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コラム(108) 2016年12月
地方財政計画上の課題と平成29年度予算について
 財務省は10月27日に開催した財政制度等審議会で、平成19年度から25年度までの間においては、地方財政計画額が実際の決算額を6千億円から2兆円程度上回っているとの試算結果を提示した上で、地方財政計画の見直し、地方交付税の抑制を求めました。
 地方財政計画と実際の決算額との乖離については、従前から、ことある度に財務当局が指摘しているところですが、地方税収というものは、そもそも、長期的に見れば「上振れ」も「下振れ」もあるのが当たり前のことであり、この度の財務当局による「地方財政計画に反映されていない地方税収の上振れ分」といった指摘について、私は、極めて不当なものだと思っており、しっかりと反論すべきであると思っております。
 しかしながら、その一方で、財務当局による「余剰金を有効な歳出とせず財政調整基金などに積み立てている」との主張もあり、その点については、国側の主張も一部理解できます。
 従って一定程度の積立金を保有すること、それ自体はリスク管理として当然のことと理解していますが、敢えて事業を抑制するなどして、剰余金を多額に発生させて、積立金に回すといったようなことはあってはならないと思っております。
いずれにしても、「しあわせ信州創造プラン」の初年度である平成25年度から昨年度までの3カ年度で、340億円であった本県の財政調整基金と地域活性化基金の残高が530億円へと200億円程度増加しております。
 私は、29年度予算は、ここ何年かの予算の中で最も重要な予算になると考えています。29年度予算は、「しあわせ信州創造プラン」の総仕上げのための予算であり、この5カ年計画の中で仕上げなければならないものについては、29年度においてしっかりとやり切っていただき、真の県民のための積極財政の考えの下、次期計画に向けて伸ばさなければならないものについては更に伸ばさなければならないと考えております。
 要は、29年度予算は、使うべき財源はしっかりと活用する予算とすべきと考えます。
つぎに、来年4月に実施を予定している現地機関の見直しに関連して、29年度の予算編成について述べます。
私は、この度の現地機関の見直しについて、9月定例会の総務企画委員会において、「財政的な裏付けがなければ単なる精神論になってしまう」と指摘しました。
先に公表された「29年度当初予算編成方針」では、「地域振興局長がリーダーシップを発揮して執行する予算を確保・充実する。」とのことであり、そうした方向性が示されたことは大変に意義があると、評価しております。
 これまでの地方事務所一所当たり50万円の所長総合調整推進費を一所当たり1千万円程度(総額1億円)に増額するとのことでありますが、当然それだけでは、極めて限定的な効果に過ぎないことは言うまでもありませんが、いずれにしても新しいスタートの年として評価致します。
 最終的には現地機関の予算要求権の話になると思いますが、当面、地域振興局に予算要求権は付与しないにしても、地域に関する予算の執行は、できるだけ現地機関(地域振興局)に任せるべきであり、予算編成の段階で、そうした執行のあり方についてもきちんと議論していただき、今後、地域振興局の機能が十分に発揮できるような財政的裏付けを財政当局に強く要望致します。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(107) 2016年11月
都政・地方自治の役割について
 地方創生が政府の主要戦略にも関わらず、連日都政問題が小池知事の発信力もあり、都知事に国民的注目が集中する中、都知事と議会の位置づけにつき基本的な部分について考察致しました。
 政治・経済の中心が東京首都圏に集中し、GDPの視点からは東京は世界の中で10位とも言われ、同時に国税収入の40%という実力であります。17万人の職員(警察・消防・学校職員含む)を有し、第2の政府とも指摘され、加えて東京の歴史的地勢的優位性、各分野の中枢機能の集積、明治以来の中央集権システムの継続性等、多くの恵まれた基盤整備の上に成り立っております。
 大都会1300万人の代表者ということもあり、東京は多才な人材を輩出しております。都知事は都を代表する政治家であることはもとより、巨大な官僚システムや比類なき豊かな財政を執行する経営的手腕が最も重要な役割でありますが、都知事は全国自治体のフロントランナーとしての位置づけにあり、総理に次ぐ外交・皇室対応も他の知事とは次元の違う重要な立場を有しております。
 12兆円という予算額はスウェーデンと同クラスであり、議員内閣制の総理とは違い、大統領制である都知事への権限の一極集中は極めて高く、よって健全なる強いリーダーシップの資質が問われると伴に、その責務は想像以上のものであります。加えて議会への招集権、解散権、予算、条例の提出権、職員の任免権、行政執行権、課税徴収権、専決処分等、重要な権限を持っております。
 一元代表制の国とは違い、日本の自治制度は二元代表制であり、執行機関と議決機関という役割分担によって、知事と議会を相互に抑制的均衡関係によるチェック&バランスの機能が起動しております。東京都は他府県に比較して特長的なことは、日本の金融面、経済面、株式面、教育面、情報面等、そのシェアの高さは国際的にも上位にあります。
 警察行政においては、日本一の警視庁を配下に置いております。都知事の給与は年額約2700万、総理は約5100万円、国会議員は約2400万円という状況であります。退職金は1期終了時4700万円と言われております。また側近として複数の副知事、知事特別秘書、参与を配置しております。
 いずれにしても戦後都知事は、安井、東、美濃部、鈴木、青島、石原、猪瀬、舛添、小池と9代になりますが、それぞれ時代背景を抱えながら評価は分かれますが、特長ある都政を築いてまいりました。築地市場移転問題、2020年東京オリンピックパラリンピックを始め、東京のこれからの進路は課題山積であり、劇場型だけではなく真に都民のための地に足の付いた総合行政が的確に遂行されることが都民の大多数の声と考えられます。
 一方、都議会は条例の制定、予算の決定、決算の認定、契約の議決、副知事など重要人事の同意、意見書、決議の提出、都民からの請願、陳情の審査等、極めて幅広い内容であります。
 議会は言うまでもなく単なる諮問機関ではなく、独立した政治議決機関であります。政策の審議決定、調整能力、行政監視、立法機能が主なる役割であり、地方創生の現在、とりわけ政策立案、条例制定は重要な業務に他なりません。
 今日、政治の質の低下が巷間よく指摘されますが、議会の自立性を基本理念としながら、それらの声を謙虚に受け止めながら、政策スタッフの充実は極めて重要な観点であります。
 米国の上院、下院はともに10名以上の政策スタップを有しており、日本と比較にならない議員立法が多く出されております。議会自身が骨太の予算編成を造形できるくらいの能力を持つことが理想でありますが、その為の環境整備も必要条件であります。
 いずれにしても2025年に東京は大老人都市に変容し、子育て支援の未整備を含め、深刻な未来都市でもある中、真の地方分権実現の為、各都道府県の知事も議会も政治の重要性に深く思いを致し、魂なき繁栄ではなく、人間復権を理念とした納税者の方々に評価される政治行為を体現することが今一番求められていることではないでしょうか。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(106) 2016年10月
21世紀の壁
 近代合理主義を基本理念とした現代社会が大きな歴史的転換期に差し掛かっております。とりわけ冷戦構造後の世界の情勢を振り返れば、9.11に限らず昨今の先進国における頻発するテロ、「対話と協調」だけでは立ちいかない国際政治を見るにつけ、各般に渡り各国は長期停滞から本質的に脱却できずにおります。経済成長・スピード・合理性を理念として生活の豊かさを実現させてきた資本主義が、今や急速に格差問題をはじめ多くのテーマが表面化してきました。国際金融資本をバックとしたグローバリズムは、結果的には真の経済発展を阻害し、財政危機と将来不安をもたらしております。
 こうした状況を歴史的に俯瞰すれば、ローマ帝国の崩壊以来3度と言われておりますが、オバマ大統領が世界の警察官を降りると発言したことは、その象徴とも言えましょう。
 明治以来中央集権システムは日本の統治機構の基本であり、その構造論の本質的解析なくして真の地方創生実現は、多くの難問を抱えております。
 日本列島改造論、田園都市構想、ふるさと創生と、過去政府は高い志を持ってその現実化に努力いたしましたが、首都圏一極集中は益々拍車がかかっている状況であります。
 イノベーションは急速に進化しておりますが、そのコスト面と財政面での裏付けは未だ不透明であります。今問われるべきは、新たなる経済成長理念のもと、人間観、人生観についての深い考察であり、リベラルアーツとりわけ哲学・文学・社会科学等への再考察に他なりません。
 現在人口知能、ロボット、IOT、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)と次々に新しい時代を予感させる技術体系が提示されておりますが、人間としての存在論、生きることの本質論をベースとした、新たなる社会像の造形なくして真の人間の希望ある社会の実現は、極めて困難と思われてなりません。もとより健全な自由社会は、基本中の基本の哲理でありますが、急速な人口減少と人生90年時代という21世紀の壁に直面した今、日本が予測しなかった人口構成時代を迎え、私たちはもう一度立ち止まり、成長から成熟社会が論壇で多く指摘される昨今、国民一人一人の独立自尊の精神を基軸としながら、現代における政治の持つ有効性とその意味について私は真剣に論議を深めなくてはならないと認識しております。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(105) 2016年09月
全国を代表する地方都市松本を目指して
 地方創生を実現する最初のスタートが2016年であります。日本の人口の4分の1が首都圏に集中し、政治・行政・経済・金融・マスコミを軸に全て東京に本部機能が位置しており、新幹線・空港がそのために果たした役割は極めて大なるものがあります。
 しかしながら、21世紀の日本の社会像は、人口減少・高齢化という新しい時代を迎え、いずれ東京でも超高齢化社会が予測されます。量的拡大と効率機能の限界が具体化し、価値観が地方創生にパラダイムシフトする現在、地方都市間の競争はいよいよ現実化し、独創性に富んだ地方戦略が今ほど求められる時はありません。従って国内需要に依存する日本は全体のパイが縮小し、トリクルダウン効果は期待することはできません。そうした中、近年インバウンドの増加は想定外ではありますが、観光客が常に700万人前後でありましたが現在は2000万人、2020年には4000万人とも予測され、改めて日本社会の持つ各分野の質の高さが外国人に認識され、リピート客も増加傾向にあります。
 一方、機能都市東京に限界を感じ、地方に人間的な豊かさを理解する若い世代が増加傾向であり、加えてICT時代の中、地方の雇用条件が整備されれば一層加速されると思われます。つまり、高度化した公共交通網は逆に地方へ方向転換する可能性の芽が出てきた訳であります。その為には真に歴史・伝統・文化・物語性に富んだ存在感ある魅力的な地方創生戦略を実現しなければなりません。
 その1丁目1番地は駅や空港の特長あるコンセプトの造形が極めて重要であり、それをスタートとして伝統あるまちづくりへと進出していくことであります。東京首都圏とは全く次元の違う地方都市戦略が今求められております。従って地方創生の成功こそが日本発展の一方の主要エンジンと成り得る訳です。
 2020年の東京五輪以後、団塊世代の後期高齢者社会は首都圏の風景を一変させ、地方に対して20年遅れで高齢化社会へと移行します。ちなみに首都圏においては2015年比で、2025年には後期高齢者572万人、介護サービス利用者は172万人、プラス45%と想像を超える社会的現実となります。
 かたや地方はその時、新しい次元の時代を迎えていると考えられます。加えて、かつて目標としていた一部上場の大企業も大きな転換期になります。終身雇用という日本企業文化が崩壊し、M&Aが急速に進み安定感ある人生は保障されないのが今の現実であります。ましてや非正規社員のパーセントが増加する中、東京は新天地ではないのであります。高い生活コスト、社会保障すら担保されない首都圏は極めて苛酷な社会であります。かつて憧れであった東京は今になって幻想になりつつあり、東京の本質を体現すればするほど、地方の持つ心豊かな社会への希求は大きな波となって必ずや来ると思われます。
 就学就職、つまりふるさとに学び、ふるさとで働くという好循環社会こそが人間復権のキーポイントに他なりません。更に重要なキーワードはICT時代、地方からの情報発信能力であります。その1つが世界遺産であり、松本城もその重要なカードになります。
 それと同時に適切な仕掛けが必要でありますが、更に大切な点は物語性を醸成再生させることであります。要は、東京・京都・大阪というゴールデンルートだけでなく、例えば姉妹都市高山市のまちづくりは全国トップクラスであり、松本市はその意味で高山市と共に複合的戦略を構築しておりますが、高いポテンシャルのある松本市は無限の可能性に満ちております。県下を代表するまちづくり・セイジオザワ・イン松本を始め、歌舞伎・松本山雅・松本城の世界遺産への動き・旧制松本高等学校・高度な医療体制・地域づくり・公民館活動・工業出荷高・上高地を軸とする山岳観光(山の日制定のオープニングセレモニー)・信州まつもと空港の国際化等、枚挙にいとまがありません。
 過去の成功体験から脱却し、新しい発想力を持って日本人の心像風景の1つでもある松本市が21世紀の新しい展望を開くべく、いかに時代が進み第4次産業革命、人口知能、ロボット、IOTの時代になろうとも、人間にとってその始源的感動は人間と人間の真の繋がりであり、感性、情念による人間復権であります。私も県議会議員としてそのような自覚を持ちながら、最善の努力を致します。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(104) 2016年08月
成長のフロントランナーは地方
 地方創生が現代日本政治の第1義となって約2年が経過致しました。異次元の金融政策、大胆な財政出動、成長戦略を柱に20年間のデフレ脱却の為、最大なる努力の結果、マクロ的にはようやく企業収益の増加や雇用賃金の上昇、個人消費の拡充という好循環の入り口に入りつつある現況であります。
 経済対策には3.5兆円を、有効求人倍率は22年ぶりの高水準1.15倍、賃上げ率は過去15年間で最高の2.07%にまで至っております。
 外国人旅行者もかつて700万人台でしたが、最近では2000万人に達しヨーロッパ並みの水準に近くなってまいりました。
 又、財政にとって最も重要な税収は、政権発足2年間で12.2兆円も増加しました。従って、地方創生への予算は1兆円を超え、農林水産物の輸出額も1兆円を目指して努力しております。女性が光り輝く社会実現に向けて安倍政権発足後、女性の就業者数は約82万人増加しました。又、世界各国でテロが多発する中、刑法犯認知件数も285万件から121万件へと急速な減少傾向にあり、日本が世界有数の秩序ある平和国家の証左であります。
 以上、最近の骨太の成果を述べましたが、これらが全国地方の津々浦々まで浸透するには、まだ時間が必要であります。長野県も知事部局と議会が両輪となり、信州創生戦略を構築致しましたが今年が最初のスタートの年であります。人口減少という成熟した先進国の中でも突出した傾向に歯止めをかけ、少子高齢化社会という社会的現実に対し、新しい発想力によってこの難題を解決しなければなりません。数年内に松本空港の国際化の実現、商工業、農林業、観光、医療、介護、子育て、格差問題等に対し、産業政策を軸に長野県の持つ魅力に一層の磨きをかけ、少子高齢化に対し前向きな戦略造形が今ほど必要な時はありません。
 第4次産業革命が指摘される中、社会のイノベーションという広い視野のもと、生産労働人口の減少解決の為、本質的な社会変革を実行しなければなりませんが、その潜在能力は長野県に充分備わっております。従ってそれをリードする政治の有効性は、計り知れないものがあり、そうした政治的自覚を持ち県議会活動も公の為に尽くし切るという覚悟が今最も重要な理念と認識しております。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(103) 2016年07月
「6月補正予算」並びに「分配と成長」の好循環について
 平成28年度長野県議会6月補正予算の概要及び基本方針は、信州創生戦略の理念のもと、「地方創生推進交付金」を梃に、長野県民の生活の豊かさ実現の為の各種内容であります。
 まずは、人生を楽しむ「信州働き方改革」であり、全ての人の能力が活かせること。働き方を選択できる環境を作ること。信州に人材を惹きつけること。を中心に施策の充実を致します。更には、郷学郷就のコンセプトを実効性あるものとする為、県内の学校での学びと県内企業での実践的な働きが相互に連携する人材育成システムの構築を目指します。また、子どもを守り育てる取組みとして、子どもを性被害から守る為、更なる人権教育並びに性教育の充実を図ります。
 一方、高速交通網の視点からは、信州まつもと空港の国際化に向けて、秋ごろまでに(仮称)信州まつもと空港国際化推進室の設置を私が知事に提案致しました。知事から共通の認識を頂き数年を目途に台湾・中国・韓国を視野に入れた週4便程度の国際定期便の実現に向けての正式な知事側の意思を確認致しました。そのインセンティブは何はともあれ、MRJの完成に他なりませんが、実現の為には税関・検疫・出入国審査・国際ターミナル・GPS・駐機場の整備・運営会社等、重要課題は山積しておりますので、その解決に向けて最善の努力を致します。
 以上、主要補正予算の概要を述べましたが、いずれにしてもアベノミクスの最終目的は地方創生であり、国は参議院選終了後に10兆円規模の大型補正予算を予定しております。経済再生に向けて一層財政面での加速が予測される中、長野県としての明確な成長戦略に対し議会として更に磨きをかける所存であります。
 先般、分配と成長の好循環を確立することにより、地方を含め日本経済全体の持続的拡大均衡を目指す計画が閣議決定されました。従って新しい時代の経済成長戦略の果実を社会保障制度に振り向ける為にも地方政治の責任は益々増加しております。人口減少化と超高齢化社会、生産労働人口の低下という新しい社会現象の中、私たちは成熟社会の中にあって新たなる価値の創造に向けて責任ある県議会の造形に全力を傾注する決意であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(102) 2016年06月
現代社会の危機
 現代社会は各般の新しい危機が複合的に発生し、21世紀の展望はまさに新しい発想力と哲学の造形が求められています。国際情勢において、米国の後退、ヨーロッパ近代主義の衰退、中国経済の予期せぬ不安定化、更には、20世紀は戦争と革命の時代と定義されましたが、21世紀はテロの時代と指摘されております。従って新しい文明の秩序について、日本の果たすべき役割は一層増しており、日本政治の復権の観点からも多くの政治に関わる者がその歴史の重要な季節の真っただ中にいる認識をまず持たなければなりません。
 一方、近代の概念である国家の基盤が流動化、冷戦構造の崩壊後、移民難民問題が新たに重要な政治イシューとなり、その数は世界で約数億人とも言われる深刻な事態であります。
 加えて、世界経済が停滞期に入り、OECD、IMF等の予測によれば、新たなるイノベーションによる次世代産業(人工知能・ロボット・ICT)も含めて2%成長が限度であり、先進国の人口減少、社会保障制度の確立(年金・医療・介護・子育て)、格差問題、食料、エネルギー政策等、山積する課題につき現代政治は新しい価値の創造に向けて全力を傾注しなければなりません。
 更に危機管理の視点に立てば、今回の熊本地震は今後予測される日本最大級の地震の前兆との指摘もあり、日本最大の九州・四国・関西・中部・関東を結ぶ1000キロの中央構造線との連動性を危惧する意見も否定しがたいと思われます。
 千年周期というスパンでみれば、5年前の3・11も含め9世紀に多発した地震を想起すれば、大地変動の新たなる千年の時代に入った可能性があると思われます。南海トラフは、2030年代の確率が高いと一部専門家は発言しておりますが、近年の連続する各種災害(地震・津波・火山噴火・ゲリラ豪雨等)を分析すれば幾多の周期説を真摯に受け止めるべきでしょう。もし、南海トラフが発生すれば、経済的被害額は220兆円、死者30万人以上、建物の全壊240万戸とも言われる中、3・11の15倍とも言える規模であります。従って今最も政治に求められる本質は、現代文明の混沌から脱出する為の明晰な社会分析であり、日本の進路について文明論的提言であります。21世紀国家戦略の創造、地方創生はあくまでも政治家の役割であり、激変する現代社会の変質を正しく捉え更には正しい歴史的自覚の上に立ち、政党がなすべき事は正確な政治情勢と国民の希求を踏まえ、従来のどちらかと言えば官僚機構に依存した体質から主体性に富んだ時代に即応した政治感性を確立しなければなりません。
 いずれにしても政治は司馬遼太郎氏が言われた通り、歴史の中に大切なものがある、そして近代哲学の代表であるヘーゲルの歴史の中に事実があるということの意味を再度重く受け止め、新しい発想力を持って明確な政治目標、新しい価値の創造に向けて最大なる努力をする時であります。
長野県議会議員
本郷一彦

コラム(101) 2016年05月
熊本地震が与えた社会的衝撃
 日本列島は4つのプレートの上に位置し、災害列島とも言われ、豊かな自然・美しい景観・全国に数多くある温泉等の好条件と並存して数年に一度、各地で大災害が発生しております。
 5年前の3.11、阪神淡路大震災は、とりわけ記憶に深く刻まれておりますが、その他にも各種災害が国内県内において多発しております。
 熊本県、大分県にまたがる地震に対し、政府は自衛隊25000人、その他警察・消防を含め、3万人体制で救助を実施しておりますが、地震活動が弱まる可能性は低く、今後同規模の地震の発生も予測され極めて深刻な事態と思われます。とりわけ危惧されるのは、中央構造線断層帯上に拡大していることであり、日本列島の約半分を軸に横断する日本最大の断層帯であり、400年前にも別府湾から近畿地方まで400キロに渡り地震が発生しております。いずれにしても現時点では、人命救助に全力を尽くすことであり、避難生活の長期化や都市部における食料、水、医薬品の充足は極めて重要な点であります。
 国や各自治体からの救援物資が集中する中、被災者の手元まで届かない例も多くあり、国・県・自衛隊の一層の連携プレーが望まれます。特に早急に仕分け拠点を決定し、民間の宅配業者による拠点から避難所への配送がよりポイントになると思われます。
 又、経済面では自動車・電機メーカーにおいて多くの企業が操業を中止しております。サプライチェーンの維持を図り、経済への影響をできる限り抑止しなければなりません。
 政府は、食料の90万食を無償配布、スーパーなどに70万食を輸送、激甚災害指定が正式となり、普通交付税の繰り上げ交付等を柱に迅速な対応をしておりますが、官邸での地震非常災害対策本部会議を中心に、一般の力強いスピード感ある具体策の実施を期待致します。更には、津波災害とは違い、益々地震の規模が拡大し避難場所が被災地と重なっていることを考察するならば、広域避難という新たなる視点も考えに入れ、行政間の密接な情報交換も必要と思われます。
 九州全体を俯瞰すれば各種交通インフラ、南北の交通幹線が完全に遮断されましたが、新幹線・高速道路も4月中に一部を除いて整備が可能となりました。更にライフラインの復旧は極めて重要であり、文明社会の基盤であり、一刻も早い戦略的対応が求められます。
 政府における重要課題は山積しておりますが、いずれにしてもその根源は危機管理に尽きると思われます。今回の地震は断層面だけを根拠としても全国に内在している最大級の課題であり、私達は自分自身の問題として、今回の地震について再度深い認識を持たなければならないと痛感しております。
 尚、長野県と致しましては県警より緊急救助隊27名を4月16日6時15分、松本駐屯地からは自衛隊335名が4月16日12時に被災地に向けて出動しており、今後とも熊本地震に対して最大限の支援をして参ります。
<長野県・市町村・関係機関として実施している主なる救援内容>
* 長野県DMAT
* 緊急消防援助隊
* 県合同災害支援チーム
* 被災建築物の応急危険度判定等
* 義援金の受付
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(100) 2016年04月
平成28年度長野県の主要課題に向けて!
 平成28年の新予算が過日の県議会本会議にて可決されました。
総額一般会計で約8800億円の大型予算であります。その主要な柱であるテーマは、「個人の能力を生かす郷学郷就県づくり」「産業力で未来を拓く共創躍動県づくり」「住んでよし、訪れてよしの交流観光県づくり」の3つの視点であり、これらを包括的に政策として集約し、議会としても実効性あるものにしたいと存じます。
 来年度の経済情勢は世界の政治の不安定化の中、引き続き不透明感が予想されますが、いずれにしても2%の経済成長を目標に財政の健全化を図り、強い経済・確かな社会保障制度の確立・子育て支援等を重点に地方行政もその実現に向けて全力を傾注しなければなりません。
 地方創生・信州創生戦略を基軸として、人口減少社会への対応、次世代産業の育成のもと、21世紀初頭の新たなる長野ビジョンを造形致します。とりわけ、あらゆる分野における東京一極集中が進む中、信州ならではの働き方推進構築こそが今、世代を越えて考えなくてはならない最重要テーマと考えます。加えて若者や女性、障害者、高齢者など各般に渡り、活力ある働き方の実現に向けて努力いたします。
 女性が光り輝く時代を築くべく、仕事と子育ての両立可能な職場づくりこそ、人口減少への対応策の大切な方向性であります。産業構造の急激な変化の今日、航空・宇宙・健康・医療等、次の時代への先行投資を他県に先駆けて積極的に行うべきであります。更に経済発展の要は社会インフラの整備が基本であり、私がライフワークの第一としている信州まつもと空港の国際化につきましては、関係当局と密接な情報交換を致し、4月以降に中期的プログラムを作成する予定であります。
 平成28年度が県民にとって展望の開ける素晴らしい年になりますよう、これからも県政を通じて松本市発展に全力を尽くさせて頂きます。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(99) 2016年03月
混迷を深める世界情勢の中、日本が守るべき価値とは
 最近の国際情勢は、歴史的には大きなターニングポイントに差し掛かっていると思えてなりません。アメリカの後退、EUの混乱、イスラム国という新しい概念の台頭、加えて連続する世界各地でテロ、まさに天下大乱とも言える時代認識を考えざるを得ません。
 更に従来からエコノミストが指摘してきた通り、中国経済が急速に力を落としてきており、日本のマイナス金利の導入も含め為替・株価にも多くの影響が出てきております。つまり現代世界の全般危機との識者の表現は、妥当なものと思われます。
 東西冷戦の終了後、米国の理念であるグローバル資本主義は、世界の普遍性ある価値となり新自由主義に帰結しますが、結果的には人々が求めた豊かな生活は平準化されませんでした。アラブの春も結局は政治的混乱を一層招き、加えてヨーロッパに大量の難民問題を発生させ深刻な事態に陥っております。いずれにしても従来の力の均衡が喪失したことにより、21世紀は新しい秩序と価値を生み出す必要に迫られております。
 更にナショナリズムが各国に顕在化し、戦後体制が本質的に液状化現象を起こしております。そのような中、日本はどのような考え方を持つべきなのか、日本政治の安定感や日本経済のファンダメンタルズの基盤の強さ等、日本の責務が高まる中、激動の国際情勢の中で主権国家日本としてこの際重要なことは、日本人として守るべき価値について理念としての確立確認であり、脱イデオロギーの今日、リベラアーツの視点からより根源的な議論が今ほど必要な時はないと思われてなりません。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷一彦

コラム(98) 2016年02月
波乱の2016年のスタート
 2016年の年明けは、政治経済ともに波乱の出発となりました。北朝鮮が初の水爆実験を行い、米・中・ロシアをはじめ米中韓など国際政治に予想を超える動揺を与えております。
 また、経済面においても日経平均が連続に下落し、為替も118円台をキープできるかという課題が浮上してきました。その主たる要因は中国経済の減速が明確になったことであり、加えて米国の利上げも影響が無関係とは言えない状況であります。
 中東、ウクライナ更にはサウジアラビアとイラン問題等、本年は昨年以上の不安定の一年が予測されます。アベノミクスの基本戦略は大胆な金融緩和と財政出動でありますが、その結果株高と円安により輸出が好調となり、大手企業の高収益に寄与し今日に至っておりますが、1月7日為替が117円、日経平均が17,000円台になる中、本年は為替が118円、日経平均が18,000円を堅持できるかが経済の分水嶺と思えてなりません。加えて地方創生元年から地方創生を実行する本年は、一層高度な政治判断が求められます。グローバル資本主義の限界が指摘される昨今、ゼロ成長時代の豊かさとは何かを希求することも議論の1つとなっており、「資本主義の終焉と歴史の危機」がベストセラーは、その証左とも思われます。いずれにしても長野県においても3月まで市町村の意向を充分に反映した地方創生総合戦略を確定し、真に豊かな長野県創造の為の戦略を実行しなければなりません。
 トリクルダウンに依存するのではなく、各地域の新しい発想力に富んだ施策を有機的に具体化、商工業・観光・農業各分野に適切なるインセンティブを付けるのが県行政の最大なる責務であり、本年こそ地方再生に向けて政治は真のリーダーシップを発揮しなければならないと認識しております。
 その為には21世紀型のイノベーションをいかに造形するかであり、政治家が今ほどこの危機に対する挑戦する意識を持ち、その知見を問われる時はないと思われます。山積する政治的現実を正確に解析する中、人口減少対応、社会保障制度の本質的解決こそ今、政治に求められる一番のテーマと思われます。
長野県議会議員
本郷 一彦

コラム(97) 2016年01月
歴史の分水嶺に立ちながら
 激動の21世紀も16年目を迎え、残念ながら世界情勢は一段と不安定化を増しております。ハンチントンの予測した文明の衝突、民族主義の台頭、世界を震撼させたイスラム国のテロ行為等、未曽有の政治的現実の前に、先進国は真のアイデンティティを確立できず立ちすくんでおります。近代主義に与えたこれらの混乱と衰退は、想像を超えるものであり、世界で6000万人の難民、ヨーロッパに向かう難民は60万人とも言われております。人類4万年の歴史の中、ある意味歴史の特異点との指摘もあります。
 中世以来の白人支配指導による世界動向は、その後第一次大戦、第二次大戦を経て多くの民族による主権国家を誕生させましたが、新たなる宗教戦争とも思える昨今の状況は、大国の野心的な覇権主義、資源戦争が複雑に絡み、極めて憂うべき態様を示しております。
 そうした中、日本はグローバリズムによる国際金融緩資本の戦略に対してどのような国家意思を示すか、大きな歴史の分水嶺に差し掛かっております。一方、国内に目を転ずれば、人口減少・超高齢社会・子育て支援・地方創生・力強い経済・社会保障の再構築等、問題は山積しております。地方の創生なくして日本の再生はなしの理念のもと、47都道府県はそれぞれ独自性に富んだ地方創生総合戦略の実効性に向けて真剣に取り組んでおり、長野県・県議会もそのフロントランナーになるべく、各分野に渡り全力を傾注しております。
 厳しい政治経済環境の中、本年も県会議員としての責務を深く自覚し、県民の真の声なき声に寄り添いながら、リーダーシップを発揮し、真の議会運営に努める決意であります。
長野県議会議員
本郷 一彦

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