防災復旧対策について
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【本郷委員】
災害時など不測の事態への緊急復旧対応にあたる地元建設業がその役割を十分に発揮できるような新たなる制度や仕組みを長野県として早急に構築することが必要と考えるが、所見を伺いたい。
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【知事】 ○地元建設企業に対しては、この度の豪雪に対する除雪や災害復旧工事等にご対応いただき感謝。平素からも維持補修や災害時の緊急活動等、なくてはならない存在であると認識。 ○災害時の緊急対応や道路の推持補修業務については、従来より、早急な対応をするために、地元建設企業による緊急当番登録制度を実施している。平成22年度からは、地元建設企業が共同して、年間を通じて契約でき、安定的・効率的な企業経営が可能となる地域稚持型の契約方式を導入し、順次、対象区域を拡大しているところ。 ○さらに、災害復旧工事に関しても、総合評価落札方式において、地域を熟知し、災害応急活動を行っている地元企業を評価する入札制度を、この4月から試行する。 ○今後も、現状分析を行い、県議会の「入札制度研究会」や「地域を支える建設業検討会議」などからのご意見もいただきながら、地元建設企業が十分に力を発揮できるようよりよい制度を目指す。
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新たな総合5か年計画に盛り込みたいテーマについて
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【本郷委員】
新たな総合5か年計画の策定にあたり、「長野県の望ましい20年後の姿」をイメージした「たたき台」や3つの「望ましい県の未来像」が提示されたところだが、知事自身がこの計画に盛り込みたいと考えている「テーマ」と言うべきものはどのようなものか伺いたい。
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【知事】 ○物質的な豊かさの追求が個人の幸福に直結する時代が過ぎ去り、成熟した社会を迎える中で、「人間生活優先の地域」、「持続可能な地域」が重要。 ○長野県の特色としての、美しい景観や豊かな自然、先人たちが連綿と引き継いできた伝統や文化、自然エネルギーの活用への大いなる可能性など数多くの優れた財産を活かし、「誰にでも居場所と出番がある」、「世界に貢献する」、ゆとりとうるおいがある」長野県を創造していきたいと考えているところ。 ○新たな総合5か年計画は、総花的でない、本県の個性を伸ばした特色のある計画としてまいりたい。
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新たな総合5か年計画のフレームと性格について
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【本郷委員】
これまでの検討経過を見ていると、県が策定しようとしているのが、「長期構想」なのか「5か年計画」なのか判然としないように感じるが、知事はこの計画をどのようなフレームのものにしようと考えているのか、また、計画にどのような性格を持たせようと考えているのか、現時点での考えを伺いたい。
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【知事】 ○今回の新たな総合5か年計画策定を機に、長野県の長期構想である「未来への提言」を廃止したいと考えているところ。 ○今後5年間の計画を策定するためには、まずは中・長期的な視点からの望ましい姿を描いた上で、その望ましい姿に至る過程のうち計画期間中に行うべき方策を明らかにすることが必要 。そのため、総合計画審議会において「20年後の望ましい長野県の姿」について議論されているものと認識。 ○この総合計画の策定に当たっては、中・長期的な県政運営の道しるべとしての性格を持った計画として、県民の皆様が共感し、協働していただける夢と希望に満ちた長野県の将来像を、県議会や県民の皆様と一緒になって描いてまいりたい。
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建設事業債発行の考え方
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【本郷委員】
財政規律を確保するためのルールとして、「今後の当初予算における通常債(建設事業債)の発行額は、平成24年度当初予算額の範囲内とする」としているが、各年度における通常債(建設事業債)の発行総額を含め、予算編成・財政運営とは、単純に上限を設けるべきではなく、もっと柔軟で、政策的、戦略的であるべきではないかと考えるが、所見を伺いたい。
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【知事】 ○平成23年度末の県債残高は1兆5,750億円となり、その償還に充たる公債費が24年度当初予算で1,410億円と予算全体の16・8%を占め、歳出を圧迫する大きな要因となっている。 ○こうしたことから、先般公表した「長野県行政・財政改革方針(案)」において県債発行の考え方についてお示ししたところ。 ○この中で建設事業債については、世代間負担の公平を図るため、真に必要な社会資本整備の財源として活用していくこととしているが、臨時財政対策債の増加により、県債残高が28年度には1兆6,485億円に達する状況にある中で、「可能な限り子どもたちの世代に付けを回さない」という観点から、今後の当初予算における発行額は、原則として平成24年度当初予算額の範囲内とし、毎年度の予算編成の中で発行の抑制に努める所存。 ○ただし、年度途中における災害や経済対策など緊急な対応が必要な場合は、その財源として活用するなど柔軟に対応していく。
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森林づくり県民税の評価及び今後の方針について
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【本郷委員】
「森林づくり県民税」について、平成24年度末で5年間の実施期間を終了するが、この「森林づくり県民税」についての評価及び今後の取扱についての方針を伺いたい。
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【知事】 ○森林づくり県民税については、平成22年度までの3年間で、18億円余の税収を活用し、手入れの遅れている里山の間伐の推進などの施策を展開。 ○これまでに、集落周辺の手入れの遅れた里山において、諏訪湖8個分に相当する約1万5百ヘクタールの間伐を実施したほか、森林づくりに関する地域固有の課題解決や大人から子供までが木に触れる機会の創出など、一定の成果をあげているものと認識。 ○今後に向けては、県民の皆様に御負担いただいていることを十分念頭に置きつつ、「森林づくり県民会議」及び「長野県地方税制研究会」の検討結果を踏まえ、継続する場合は、県民への丁寧な説明を経て、遅くとも9月県議会で条例の提案ができるよう進めていく所存。
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独自の新たな政策税制の導入について
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【本郷委員】
長野県独自の新たな政策税制の導入について、県としてどのような方針を持っているのか、見解を伺いたい。
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【知事】 ○県民主権の県政を実現するためには、従来の手法や発想にとらわれず、県民の暮らしの安心・安全を確保し、地域のことは地域で解決することができる仕組みを構築する、本当の意味での地方分権が重要であると認識。従来、その財源としての税の基本的な仕組みは国が決めているが、分権の時代においては、県自らが税のあり方や活用について議論することが必要と考え、今年度から「長野県地方税制研究会」を設置し、地方自治運営の根幹である「税」のあり方について、検討を始めているところ。 ○有識者の皆様から意見、提言等を賜りながら、県政課題に重点的に活用していける「財源としての税」と、政策課題の実現を間接的に支える「インセンティブとなる税」の二つの観点から、長野県独自の政策税制を検討してまいりたい。
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予算案におけるメリハリ、知事が考える方向性について
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【本郷委員】
平成24年度当初予算案について、「大胆な事業の間伐による財源の重点配分」を基本理念に掲げて予算編成をしてきたが、この予算案が事業を厳選したメリハリのあるものとなっているのか、知事の考える方向性というものをこの予算案で示すことができたのか、率直な見解を伺いたい。
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【知事】 ○平成24年度当初予算案は、中期総合計画の最終年の予算として、計画を進捗させ、新たな総合5か年計画への橋渡しの努力をする中で、「信州らしさを活かした元気創出」予算として、厳しい経済環境の中で、県民全体が元気を出してもらえるような予算とすべく出来る限リメリハリを付け編成したところ。 ○このような観点に立って、県内産業の下支えや雇用の確保等の当面する課題に、引き続き積極的に対応するとともに、「信州らしさ」を一層強化し、長野県の強みをさらに発展させていくため、「自然エネルギーの普及拡大による自立した地域の創造」や「人や企業に選ばれる信州の創造と発信」、「美しい信州の環境・景観の保全と創造」など10の視点で事業を構築したところ。 ○具体的には、信州自然エネルギー元年として、太陽光や小水力などを活用した具体的な取組の推進や、県内経済の活性化を図るため商談会や展示会の予算の充実などにより、地域の元気を創出していく。
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地方事務所長からの施策提案について
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【本郷委員】
「地方事務所長からの施策提案制度」について、平成24年度からの本格実施の際には、地域戦略会議において協議された施策を提案するとしているが、今後、新たな総合5か年計画での策定が必要とされる10圏域ごとの「地域編」とこの施策提案制度を明確に関連付けることで、一層の相乗効果が期待できると思う。そこで、「地方事務所長からの施策提案制度」について、本年度の評価及び来年度以降の実施方針について伺いたい。
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【知事】 ○私は、地域や現場の声をより一層県政に反映させたいとの想いから、県と市町村が一緒に地域課題に取り組む「地域戦略会議」を地方事務所ごとに設置し、そこで協議された事項などを県の施策や予算に反映する仕組みとして、地方事務所長による施策提案制度を構築したもの。 ○しかし、「地域戦略会議」が本格的な協議に至っていないことから、今回は試行として地方事務所長が考える施策の提案を、私はじめ各部局長が直接聞くことで、地域ごとの課題を共有しながら予算編成に取り組んだところ。 ○施策形成・予算編成に時間が十分確保できなかったものの、それぞれの所長が捉える地域の課題について、各部局と現地機関が連携・協力し、24項目の提案に対し、22項目で具体化を図るなど、一定程度反映できたものと考えている。 ○来年度については、議員ご指摘のとおり、「地域戦略会議」は地域課題解決に向けた県と市町村との協働の場であることから、そこでの議論を新たな総合5か年計画「地域編」にも反映し、その上で、25年度に実施すべき施策について提案していただくことを期待したい。
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「行政改革」の取組に対する基本的な姿勢について
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【本郷委員】
長野県の「行政改革」に取り組むにあたって、知事が考えている基本的な姿勢について伺いたい。併せて、新たな行革方針を「行政・財政改革方針」としたことについて、知事の意図と思いを伺いたい。
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【知事】 ○行政改革に取り組むに当たり、今回新たに、これまで当たり前のこととして明確に意識してこなかった、組織の使命・目的(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動の指針(バリュー)からなる県の「行政経営理念」を定めていきたいと考えているところ。 ○これまでの行政改革は、国・地方いずれも「行財政改革」と一括りで論じられることが多く、ともすると、財政を健全化するための職員数の削減や組織の縮小などが行政改革の主眼であると捉えられていたのではないかと思料。 ○一方、私の目指す行政改革は、組織・職員の持つ力を最大限発揮し、県民サービスの充実や、県民主権の県政の実現を図る、いわゆる「行政の質的向上」に力点を置いて取り組むもの。これまで、財政改革の文脈の中で行政改革が語られてきたが、こうした考えから、今回、あえて行政改革と財政改革を分けているところ。 ○新たな方針の理念や具体的な取組の5つの柱に沿って、職員とともに本気の改革に取り組むことにより、県民の皆様に全国に誇れる最高品質の行政サービスを提供し、県民の期待や社会の要請に応える県行政の実現を図ってまいる所存。
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現行の行財政改革プランの評価について
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【本郷委員】
現行の「長野県行財政改革プラン」と、このプランの下で進められてきた長野県の行財政改革の取組について、どのように評価しているのか伺いたい。
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【知事】 ○現行の行財政改革プランは、平成19年度から23年度までを計画期間として、「分権改革」「行政システム改革」「財政構造改革」の3つの柱に沿って改革に取り組んできたところ。 ○行政システム改革においては、県立病院の地方独立行政法人化や指定管理者制度の導入など、業務の外部化や組織のスリム化・効率化を進め、職員の削減数は計画の1,556人を上回る2,193人(全職員数の7・4%の減少率)となっているところ。 ○また、財政構造改革においても、県税収入の確保や、県有財産の有効活用、事業見直しなどの歳入確保・歳出削減に取り組み、効果額は、計画時の1,592億円を上回る1,669億円に達する見通しであり、効率的な行財政運営の推進という面で一定の成果を挙げているものと認識。 ○しかしながら、依然として厳しい財政状況が続く中、新たな総合5か年計画に基づく施策を着実に実行できる行政・財政基盤の確立・社会情勢の変化や多様化するニーズに対応した質の高いサービスの提供・小規模な町村が数多く存在する本県の特徴を踏まえた独自の自治のあり方の検討が必要であり、先にお答えしたように、新たな方針を策定し、更なる行政・財政改革に取り組んでまいる所存。
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「新しい公共」を活用した行政運営のあり方について
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【本郷委員】
新たな行政・財政改革方針がこれまでの「行財政改革プラン」と異なる大きな特徴としては、「県民参加と協働の推進」を強く掲げている点にある。そこで、国の追従ではない長野県に相応しい「新しい公共の創出」とはどのようなものか。内閣府所管の「新しい公共支援事業」を活用するだけではない長野県として主体的に指向する「新しい公共」とは何なのか。長野県における「新しい公共を活用した行政運営のあり方」はどうあるべきかについて、知事の考え方を伺いたい。
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【知事】
○本県では、内閣府の「新しい公共支援事業交付金」を活用した取組を行うに当たって、国から示された事業内容の例示に追随するのではなく、「県民協働を進める信州円卓会議」でもご議論いただきながら、長野県独自の視点で事業内容の検討を行ってきたところ。それにより、平成24年度においては、NPOの活動基盤強化につなげるため、幅広い県民、企業がインターネットを活用して、応援したいNPOに寄附することができる新たな仕組みを構築する事業や、長野県内の企業、行政機関などで活躍してきた人たちを、NPOを応援する人材として育成・登録し、その能力、ノウハウをNPO活動に活かしていただく事業などを予定。
○また、行政運営についても、長野県行政・財政改革方針(案)で、県民参加と協働の推進を通じ「新しい公共」を創り出すことを柱の一つとしており、「新しい公共」のこのような位置付けは本県の特徴。
○そのため、県民・NPO・企業等と行政との協働推進のための効果的方策について円卓会議で更に議論していただくほか、共創・協働フォーラムの開催や、協働を進めるためのガイドブックの作成なども予定し、これらの事業を通じて、多様な活動主体との協働を進め、「新しい公共」の利点を生かした行政運営を構築してまいりたい。
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信州型事業仕分けの課題について
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【本郷委員】
知事は、今後、新たな政策評価・事務事業評価制度を含め新しい制度の仕組みを検討するとしているが、これまで実施した2回の「信州型事業仕分け」について、どこに課題があったと認識されているのか伺いたい。
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【知事】 ○これまで2回にわたり信州型事業仕分けを実施してきたが、・公開性、外部の視点といった基本的な考え方に基づく、開かれた県政運営の推進、・行政では気付かなかった、県民目線での問題提起・仕分けの議論の予算への反映といった意義があった一方、・施策評価、事務事業評価と並行して実施することによる重複感があるのではないか、・県の目指すべき施策の方向性を踏まえた議論が、必ずしも十分になされなかったのではないか、などの課題があったものと認識。 ○本来、事業点検の議論は、県の目指すべき方向性を踏まえて、事業の目的や手段がその方向に適ったものであるかとの視点からなされるべきものであり、政策評価、事務事業評価との関係についても整理が必要であると思料。 ○このような観点から、新たに策定する中期総合計画における目標の設定にあわせ、新たな政策評価事業点検の仕組みを検討することとし、議会の皆様方にも御協力をお願いした次第。
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今後検討する新たな制度について
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【本郷委員】
また、今後検討するとしている新たな制度を「外部評価」の手段として考えているのか、「事務事業の見直し・行政効率化」の手段として位置づけているのか伺いたい。その上で、執行機関自らが行う政策評価・事務事業評価とは、本来如何にあるべきものと認識されているのか、基本的な考えを伺いたい。
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【知事】 ○新たな政策評価・事業点検の仕組みは、これまで並行して実施してきた、施策評価、事務事業評価と信州型事業仕分けについて、あり方等をしっかり整理し見直そうとするもの。 ○新たな仕組みは、信州型事業仕分けにおいて一定の評価をいただいた公開性の確保、外部の視点といった考え方を保ちつつ、事務事業の見直し・行政効率化の手段の一つに位置付けてまいる所存。 ○本来、執行機関が実施する政策評価・事業点検は、県の目指すべき方向に沿った目標に向け、達成のために必要な事業の計画、予算の編成及び執行、事業成果の点検というPDCAサイクルの中に位置付けられるものと考えており、大変大切な仕組みと認識しているところ。
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望ましい組織と職員のあり方について
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【本郷委員】
知事は、県民主権の県政を実現するために、職員に対して「共感力」「政策力」「発信力」を強く求めているが、職員のモチベーションと知事の理念との間に距離感を感じる。組織マネジメント、人材マネジメントという観点から、県の現状をどう捉えているのか。望ましい組織と職員のあり方はどうあるべきか。考えを伺いたい。
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【総務部長】 ○組織体がその目的・使命の実現に向けて力を発揮するためには、価値観や方法論に違いがある個々の構成員が、組織体の目的・使命を明確に認識し、実現のための統率のとれた行動を的確に取っていくことが必要であり、それを実現していくマネジメントが必要。 ○今回の行政・財政改革方針案では、行政経営理念として県組織の使命・目的、目指す姿、それらを達成するための行動指針・価値観を明示した。職員一人ひとりが改革方針の策定に参画し、県の使命や、職員としての行動のあるべき方向を自分のものとしてとらえ、人任せではなく自ら意識して行動していくことが求められる。 ○そのためには活発に意見を言い、議論し、行動できる県組織にしていくことが大切。そこで、今年度は全ての職場で情報発信やホスピタリティの向上をテーマに業務改善に取り組んだが、来年度は、職員全員が業務改善、政策提言を行い、業務への反映を目指す「一人1改善・1提案」に取り組みたい。 ○こうした具体的な取組を通じて、職員の主体的な参加・取組が、組織としての成果とともに職員のやりがいに結び付くようにしていきたい。
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長野県経済再生に向けての経済戦略構想について
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【本郷委員】
現在、長野県中小企業振興審議会において、次期産業振興プランが策定中とのことであるが、審議会において未来を見据えて挑戦すべき新しい分野について、どのような議論が行われているのかも含め知事自身の長野県経済再生に向けての経済戦略構想を伺いたい。
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【知事】 ○県内製造業は、輸出関連を中心とした高い競争力により県内経済を牽引し、地域の雇用を創出してきたものの、アジア諸国の工業力がさらに高まり、歴史的な円高が続く中で、成長に向けた新たな展開が求められていると認識。 ○長野県経済を再び成長軌道に乗せるためには、現在の主力である情報・電子産業のほかに、新たな柱となる新産業を育てるとともに、成長する新しい市場に積極的に展開していくことが不可欠。
○ これが、長野県経済の再生の道と考えている。 ○中小企業振興審議会においても、今後、成長が期待される「健康・医療」、「環境・エネルギー」、「次世代交通」の3つの分野への挑戦と、有望な市場である「アジア新興国市場」や、日本を含む「先進国の(福祉や医療などの)需要が拡大する市場」への新たな事業展開を御提言いただいたところ。 ○来年度からスタートする「長野県ものづくり産業振興戦略プラン(仮称)」では、この審議会の提言を受け、これらの成長分野と新たな市場をターゲットに、ものづくり産業を中心に据えた、産学官が一体となった集中的な取組を、県が中心となって推進してまいる所存。 ○重点的な取組の一つとしては、長野県テクノ財団に「イノベーション推進本部」を設置し、例えば医療分野では、信州大学などの協力の下、医療現場のニーズと、大学の研究成果、県内企業の技術のマッチングを行うなど、国際的な産学官連携を推進する予定。 ○審議会では、「長野県の強みを活かした長野県らしさのあるプランとすべき」との御提言もいただいており、長野県の有する高度な精密・電子技術や、農産品、水などの地域資源、自然エネルギーなどを活用した「新たな産業の創出」も目指してまいりたいと思料。 ○さらに、アジア新興国市場への展開においては、海外展示会への出展支援などにより、販路開拓を積極的に推進し、外貨の獲得による県内経済の活性化を重点的に進めてまいる所存。
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農業・農村の再生強化について
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【本郷委員】
農業・農村をどうするかということは、単なる産業の一分野として論じるのではなく、文化を含めた社会の基盤そのものとして捉えるべきと考えるが、新しい時代の地域再生施策は如何にあるべきか、知事が考える農業・農村の再生強化に向けた骨太の将来ビジョンを何いたい。
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【知事】 ○産業としての農業振興と地域社会としての農村振興を区分した施策展開が必要と認識。 ○本格的な人口減少など、時代の転換点を迎える中、特に、農業・農村は地域を支える担い手の減少が顕著となることから、これへの対応が再生・強化の鍵であると考える。 ○産業としての農業の振興については、国内のみならず国際的な視点に立った本県農業の体質強化が必要である。そのため、園芸を中心とした生産力の強化や長野県ならではのオリジナル品種の生産振興、消費者ニーズに対応した的確なマーケテイングを推進してまいる。 ○また、次代を担う競争力・経営力の高い農業経営者の育成が急務である。そのため、就農研修や就農後の経営安定・所得向上に向けた支援の充実を図ってまいる。 ○農村の振興については、地域独自の農産物や食、農村景観や農村文化など、農村資源の活用を進める。そのため、地域で大切に守られてきた信州伝統野菜等の振興を図るほか、特に来年度においては「世界に誇る信州の農村景観育成事業」により信州の良好な農村景観を保全・育成するための基本方針等を策定してまいる。 ○更に、都市圏から人を呼び込み農村の活性化に資するため、移住・交流や観光に力を入れてまいる。そのため、新たに観光部に「移住・交流課」を設置する。 ○これらの取組により、人々が暮らし続けられる地域づくりを進める所存。
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次期食と農業農村振興計画について
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【本郷委員】
平成20年に策定された「長野県会と農業農村振興計画」が平成24年度には最終年度を迎えることになるが、ポスト食と農業農村振興計画について、どこに軸足を置き、何を目標としたものとするのか、知事の考えを伺いたい。
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【知事】 ○大きく2つの視点に立って考えたい。1つは、国際化の進展を含めた市場経済の中で勝ち抜き、食料供給を担う産業として本県農業の活力と生産力を高めるため、意欲ある農業経営者が夢を持って経営に取り組めるようにするにはどうあるべきか。 ○もう1つは、中山間地域の多い本県において、地域雇用、景観、文化を維持している農業・農村の社会的役割を明確にしながら、そこに人々が暮らし続けられるため、皆が役割と出番がある地域とするにはどうあるべきか。 ○次期食と農業農村振興計画については、この2つの柱を支える「人」を基軸にして議論を深めてまいりたいと考えている。 ○去る2月9日には、食と農業農村振興審議会に対し次期計画策定の諮問をしたところであり、県民や関係団体の皆様からのご意見・ご提言もいただく中で、新たな総合5か年計画と整合を図りつつ、次期振興計画の策定を進めてまいりたい。
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新たな総合交通ビジョンの策定にあたり、道路整備網の位置づけについて
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【本郷委員】
新たな総合交通ビジョンの策定にあたっては、交通手段の維持・確保だけではなく、道路整備網も併せて位置づけることが必要と思うが、考えを伺いたい。
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【知事】 ○長野県は、内陸県であること、また、広大な県土を有し、急峻な地形であることから、中山間地域も多く、県内外の各地域との人や物の移動において、自動車が果たす役割は大きい。 ○道路網は、自動車による人や物の移動を通じて、産業や観光などの経済活動を支えるとともに、災害発生時には、救助、救援活動のために重要な役割を果たすもの。 ○交通ネットワークは、基盤の整備と交通手段の確保という両面がそろってはじめて成立し、地域の活性化や生活の安全、安心に役立つことができることから、新総合交通ビジョンの策定にあたっては、公共交通の確保とともに、それを支える基盤としての主要な道路網の整備のあり方についても、描き出せるよう進めてまいりたい。
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高速交通及び地域公共交通の確保のために、県内各地域の実情把握と市町村等との連携について
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【本郷委員】
高速交通及び地域公共交通の確保のためには、県内各地域の実情をしっかり聞き、また、市町村等との連携の下で策定すべきと思うが、今後、どのように取り組んでいくのか伺いたい。
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【知事】 ○長野県は、ひとつの県で、北陸新幹線の延伸とともに、リニア中央新幹線の整備を推進するなど、全国でも他に例のない高速交通網の進展に取り組んでいるところであり、また、地域公共交通に対しても、多くの市町村がそれぞれ工夫して維持に努めるなど、各地域における実情は異なっている。 ○長野県新総合交通ビジョン検討委員会においては、検討にあたり、現場に赴いて、地域との意見交換会を行うこととし、先日も、リニア中央新幹線に関する現地調査を行った上で、下伊那及び上伊那の方々との意見交換会を開催したところ。 ○検討委員会では、引き続き、県内各地域や交通事業者との意見交換を行う予定であるが、県としても、市町村への文書による照会や、県民、企業へのアンケートを実施するなどにより、地域の実情や県民のさまざまなお考えを把握するよう努めながら、市町村等と連携して、取り組んでまいりたい。
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新たな総合交通ビジョンに対する知事の考えと決意について
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【本郷委員】
今回策定されるビジョンは、ダイナミックな発想の下に県民に夢と希望を与えるものであるべきと考えるが、知事の考えと併せて決意を伺いたい。
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【知事】 ○長野県は、今大きな転換点を迎えている。すなわち、北陸新幹線が金沢から、さらにその先の関西方面までつながり、リニア中央新幹線が長野県と東京、名古屋、大阪を結ぶようになる。 ○一方で、少子高齢化、人口減少が進み、バス・鉄道といった地域公共交通が、住民の生活をこれからも支えていくことができるのか、より切迫した状況になると認識。 ○こうした状況を踏まえ、新しい総合交通ビジョンおいては、地域振興と一体となった交通体系のあり方を示していくとともに、安心して住み続けることができる地域づくりに資する交通体系を構築していくという観点が必要となる。 ○県としては、地域とともに、責任を持って公共交通を担っていくという決意のもと、交通体系のあり方について、ビジョンの中できちんとした形で示してまいりたい。
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「信州まつもと空港」における貨物輸送と就航率向上について
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【本郷委員】
信州まつもと空港におけるFDAのエンプラエルによる貨物輸送の可能性と、GPSの活用による就航率向上への取組について、考えを伺いたい。
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【知事】 ○「信州まつもと空港」における航空貨物の輸送については、JALの就航時には、機械部品や郵便貨物などの輸送を行っていたものであり、「まつもと空港」を活用する一つの方策として大切な観点。 ○FDAにおいては、これまで旅客業務を優先して、定期便の安定的な運航に努めてきたところであるが、本年7月で定期便の運航が3年目を迎えることもあり、航空貨物の取扱をFDAの新たな事業展開として、県としても研究してまいりたい。 ○「まつもと空港」の就航率の向上にむけては、私も国に対して要請した飛行方式の変更により、昨年6月2日から空港に着陸するかどうかを判断する基準が下げられた結果、「まつもと空港」の長年の懸案であった天候による欠航が、昨年度の2・4%から、今年度は現時点で1・1%と、確実に減少したところ。 ○GPSを活用した新たな飛行方式については、飛行経路のより柔軟な設定により、地形の制約が緩和されると認識しているが、GPSに対応した飛行機の設定や、パイロットの訓練など、FDAの対応が必要となるため、「まつもと空港」へ導入した場合の効果や影響を見極めながら、FDAとともに研究してまいりたい。
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自然エネルギー・再生可能エネルギーの普及拡大について
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【本郷委員】
自然エネルギーの普及拡大に関して、平成24年度予算案においてどのような重点化が図られているのか、また今後どのように取り組んでいくのか。農業用水を活用した小水力発電を担当している農政部の対応について伺いたい。
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【農政部長】 ○自然エネルギーに関する農政部の対応についてのお尋ねですが、農業用水を活用した小水力発電について、県では平成20年度から、県土地改良事業団体連合会など関係機関と連携を図りながら、候補地に関する調査研究を実施してきており、併せて、平成21年度からは、市町村、土地改良区等を対象とした研修会を開催しているところです。 ○平成24年度においては、新たに発電施設建設モデル事業を創設し、実用化の目処がついた小水力発電1箇所、そしてまた、太陽光発電2箇所の建設に併せて着手したしいと考えております。本事業では、発電施設の建設から運営の過程で明らかとなる課題を検証し、その結果を市町村、土地改良区等にフィードバックすることとしております。 ○今後は、モデル事業の検証結果や再生可能エネルギー特別措置法の固定価格買取制度の動向等を踏まえつつ、農業用水などを活用した自然エネルギーの普及拡大に向けて積極的に推進してまいります。
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自然エネルギー・再生可能エネルギーの普及拡大について
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【本郷委員】
自然エネルギーの普及拡大に関して、平成24年度予算案においてどのような重点化が図られているのか、また今後どのように取り組んでいくのか。木質バイオマス等の普及拡大を担当している林務部の対応について伺いたい。
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【林務部長】 〇木質バイオマス等の普及拡大についてのお尋ねですが、木質バイオマス利用につきましては、今年度、木質バイオマス需要開拓調査を実施しており、その中で、温泉施設等でのボイラ導入に対する期待が高いことが明らかになってきましたことから、来年度、こうした分野への導入支援を積極的に進めることとしております。 ○さらに、公共施設や個人が導入するペレットストーブへの設置費用に対する支援や間伐材を薪として利用していくための講習会を開催するなど、環境部と連携し、木質バイオマスの普及拡大に努めてまいります。 ○今後は、木質バイオマス利用拡大のため、地域の製材工場の端材等を、工場で使用する乾燥機の熱源や発電等に利用する体制づくりについても進めてまいります。 ○いずれにしましても森林県である長野県の特性を活かし、再生可能な自然エネルギーともなる木材を様々な形で利用するべく森林づくり指針で掲げた木質バイオマス利用量、現状6万立法メートルを、10年後には約3・6倍の21万7千立法メートルに拡大させることを目標として取組んでまいります。
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資金調達・ファイナンスに係る県のイニシアチブ、固定価格買取制度に係る県に対応について
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【本郷委員】
自然エネルギーの普及拡大は、地域経済の活性化に寄与するものでなくてはならないと考えるが、事業化に際しての資金調達、ファイナンスについて、県として何らかのイニシアティブをとっていく用意があるのか、7月に始まる「固定価格買取制度」に向けて何らかの対応を検討しているのか伺いたい。
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【環境部長】 ○自然エネルギーの導入により地域経済を活性化していくためには、地域の企業等が事業主体となり、地域の資金を活用して自然エネルギー事業を行うことで、地域に雇用を生み出すとともに、地域の中で資金を循環させていくことが有効であると考えております。 ○今年7月からの固定価格買取制度の施行により、自然エネルギーによる発電事業がビジネスとして展開できる基盤が整うことから、長野県としては、官民連携による自然エネルギー信州ネット等を通じて、地域の主体が自然エネルギービジネスを立ち上げていけるよう人材育成や地域における検討の場づくりを支援してきたところです。 ○このようなビジネスの展開にあたっては、議員ご指摘の、事業化に際しての資金調達、ファイナンスにあたって、地域の金融機関からの融資など、地域資金を活用していくことが重要であり、特に特定の事業を担保とするプロジェクトファイナンスが有効であると考えております。そこで、「自然エネルギー信州ネット」において、地域金融機関の参画も得ながら、自然エネルギー事業に対するプロジェクトファイナンスに関する研究会を開催しているところです。 ○長野県としては、今後は、具体的な事業化の案件に際し、資金調達、ファイナンスが円滑に進むよう、地域金融機関との連携を強化してまいりたいと考えております。
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県としての「自然エネルギーの普及計画」の策定について
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【本郷委員】
県として「自然エネルギーの普及拡大」を大規模に進めようとするのであれば、現在のように単発的なやり方ではなく、県としての目標や施策体系を県民に早急に提示した上で進めていくべきと考えるが、長野県としての「自然エネルギーの普及計画」の策定について伺いたい。
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【環境部長】 ○自然エネルギーの普及拡大を本格的に進めていくためには、議員ご指摘のとおり、自然エネルギーの導入目標を掲げ、目標達成のための施策を体系的に講じていくことが非常に重要であると考えています。 ○本年度実施している地球温暖化対策戦略再構築事業において、長野県における自然エネルギーの導入状況や導入ポテンシャルを調査するとともに、今後の自然エネルギーの普及に係る課題を整理し、自然エネルギーの推進方策について検討しているところです。 ○来年度は、今年度の検討結果及び国の「エネルギー基本計画」の見直しの動向を踏まえながら、新たな地球温暖化対策の戦略計画の策定の中で、長野県の自然エネルギーの導入目標や当該目標を達成するため、自然エネルギーの供給サイド及びエネルギーを利用する需要サイドの双方の視点を入れた体系的な自然エネルギーの推進方策を検討してまいりたいと考えております。
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土地売買等の事前届出制度について
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【本郷委員】
県では、地下水などの水源の保全上重要な地域を指定した上で、その区域内で土地取引をする場合は、土地所有者に知事への届出を義務付け、必要に応じて届出者に助言する仕組みを導入するため、新たな条例の制定を検討しているとのことである。地下水など水資源保全のための制度としては、様々な方法論が考えられるところであるが、 「土地売買等の契約前に知事へ届出る制度 」が望ましいと考えた理由を伺いたい。
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【知事】 ○私たちの生活の源である水資源やこれを涵養する水源林は県民共有の財産であり、これらの保全は大変重要であるとの認識のもと、昨年2月、庁内の関係部局における検討組織を設置し、水源林及び水資源の保全について検討を行ってきたが、先日その検討結果をとりまとめ、公表したところ。 ○検討の過程で、全国各地で取得目的が不明な土地取引が確認されていることで、水源地独占や、地下水の大量取水への懸念や不安の声が上がってきていることがわかり、水源地における土地取引の把握や大量取水への対応が必要であると認識したところ。 ○土地の規制については、日本の法制上土地所有権が非常に強固な制度となっており、どの程度のことまで都道府県レベルでできるのかについては、法律の専門家などのご意見を聞きながら踏み込んだ検討をしていく必要がある。 ○当面、法律との関係からも可能な範囲と考えられ、水源地を守るという観点からも、抑止効果が期待される事前届出制度の創設を視野に入れた検討を行っていくこととしたところ。
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取水行為にも着目した制度について
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【本郷委員】
条例化にあたっては、土地取引とともに、取水行為にも着目した制度の方が実効性が高いとも言われているところであるが、この点について見解を伺いたい。
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【知事】 ○もうひとつの大量取水への対応については、地下水の取水規制が有効な手段であると認識している。 〇地下水取水に関する規制は、その内容に差はあるものの、既に45市町村が条例等により対応していることや、佐久地域の市町村や安曇野市では、地下水の取水規制を盛り込んだ条例制定を検討するなど、市町村の新たな取組みも進んでいる。 ○更には、地下水は地域によって実態が異なっている上、地下水の賦存量(地下水の総量)などのデータは水道事業を所管している市町村が把握している場合が多い。 〇こうした状況を踏まえ、県として制度設計をするにあたって、地下水の取水に関する規制については、市町村条例による対応で十分かも含め、市町村と十分に協議していく必要があると考えている。
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「水資源を利用する際のルールづくり」や「水資源を維持するための仕組みづくり」への取組みについて
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【本郷委員】
水資源の問題に関して最も重要なことは、「水資源を利用する際のルール」や「水資源を維持するための仕組み」を如何に構築するかであるが、長野県としてこれらの点について、どのように取り組んでいくつもりか伺いたい。
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【知事】 ○議員ご指摘のとおり、水資源を保全していくためには、水資源の節度ある利用と、水源地の管理や地下水の涵養が重要であると認識している。 ○これまで水資源は、地域の共有財産として、地域の中で一定のルールによって守られてきたが、最近の水資源をめぐる状況に対応できる新たなルールづくりの検討が必要となってきている。 ○また、重要な水源林を公的管理の下に置き、森林整備を進めていくことや、遊休農地の活用や浸透性舗装の普及などの涵養対策の推進も、水資源の保全のために欠かすことのできない施策であると認識している。 ○一方、水資源をめぐる事情は地域によって異なっていることから地域の実情に合った対策を検討していく必要があるほか、産業振興という視点から、水資源の利活用という点についても検討が必要であると考えている。 ○こうしたことから、水資源保全の検討にあたっては、来年度環境審議会に有識者や法律の専門家などによる専門委員会を設置し、幅広い観点から検討していくとともに、市町村とも十分に協議して、長野県として、実効性のある水資源保全対策を推進してまいりたい。
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我が国の社会保障制度のあり方と、本県としての対応について
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【本郷委員】
経済成長と社会保障は切り離して考えることのできないテーマであり、経済成長と財政再建を複合的に進め、両立させていくことが求められている。県においても「現場の視点でとらえた社会保障懇話会」を立ち上げているところであるが、知事は、困難を増す国や地方の財政状況と予断を許さない経済情勢を踏まえて、我が国の社会保障をどうあるべきと考えているか、また、真の地方分権の時代の中にあって、県としてはどのように対応していくのか伺いたい。
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【知事】 ○社会保障は、年金、医療、介護、子育て支援、低所得者対策などの給付を通じて国民生活の安定を図るもの。この制度が機能することで、私たちは加齢に伴う不安や健康上の心配を過度に感じることなく、安心して日々暮らしていくことができる。
○このように、社会保障制度は我が国の社会・経済を支える重要な基盤である一方、活発な社会・経済活動が社会保障を支えている、言わば互いに循環する関係。こうした循環の関係を将来にわたって持続することが求められており、そのためには、国民の理解のもとで給付と負担をバランスさせていくことが必要。
○県としては、地域医療の充実、認知症高齢者に対する支援、高齢者や障害者のための施設整備など、まずは社会保障制度における県の責任を果たしていくこととしているが、国と地方の役割分担など様々な課題もみえてきている。
○先日、「現場の視点でとらえた社会保障懇話会」の初回の会合を開催したところであるが、こうした場での議論も踏まえ、現場や生活者の視点で望ましい制度をめざして国に対して提言を行うとともに、県の政策に反映させていく。
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