日本みどりのプロジェクトの活動の意義について
【本郷委員】
中村部長を中心に、大変、きめの細かい、また新しい発想力をもって対応していることに対して、深く敬意を表したい。そういう経過の中で、昨日、政府は、臨時閣議で、事業規模で73.6兆円の追加経済対策を決定した。これは、2020年度の第3次補正予算と21年度の当初予算を15か月予算として位置づけ、地方債の負債も含めて、財政出動は約40兆円となる。したがって、第2次補正のときには、150数億円、長野県に持ってきたが、与党国会議員とも連携を取って、何しろ、この2、3年間というものは、財政と金融によって支えていくより手がないので、全力で頑張っていき、また連携を取りたいと思っている。
特に「Go To トラベル」や「Go To イート」の期間の延長、それから雇用調整助成金の特別措置を2月末まで延長することも決定をしているので、そういうものを複合的に絡めて、この危機的状況を乗り越えたいと思っている。
私、現在、長野県議会観光議員連盟の会長を仰せつかっていて、昨日、観光機構の平尾エグゼクティブプロデューサーに講演をしてもらった。一般的には、観光というカテゴリーは、第3次産業における観光と小さく書いてあるが、実は、観光の持つ裾野の広さは、交通部門も含め、あるいは商店街も含め、ものすごく広いわけで、あの縦割りのカテゴリーの分け方は、もう時代遅れであるわけで、観光部長を中心に、経済成長戦略の重要な位置づけとして認識をしてもらうことが非常に大事であると思っている。
特に今回のパラダイムシフトによって、平尾さんの話によれば、団体から個人へと、それから客層が全く変わってきているということで、長野県下の東西南北の主だったところのデータを発表してもらった。そういう中において、基本的には、全く新しい時代が来るので、ポストコロナのことも見据えて、先ほど各課長から話があったとおりのことで、沖縄のことも含めて。沖縄は、垣内君が議員連盟の会長になって、私と萩原さんが顧問であるが。同時に信州まつもと空港国際化議員連盟は、萩原さんが会長で私が幹事長ということで、そういうものを全部絡めて、行政、議会、それから産業界等も含めて、新しい時代が来るということを見据えながら、ぜひ中村部長、一層の努力を願いたい。
そういう観点から、長野県を代表するアルピコグループにおいては、情報によれば、4月から6月の貸切バスの事業は、売上げがほぼゼロだったというようなことである。10月も、「Go To」があったが、前年同期で約46%という。こういう問題があって、リモートの観点から、オンラインによる、つまりアルピコ交通の本社に来てもらって、1,980円を支払って、そこでバスガイドさんが説明して、上高地に行った気分になると。つまり、もう全く発想が変わってきているので、いろいろな角度や切り口から、観光の再生のために、オンラインバスツアーが定着することも一つの切り口であるので、ぜひ、行政は行政の立場で、全力で対応を引き続き願いたい。
そういう全体像として、政府もものすごい危機感を持っているので、ぜひ、観光部においては、日本経済を引っ張っていくんだと、その一大要素であるという認識を持って、長野県が国際水準並みの観光県になるというのが知事の理念であるので、議会も両輪となって、沖縄問題も含めて、頑張る予定である。
地球温暖化に伴う気候変動の影響というのは、大変な事態で、18世紀の産業革命から今日まで、全体の気温が1度上がっていて、今のまま放置すると、1度から2度、10年、20年、30年、そういう単位で上がっていくと。そういうことから、雄大な自然を観光コンテンツにしている長野県にとっては、この問題についても、みどりのプロジェクトを通じた、そのSDGsとの絡みをどのようにしていくかと、こういう大きな問題がある。したがって、阿部知事が、日本みどりのプロジェクト推進協議会の会長になったことは承知をしているが、リーダーシップを発揮しなければならないので、第1点は、長野県脱炭素社会づくり条例の理念の下、ゼロカーボン、SDGsを進めていく上で、みどりのプロジェクトの活動の意義と果たす役割について、伺う。
【小林国際観光推進室長】
先ほど説明したが、日本みどりのプロジェクト推進協議会は、都市と地方が連携して経済の好循環を創出することにより、SDGsとか、ゼロカーボンに貢献していくという、新たなこれからの取組だと考えている。その取組としては、時代にマッチした新たな旅を提案する「Go Green」とか、植樹により森林を再生させていく「One Green」等のプロジェクトを中心に、地域経済の活性化事業を展開していく。それに「National Park プロジェクト」などプロジェクトがある。
これらのプロジェクトに共通して言えることは、委員から指摘があったとおり、長野県が世界に誇れる自然、こういったものを理解し、体験し、守り、育むということで、気候変動の影響を考える契機とするとともに、県民一人一人の皆さんがゼロカーボンに貢献していくという意識醸成、こういったものが図られるということが大変大きな意義ではないかと考えている。長野県は世界に誇れる自然という財産があるので、そういったものを、国内外から多くの旅行者の皆様を招いているので、これを契機に気候変動にも対応した取組を、関係部局と連携して進めていきたいと考えている。
【本郷委員】
みどりのプロジェクトは、非常に重要なSDGsとも連関をしている話であるので、いい形で観光産業に貢献できるように、一層の努力を願いたい。
今後の感染状況や「Go To トラベル」の事業見直しの動きなどに応じて観光誘客について
【本郷委員】
「Go To トラベル」の運用見直しに対応した観光誘客という観点で、「Go To トラベル」や、県のいろいろなきめの細かい宿泊割事業の効果で、秋以降の観光需要は、10月は回復をして、第3波が来て11月がちょっとへこんだと、こういうのは一般的な見方である。ただし、年末から年明けの予約も多く、宿泊施設では高い水準を維持している。中低のゾーンにおいても一定程度の効果が現れている、先ほど説明があったとおりである。しかしながら、感染状況が急速に悪化して、国は「Go To トラベル」の運用について、目的地から大阪と札幌を除外、東京の発着は、高齢者や基礎疾患のある方は自粛を要請するなど、また違う要素も出てきているので、長野県の観光にとって重要な冬の観光シーズンを迎えるに当たり、今後、感染状況や「Go To トラベル」の事業見直しの、これらの動きに応じて、どのような観光誘客を進めていくのか。つまり団体から個人へ、そして客層が全く変わってきているという状況も複合的に考えた上で、課長から説明を願う。
【大槻観光誘客課長】
現在、感染症拡大防止策を徹底した上で、「Go To トラベル事業」と併せて、先ほど来話があるとおり、県施策も実施して、当面の観光需要の回復を支える県内旅行の需要喚起を行っている。観光庁の発表によると、「Go To トラベル事業」は、11月15日現在で、各県の状況は未公表であるが、全国で少なくとも5,260万人泊の利用があったと言われているし、地域共通クーポンの取扱店舗数も35万店舗、本県は8,100件以上である。宿泊以外に、地域のお土産屋さんとか飲食店、観光施設等も含めて効果が及ぶ、地域経済活性化に結びつく事業と理解をしている。
こうした中、県としても、冬のウインターシーズンを迎えているので、誘客をしっかりやっていくということで、引き続き感染拡大防止と観光振興の両立を図ることが必要ということで、特に今後のWithコロナ時代における安全で安心な旅のスタイルを普及定着されることを目的に、観光関連事業者と旅行者の双方に対して、感染症拡大防止対策の徹底を求めていくこととしているし、併せて、スキー場やその周辺地域への支援策を活用し、効果的な誘客を推進するとともに、県内外の感染状況や「Go To トラベル事業」の運用見直し、延長とか、その割引率を下げるとかいう話も出ているので、引き続いてその国の動きを注視しながら、観光事業者とも連携をする中で、県の施策、県民宿泊割とか、近隣県への誘客施策とか、県施策をそれぞれの状況に合わせて機動的に展開していきたいと考えている。
また、多くの旅行会社とか、宿泊事業者さんからの要望が来ているが、「Go To トラベル事業」後の反動減対策とか、春以降の対策という要望も多くあるので、既決予算とか、来年度予算を見据えながら、観光部としてもしっかり手だてを打っていきたいと考えている。
県と観光機構の役割分担及び機能強化について
【本郷委員】
昨日、平尾さんの話を聞くと、単に悲観的な話だけではなくて、それぞれの地域の特性を生かした、そういう意味で包括的に言えば、団体から個人へ、そして客層が全く変わってきているということで、各地域の分析を、観光部とも連携を取っていると思っているが、そういう意味において、安全・安心に対する意識はますます高まっているし、リモートワークの急速な拡大、インバウンドの消失など、全く基礎条件が変化をしてきている。県は、Afterコロナ時代を見据えた観光方針を策定して、長期滞在型観光の実現を掲げている。昨日の勉強会でも、1週間ほど泊まる方が結構多くて、そこで仕事と観光を両方やっていると。そういう、今までにない状況が出ているし、また全国版のいろいろな情報を見ると、長野県なり、山梨県なり、移住して、そこで仕事をし、家族との家庭愛を醸成し、極めて人間的な生活をしている。
そういう観点から、観光機構も、観光部と同様に、ますます重要な位置づけになるわけで、県と観光機構の役割分担、機能強化について、伺う。
【田中山岳高原観光課長】
委員指摘のように、今後、Afterコロナ時代を見据えた場合には、この観光機構の役割はますます重要になってくると、県としても認識をしている。先週の一般質問での知事答弁ともやや重なる部分もあるが、観光機構の機能を高めていくには、大きく3つのポイントがあろうかと思っている。一つがこの役割分担、県と観光機構の役割分担であるが、実は平成29年の11月に開催された県の観光戦略推進本部会議、観光戦略2018の骨子案が示されたときであるが、このときに県観光部の役割と観光機構の役割が示されている。県観光部の役割としては、簡単に言うと観光政策の企画立案、観光機構の役割としては、観光振興施策の実行組織と大きな役割が示されて、以後、取組を進めている。
この役割分担として、県が企画したものを、観光機構が、場合によってはそのまま実施するという実行部隊として位置づけたようなイメージが先行していて、実態としても、やや、観光機構で受け身になりがちな面も見受けられるかなという形で、機構としての自主性が十分にまだ発揮できてない面もあろうかと思っている。このため、今後は、もう少し役割分担というものを具体化していく必要があると思っていて、例えば県観光部は、県全体の大きなその観光政策の方向性をまずは担う、決定する。観光機構は、その観光の方針を一緒に共有した上で、しっかり自らも企画立案し実施する。こういった役割分担というものを明記して、お互いが対等で、しかもコミュニケーションを図りながら、一緒になって、十分、その観光機構の機能が発揮できるように、役割分担を再整理していく必要もあろうかと思っている。
さらに、予算についても、今は全て、実は県から観光機構に対して負担金という形で支払っているが、例えば、役割分担を整理した上で、機構が担うべきものというものは、これまでどおり負担金であるが、そうでなくて、外部に委託できるものについては、委託料として整理をする。こういった予算の整理も必要かと思っている。
最後に組織面というのがある。やはり民間の発想で活動できるような体制が大事だと思っていて、例えば、外部の民間からもっと積極的な提言を受け入れられるような仕組みを構築する、こういったアイデアも、今、あろうかと思っていて、こういった改革をこれからも進めながら、この観光機構の機能を十分に発揮できるように、より一層、最後は観光地から頼られる存在になるように、県も一緒になって取り組んでいきたいと思っている。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策と観光振興の両立について
【本郷委員】
感染拡大の防止と経済活動、観光振興のことで、その両立について、いろいろな解釈があるが、一般的には、新型コロナによって大きな打撃を受けているのは観光業界であり、感染拡大を最小限に抑え、観光事業を下支え、長野県観光を再生していかなければならないのは、行政の責務でもあるし、また、議決機関である議会も両輪となってこれを全力でやらなければならない。非常に難しいかじ取りではあるが、感染拡大の防止と観光振興の両立をどのように図っていくのか、伺う。
【中村観光部長】
やはり両方とも重要であって、これは当然のことであるが、政府の感染症対策の分科会では、人の移動が感染拡大に影響すると言っている中で、一方、国で「Go To トラベル」というような部分は動かしている中で、どう考えるか。政府もやっているので、都道府県として、これをどうこうというふうには、なかなかいかないという部分もあって、非常に難しい立場かなということの中で、日々、やっている。
両立というのは、重要であるが、なかなか難しいというところに立った上で、委員指摘のとおり、観光産業というのは裾野が広いということで、影響はすごく大きいというのが、今回、本当に分かった。感染状況が比較的落ち着いていた中では、感染対策をしっかり取った上で、しっかりこう回してくださいという、宿泊割などをやりながら稼いでもらおうということで。その感染対策を取ってくださいというのも、具体的に、業界、事業者、それから地域とかエリア、全体で取り組むという枠組みをしっかりつくるというところが大事である。
また、事業者の中でも、私どもの医療の専門家の皆さんが懇談会の中でも言っているが、とにかくかからないと、自分がかからない行動が大事なので、それを徹底してくれということで、観光事業者にもそれを投げかけている。もう一つは、観光客に対しても、しっかりと感染対策を取った上で来てくださいという新しい観光のスタイルが重要で、時代が大きく変わるということなのかなと。
先ほど国で大きく経済を動かしているという部分があるという中で、私どもでも、ここへ来てまた感染が拡大してきている中で、観光事業者、観光関係者が、混乱しないようにしてくれと要請もしてきている。具体的には、大阪とか、札幌とか、見直しに入っているという状況もある中で、やはりその見直しということも聞こえる中では、段階的にやったほうがよいのではないかとか、さらに広がってきた場合には全国一律でやることも必要ではないかとか、そういったことも要請をしている。これは国に対しての要望ということで、知事会とか、それからブロックごとの知事会議とか、私どもも国に対して言っている状況である。ただ、そういう中にあっては、しっかりと、その代替措置としては経営支援をしてほしいということは、国とも常々意見交換をさせていただいている。
先ほども観光誘客課長が機動的に対応するという話をしたが、日々変わるというか、毎週のように、日替わりのように状況が変わっていくという中で、その拡大してきたときはこういう手を打つんだとか、それが収まってきたときはこういう手を打っていくんだとか、常に考えながら、そのときの手段とか対応を前もって考えながら進めているということで、そこが、両立を図る上では肝かなと思っている。そこを、我々とすればしっかりと、状況を見ながら、このときにはこういう手を打っていく、このときになりそうだったらこういうふうにいくということを、今も検討しながらやっている。