齢化が進行する中、日本の成長戦略の柱である観光は、地方創生の成否を左右する重要なカギ。日本を訪れる外国人観光客が3千万人を突破し、国内各地域を訪れるようになった現在、世界的な視点での魅力発信や観光客の受入体制の整備が急務となっている。
 観光先進国の例にならうと、地域の「稼ぐ力」を引き出すためには、市町村の枠にとらわれず広域で地域の魅力を発信すること、・地域の各産業がそれぞれに役割を分担しながら観光客を受け入れる協力体制を構築すること、また、顧客データなどを活用したマーケティングに基づいて、観光地経営の企画及び地域のマネジメントを行うことが必要。
 その舵取り役を担うことが広域的DMOと考えており、その形成支援を県が行うことにより、県下各地において、県が観光戦略で目指す「そこに暮らす人も訪れる人も『しあわせ』を感じられる地域づくり」を実現することにつながるものと考えている。
 「HAKUBAVALLEY TOURISM」に対する具体的な支援の内容については、提出された「広域型DMO形成計画」に基づき、再生可能エネルギーを活用した「持続可能な観光地域」のブランディングのため、再生可能エネルギーの導入や農産物等の地消地産の取組の支援。情報発信については、県のプロモーションを紙媒体からデジタルに転換し、DMOのウェブサイトと連動して、宿泊や体験プログラムの予約を可能に。外国人観光客の受入拡大のため、二次交通やキャッシュレス、無料WiFiの普及などの環境を整備。
 また、グリーンシーズンの受入体制強化として、「Japan Alps Cycling」ブランドの構築など、「山岳・自然」を活かしたコンテンツの磨き上げについて、連携。
 以上の取組を関係部局、地域振興局とも連携しながら支援していきたい。

信州DCの成果・課題を踏まえた今後の観光戦略について

【本郷委員】
 今回の信州DCは長野県の持つ良さが発揮できて、一定の成果をあげたと考える。本年は全国都市緑化フェアが開催され、ラグビーW杯、東京オリンピック、パラリンピック、善光寺御開帳、信濃美術館リニュアルオープンとプロジェクトが連続している。このような動きと信州DCの成果と課題を踏まえ、県としての中期的な観光戦略を伺う。

【大槻観光誘客課長】
 信州DCの主な成果は、「着地型周遊バスツアー」の取組等により、各地域の観光資源、価値の磨き上げやストーリー探しができたことなど新たな「観光地域づくり」に向けた機運づくりに着手できたこと、また、観光・交通案内アプリ「信州ナビ」などを導入し、観光地域づくりに必要な旅行者の利便性を高める情報環境の整備を前進させることができたこと、などがある。
 数字的には、信州DCの3年間は、全国各地で自然災害が多発したことから心理的に旅行機運が醸成されにくい状況があったが、3年目の昨年のアフターDCでは延べ宿泊者数は625万3千人と3年間の期間中で最多となり、多くのお客様を迎えることができた。
 主な課題は、まず、自然環境に頼りがちな観光からの転換、観光コンテンツの充実が必要であること、2点目として、一目でわかる情報発信の工夫や、デジタルプロモーション強化の必要性、3点目として、観光地を広域的に周遊するための二次交通の整備、充実の必要性などを受け止めている。
 以上の成果と課題を踏まえて今後の観光戦略の具体的な取組みについて2点説明する。
 まず、1点目、地域の資源を活かした「学び」や「体験」、「食」、「人との交流」など天候に左右されない「観光コンテンツ」を充実させていくこと。現在は、モノ消費「見る観光」からコト消費「体験する観光」に観光活動の範囲は広がっているし、直感的に認識できる「感性」的側面だけでなく、その背景にある歴史や生活・文化等の「知性」的側面へと観光客の関心が高まっている。先に国宝に指定された旧開智学校や、現在リニューアル工事をしている東山魁夷館・信濃美術館への来館や、また、善光寺御開帳を通じて、「信州ならではの『学び』や『交流』」、さらに、ヘルスツーリズムや、「健康長寿の食」など「信州の健康なライフスタイル」等をテーマとした魅力ある体験メニュー、コンテンツの開発等を各地域で引き続き行ってきたいと考えている。
 2点目として、個人旅行者の増加、インターネット、SNSの急速な普及に対応するため、デジタル媒体を中心とした情報発信力の強化を進めていきたいと考えている。現在3つのサイトに分散している県の公式観光ウェブサイトを1つに統合し、アクセス数を分散させず、更新業務の効率化を図ることとしている。また、顧客の嗜好に応じたデータ分析を行い、効果的な情報プロモーションを行う。国内外の民間予約サイトと連携し、宿泊・体験などの予約機能を充実、円滑化させる取組を継続していく。併せて、県のウェブサイトで蓄積した、マーケティングデータを市町村や地域の事業者に対してフィードバックすることで、市町村のデジタルプロモーションへの流れを中期的につくっていきたいと考えている。また、関係部局と連携してWi-Fi環境の整備も進めていきたい。
 今回の信州DCにおける様々な取組みの成果等を一過性のものとせず、「信州DCレガシー」として継続発展させ、東京オリンピック・パラリンピックに、そしてまた、県内各地域のイベントにつなげ、長野県が目指す長期滞在ができる山岳高原リゾートへの転換を進めていきたいと考えている。

今後のインバウンド戦略について

【本郷委員】
 平成30年の外国人延べ宿泊者数は152万7千人で、対前年比18.4パーセントの増と、全国を上回るペースで増加している。
 県では本年2月に民間の事業者を中心とするインバウンド推進協議会を設立、4つのワーキング部会を設け受入環境整備等を進める体制を整えた。
 観光部では今年の外国人延べ宿泊者数の目標を200万人、そして2022年の目標を300万人としているが、どのような戦略でこの目標を達成しようとしているのか。

【小林国際観光推進室長】
 平成30年の外国人延べ宿泊者数は152万7千人で大変順調に伸びてきている。
 「長野県インバウンド推進協議会」が非常に大きな核となるものだと考えている。
 民間事業者としても海外への造詣が深い、明神館の齊藤茂行氏を会長に、取り組みを開始している。
 大変堅調な伸びを見せているが、今年度目標値が200万人、2022年に300万人と大変高い目標を掲げて取組んでいる。
 地域ごとに昨年のデータをみても、上田、佐久、北信などの伸びてきているところとそうでないところの偏りがあることも認識している。
 具体的には別所温泉や、スノーモンキーなどのキラーコンテンツに外国人旅行者が集まる傾向にあると思われる。
 私どもの弱みである、信州DC後の二次交通の対策として、外国人向けに新たな取り組みとして「NAGANO PASS」の販売を開始した。
 私鉄4社がタイアップした初めての取組みのため、問題点の分析、調査をしっかり行い、恒久的課題として二次交通は大切な問題と認識しているため、優良な商品に育てていきたい。
 戦略目標に向けては、大変高い目標ではあるが、民間主導による「長野県インバウンド推進協議会」が核となり、民間の意識が高い方々と手を取り合いながら、十分意見を反映させて官民一体となって取組んでまいりたい。

令和元年6月定例会 産業観光企業委員会(企業局関係)
長野県公営企業経営戦略の改定について

【本郷委員】
 国際通貨基金(IMF)の試算によれば、米中両国の追加関税措置による貿易摩擦が一層激化すると、2020年の世界の成長率は0.5%下押しされるという見通しである。それら含め、企業局の電気水道事業は最も重要な基盤であると認識している。
 人工知能(AI)などの技術革新と雇用の問題、エネルギーと気候変動などの国際協調が求められる課題も山積している。
 究極の環境型エネルギーとして期待されている水素については、2017年1月に、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)において、BMWグループ、ロイヤル・ダッチ・シェル、トヨタ自動車など世界的企業13社によって、水素と燃料電池の開発と商業化に向け、大掛かりな投資をさらに加速させていくための水素協議会が設立されるなど、研究開発が積極的に行われている。
 これらの状況を踏まえ、企業局は、これまで以上に再生可能エネルギーを活用した発電事業や安心で安全な水の供給事業を通じて、持続可能な社会の実現に広く貢献していくことが期待されている。
 現在の経営戦略では、「経営の安定と発展の礎づくり」という基本方針の下、「経営の安定」、「地域への貢献・共存共栄」、「リスクマネジメント」という3つの視点に立ち、戦略を推進することとしているが、どの程度の改定を想定しているのか。具体的には、それら「基本方針」や「3つの視点」も改定の対象としているのか。また、改定の対象としているのであれば、現時点では、どのようなスタンスで改定しようとしているのか。

【藤森経営推進課長】
 現在の経営戦略は、計画期間が2016年から2025年までの10年という長期戦略であり、今回の改定は、その最初の3年が経過した比較的短いスパンでの改定であるので、基本的には、策定後に生じた企業局を取り巻く情勢の変化に対応した、残りの6、7年を想定している。
 次に、具体的なご質問として、「基本方針」及び「3つの視点」の改定に関するスタンスについて。
 まず、「基本方針」の「経営と発展の礎づくり」については、戦略策定当時は、電気事業が2012年に民営化から事業継続に方針を転換した。水道事業のうち末端給水事業については、2014年に分割移管を前提とした関係自治体との協議を休止し、あり方については、関係自治体と研究していく方針に転換するという大きな方針転換があったという中で、こういったことにきちんと対応していくためには、まずは組織の「足場固め」として、「礎づくり」をきちんと戦略の「基本方針」に位置付けることが必要であったと認識している。
 しかし、現在は、この方針転換に沿った事業運営が順調に進められており、「礎づくり」からは一歩前進していること。
 また、昨年度、企業局のCI戦略として、職員公募で決定した「水の恵みを未来へつなぐ」という、将来に向けた前向きなフレーズが職員共通のミッションとして定着していること。
 こうしたことから、今回の改定では、これらを踏まえた「基本方針」にしていきたいと考えている。
 次に、「3つの視点」の「経営の安定」、「地域への貢献・共存共栄」、「リスクマネジメント」については、現戦略を尊重したいと考えているが、AIやIoTなどの「先端技術の進展」や、人口減少社会ということで知事部局でもそうだが、「しごと改革・働き方改革の推進」といった新たな視点も出てきており、こうした戦略策定後に生じた大きな情勢の変化については、しっかり盛り込んでいきたいと考えている。

既存発電所の大規模改修について

【本郷委員】
 電気事業については、平成26年度から利益剰余金を一般会計へ繰り出し、県立高等学校ICT化など多岐にわたって大きな社会貢献をしており、電気事業の利益を活用した地域貢献の取組がめざましいと認識している。
 2020年をもって抜本的な見直しが予定される固定価格買取制度(FIT)を最大限活用することがポイントになると考えるところだが、現時点で現行固定価格買取制度は、2021年度以降どうなっていくと考えられるのか。それを踏まえ、電気事業においては、今後、既存発電所の大規模改修を具体的にどのように推進していく方針なのか。

【青木電気事業課長】
 ご指摘のとおり、FIT制度を最大限活用することが、電気事業の好調な経営を今後とも支えていくための最大のポイント。
 ただ、FIT制度については、2020年度末までに抜本的な見直しを行うことが法律(FIT法)に規定されており、2021年度以降の確証がないため、公営電気事業経営者会議を通じて国へFIT制度存続の要望を行っている。
 制度の抜本的な見直しについては、国において、本年4月以降、審議会(再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)にて、「FIT抜本見直し」を含む今後の再生可能エネルギー政策の在り方について、議論されている、と認識している。
 審議会では、・再エネ業界団体や海外有識者からヒアリングし、議論を深めている。6月10日の第15回小委員会の時点では、具体的な方針はまだ何ら決まっていない。なお、7月5日に「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(第16回)が開催されることから、審議内容を注視していきたい。
 発電所の大規模改修については、FITが2020年度までとの前提で計画。
春近については、先ほどご説明したとおり、2020年度末までにFIT認定を確実に得る計画。
 美和発電所、与田切発電所についても大規模改修を計画していますが、2020年度末までに確実にFIT認定を得るため、春近と同様に本年度中に設計施工一体型での契約を予定している。
 いずれにしても、これらの計画に遅れが出ないよう取り組んでいく。
 なお、引き続き、FIT制度に関する国の審議状況を注視し、新規電源開発や既存発電所の改修スケジュールに反映していきたい。

水道事業の広域連携について

【本郷委員】
 水道事業では、水道施設の老朽化や深刻化する人材不足などの諸課題に対応するため、水道法が17年ぶりに大幅に改正された。
 県内には、点在する集落を抱え、数少ない職員で水道事業の運営を行っている市町村が数多く存在していることから、これら市町村の水道事業の運営は益々厳しくなることが予想され、県としても県内市町村に対する広域連携の取組を加速させていく必要がある。
 その中で、水道事業者として現在、末端給水も用水供給事業も実際に担っているという都道府県レベルでは全国でもあまり例のない県企業局が担う役割は大きいものがあると考えるが、具体的に今後どのような取組を展開していく方針であるか。

【竹花水道事業課長】
 改正水道法では、水道の基盤強化に向けて、国や都道府県、市町村など関係機関の責務が明確化される中で、都道府県は広域連携の推進役を担うこととされている。
 企業局は、県内の一部地域ではあるが、約50年以上にわたり末端給水および用水供給事業を行う中で培ってきた知見を活かし、実務者の視点から、環境部や企画振興部、地域振興局と連携して、県内水道事業の持続可能な経営に向けた支援に取り組んでまいる所存である。
 具体的には、関係部局と「水道事業市町村支援チーム」を編成し、昨年12月より地域振興局とともに県内市町村に直接出向いて、町長さん、村長さん以下職員の方々と意見交換を行いながら、地域の実情に即した支援に取り組んでいる。
 広域連携の推進にあたっては、県内市町村が互いに「顔の見える関係」を構築し、課題を共有した上で、同じ方向を向いて取り組んでいくことが大変重要と考えている。
 その第一歩として、今年度は、「持続可能な水道経営の確立に向けたシンポジウム」を開催し、中山間地を抱える本県の特性を踏まえた広域連携のあり方などについて、水道事業に携わる市町村の方々と一緒になって考えていくきっかけづくりに取り組むほか、
 長野市や松本市など、企業局の経営区域である地元市町村と企業局で構成する「県営水道関係市町村等懇談会」を本年5月に設置して、地域の水道をこれからどうしていくか、具体的な議論を今後進めてまいりたい。

企業局の今後の事業展開について

【本郷委員】
 最後に、経営戦略の改定に当たり、企業局の果たすべき役割はますます高まっていくものと考えるが、それをどう捉え、事業などを今後、どのような方針で閃絡的に展開していくのか、管理者の所見を伺いたい。

【小林公営企業管理者】
 企業局における電気及び水道事業の個々の取組については、先ほど、各課長から説明があったとおりだが、全体的なことでいうと、1つは、企業局がこれまで培ってきたものを最大限に生かして展開していくということが非常に大事である。例えば、電気事業においては既存発電所のFIT適用で更に60年持つものにしていく。新規電源開発は、基本的には水力を想定しているが、それをとことんやっていく。もう1つは、地域貢献ということで、水道事業については、営業区域内を中心にやっていたが、これからは県全体の水道事業を経営の部分を含めて持続可能なものにしていくという視点に踏み込んでいきたいと思っている。
 そのためには、個々の職員が、能力を最大限に発揮するとともに、それが連携して、風通しの良い職場で組織が一丸となって業務に取り組むことが必要だと思っている。その中で新しい芽も育てていくということを今回の戦略の中では考えていきたいと思う。


平成31年2月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(環境部関係)
平成31年度当初予算について

【本郷委員】
 平成31年度環境部当初予算について質問する。未来への投資として学びの改革や産業生産性向上、県土の強靭化などに取り組むとともに、人口減少社会への対応として、移住・交流の推進、文化スポーツの振興、とりわけ環境負荷の少ない社会づくりに力を入れて取り組むとされている。また、SDGs未来都市として、エネルギーの自立、分散型モデル地域の形成や地域内経済循環の促進など、経済・社会・環境の3側面の総合的向上にも取り組んでおり、人口減少が進む中でこれからの長野県の発展を目指すため、きわめて意欲的に取り組んでいるという印象をもった。
 そういった背景を軸に、世界が地球温暖化対策に真摯に向き合い、SDGsへの取組を加速化させる中、本県としても世界の潮流を意識した施策を展開していくことが重要である。高田環境部長に、来年度予算において特に力を入れた点や工夫した点など、この予算に込めた思いを伺う。

【高田環境部長】
 平成31年度当初予算に込めた思いについて、今回は分権型予算編成の中で、特に3つのポイントを重視した。
 1つはしあわせ信州創造プラン2.0や第四次長野県環境基本計画を着実に進めるのに必要な施策。
 2点目として、働き方改革、仕事改革と言われる中で、AIやRPA、委託を活用して、職員の負担を軽減し事務を効率化する取り組みを考えた。
 もう1点は、現地機関でしっかり仕事をしていくための検査機器、公用車等の必要なものはきちんと整備・更新していくということ。これら3点を予算の範囲内で具体化した。
 特に、1点目のしあわせ信州創造プランや第四次長野県環境基本計画の課題については、環境部だけで考えていてはできない。予算というとどうしても環境部の何々課の事業として提示されるが、職員と話しながら、環境部の視点だけではなく全体を見渡した視点で物事を考え、実際に進めていくときにも関係部局や県民、民間の力を借りて事業を進めていけるようにという思いを込めた予算にした。

環境エネルギー政策の今後の取組について

【本郷委員】
 G20では初めてとなる環境分野での、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の軽井沢町での開催が6月15日、16日に迫っている。そこで、環境問題をめぐる世界の潮流やG20関係閣僚会合を踏まえて、本県の環境エネルギー分野の取組をどう進めていくのか伺う。

【真関環境エネルギー課長】
 今年、G20関係閣僚会合が軽井沢で開催される予定であり、これに向けてCOP24や様々な国際会議に出席する場面をいただいている状況。こうした中で、これまで取り組んできた環境エネルギー戦略を発信しながら、同時に世界が動いているということを実感している。G20に向けて様々な企画があるので、長野県の取組を発信しつつ、世界の潮流を感じていく。そして、それを捉えて次の環境エネルギー戦略に活かしていくという大事な局面になっている。いろいろな意味で長野県は会議に参加する機会をいただいているので、この機会を好機と捉えて、更に長野県が環境エネルギーの先進的なところを貫いていけるようにしたい。

「G20関係閣僚会合」に向けた準備の状況と魅力発信について

【本郷委員】
 G20関係閣僚会合は大規模な国際会議になることから、当日に向けた準備に万全を期するとともに、この機会を、豊かな自然を始めとした本県の魅力を世界に向けて広くPR・発信する場として十分活用することが肝要。そこで、会合に向けた準備の状況と、この機会を活用し本県の魅力をどのように発信していくのか、環境政策課長に伺う。

【真関環境エネルギー課長】
 関係閣僚会合に向けた準備の状況については、現在、会場関係や警備などについて、国や軽井沢町、県警本部とも打合せをしながら進めているところ。県から資源エネルギー庁と環境省に県職員を派遣しており、国とも密接な連携をとり進めている。
 先月には、国が参加国向けの説明会を開催しており、現在、各国が代表団の編成等を検討していると思われる。それが見えてくると具体的な準備も本格化してくるため、引き続き、国に協力して開催支援を行っていく。
 G20関係閣僚会合は、各国の環境・エネルギー各分野の大臣や関係者、メディアなど多くの方々の参加が見込まれているため、本県の魅力を発信する絶好の機会であると認識。
 会合期間中は地元主催の歓迎レセプションやエクスカーション、環境関係の展示などが予定されているため、県産食材や日本酒・ワイン、長野県の自然・文化のほか、県内企業の技術力などが発信できるよう、国と協議しながら準備を進めていく。

気候変動への対応について

【本郷委員】
 昨年、世界の温室効果ガス排出量が増加したことを受けて、このままではパリ協定に掲げた目標の達成は難しいとの国連の報告書もある。我が国において、気候変動適応法が昨年12月に施行され、温室効果ガスの排出削減を目指す緩和策とあわせ、気候変動の影響による被害の回避、軽減を図る適応策を関係者が一丸となって推進することが定められた。
 特に山岳高原における貴重な動植物をはじめ、豊かな自然環境に恵まれた本県にとって、地球温暖化への適応は重要な課題である。長野県の取組としては、信州気候変動適応センター(仮称)を設置するとの説明があったが、信州の豊かな自然から県民が今後も恩恵を享受するために、このセンターを十分機能させることが重要であり、今後どのように活用していくのか伺う。

【真関環境エネルギー課長】
 温室効果ガスを減らすということももちろんやっていかなければならないが、現実に上がっている気温に対して適応していくという対策も必要なのが現況である。現実的に本県の地域特性に応じたことを展開していく必要があり、例えばリンゴやレタス等について高温障害に強いものにしていかなければならないし、凍霜害、土砂災害の危険等が温暖化によってどういう状況になるかということも確実に提供していく必要があると考えている。
 現在、各部局の中で進められている施策もあるが、センターを設置することによって、もう一度改めて適応という観点で括り直す。その中で、必要なものは行政として更に深掘りをしていく必要があろうかと考えている。
 適応の主体は行政ばかりではなく、市町村の皆さん、県民の皆さんになるので、皆さんが使いやすい情報を適切な形で提供していくことも大きな柱になると考えている。

中央アルプス国定公園化について

【本郷委員】
 上伊那地域を中心とする4市6町3村にまたがる中央アルプスは、ロープウェイにより高山帯に誰もが気軽に訪れることができ、氷河によって形成されたアルプスの雄大な景観を楽しむことができる、本県を代表する自然公園のひとつである。
 しかし、希少な自然環境に数多くの方々が容易にアクセスできるということは、メリットである一方で、登山客の踏み荒らしなど、自然環境が損なわれるという懸念もある。県では、国定公園化を進めることによって、自然環境の厳正な保護と、観光などの利用の両立を図っていくとしている。この点は本会議でも議論があったところであるが、改めて、国定公園化によって、どのように保護と利用の両立を図っていくのか伺いたい。
 さらに、中央アルプス県立公園以外の県立公園についても、さらなる利活用に向けた方策が必要と考えるが、いかがか。

【春日自然保護課長】
 千畳敷カール周辺は貴重な氷河地形がある一方、ロープウェイにより多くの方々が訪れる場所であるため、まずはこの地域を特別保護地区に設定し、厳正な保護を図っていく。他の地域についても、無秩序な利用を防止するため、公園計画に野営場等の施設計画を明確化し、秩序ある利用を推進していく。保護対策については、地元関係者と連携し監視体制、マナー啓発の強化を図ってまいりたい。
 一方利用面については、千畳敷カール地域に集中する利用実態があるため、地元の意向に基づいた利用施設を公園全体に配置し、利用者の利便性と公園の魅力の向上を図っていくとともに、民間資本の導入、安全登山のための施設、ユニバーサルツーリズムなどを推進してまいりたい。
 これらの取組みにより、保護と適正な利用の一層の推進を図ってまいりたい。
 他の県立公園については、平成29年度に県立自然公園条例を改正し、地域関係者とともに公園の協働管理を実現するための地域会議と、適正な利活用を図るための公園事業制度を創設した。これらにより、地域の意向を反映した公園の利活用が図られる体制が整ったところ。今後は、公園事業制度の普及を図るためリーフレット等を作成し、周知を図ってまいりたい。
 また、来年度は、公園の魅力について山岳観光等を熟知した外部有識者から提言を頂き、利活用に反映させる取り組みを進めてまいりたい。

平成31年2月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(産業労働部関係)
産業の生産性の高い県づくりについて

【本郷委員】
 冷戦構想が終幕し、新たにグローバリズムという概念が定着しつつある中、今日から中国では全人代が始まり、経済の減速傾向が顕在化し、習近平体制にとって経済問題が最大の問題となってきている。政治と経済は密接不可分の関係であり、世界の情勢が極めて流動化してきている。  
 世界経済を見ると、いわゆる米中貿易摩擦の悪影響が出始めており、先行きが不透明の中、県内企業も不安視している。こうした中、サプライチェーンや生産体制の強化など適時、適切な対応を講じながら、一方で更なるグローバル化を見据えた国際競争力のある企業を育成していくことが県政として最重要課題である。
 国内に目を転じると、県内企業において人手不足の影響が懸念されており、今後の成長を棄損する要因となりかねない。また、人口減少や、AI・IoTなど第4次産業革命と言われる時代の中にあって、産業構造の転換や、生産性の向上は最大の課題だと私は認識している。
 長野県の名目GDPはリーマンショック後の平成23年度の約7兆9700億円から平成27年度約8兆5600億円と伸びているが、全国18位と中位であり、今後も大きく伸ばしてほしい。
 また、長野県の労働生産性は平成27年に760万円と全国23位と低い状況にある。現在、長野県を含め国を挙げて、各種産業政策が進められているが、こうした中で、他県を凌駕するよう、総合5か年計画に掲げた「産業の生産性の高い県づくり」を強力に進める必要があると認識している。
 こうした県づくりに向け来年度予算案について、どのような点に力を入れて取り組んでいくのか。内田産業労働部長に伺う。

【内田産業労働部長】
 米中の貿易摩擦は当事国だけでなく、世界的に影響が出ている。グローバルなサプライチェーンを通じて、本県産業にも影響が出始めていると感じる。
 今回の県の景気動向調査でも、製造業のDIは7期ぶりにマイナスになった。企業からの聞き取りでは、「貿易摩擦、中国の投資減少などにより海外向けの受注が低調」など、受注が減少傾向にあるとの声を聞く。
 スマートフォンのLEDバックライトを製造している企業を訪問したところ、「ここ数年、中国向けのLEDバックライトの輸出が多く、利益を上げていたが、米中の貿易摩擦の影響で、ここにきて受注が減っている」との話を伺った。企業からは、総じて「すぐに大きな影響が出るということではないが、マインドに悪影響があるし、将来的にどうなるか先行きが不透明である」とのことで、当面懸念する大きな問題であると認識している。
 一方で、「国内回帰による受注がある」、「中国以外では投資意欲は大きい」などプラスの影響も一部には見られる。また、非製造業では、わずかではあるが、19期ぶりに2期連続の改善となるなど、良い材料もある。中国だけではなく、米国も影響が出ていて、長期回復で経済状況が良かったが、今後そのテンポも鈍化するとみる識者もいる。今後も企業の声をお聞きするとともに、経済情勢を十分注視し、分析しながら対応を考えてまいりたい。
 県内企業に対する対応だが、これまで、米中貿易摩擦問題を県内企業の皆様にご理解いただくため、中小企業振興センターと連携しながらセミナーなども開催してきたところ。また、上海とシンガポールの海外駐在員等も活用し、情報収集を行い、的確な情報提供や具体的な相談に対応しているところ。また、中小企業振興センターのマーケティング支援センター、よろず支援拠点等において、企業からの貿易・経営相談に対応しているほか、新たな販路拡大についても展示会出展や受注開拓推進員等による新規受注確保を行っている。加えて、航空機や食品、医療などについては、欧州やアジア諸国など中国以外のサプライチェーンへのアプローチも進め、販路開拓にも力を入れている。加えて、信用保証協会等とも連携しながら金融支援などの体制も整えている。今後も依然大きな課題である人材不足なども含め企業を取り巻く課題にあらゆる面から分析をかけ、迅速に対応してまいる。

日EU・EPAについて

【本郷委員】
 TPPと日EU・EPAの対応について伺う。米中貿易摩擦など保護主義的な動きがある一方で、昨年12月末にTPP11、今年2月には日EU・EPAが発効され、巨大な自由貿易圏が成立し、世界的な潮流としてはグローバル化の動きがますます加速する。こうした影響は様々な分野に及び、メリットデメリット双方あろうが、貿易収支が黒字傾向にある日本にとっては大きく新しいチャンスという認識を持つべきである。
 特に基幹産業である本県の製造業については、輸出の増加、原材料コストの低下につながり、海外市場との連携の拡大などプラス面も想定される。
 そこで、今回のTPP11、日EU・EPAについて、本県の製造業においてはどのような業種・分野に影響・効果が出るのか。具体的な事例を踏まえた回答を宮坂産業戦略室長に伺う。

【宮坂産業戦略室長】
 影響があるのは輸出の多い業種。製造業を対象とした県輸出生産実態調査によると、輸出上位7業種は機械系7業種(機械3業種、電池、電気、輸送、情報)が占め、工業品分野に影響が出ると考えられる。
 TPP11では最終的に日本が全ての工業製品の関税を撤廃し、日本以外の10か国でほぼすべての関税が撤廃される。日EU・EPAにおいても工業分野の関税がすべて撤廃になる。そのため、市場へのアクセスが向上し、日本の海外展開が有利になると考えている。
 また、食品についてもTPP11では日本酒の関税がカナダで即時撤廃となるとともに、日EU・EPAにおいても日本酒・アルコールの関税が即時撤廃となるため、日本にとっては大きな商機である。
 具体的な効果であるが、TPP11において、現在カナダでかかっている完成品乗用車6.1%の関税が5年目に撤廃。ベトナムで現在3000ccを超える高級車に約70%を超える関税がかかっているが、10年目に撤廃。日EU・EPAにおいても現在日本製乗用車に10%の関税がかかっているが、これが8年目に撤廃。
 このようなことから国内自動車メーカーと取引の多い本県製造業において大変プラスの効果になると考えている。
 その他自動車部品も関税が即時撤廃されるものがあるため、県内の自動車関連企業では輸出の拡大を計画しているとの声もお聞きしている。
 一方で、自由貿易が進むため、市場の価格競争が非常に激しくなると予想される。徹底した省力化、効率化を図るとともに、競争力がある、付加価値の高い商品の開発の支援など、生産性の高い県づくりにむけて産学官一体となって取り組んでまいりたい。

ワインの振興について

【本郷委員】
 現在ワインがブレイクしているが、県では、平成25年3月策定の「信州ワインバレー構想」の推進により、ワイナリーが本年1月末現在で47まで増加し、全国第2位であると、本会議で内田部長から答弁があった。そういう中において、本年2月1日に発効した日EU・EPAでは、ワイン関税が撤廃されたが、これを契機にワインに注目が集まり、ワインに興味を持つ人が増えることは、ナガノワインの市場拡大に繋がると期待している。そこで、ナガノワインの特徴と、今後の支援の展開についてどのように考えているのか。今井日本酒・ワイン振興室長に伺う。

【今井日本酒・ワイン振興室長】
 「信州ワインバレー構想」では、ワイン産地の形成、プロモーション、価値の向上の3つの柱を振興策として推進している。ワイナリー数は、47場で全国第2位、ワイン用ぶどうの生産量も平成27年に6363tで日本一、ワイン出荷量も平成29年に4623KLで全国第5位まで上昇している。
 その背景として、特徴は大きく3つあり、急峻な山に囲まれ、水はけが良く、ミネラル分を含んだ土壌と、少ない降水量、長い日照時間、昼夜の温暖差が大きい気候がワイン用ぶどうの栽培適地であること。県によるワイン生産アカデミー、里親ワイナリーの実施などにより真摯なつくり手が育成されていること。最後に山梨県では甲州という品種が中心となっているが、本県の場合は、ヨーロッパ系のメルロー・シャルドネ、アメリカ系のコンコード・ナイアガラ、日本固有品種のマスカットベリーA・竜眼など、原材料が豊富で、県産ぶどうを使用した個性豊かで高品質なワインが揃っていることが挙げられる。
 今回の日EU・EPAでは、欧州の日本ワインに対する輸入規制撤廃で海外から安いワインが入ると同時にこちらからも輸出しやすくなる、地理的表示(GI)の相互保護も発効されている。まず、国外へ持っていけるだけの出荷量の増加を図り、更なる品質向上と併せ、GI指定を視野に入れながら、信州ワインバレー構想の推進に着実に取り組んで参りたい。

付加価値の向上について

【本郷委員】
 国内、県内を見ると産業用ロボットや自動車関連などの製造業が牽引役となって、景気は拡大傾向であるが、米中問題、人手不足など懸念要素も内在している。
 これまで、県は航空機産業振興ビジョン、食品製造業振興ビジョンを策定し、将来を見据え、成長産業分野の開拓に向けて各種取組に着手している。また、新しい「ものづくり産業振興戦略プラン」でも、高付加価値型産業の体質転換をうたっている。需要の変化やグローバル化が進む中で、製品の高付加価値化に向け、AI・IoTを意識しながら取組を進めていくことは大変重要な視点であると認識している。
 今年度はAI・IoTデバイスの開発センターも設置されるが、今後どのようなプロジェクトを動かしていくのか、具体的な取組を含め沖村ものづくり振興課長に伺う。

【沖村ものづくり振興課長】
 AI・IoTといった先端技術の向上は、今後取り組んでいかなければならない最重要課題であると認識しており、利活用拠点において、現在あるようなIoTシステムの導入を促進するが、質問のあったAI・IoTデバイス開発センターにおいては、これまでにないもので生産性の向上が図られるデバイスの開発を進めていこうと考えている。
 4月には松本市に拠点が整備され本格的に動き出すので、拠点を中核とした開発体制を強化してまいる。
 具体的な事例を申し上げると、現在信州大学医学部で、遠隔医療の基盤となる、呼吸や心拍数を簡単に非接触で計測できるシステムの開発が始まっており、これをしっかり事業化できるよう支援を始めたところ。
 このほか企業でやっているものは2例ほどある。1つ目は金属結晶の大きさを測るセンサーであり、土壌の中の成分が農産物に良いか悪いか、悪ければ肥料を注入するといった一連のシステム。2つ目は、人体の運動量を測る活動計を使って睡眠時無呼吸症候群の測定が遠隔でできるという取組。来年度以降拠点を中心に、しっかりこれらを事業化する取組を進めてまいりたいと考えている。

人材育成の促進について

【本郷委員】
 現在、様々な産業に共通する基本的な重要課題は、人材確保、人材育成といえる。銀行の頭取や信金の理事長と話をしても、長野県に限らず地方では、人材不足が深刻な課題となっている。
 しあわせ信州創造プラン2.0でも人口減少時代の産業人材育成・確保を掲げ、施策を進めているが、県では昨年4月に、県経営者協会等経済4団体、連合長野、長野労働局とともに長野県就業促進・働き方改革戦略会議を設置して、検討を進めてきている。来年度は中長期的な観点で検討を進めていくということである。本格的にこの問題に立ち向かわないと、ファンダメンタルとしての経営戦略が立ちにくいという状況の中で、中長期の観点において重要な取組の一つとなる人材育成について、現状と課題をどう捉え、それに基づく施策の方向性をどのように考えているのか、長田雇用・就業支援担当部長に伺う。

【長田雇用・就業支援担当部長】
 少子高齢化が進行する中で、人手不足が喫緊の課題となっており、特に若年人材が不足している状況である。
その解決のためにも、人材育成は非常に重要になってきている。
 平成29年度に厚生労働省が企業に対するアンケート調査を行い、人材育成の指導者が不足しているという回答が54%、人材育成する時間がないという回答が約50%で、企業が課題を抱えているということが分かっている。特に中小企業においては、人材育成がなかなかうまくいっていないという現状がある。
 その中で、有識者や企業の経営者から話を聞くと、イノベーティブな人材、AI・IoT等を活用できる人材、マルチ人材が必要になってくるという声を聞く。そういった人材をいかに育成していくかというのが課題になっていると認識している。
 施策の方向性としては、大きく分けて3つある。1つ目はAI・IoTなど、時代の要請や企業ニーズに応じた在職者向けのスキルアップ講座の拡充。企業の指導人材や時間が不足していることや、人手不足の中で働き方改革が非常に重要であり生産性の向上という意味でも、スキルアップ講座を充実していく。
 2つ目としては、在職者、離転職者を人手不足分野や成長期待分野にシフトしていく視点も考えている。今後、リカレント教育の一層の充実が求められていくと認識している。このため、専門学校や県の技術専門校において、人材不足分野や成長期待分野における能力開発を行う講座を充実させていく考えである。また、子育てで離職した女性にもリカレント教育を促し、キャリアチェンジを支援する取組にも力を入れていきたい。
 3つ目ですが、郷学郷就をさらに促進するための学校等におけるキャリア教育の充実が非常に重要であり、来年度からは小学生向けに、地域企業において仕事体験をする事業を新しく立ち上げる。キャリア教育については、中長期的に取り組むことが重要であり、来年度、就業促進・働き方改革戦略会議において、さらに議論を深めてまいりたい。

平成31年2月定例会 環境産業観光委員会 質疑応答要旨(観光部関係)
観光改革元年とした今年度の成果・課題について

【本郷委員】
 我が国において、観光は成長戦略の柱で、地方創生の最大の切り札である。2020年の訪日外国人数4000万人達成に向けて、観光ビジョンプログラム2018により、既成概念にとらわれない施策を打ち出している。
 長野県においては、しあわせ信州創造プラン2.0を具現化するため、稼ぐ観光地域づくりに向けて、長野県観光戦略を策定し1年が経過した。観光部では2018年度を観光改革元年とし、取組を進めているところであるが、1年間の取組を振り返って、どのような成果・課題が見えているか。

【熊谷観光部長】
 県と観光機構の役割を明確化して、数々の成果をあげてきた。観光機構内にDMO形成支援センターを設置し、地域の広域型DMOの形成支援に取り組んだ。また、様々な政策的なツーリズムを実施し、中でもユニバーサルツーリズムについては、推進会議により県内の事業者をまとめて、方向性を出した。
 インバウンド推進協議会を設立し、訪日外国人誘客について、効率的・合理的に進めていく方向性を打ち出した。
 さらに、観光機構と共に詳細なアンケート調査を実施した。人手不足の状況等を把握した上で、必要な対策を講じていることなどが成果である。
 課題については、長野県には素材はあるが、どこに行ったらよいのかというディスティネーションが明確化されていない。
 インバウンドについては、海外の方が行き先を選んで来ているのが現状であり、受入れ環境整備を行う必要がある。
 人手不足・生産性向上対策は短期的、中長期的な課題がある。
 また、DMO形成や、広域的な標識整備などは、市町村間の地域合意を形成していくことが大きな課題である。

感動県NAGANOの創造に向けて重点的に取り組む内容について

【本郷委員】
 来年度は感動県NAGANOの創造をテーマにするとのことだが、感動を与える長野県として、何に重点的に取り組む予定か。

【熊谷観光部長】
 感動を生みだす素材はあるが、上手く発信できていなかったのが課題である。自転車を媒体とした信州の自然を楽しむ演出をしていくサイクルツーリズム、ネットワーク会議を始めたヘルスツーリズム、誰もがアウトドアを楽しめるユニバーサルツーリズム等、感動を呼び起こすアウトドアとツーリズムを合わせたものを発信していく。
 長野に入ってからの一貫したおもてなし、特にインバウンドを中心としたおもてなし、ユニバーサルな精神を導入していく必要がある。
 緊急性を要する観光業の人手不足対策を直ちに行わないといけない。海外の合同就職面接会を他県に先行して対応していく。

観光財源の確保に関する検討について

【本郷委員】
 観光に係る戦略を実現するため、国においては、国際観光旅客税の徴収により、観光基盤の拡充強化を図っている。
 人口減少化の中、県・市町村の観光施策において、十分な財源を確保するため、関係者から幅広く意見を聞く等、検討を始める時期であるが、どのように考えるか。

【熊谷観光部長】
 他の県、市町村では、検討を進めているが、税ありきで始めて議論が滞っている自治体が見受けられる。何をするために財源が必要なのか、どのくらいの長野県の基盤を作るのか。そのためにどのくらいの金額が必要か。一般財源の負担や国からの補填や県外からの負担等、財源の総額をみた上で、税の負担のあり方を考えていく。

営業本部について

【本郷委員】
 新年度から知事自らが本部長となり営業本部が発足され、職員自らが売り込みを行う他、マーケティングデータの調査や分析、国内外への販路の開拓、ターゲットを定めた高付加価値での販売、市場ニーズの生産者等へのフィードバックなどに取り組んでいくとされている。営業本部設置の目的や思い、どういう体制でどのような仕事をして何を実現したいのか。
 銀座NAGANOが営業本部の首都圏サテライトという位置づけになるということだが、具体的な役割や機能について現時点の考えや見通しを伺う。

【熊谷観光部長】
 営業本部の活動の中でマーケティングサイクルが非常に重要となってくる。今までは農政部のような生産振興部局が市場調査と、これからの市場に受ける新品種の開発、流通対策まで行っていたが、公平の原則という観点から、商談会の場の設定やおいしい信州ふーどとしての発信といった横並びのことしか行えていなかった。そのため、マーケティングサイクルの中で、商品がどのように売れて、消費者はどのように感じたのかという最後の販売戦略が生産振興部局でも銀座NAGANOでもできていなかった。このサイクルを回すためにも、市場戦略と商品戦略だけでなく販売戦略にも力をいれて取り組んでいくということが営業本部の設立に対する思いである。
 営業本部の体制は営業促進班とメディアブランド発信班2班体制である。職員は14名で営業販売促進班には民間の専門家を2名、メディアブランド発信班には民間の経験者を1名入れて、それらの知識と経験を学びながら職員の能力を高めていきたいと考えている。
 具体的な取組みとしては、マーケティング・モニタリング調査も行うが、マッチング支援と販路開拓支援、重点品目の集中的な売り込みという3つの組み立てで行っていく。特に重点品目は生産振興担当部局と業界からの推薦を参考に、事業者とマンツーマンで売り込みに行く。それ以外の品目はマッチングサイトを作りインターネット上の取引を前提に営業本部の職員が常にモバイルを持ち販売の展開をしていくということも行おうと考えている。
 今後の銀座NAGANOの位置づけとして、マーケティング・モニタリングの機能と売り込み商品のショーウィンドー的な機能、イベント・キャンペーンの展開機能、酒類の卸販売機能、帳合機能の5点が挙げられる。帳合機能とは、生産者が取引先と個々に銀行口座を結ぶのではなく、銀座NAGANOが代行することを意味し、銀座NAGANO自体も今後は長野県内の小規模で高品質な商品を作っている生産者のために中間商社的な機能を備えていくことも考えている。

観光業の人材不足に対する外国人材の活用について

【本郷委員】
 国は深刻な人手不足を背景に、これまで高度専門職に限定していた施策を転換し、外国人労働者の受け入れ拡大に大きく舵をきり、入管法の改正を行った。改正入管法では、高度専門職以外に幅広い業務に従事できる在留資格が新たに創設され、今年4月から特定技能1号として14業種で受け入れがされることとなった。
 観光関係では、訪日外国人旅行者の増加、宿泊需要の増大に対するため、宿泊分野としてフロント、レストランサービス、接客など従事する外国人労働者を5年間で最大22000人受け入れる方針を示している。これに対応するため、観光部も新たに観光業外国人材採用支援事業を行うとしているが、宿泊事業者からは、外国人材の活用についてどの程度の要望があるのか。また、この事業について、今後どのように進めていこうとしているのか。さらに、これ以外の方法でも外国人材の活用につなげる取組が必要だと思うが、どの様に対応していくのか。

【熊谷部長】
 今まで宿泊業の皆様は独自でルートを作ったり、県でも日中友好事業の一環で、中国対外友好合作服務中心と協力してインターンシップの受入を行ってきたところである。観光部でもアンケートを実施したところ、人手が不足しているという事業者は全体の46.1%に達するとともに、外国人材の積極的活用については実施中又は実施したいとする回答が29.3%あった。さらに、海外現地採用面接会に参加したいか聞いたところ、回答があった事業者から推計すると約150社が参加したいという回答をいただいており、関心の高さを感じている。
 今後どのように進めるかについて、観光業就業促進・生産性向上協議会を立ち上げ、海外現地採用面接会を行う国の選定のほか、先ほどのアンケートでは、57.8%の企業が宿舎を用意するとの回答があったこともあり、より良い受入環境の整備、日本語支援、コミュニティの形成、生活環境の改善等などについても検討を進め、慎重に行っていきたい。
 具体的に想定している国は、東アジアもしくは東南アジアあたりであるが、専門の委託業者をプロポーザルで選定し、年2回、県内での事前説明会と海外での合同企業面接会を実施したいと考えている。 
 他の方策については、平成24年から国際課が窓口となり、中国対外友好合作服務中心と中国人大学生のインターンシップの受入れを進めており、日本で学ぶ外国人留学生に対して産業労働部と連携して県内外で企業説明会を開催していきたい。

2018年のインバウンドの状況と今後の戦略について

【本郷委員】
 日本政府観光局の発表によると、2018年の訪日外客数は、前年比8.7%増の3119万2千人で、統計を取り始めた1964年以降最多となるとともに、初めて3千万人を超えた。市場別では、中国が838万人と、全市場を通じ初めて800万人を超えたほか、主要20市場のうち香港を除く19市場で過去最高を記録したとのことである。
 そのような状況の中、本県の状況はいかがか。また、その状況を受け、新年度はどのような戦略を考えているのか。

【宮原国際観光推進室長】
 本県における外国人延べ宿泊者数は、2018年1年間で、146万4670人と過去最高を記録した。また、対前年比は13.5%増で、全国の伸びである11.2%増を上回った。
 市場別にみると、台湾が前年比30.6%増の39万1190人と過去最高を記録するとともに、本県がプロモーションの対象国としている13市場のうち、前年を下回ったのは香港のみで、それ以外の12市場においては、全ての市場で過去最高の延べ宿泊者数を記録している。
 今年秋に開催されるラグビーワールドカップや来年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、今後ますます増加が予想される訪日外国人旅行者を、東京や大阪など大都市から本県にしっかり取り込みたいと考えている。そのために、地域で創ろう!NAGANOベスト1000旅行商品造成事業により、県内各地で観光地域づくりに取り組んでいる皆さんと一緒に、多種多様な外国人旅行者の興味や趣味嗜好にマッチした旅行商品づくりを行う予定。そして、タビマエやタビナカで外国人旅行者が旅行商品の情報を適時にそして容易に入手できるよう、県公式観光サイトの全面的な見直しも行っていく。また県内周遊フリーパスの造成など受入環境整備を行っていくとともに、プロモーションについても重点対象としている13市場ごとに特性やトレンドを分析し、個別の戦略を立て、効率的に進めていきたい。これら施策の推進にあたっては、昨日設立した長野県インバウンド推進協議会と連携をとり、民間のノウハウとスピード感を取りいれながら進めて参りたい。

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