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平成25年2月定例会 環境商工観光委員会 本郷委員 質疑要旨
環境問題について
【本郷委員】
環境問題がPM2.5を含めて次から次へと出てきている。第三次長野県環境基本計画を見ると、現状と課題という中で身近な問題から地球規模まであるので、少し違う観点から、我々が住んでいる地球がいかにか弱いものであるかという視点で話をする。
地球は、太陽との距離関係などにおいて、いろいろな意味で「奇跡の星」と言われており、ホーキングという宇宙物理学者は、この無限大に拡張している宇宙、つまり太陽系は銀河系の一部であり、その銀河系が無限に宇宙にはあると言っている。人類のような文明を持った星がどのくらいあるのかを講演で聞いたところ、だいたい200くらいはあるだろうとのことである。しかし、我々は永遠にそこには行けないわけで、環境問題は非常に重要な問題である。我々は永遠に死なないと思っているが、太陽も燃え尽きる寿命は約あと50億年であり、最後には太陽は燃え尽き、その炎に飲み込まれて地球は消滅していく。別にニーチェの虚無感を言っているわけではないが、そういう現実も我々は知っておかなければならない。
我々はすぐ忘れがちであるが、例のロシアで落ちた隕石は17メーター、7万トンというものであり、地球には毎年多数落ちている。7000年前の恐竜の絶滅は、間違いなく隕石によるものであり、核兵器がもし使用されれば「核の冬」、火山が爆発を続けていれば「火山の冬」が起こる。今回改めてこのような問題が発生して、特にメディアの記録が残っているため、余計にリアリティがある。また、カールセーガンという有名な天文学者は、かなりの確率で隕石、あるいは惑星間での衝突は起こりうると言っている。そういうときに、特にホーキングは地球のような非常に高度に成熟した文明の星には同時に環境問題が必ず付帯してくると言っている。宇宙時間においては一瞬のうちに地球のような星は消滅するだろうと言っている。地球時間ではどのくらいかと聞いたところ、100年くらいだと言われている。したがって、この100年の間に他の星に行かなければならないわけで、大気圏を一歩出ると、太陽自身もそうだが、核分裂の核の世界である。核によるロケットを開発しなければ、ほかの星への移動は不可能なわけであり、そのようなことも含め、隕石問題はPM2.5と同時に確実に起こる、この前のロシアでも降ってきていることもあり、環境問題的な観点から常に我々はそういうことを心しておかなければ、一瞬にして地球が消滅することもあるということである。その辺から原環境部長の所見を伺う。
【原部長】
環境問題は、地球温暖化の進行、生態系の変化など、まさに地球的な規模で進行してきている。PM2.5の話もまさに中国から世界的、地球的に広がってきている。
隕石の話だが、ちょっと前に私が生活していた場所は、自然環境や大気環境が大変いいところで、夜に山のほうに行くと流星群を見ることもできた。しかし、先ほどの隕石の話を聞くと、何万トンという石が落ちてきて、約1500人もの方々が怪我をされたということで、背筋が寒くなるような、ぞっとする話である。
環境問題と絡めてということだが、先ほどのPM2.5の話も、温暖化対策の話もそうだが、県として取り組む部分、国として取り組む部分、むしろ世界的に各国で取り組まなければならない部分があるわけで、PM2.5の排出源対策の中国に対する技術支援、技術協力も含めて、大きな環境問題は、日本だけではなくて世界規模での技術協力が必要であり、成長戦略の意味合いを込めてやっていかなければならない話だと思う。
今回のような隕石の落下についても、NASAだったと思うが、隕石が落ちてくる調査、分析をやっているようだが、今回のものはわからなかったとのことである。宇宙工学というか、そういった中での分析技術のアップとか、技術の向上を、日本のみならず世界的な規模で科学技術向上が非常に必要であると思う。
日本全体もそうだが、環境と経済、技術は、今までは相反するものであったと思うが、環境と経済成長になる部分、技術振興みたいな部分は一緒にやっていく、両立する世界ということで今回の環境エネルギー戦略の中でも掲げている。そういった面で技術の成長を成長戦略の中で、隕石の落下の分析も含めて、成長していけばいいと思っている。
中国の環境問題への対応について
【本郷委員】
成長と環境問題というのは、複合的にやっていかなければならない新たな時代に来たと思う。特にアジア太平洋のこれからの時代では、人口72億のうちインドと中国だけで30億であり、インドネシアやその他の国を入れると完全にアジアの時代にシフトしていくわけで、産業革命以来のパラダイムシフトがいよいよアジア太平洋の時代に来ているということである。したがって、そういう認識を我々は基本的に持たなければならないわけであり、日本の技術を次元の違う話でどのような形で対応していくのがいいのか。技術的なことでサポートすることはできるが、あれだけの膨大な国であり、黄砂の問題も加速化されると思う。一般論とすれば、環境問題に関して、中国の対応が遅れているということだが、根源的な対応策について、部長の考えは。
【原部長】
今の中国は日本の高度成長期を見ているようで今もどんどん成長している。日本も成長過程の中で技術開発を進め、環境問題に対する技術もかなり向上してきたはずであり、ノウハウは持っているので、そういった面で石原環境大臣も技術協力をしようとしているが、なかなか進まないといった話もある。
PM2..5のような大気環境の問題は排出源対策が一番重要なので、日本国内自体の排出源対策はもちろんやっていかなければならないが、中国から来ている部分となると、日本での対応を包囲にかけてというわけにもいかないので、そういった面では国レベルで協議が進められていくことを希望している。
PM2.5について
【本郷委員】
PM2.5の高濃度時の注意喚起について、国から暫定指針で1日平均値70μg/m3という基準が示された。長野県では3月14日から開始すると聞いている。これから具体的に市町村と会議を行うと聞いているが、長野県ではどのような体制をとると考えているのか。
【村田水大気環境課長】
 14日から体制をとるという話があったが、14日に市町村や教育委員会などの担当者に集まっていただいて、県の方針について話をして、市町村の方のご意見をいただきながら、今後調整をしていって長野県としての体制をとっていく予定。市町村との会議が14日ということであって、14日から体制が始まるということではないので、訂正をお願いしたい。
 昨日、環境省から2月27日の専門家会合の報告について地方自治体に対して説明があり、この報告を参考にして、自治体で対応して欲しいということであった。報告の中では、1日平均値で70g/m3を超えると予想される場合に注意喚起を行うこととし、早朝にその判断を行う目安として、朝5時から7時の1時間値の平均値が85μg/m3という数値が示されている。そういうものを参考にしながら、方針を決めていかねばならないと考えている。
 また、朝は数値が低いが、昼間になってPM2.5の値が上昇してくる場合もある。人が活動する昼間に向けて、早朝に注意喚起を行うのが、環境省の考えであるが、朝低くて昼間数値が上がってくる場合の対応については、環境省も知見がなく、各自治体で対応をして欲しいということであった。長野県では過去に今回の暫定指針で示された高濃度の状況は発生していないということで、予測が難しい。
 しかし、国で示している85μg/m3という数値があるので、そういったものを参考にしながら、昼間についても今後検討していかなければならないと考えている。
補正予算の意義について
【本郷委員】
熊本県でも3月5日に注意喚起情報を出した。その時、石原大臣もアレルギーの方は特に注意してほしいと発言していた。PM2.5の健康に対する影響は、どのようなものが危惧されるのか。
【村田水大気環境課長】
一番懸念されるのは、病弱な方や小児に対する影響である。信州大学医学部の野見山教授が伊那地域で、小児に対するPM2.5を含めた化学物質などの影響を調べている。これは山梨大学と協調しながらやっているもので、全国的な組織もあるようだが、長野県の現在の環境であれば、影響は出ていないということである。長野県としても、現状では県内では環境基準を超えていないということを啓発に努めていく。
万が一、高濃度になった場合には、環境省では屋外に出ないということで対応するようにと言っているが、疫学的な影響は分かっていない部分が多い。国からの通知も、呼吸器系とか循環器系疾患のある方は70を超えると影響があるということもあるし、健康な人は120を超えても、あるいは180でも何の影響もなかったという医学的な見地もあるので、その辺はまだまだ知見がないという状況である。
一つは野見山先生が研究されているようなことが、今後報告として上がってくるのではないかと考えている。
【本郷委員】
このような問題は何が起きるのか分からない。医学的な知見がないということではあるが、危機管理の視点からも、健康福祉部と連絡を取って、予めシミュレーションしていくことが必要と考えているので、要望しておく。
環境エネルギー戦略について
【本郷委員】
阿部知事は、今年度を自然エネルギー元年と位置付け、自然エネルギーを活用した地域産業の活性化や地域づくりに重点を置くという理念を持っている。
一方、阿部政権誕生後、3本の矢、新しいトレンド、成長戦略により、経済社会へ様々な影響を与えているが、これに伴って、CO2排出量は増加している。
国際収支は、資本収支も含めてついに赤字だが、石油やLNGの輸入の問題であり、一方、メタンハイドレートはいずれ無制限に採れ、単価約1/6程度であるシェールガスは日米同盟によっていい方向に向かっている。
長野県環境エネルギー戦略では、2020年度に90年度比で10%減、2030年度に90年度比で30%減という目標・行程表を作っているが、この戦略の策定の根拠にもなっているであろう、現在までの民間や県の動きなどこれまでの長野県の状況はいかがか。
【中島温暖化対策課長】
1点目の自然エネルギー元年について、知事以下、環境部、また他部局とも連携しながら自然エネルギーの普及、省エネルギーに取り組んできた。
自然エネルギーに関する動きについては、官民連携の団体として自然エネルギー信州ネットを作り、現在20程自然エネルギーを普及する地域協議会ができている。また、一村一自然エネルギーというキーワードで取組みを進め、県の自給型コミュニティー等々の予算で今年度支援を決めたところが延べ47市町村、70事業。これから事業の検討を始め、来年度以降の具体化に向けて支援を進めて参りたい。
昨年7月の国の全量買取制度を踏まえ、民間では、太陽光発電が非常に増えている。特徴は、建設、運輸事業者等々エネルギー事業者以外の新しい事業者が参入して事業化を進めている。県としても、県有施設の屋根貸し、F・Powerプロジェクトで、率先して事業化に向けて推進してきており、自然エネルギー元年に相応しい年であったと考えている。
2点目の阿部政権による経済政策、経済活動の活性化について。
環境エネルギー戦略では、2020年度に90年度比で10%減という意欲的な目標を設定したと考えている。基本的目標は、経済活動とエネルギー又は二酸化炭素排出量のデカップリング。これまでは、経済成長と共に排出量が増加する構造だったが、ドイツ等欧米諸国では様々な施策により、経済成長はするがエネルギー消費は減るというデカップリングが実現されている。省エネはコスト削減に繋がるので、それを基に一つの製品を作るに当たっての必要なエネルギー消費量を減らしていけば、経済を活性化しながらもエネルギー消費、CO2排出量の削減ができると考えている。
これまでの温暖化対策は、普及啓発的な取組みが多かったが、今回の条例改正の中では、事業者に対する指導・助言により確実に定量的に削減し、又は建築物を作る際に省エネルギー型のものを作り、快適な暮らしをしながらエネルギーを削減、エネルギーの性能評価を定量的に行い、着実に二酸化炭素を削減できる実効性の高い取組みを進めて参りたい。
【本郷委員】
その考え方・方向性は、21世紀の新しいエネルギー政策として我々も共有するもの。
定性的には、ドイツの施策がやや壁にぶつかり、中国は今後100基の原発を作る予定。
そのような中、定量的には、太陽光、小水力、バイオマス等々は、供給の概念からは全体の1〜3%程度であるが、日本の約500兆近いGDPを維持し、経済成長を進めていく点において、一方では未来志向で、将来に向けてインセンティブを働かせていく議論もあるが、その辺りについて、課長の所見を伺いたい。
【中島温暖化対策課長】
日本でも、全体の供給量に対する再生可能エネルギーの割合は僅か。環境エネルギー戦略でも、自然エネルギーの推進を3本柱の一つに位置付けている。二酸化炭素の削減に関しては、省エネルギーの方が削減には効果的。戦略では、自然エネルギー自立地域というキーワードを提示し、自然エネルギーを事業化するため、地域の資金、技術を使って、地域内の資金循環をつくる。現在県の試算で4,000億円程度が県外へ化石燃料の使用として出ているので、なるべく地域の中で循環することによって、地域の雇用や経済の活性化を図る。そういった広い意味も含めて、自然エネルギーの普及を進めていきたい。
自然エネルギー導入量の目標達成について
【本郷委員】
方向性・理念について、私も同感。太陽光の買取価格は、2012年度は42円/kWh、13年度は37〜38円/kWh前後になるのではないかということで、自然エネルギーの導入にやや難しい面も発生してくると思う。
自然エネルギーの導入目標の達成の可能性、困難を具体的にどのように乗り越えるか、具体的な方法論を伺いたい。
【中島温暖化対策課長】
自然エネルギーの目標は、野心的な目標だと思っている。
来年度の買取価格について議論されているところで、太陽光については若干下がる可能性がある。国の方で調達価格検討委員会が開催されているが、今年度の実際の調達価格を全部調査して、どれぐらい太陽光発電等の事業化に必要なコストがかかっているかをチェックした上で計算・検討されている。
kWh当りの単価は、2012年7〜9月までが32.5万円、10月以降は28万円、この短期間でも14%下がっており、メガソーラー推進の中で着実にコストが下がってきている。そういったことを踏まえて、十分採算性が取れる価格として、この価格が議論されている。
長野県は、全国的にみても日射率が高く、夏も冷涼な気候のため、買取価格が下がっても、今後広がっていくと考えている。
具体的には、最新の設備認定状況は、43,000kW程度認定されており、スタート地点が10万kWだったので、非常に早いスピードで導入が進んできている。そういったことから、目標達成の実現可能性はあると考えている。
県としては、太陽光を含め、小水力やバイオマスのポテンシャルがあるので、来年度以降、太陽光はもちろん、小水力キャラバン隊や水利権相談窓口など、懇切丁寧な支援体制を整えながら、事業主体を育成し、目標達成に向けて全力で取り組んでいきたい。
商工労働部・観光部・労働委員会
アベノミクスについて
【本郷委員】
予算が執行されていない状況で経済状況が上向いてきており、政治のリーダーのアナウンスメント効果に驚愕している。
今回のアベノミクスの3本の矢「金融施策、財政出動、成長戦略」について見解を伺いたい。
【太田商工労働部長】
いわゆるアベノミクスの3本の矢について、円安、株高の傾向が続いている。輸入材料の高騰の問題もあるが、輸出に特化しているところをはじめ、経営者の方々は好感している。
国の補正予算に合わせた県の補正予算、新年度予算の速やかな執行と、着実な成果を出すためのきっちりとした対応をしていきたい。
【本郷委員】
かつての日本はインフレに苦しんだが、今は資産デフレが問題となっており、日本はこの15年間、名目−0.2%の成長を続けてきている。
最大の政治課題は地方経済の疲弊。企業収益が改善して、雇用が増加して、設備投資して、賃金が上がる。アベノミクスは県下の中小零細企業の従業員の給料が上がることで起承転結となるが、見通しを伺いたい。
【太田商工労働部長】
県内の景気が国よりもやや早く落ち込んで、立ち上がりは国よりやや遅くなる傾向があった。最終製品を出している大企業への部品供給等のタイムラグがあったということ。
国の景気が回復するのに合わせて、どれだけ追いついて一緒に回復するかが一つの目安。経営者に話を聞くと、長期見通しが立たないので内部留保をしてきたという。昨日、経団連の米倉会長が企業収益をボーナス等に反映させて、労働者の取り分を増やすことはいいことだという発言がニュースになった。県内にも波及してくれば、県内の経済が活気づくということがある。
着実に国の補正を活用して企業のフォローをするとともに、景気の循環をさせて、賃金の上昇につなげていきたい。
県の成長戦略について
【本郷委員】
長野県産業が、養蚕業から精密機械、精密機械から電子工業、そして次世代産業へと発達する中で、長野県はどのように関与してきたのか。
【太田商工労働部長】
明治時代は、養蚕業で製造品出荷額が全国1位であった。その時代においても、長野県の農民は、生糸の相場など海外の状況を注視していた。
次の転機は、第二次世界大戦中の疎開である。セイコーエプソン(株)や多摩川精機(株)、日本無線(株)は、長野県に疎開し、何らかの形で現在も残っている。東北などへ疎開した企業の多くは東京に戻ったが、長野県への疎開企業が、諏訪地域を中心として残ったのは、従業員の勤勉性や養蚕業で培った工場での勤務や習慣などが活かされたためではないかと思っている。
その後、精密機械産業が発達したが、昭和60年頃に急激に円高が進行した。県では昭和59年にテクノハイランド構想を発表し、産学官連携により地域に拠点を設け、新しい分野(電気関係)と企業誘致への取組を開始した。企業誘致の特徴のひとつとして、全国のテクノポリスは外からの企業誘致を主として考えたのに対して、長野県は外からの企業誘致と内発的展開で、長野県内の企業が新たな分野に進出する支援も行った。昭和60年代は電気へのシフトが進み、現在に至る中で、自動車装備の電気化に着目し、自動車関係にも進出した。
商工労働部としては、産学官連携、技術開発、金融面での支援などを行ってきた。昨年3月には、長野県ものづくり産業振興戦略プランを策定し、今後も、新分野進出の支援を行っていく。
【本郷委員】
今回は日本が復活するための最後のチャンス。経済産業省と長野県との連携はいかがか。
【太田商工労働部長】
今回の成長戦略の中でも、経済産業省の主要なターゲットとして、医療やエネルギーの問題がある。県が昨年策定した長野県ものづくり産業振興戦略プランの次世代産業と被っている部分が多くあるので、方向性は同じであると思っている。
また、私自身も経済産業省の幹部職員と直接話をする機会があるし、東京事務所の職員も情報収集に努めているので、密接な関係を構築出来ていると思う。
【本郷委員】
霞が関との人脈を構築することが重要であるので、より一層人脈を活かしていただきたい。
長野県テクノ財団、工業技術総合センターの体制・規模について
【本郷委員】
今後は、成長戦略の実行が重要であり、次世代産業の創出のため、富士山型から八ヶ岳型への産業構造の転換を目指す方向性は合っていると思う。
長野県テクノ財団、工業技術総合センターの名称が随所に登場するが、長野県の成長戦略における2機関が果たすべき役割に対し、現在の体制・規模が適正であるか伺いたい。
【太田商工労働部長】
長野県テクノ財団の前身は、テクノポリス法に基づき設置した浅間テクノポリス開発機構及び県が独自に設置した長野県テクノハイランド開発機構で、現在も継続して産学官連携事業を実施しており、国からも評価を頂いている。
工業技術総合センターについては、産業技術総合研究所の方と話した際、地方の公設試験研究機関としては、少なくとも関東ではトップクラスにあると伺っている。
陣容や資金は潤沢とまではいえないが、長野県テクノ財団については、様々な国のプロジェクトによる外部資金を導入して事業を実施しており、人的にも、専門家を期限付きで雇用するなど、相当な力量を持っていると考えている。
工業技術総合センターは、県下4か所に分散して設置し、各地域の企業と結びつきが出来ており、中小企業との共同研究による製品を次々と創出しており、活性化していると考えている。
【本郷委員】
部長からそういったご認識を頂いたので、議会側としても、自信をもって長野県テクノ財団と工業技術総合センターの充実のためにアプローチをしていきたい。
県内総生産の見通しについて
【本郷委員】
かつて長野県の総生産は9兆円程度あったが、現在は約1兆円減少し、8兆円程度となっているところ。今後の見通しを概括的に御教示願いたい。また、どの産業分野で県内総生産の増加を図っていくのか御教示願いたい。
【太田商工労働部長】
県内総生産の状況については、委員ご指摘のとおり。主な内訳として、製造業が県内総生産の1/4強、サービス業が約1/4弱という状況で、最近では、サービス業が増加傾向にあるところ。
伸び代としては、このサービス業の付加価値を高めることが肝要。特に情報サービス産業では装置型ではなく知的集約型で総生産の増加を図ることが一点。
製造業は、産学官連携による次世代産業の創出と市場の拡大への対応である。
市場拡大に関しては、ASEANは既にリーマンショック前の水準に戻っており、長野県国際戦略でも集中的展開のターゲットとして位置付けているところ。
県としては、一人当たり県民所得の全国順位を10位以内にすることを目標に取り組んでいく。
【本郷委員】
アジアのマーケットは長野県の総生産のうちどれくらいの規模を占めるのか御教示願いたい。
【太田商工労働部長】
長野県の製造品出荷額は約5兆5千億であり、そのうち約1/5強を輸出が占めるという状況。
輸出もかつて中国向けが多かったが、ASEANへの移行が見られるところ。
ASEANは人口が約6億人おり、一人当たりの消費額も上昇している状況。かつては、現地に進出している日本企業への部品供給としての輸出が主であったが、市場を意識した進出というものも増加しており、長野県の県内総生産への寄与度も今後、高まっていくと考えている。
【本郷委員】
長野県経済の平成25年4〜6月の状況について、概括的な見通しを御教示願いたい。
【太田商工労働部長】
先日発表した長野県景気動向調査で先刻、石原産業政策課長から御報告申し上げたとおり、現状では県内企業の業況感は下げ止まっているところ。
今後の経済見通しは上向きとなっており、単なる期待感ではなく、実際の受注状況も反映したもので、今後特に大きな環境変化がない限りは、受注、生産ともに上昇していくものと予想している。
中長期的に安定し、リーマンショック前までに戻ることはまだ先のことではあるが、マインドは改善しているので、実体的なものとなるよう、御支援させていただきたい。
中小企業金融円滑化法について
【本郷委員】
金融円滑化法の終了に伴い、金融機関は万全を期すと言ってはいる。
しかし、このまま何もしないと全国5万社の倒産が予測されているし、地元の企業も大変苦労している。
金融円滑化法が3月末に切れた時の対応について伺いたい。
【太田商工労働部長】
金融機関は、会議等機会あるごとに、今までと変わらず対応していくと言っている。
金融機関による貸し渋り・貸し剥がしはないという前提の上で、県は、制度資金の緊急借換対策の継続及び金利引き下げ、中小企業振興センターに相談窓口の設置を行う。
信用保証協会も万全を期すと同一歩調で対応している。
また、金融機関と中小企業基盤整備機構の出資により、30億円のファンドができる。
こうした対応で、3月の期限切れ以降についても、長野県の中小企業の金融的な支援を行っていく。
観光の今後の展望について
【本郷委員】
観光部は、いろいろな発信をしており、敬意を表する。しかし、素材はよいが実績が上がらない。旅館も深刻な状況である。今後の展望はどうか?なぜ、改善されないのか?
【野池観光部長】
長野県の観光の現状には、外的・内的な両方の理由がある。
外的な要因は全国共通の人口減の中で経済が厳しい状況であり、どの県も観光にしのぎを削っている。かつて、観光と言えば信州と言われたが、地域間競争が激化している。
内的な要因としては、山岳、農村景観、文化など金をかけても作ることができない素材、他県の追従を許さない素材があったり、リピーターが多いものの、新しい市場を拓いたり、他に負けない発信力など、貪欲さが不足していると考えている。
今後は、右肩下がりの中では他県と同じことをしていてもトレンドを変えることはできないので、新計画の中にも掲載したとおり、対症療法に加えて、体質強化、具体的には人材育成や多様な主体の参画などへ軸足を移したい。また、観光×農業、観光×文化などにより様々な可能性を拓いていく。この分野で遅れをとらないようにやらなければならない。
新しい観光振興基本計画について
【本郷委員】
県職員にはシンクタンクとして包括的な視点で取り組んでほしい。信州は、信州暮らし、信州主義も踏まえ、日本の原風景と言われる信州暮らしをどう観光に活かすのか。観光のインセンティブになるのか。今回の計画では5年後の目標が、前回計画よりも下がっているが、目標設置の考え方を伺う。また、山岳高原観光地づくり、滞在型観光地をどう作っていくのか。
【浅井観光企画課長】
信州暮らしとは、信州の日常の暮らし、これは幸福度日本一と評価されているが、これを売りにしたいということである。会社勤めしながら、休日は農作業、祭りなど人と人とが触れ合うことに都会の人が憧れているので、交流の形を県民と一緒に作り上げていく。
目標値については、今回の計画では9000万人、3300億円と現計画よりも引き下げた。現計画の目標が達成できない要因は部長が答弁したとおりであるが、下げた理由は、下降トレンドの現状を下げ止め、5年後には伸ばしていけるトレンドに転換したいということである。人口減は今後も続き、景気も不透明な中、下降トレンドを反転させることも高い目標であると考えている。事業者や県民とともに取り組みたい。
山岳高原観光地については、他県と差別化できる代表が山岳、高原、スキー、温泉などであり、これらをさらに活かし、ゆっくりと過ごせる観光地を作ることが目標である。自然や景観保全に取り組み美しく、多彩なメニューがあって楽しく、さらに手軽に来られる環境を整備していきたい。地域主体の取組に対する支援や県全体のレベルアップをしていきたい。具体的には市町村と研究会を作って取り組んでいく。また、美しくという面では環境部や建設部と、安全面では警察本部や教育委員会と連携を図っていく。
信州ブランド戦略について
【本郷委員】
信州ブランド戦略の周知方法及び行動計画策定の進め方については、まさにブランド戦略の成否を決めるものとなるが、今後どのように進めるのかポイントを伺いたい。
【熊谷信州ブランド推進室長】
ブランド戦略の周知とそのポイント、行動計画策定の進め方でございますが、まずポイントといたしましては3点です。
一点目は、御指摘の通り、現在全国的に地域というものの価値を見直そうとする動きが広まっている中で、「信州」というものを見つめ直し、その強みをブランドコンセプトとしてしっかりと見据え、発信していこうとしている点です。
二点目は、信州らしさだけではなく品質からの発信、県民の力を結集した発信という3つの発信を戦略として据えていることです。
三点目は、新たなキャッチフレーズやスローガンを策定するとともに、「信州」と「長野」のこれまで曖昧であった用語の使い方についても、発信という点で一定の整理をしている点でございます。
これらを踏まえまして、県民の皆様への周知は、まずブランドを身近に感じてもらうことが重要で、1つ目は現在策定中のキャッチフレーズや昨日御紹介したスローガン「掘り起こそう足元の価値、伝えよう信州から世界へ」を効果的に伝えることだと考えております。特にキャッチフレーズにつきましては、県民の皆様が使いやすいように、発信しやすいように考えていきたいと思います。また、プロモーション事業なども行い、信州のブランド力をリアルに積極的に感じていただくよう、県民の皆様、国内外の皆様にも感じていただこうと思っております。
行動計画策定の進め方でございますが、昨日説明いたしましたブランド戦略の後ろに3つの柱を示しております。これらに示しております、各項目ごとに部会を設置させていただき、産学官の役割分担と連携の観点から具体的な事業内容を盛り込んでいこうと考えております。各部会には、実際に事業を実施されている団体や事業者も参加してくる予定ですので、これまでの発信力の課題を十分に分析理解した上で、産業界の自主的な活動を学や官の立場が支援していく形で策定をしてまいります。
【本郷委員】
磨きをかけて、長野県らしさをきちんと出していただきたい。
キャッチフレーズについては、「そうだ 京都へ行こう」のようなハイグレードなレベルのものを是非考えていただきたい。
移住・交流の推進について
【本郷委員】
移住・交流施策については、田舎暮らしを含めて長野県の1つの重要なカードだと認識。日本総合研究所の「都道府県幸福度ランキング」でも1位となっている。長野県の持つイメージは非常に良いもの。一方で観光施策と上手くリンクしないところにお互いの苦悩がある。800万人の団塊の世代も65歳を過ぎる年齢となり、多くの人が長野県に来たいのだと考えている。様々な法的規制はあるが、移住・交流推進事業をぜひ力強く進めて、目標を実現していただきたい。
例えば、茅野市は東京からの時間距離が2時間であるが、農業振興などの健全な規制は維持をしながら、観光の視点を取り入れて移住施策を進めている。まさに部局横断的な対応であるが、県でもこのような対応をお願いしたい。
市町村に対しても、健全な指導をしていかなければならない場面が出てくる。首長によってもスタンスが異なる。市町村との関係を強固なものとして、移住・交流推進事業をさらに活性化させていくことを要望する。
中国との交流について
【本郷委員】
中国との交流について、外交安全保障問題については、日本の歴史始まって以来、距離関係に苦慮しているが、経済面では(中国とのつきあいは)使い分けていかなければいけない。
特に観光面で、中国の富裕層は、日本人並みの生活をしている人が2億人、資産持ちは2〜3千万人いるとも言われており、これとよい形で交流していくことでWin−Winの関係になる。
知事もトップセールスでご苦労いただき中国との関係に取り組んでいただいているが、適切な判断をしていただきたい。一点、中華圏の旅行者誘客モデル周遊バス事業について、政治的には難しい状況であるが、このバス運行が目指す目標とあるべき姿、それから、今年の冬のスキー客を対象とした周遊バスの試験運行の実績はどうだったか。
【佐藤国際観光推進室長】
特に中国は富裕層が多いので、富裕層の個人旅行者をぜひ長野県へ誘致したいという目標を掲げ、今回、長野県の観光地を周遊するバスを運行する。
今まで中国人の団体旅行客は非常に安いホテルに泊まり、利益が上がらない状況だったが、富裕層はそれなりの資産を持ち、泊るホテルもかなりグレードアップになる。日本でかなりの買い物をするということで、宿泊も県内で、買い物も県内での消費を増やそうと、観光地とともに県内のショッピングエリア等を周遊し、そのかわり県と民間で協力して格安のバスを運行する。
格安のバスを運行するので財政的な負担が出てくるが、ホテルやショッピングエリアでの売上の一部の利益をバス運行に回し、官民一体となって中国のお客様を誘致するというのが目指している姿。
今年の冬、10便ほどスキーバスを運行し、実人員で53名、延べ107名の方にお乗りいただいた。軽井沢アウトレットや諏訪のショッピングセンターに誘導し、53名の買物消費総額は約160万円、一人当たり3万円だった。
中国人観光客が日本に来た際、8万円程消費すると観光庁の統計で出ているので、その半分くらいはぜひ長野県で消費をしていただければと考えている。
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