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コラム(96) 2015年12月
2015年を振り返って
 2015年もあとわずかとなりましたが、同志の皆様には各般に渡り、ご指導を賜り心から感謝申し上げます。
 とりわけ4月12日の統一地方選におきましては、6期目の目的を達成することができ、改めてその責務を痛感し身の引き締まる思いであります。
 本年は地方創生元年の1年でもあり、私も長野県議会地方創生総合戦略研究会会長として議会側の立場でコミットし、各種研究会でその報告をして参りました。いずれにしても人口減少対応が最大なるテーマであり、日本においては100年後には4000万人、長野県は2060年には約130万人になるとのデータが明確になっている以上、適格なる対応が迫られております。加えて超高齢化・生産年齢人口等、複合的に問題が絡み合い社会保障制度、産業振興を両にらみしながら新しい時代の社会像の造形が今ほど求められる時はありません。そうした観点から長野県議会の果たすべき役割は、77市町村議会同様、極めて重要であります。
 私も自由民主党県議団長として、オール信州活性化に向け松本市民の皆様のご意見に寄り添いながら、微力ではありますが今後とも精一杯県民生活向上の為に全力を傾注する所存であります。
 1年間、誠にお世話なり有難うございました。
長野県議会議員
本郷 一彦

コラム(95) 2015年11月
不安定化する社会醸成への対応
 第3次安倍内閣が発足し、強い経済・子育て支援・社会保障制度を主要課題と位置づけました。とりわけ1億総活躍社会の構築を目指す閣僚加藤藤信担当相を指名し、新しい理念のもと次なるステージを提示したかに見えます。同時に今、日本社会の最大のテーマは人口減少問題にいかに有効なる戦略を組み立てられるかであり、各省庁間における役割分担の明確化が重要な点と思われます。
 一方、大筋合意がなされたTPPは各国とも国会の承認が必要である以上、いずれ大きな争点になると思われます。とりわけ農業分野は食料安全保障の観点からも最重要問題であり、主権国家日本としての将来に大きな影響を与えるものであり、真の国益と農業の振興のための本質的議論が迫られております。
 また総理が掲げたGDP600兆円という目標は名目3%を2020年まで続けなければならず、昨今の世界経済の不安定化を考えれば多くの難問が立ちはだかっております。
 一方、日銀は金融政策決定会合において、引き続き大規模な金融緩和を決定しました。年間80兆円の国債買い入れを軸として基本方針を続けるとのことですが、四半期ぶりの大企業製造業の景況観が悪化し、8月の消費者物価指数が2年4ヶ月ぶりに前年比マイナスという状況を考慮すれば、平成28年度前半の2%物価上昇率を目指す総裁の立場からすれば、ある種想定内の判断と言えるかもしれません。いずれにしても平成29年4月の消費税引き上げを見据え、経済のファンダメンタルズを強化することが最優先に思えます。首都圏、大企業はマクロ的にはアベノミクスにより、いずれも高収益を上げておりますが地方経済の波及効果は未だ実感するまでに至っていないのが現況であります。長野県においても地方創生総合戦略の基本戦略がほぼ固まりつつありますが、最大課題である人口減少により2060年に長野県は現在の210万人が130万人まで減少し、その為の複合的戦略施策が提案されました。将来を担う若い世代も大学生の85%が東京や関西の大学に入学し、かつその卒業生の40%しか県内に戻ってこない事実は、残念ながら長野県に限らず地方に魅力ある受け皿としての企業が少ないということの証左であります。
 超高齢化社会、出生率の低下、子育て支援、非正規社員の増大、地方経済の衰微傾向、地方財政の自立性の低下、社会保障費の増大など日本社会は多くの根源的な壁にぶつかっております。世界情勢に目を転ずれば、シリアを中心とした難民は1000万人とも言われ、ヨーロッパ先進国に向かっており、ロシアと米国の関係も極めて困難な政治環境にあります。北東アジア、中央、ウクライナ、EUギリシャ問題等、民族主義の台頭によりある種第2次冷戦時代という論評もある中、いずれにしても日本は急速に進むグローバル時代において国内、国外問題を含め世界平和に貢献する先進主要国の一員として大きな責務があります。
 ハンチントンの「文明の衝突」が結果的にはそのような方向に推移する中、政治は社会に対する規制力が強い故に今ほどその責任を問われる時はなく、苛酷な政治的現実の中で高度な知見と戦略性、指導力ある政治家の出現を世界の人々は強く望んでいると思えてなりません。
自由民主党県議団 団長
長野県議会地方創生総合戦略研究会 会長
本郷 一彦

コラム(94) 2015年10月
長野県地方創生総合戦略の実現に向けて
 政治の本質的理念は、住民の幸福の総量を最大化することであり、かつ充実した人生を送れるような環境を整備することであります。
 政治は人々の日々の日常生活に深く関連し、社会工学的にも強い規制力を持っております。現在国会議員は衆参合わせて717名、地方議員は約35000人という内容でありますが、政治家自身が前文の述べた事柄に深い思いを致し日常の政治行為に全力を傾注しなければならないと認識しております。同時に主権在民の考えから発想すれば、政治の当事者は有権者一人一人であり、高い志と理念を持った政治家を選び抜く眼力が必要と思えてなりません。
 地方創生の総合戦略も10月中に政府に提出することが決まっており、長野県においても最終段階に入っております。まさに地方の主体性や実力が真に問われております。議会としても地方創生総合戦略研究会を発足させ、私が会長として再々に渡る議論をまとめ近々行政当局に提言する予定であります。2000年に地方分権一括法が成立して以来、国と地方の関係は対等の位置関係になりましたが、実質的には中央依存体質から脱却できず、昨年の増田レポートがインセンティブとなり、地方創生へと連動してきた所であります。
 グローバリズムの中、ローカル経済をいかに再生させるか、人口減少に歯止めをかけられるのか、人材の育成をどうするのか、まさに21世紀の社会像の明確な造形が今ほど求められている時はありません。
 日本列島改造論、田園都市構想、ふるさと創生と昭和40年代からいくつかの国家戦略が提示されましたが、結論的には東京への一極集中は止まらず、地方の衰微傾向は進むばかりであります。国際社会が多極化し世界経済が不安化する中、内憂外患の今日でありますが、安倍政権の地方創生戦略は何としても成功させなければならず、ある意味ラストチャンスと考えるべきでしょう。
 私も県会議員として長野県の、そして愛する郷土松本の発展の為、全力で地方創生の実現に向けて努力する毎日であります。
自由民主党県議団 団長
長野県議会地方創生総合戦略研究会 会長
本郷 一彦

コラム(93) 2015年09月
地方創生のフロントランナーとして長野県の再生を目指します!
 現代史の中で極めて深刻な岐路に立たされている日本政治の中にあって、既存の政治システムは次なる時代に対し新たなる発想力を持って正しい政治意識の造形が迫られております。
 新たなる経済成長戦略と増大する社会保障問題に対し、複合的高次元の対応が迫られており、政治は主体性を発揮し真に国民の為の舵を切らなければなりません。
 そうした状況下、本年は地方創生元年とも言われ、10月中に各都道府県は政府に対し、総合戦略を提示しなければならずクリエイティブで個性豊かな施策の提言を求められております。私もそうした自覚の上に立ち、地方創生に向けての長野県議会地方創生総合戦略研究会会長として、全力を傾注して議会としての責務を果たすべく日々努力しております。
 地方の再生なくして日本の復権なしを基本理念として、県議会の重要性が一段と高まる中、議決機関としての役割と同時に条例等の立法権も保持している観点から積極的に政策へのコミットを深めております。
 とりわけ松本市においては、21世紀アジア太平洋の時代という広い視野に立ち、信州まつもと空港の国際空港化実現に向けて、現在各課題について詰めている所であり、関係各方面の方々の意見を熟議の上、来年の3月までに方向性を確定する予定であります。更に各種社会資本の整備、医療介護、子育て支援、教育、危機管理、商工業、農業等、山積する諸課題に対し新しい構想力を持って、この難局に果敢に挑戦して参ります。
 政治の原点は主権者である県民が日常から政治参加への意識を持つことが非常に重要であり、故にその代表としての議員は強い覚悟と責任感を持って県政に関わらなければなりません。
 今後ともそうした認識を一層高め、県民生活向上に向けて最大限の努力をする決意であります。
自由民主党県議団 団長
長野県議会地方創生総合戦略研究会 会長
本郷 一彦

コラム(92) 2015年08月
現代政治への提言
 現代史の中で最も深刻な岐路に立たされている日本政治の現況について考察してみたい。政治家は国会、地方議会に関わらず日本という祖国に対し、強い責任感と知見、意志を持つことが今ほど必要な時はないと思われます。
 政治家の国家社会に対する強い使命感や存在感が希薄に感じられる昨今、社会工学的に強い規制力を持つ政治故に日本のこれからの進路につき、更なる本質的な議論と認識や見識を持たなければならないと思われます。
 日本に誇りを持ち、21世紀の日本の明日を真に造形する、そうした意思を持たずして日本は今のままで永遠に続くとは決して思えません。国際社会の実態は自国の発展、安全保障をはじめ各般に渡りその死守のためにしのぎを削っており、それこそが苛酷な国際政治の現実ではないでしょうか。戦略的国益に向けて、日本への平常心としての誇りと比類なき豊かな歴史と伝統に深く分け入れば、自ずから日本の主権国家としての矜持は、自然に醸成されるはずであります。
 日本の創造的で主体的な平和を実現する為にも今日本に必要なことは健全なる国家意識を持つことであります。国家があり国民があり、国民があって国家があるという近代の公理は、基本中の基本の認識であり、昨今の日本衰退の主要原因は政治のリーダーシップの喪失と日本人が国家目標と国民的結束の重要性に距離を置き、精神的漂流を続け、歴史的危機の現況につき根源的大局観を失っております。
 日本の名誉と真の独立のため、とりわけ複合的多面的な要素から20年に渡る政治経済の衰微傾向を脱却し、日本再建を実現するには難題中の難題であることは事実であります。故に政治にコミットしている政治家は多くの課題に真正面から取組み、表層的な議論ではなく、正しい歴史的自覚の上に立ち、本当の日本の日本人の幸福を構築すべく、明確な理念と果敢な実行力を持って私自身も眦(まなじり)を決して現代政治に取り組まなければならないと思っております。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(91) 2015年07月
国家存亡の十字路の中にあって
 戦後70年の本年は、日本の今後にとって大きな分水嶺になると思われます。世界第3位の経済大国日本は厳しい国際情勢に対し、本質的な理解を喪失し、ある意味現在は亡国の危機にあると言っても過言ではありません。第二次世界大戦終結から今日まで消滅した国家は実に180にも上り、国家が永遠であるという幻想を日本人は改めて認識しなければなりません。
 カルタゴという比類なき経済大国は、地中海においてローマとその勢力を二分していましたが、今で言う安全保障面での真の自立性の欠如の結果、667年地上から消えた事実はあまりにも今日の日本の状況と類似しており、戦慄すら覚えます。亡国の国家は、安全保障についての備えに対し怠慢であり、精神的態度も他力本願でそのことについて今、国民的自覚が強く望まれます。
 人口減少問題は、日本政治の最大なるテーマでありますが、高齢先進国日本は、人口・経済的側面を分析しただけでも将来展望は極めて深刻であります。これからの国際社会における国家としての主要課題は、経済力・防衛力・情報力の充実に他なりませんが、同時にソフトパワーとしての文化力も大きな位置づけになることは言うまでもありません。
 実質的に日本は1980年代に経済大国の地位を失い、その後国家存亡の核とも言えるデフレを20年間も続け、安倍政権による大胆な金融政策により、その危機を脱出しマクロ経済は展望が開けてまいりました。明治から考察すれば近代国家樹立の為に、あらゆる分野において多様性から画一化へと舵を切った結果、多くの重要な日本の資質を失い、現在に至っております。
 人類は地球の40億年の生物の歴史の中で最も延命した種でありますが、その主要因は資源の膨大なる消費によるものであり、鉱物はあと数十年で枯渇し、石油・ガスは100年前後で終幕を迎え、森林も過去15年で半減しましたが後数百年の命と言われております。大気温度は10万年ごとに10度前後の上下を続け、CO2も100ppmで同様の動きをしております。従って、日本が将来に向けてカルタゴやベネチアの歴史を回避する為には、既存の制度やシステムを再考し、新しい歴史の十字路の中にあって虚構とも思える社会情勢と国民意識の亀裂の中、国家存亡の危機意識を深く認識することが極めて重要に思えてなりません。その為にはまずは経済の再生と主権国家として安全保障の確立であります。
 戦後70年、米国の従属国家としての享受してきた経済的繁栄と平和について、我々は再度一身独立して一国独立の福澤諭吉先生の理念を想起し、衰退期に向かいつつある日本の再生に向け、政治は深い洞察力と指導を発揮し国民の為、最大限の努力が強く求められております。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(90) 2015年06月
現代政治の根源的状況について
 現代政治における不確実性、その捉えようのない現実政治は同時に極めて強い規制力を社会に対し持っております。政治の方法とは決して二者択一でもなければ、予め確実なる青写真が決まっているものではなく、状況に応じて方法論を変えなくてはならない不条理を内在しております。従って、政治は人間が構成している限り、人と人との関係がその軸であり、ある意味お互いに自制しなければ政治は成り立ちません。強烈なる消費社会にあって実は政治家自身も消費される現代日本政治の中、国民と政治の乖離が一層進み、だからこそ政治を通じて真に人間と人間が繋がり、社会を蘇生させることが政治の真の目的に他なりません。
 政治に理想などはないという指摘もありますが、哲人による理想政治の不可能性を歴史が証明している以上、困難さにまみれながらも政治にコミットしていることが、現代政治のリアリズムであります。
政治がそれぞれの理想を直接的にかつ早急に実現することは甚だ困難でありますが、その壁を乗り越える気概の中に政治の本質があると思われてなりません。一方、議会制民主主義という装置は、現在根源的難点を抱えており、危機意識の希薄な日本において政治がともすれば大衆世論というデラシネ的なものに軸足を置く限り、いずれ社会に大きな亀裂が生じるものと予感されます。
 かのプラトンは、民主制に疑念を持っていたとされていますが、それはそれとして先人達と社会科学の英知によって造形されたこの装置は、政治的言語による時空を構築し、社会の改修の最大なる方法と思われますが、残念ながら今日の状況は形骸化が進みパフォーマンスと衆愚政治に足下を救われ、政治へのアパシー(無関心)を助長させております。政治家が命を賭けて国の為、ふるさとの為に仕事するとは何を意味しているのか、他国に例を見ない財政赤字と多くの社会構造の衰微は、日本の退嬰化への予兆とも言えなくもありません。従って私の想像力が杞憂に終わらんことを真に願うものでありますが、現実の政治の中にあって、本来政治は高度な客観性に担保されなければなりませんが、政治の現場はある意味個別的な視点も大きな比重を占めており、全体性と個、社会的現実と個人的現実の相克こそ政治の現実であり、理想を求めて命がけの政治家、孤高なる政治家が実は希求されるべき新しい時代を形成する政治家と思えてなりません。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(89) 2015年05月
人口減少化社会と21世紀の社会像
 現代日本の最重要テーマは、急速な人口減少化と超高齢化社会への対応に他なりません。全国47都道府県の中で40道府県が前年比で減少し、過去最高の傾向であります。最も減少率が大きかった秋田県は、1.26%で青森も1.08%、東北地方が目立っています。従って人口推計から見れば、地方から都市部への流れは強まったと見て間違いありません。逆に人口が増えた地域は首都圏と言われる1都3県や活力のある愛知県や福岡県であり、都市の持つ成長性と比例しています。つまり都市部は好循環であり、地方はその逆とも言えます。
 従って、これらのデータから地方創生をいかに具体化させるか、いよいよ正念場を迎えたことを意味しています。1年間の出生児は102万人と最も少なく1年間の死亡者は127万人であるが、2008年のピークから100万人の人口が減っております。加えて戦後生まれの人口は1億203万4000人で約人口の80%を占めています。
 重要な生産年齢人口は、116万人減の7785万人で約人口に占める割合は61.3%であり、低下傾向は止まっておりません。
 かたや、65歳以上の高齢者は3300万人で総人口に占める率は26.0%、過去最高となっております。他国と比較しても老年人口の割合は突出しています。翻って郷土長野県は210万人で0.57%の減少、生産年齢人口は県内全体の57.7%で0.7%低下しました。社会の増減率は全国25位で2013年の17位から更に悪化しました。
 以上、最近のデータを提示しましたが、地殻変動とでも言える急激な人口減少社会に突入していることは、事実に他なりません。人口減少は国内マーケットの縮小から来る消費の低下、生産年齢人口の減少による労働力不足が近年具体化してきており、地方の衰退に拍車をかけています。
 超高齢化社会とは、財政論的には社会的負担の急増という新たな課題が急浮上しています。従って日本の基盤を揺るがすこれらの問題を直視する時、私たちは21世紀の日本という成熟社会に対し、新しい発想力を持ってグランドステージを造形しなければなりません。その対応策として有為なる若者・女性・高齢者の社会参加が重要なカギとなります。一方、合計特殊出生率1.43への対応とその原因は、晩婚化・非婚化であり、そのための環境整備が急がれます。女性が輝く社会を目指す政府は、日本の男女平等指数が142ヶ国中104位という現況を深く認識しなければなりません。アメリカ型のグローバリズムは若者の雇用の不安定化、貧困化を招いている本質的な原因であります。若者の将来への展望なくして少子化問題の解決はありません。
 高齢者対策の重要政策は、生活の質を維持しながら、いかに意義ある社会参加の環境を構築するかにかかっています。健康状態に応じた働ける場所をいかに提供できるかが政治の大きな責任であります。高齢者の経済活動への参加は、生きがいにも直結しております。健康長寿は同時に医療介護費の抑制にも寄与し、地方創生元年の本年は、統一地方選挙が挙行されましたが、多くの世論調査の結果は地方議員への信頼が極めて低いという事実であり、一方県議選で20%、市議選で30%が無投票当選という結果であります。政治不信は極めて深刻な社会現象でありますが、国政に比較しても地方政治に対する信頼が希薄なことも事実として受け止めなければなりません。増田レポートを見るまでもなく、人口減少や消滅可能都市の予測から、地方政治の果たすべき役割は一層増加しているにも関わらず、現況は政治への復権は未だ道遠き位置にあります。各世代ごとの政治参加への減少、若い世代の政治参加への無関心さ、いずれにしても社会工学的に最も強い規制力を持つ政治へのアパシー(無関心)は、国・地方にとって議会政治の危機とも言えます。従って、地方議会は地方創生の方向性の中、政策構想能力が今ほど問われる時はありません。既存のシステムに代わる新しい枠組みを提示できるかがポイントであり、活力に富んだ真の創造力が地方に強く求められております。地方と中央が対等なパートナーとなった現在の位置づけの中で、地方は根源的な自立した精神構造のもと、地方活性化に向けて実効性ある郷土づくりと伴に政治のダイナニズムは、地方が主役になることであり、まさにその時が到来したと言っても過言ではないでしょう。
 地方議員の責務は県民一人一人の生活に深く関わっており、国政とは別の意味で地方政治の質によって、県民の明日の生活が大きく変化します。主権者は有権者である県民の皆様であり、政治家の資質向上と伴に新たなる視点で地方政治を解析する必要があります。
 一方哲学的には、成長から成熟へという時代の価値観のパラダイムシフトの中で歴史を振り返れば、江戸時代の人口は約3000万人とも言われ、その中で歌舞伎、浮世絵、蘭学等、爛熟した文化が生まれ、ヨーロッパはペストの大流行により7400万人の人口が5100万人にまで減少しましたが、農業技術の改良により生産者の富が増え、結果ルネサンスにまで直結しました。人口減少は必然的に産業構造、イノベーションを推進させ、新たなるブランド力や付加価値を生み出します。昭和20年終戦時の人口は7000万人と言われておりますが、日本型経営が今再考される時、1億総中流と言われた70年代は現在より2000万人、人口が少なかったことを想起すれば、21世紀への日本の社会像はどうあるべきか、私達が真剣に考える時が今であります。
 本来、成長戦略なるものは皮膚感覚で実感が捉えにくい側面があり、そうした見地から政治の側も中長期的視野に立った取組みを粘り強く続ける必要があります。また昨今は格差問題が注目されておりますが、健全な自由社会を目指す日本にとって過度な所得配分は企業家の意欲の減退や経済の活力を失う可能性があり、ポピュリズムに陥ることなく適切な格差問題対応が重要であります。
 いずれにしても地方の創意工夫が問われる平成27年であり、改革における光と影を充分に考察し、真に人間のための社会形成に向けて新たなる文明社会の到来を予感しながら、政治の在り方とりわけ地方政治、地方議会の真価が問われるスタートとなりました。現代の日本社会は、グローバルスタンダードを受け入れなくては生き残れなくなっていますが、同時に国際社会競争に勝つために日本の守るべき価値について再考し、安倍政権のデフレ脱却策は昭和恐慌のデフレを世界に先駆けて克服した高揚是正のスキームをモデルにしたと思われますが、経済成長戦略を軌道に乗せるべく、ここに改めて先人達の偉業を深く自覚し、私達は新しい時代を切り拓かなくてはなりません。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(88) 2015年04月
地方が主役の時代へ
 地方の時代、地方分権改革が叫ばれてから早くも21年が経過いたしました。この間、地方自治法も幾度も改正を重ね、地方制度改革とともにいよいよ地方創生が我が国の最大のテーマとなってまいりました。
 地方自治法は日本国憲法第92条の「地方自治の本旨」に基づいて、地方自治のあり方を定める法律として憲法と同時に施行させたいわば憲法附属法であります。この時にあたり、増田レポートが与えた衝撃はあまりにも大きく、画一的な中央主導による対策では立ちいかなくなっている日本の政治・経済システムに対して、地方が主役の時代のスタートになったところであります。
 制度面として権限移譲や義務付け・枠付けの変化、条例制定権の拡大等はその主要な物であり、一方社会的側面としては人口構造の劇的な変容が地域の経済社会構造に根源的変化を与えている点でありましょう。そうした中、大中小の自治体規模の多様性に対応する柔軟な対応策が求められると思われます。
 このような急速な状況変化の中で、地方が主役となる覚悟と決意なくして、その実現は困難であり各自治体の主体性・地域連携・発想・発信力が強く求められております。今日、日本が抱える主要テーマの中、成長戦略がその第1義に他なりませんが、経済の再生の為にデフレからの脱却、経済の好循環を確かなものとすること、その為に経済対策として3.5兆円規模の力強い景気対策、2020年に2000万人のインバウンド等、観光立国の推進・地域初のイノベーションの創出、責任あるエネルギー政策の実現が何よりも重要であります。
 一方、地方創生と女性の活躍する社会の実現も大切なテーマであり、強い農林業の再生・中小企業や小規模事業者への支援も欠かすことができません。
 更には安全・安心こそ我が国の基本理念であり、未来の世代に対する責任として子育て支援の新制度の確立、医療・介護・福祉の充実、柔軟かつ多様な働き方、教育の再生、環境施策の充実・防災、社会資本の整備、治安テロ対策、外交・防衛問題等、課題は山積しております。私も県議会議員として、このような認識の上に真に地方が主役となる時代を目指し、全力で議員活動に傾注する所存であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(87) 2015年03月
新しい長野県像の造形に向けて
 平成27年度予算案約8,700億円が慎重審議の上、本会議において可決されました。阿部知事2期目の本格的予算があり、確かな暮らしが営まれる「明日への希望」と「暮らしの安心」を基本理念とした予算体系であります。
 とりわけ昨年の幾多の災害を背景に「災害からの復旧・復興と防災・減災対策の強化」「好機を活かした信州の元気増進」「信州の強みに磨きをかける」「地方創生の戦略づくりと具体化」「しあわせ信州創造プランの推進」以上、5つの骨太プランを柱に県民生活向上のためのきめ細かな政策実行を進める予定であります。
 松本市との連関においては、商店街活性化・中小企業支援対策・農業の再生・健康医療産業の創出・信州まつもと空港の活性化及び国際化・医療・介護・福祉施設の寿実・松本山雅のサポート及びアルウィンの整備・各種スポーツ施設の充実・セイジ・オザワ松本フェスティバルの財政対応・防災体制の強化・道路・河川の整備などを県政に通じて、諸課題実現に最大なる努力を致します。
 一方、日本の今日の全体像を俯瞰すれば、人口減少社会に突入し新しい概念の中で、脱工業化時代が叫ばれて久しい訳ですが、第2次産業から第3次産業へのシフトというシナリオが未だ明確にならず、東京への一極集中が進む中、逆に若い世代の地元回帰の予兆が出てきており、地方創生はそうした状況下における新しい方向性に他なりません。トリクルダウン方式ではなく、各地方からのクリエイティブで独自性に富んだ地域づくりがこれからの時代方向であり、県議会もそうした新しい発想と発信力を持って対応して参ります。
 先に提示した各種施策方針もそうした時代認識のもとに立案された事は言うまでもありませんが、新しい時代の踊り場に立っている2015年はまさに歴史の分水嶺とも言える深い認識のもと、私も全力で新しい長野県像の造形に向けて努力する所存であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(86) 2015年02月
激動の時代をリードする地方の自立をめざして
 現在日本はジャパン・アズ・ナンバースリーという世界の位置づけの中、政治家は高い志と理念を背景に困難な課題に対し、国家国民の為、新しい時代に対応すべく新しい社会像の造形の為の決断こそが使命であります。
 昨年暮れの総選挙において、自公政権がほぼ現状を維持し国民はアベノミクスの継続を大筋支持したと思われますが、他政党に選択の余地が少なかったことも考慮しなければなりません。
 金融緩和政策の今後の持続可能性、成長戦略の具体的戦略について未だ不透明感が残るものの、まずはこの道をぶれずに進むことが政治の王道であります。3.11が日本社会全体に与えた衝撃は戦後最大のものであり、中国の台頭とともにまさに内憂外患という環境の中で、日本政治は最近の多発する中東問題も含めて、新しい段階に入りました。
 東日本大震災における政治の混乱は、日本政治の本質的な脆弱さを露呈させ、中国への対応の不適切さは国民の間に強い政治へのマグマが顕在化し、結果的に第2次安倍政権を誕生させました。
 NHK大河ドラマ「花然ゆ」は改めて当時有色人種の中で、日本が唯一先駆けて近代化に成功したことの意義と先人達のその憂国の質感の高さを示すものと予感させますが、いずれにしても政治の安定と指導者のリーダーシップの発揮は、現在の国家社会にとって基本中の基本であります。
 一方、当面他の政治選択肢が見えない以上、今回の総選挙は全てに対しての信任ではなく、一定の留保を残しての国民の絶妙な判断の側面も十分に留意することが重要と思われます。
 歴代首相の中で、2度も続けて総選挙に勝利した首相は皆無の中、経済対策に主要課題を絞り、シングルイシューによって安倍首相は勝利を得ました。金融緩和、財政出動を軸に2015年国家予算案は約99兆円という過去最大のものであり、そのうち地方創生に5400億円を提示し、2014年度補正の4200億円を合わせると、ほぼ1兆円に昇るものであり地方創生への決意が伺えますし、1日も早い地方経済の活性化が強く望まれます。マクロ的視点からはこの2年間の日本経済は、企業収益、雇用情勢も好循環のサイクルに入っており、非正規から正社員へのシフトも徐々に進んでおり、株価については指摘するまでもない所です。勿論、格差社会については世界的傾向とはいえ、日本も同じトレンドにあり新たなる重要な問題であります。
 2年間で2%の物価目標については、黒田総裁は1年先送りにいたしましたが、原油安は家計経済には明らかに好材料であり、輸出も秋以降前年に比較してプラスであり、輸入の伸びを凌駕しております。
 このような状況下、このファンダメンタルに更に拍車をかけ、地方経済に波及するための、1丁目1番地をまず築くことが最も肝要であります。4年間の政権運営を負担された安倍首相はこの度の選挙で実質6年のスパンで地方再生を実現させる時間的猶予を与えられたものと思われます。2017年には消費税増税を明言した今、その時団塊の世代は70歳となり高齢化は一層進化し、社会保障制度を含め深刻な課題は益々山積しております。このような認識のもと、長野県政も2015年予算要求総額は約8800億円前年当初予算比プラス3.6%の大型予算のもと、知事査定を経て2月定例会で厳粛に審議いたしますが、御嶽山噴火及ぶ神城断層地震災害への復旧・防災・減災・持続可能な地方財政制度の確立・社会資本の整備等の推進と維持管理の充実・観光戦略・農業の再生・地方創生への本格的な取組み・福祉、医療、介護、子育て支援の充実・人口減少対策・定住構想を柱にシビアな議論を議会としても進めて参ります。
 県内経済は、緩やかな回復基調とはいえ、今後の動向に対し細心の注意を注ぎながら、地域経済活性化こそが最重要テーマと考えております。とりわけ地方創生元年の今年は、長野県の独創性に富んだクリエイティブな施策作りに議会も積極的に取り組む決意であります。
 とりわけ松本市は山雅FCがJ1に昇格し、そのためのアルウィンの改修や信州まつもと空港における福岡線の複便化が実現の運びとなり、私が昨年の知事に対する代表質問において答弁を引き出した空港の国際化への新たなフェーズ(段階)も中期的にはいよいよ視野に入って参りました。
 ターミナルビルの拡充や(税関・出入国管理・検疫)体制の確立、とりわけ日本のハイテクノロジーを屈した三菱リージョナルジェットは2000m滑走路でも上海からハバロクスまでの飛行が可能とも言われ、21世紀がアジアユーラシア大陸の時代、信州まつもと空港のポテンシャルは国際化の現代、これからの松本市の都市戦略上、県下においても比類なき極めて有意義なものとなりつつあります。景気回復・雇用確保はもとより、松本市は歴史伝統に富んだ街づくりを軸に企業誘地や研究機関をはじめ、各分野の次世代産業のニーズを醸成しております。更に付け加えるならば、地域発展の核は文化力であり国際的ブランド力が伴ったセイジ・オザワ松本フェスティバルの一層の充実のための財政出動も全力を傾注致します。
 大きな歴史的転換期の今、急速なパラダイムシフトに的確に対応すべく、政治の使命は新たなるグローバルリズムとローカルリズムの複合性のもと、政治家は情熱と社会的現実の狭間の中、新しい発想力を持って全国1800の自治体において、松本市が指導的位置にあることを自覚し、市民の将来に希望と展望が開かれるよう、県議会議員として今後とも最善の努力を致します。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(85) 2015年01月
地方創生元年に向けて
 県政は総合行政の立場から、各分野ともに課題を抱えておりますが、とりわけ日本列島が4つのプレートの上に成り立っている以上、世界でもトップクラスの災害列島として長野県も危機管理体制の一層の充実が望まれるところであります。
 一方、日本の今日の問題は、所得の格差・東京一極集中と地方の格差・高齢者と若い世代の格差の3点に絞られ、その亀裂を政治がどのように調整するかにかかっております。それらをマクロ的視点から考察すれば、政府の指摘のごとく地方創生をいかに具体化するかにかかっており、ある意味本年は地方創生元年とも思えます。
 名目賃金は上昇傾向にあるものの、実質賃金は低下傾向の中、春闘におけるベアーにもよりますが、実質賃金が名目を乗り越える時期が展望できれば、個人消費にインセンティブを与え、所得格差解消の最初の扉が開くと考えます。銀行における資金需要が弱いということは、すなわち企業の設備投資にエンジンがかからないことであり、改めて政府の成長戦略の実効性が問われると同時に、21世紀の成熟した経済社会における次世代のイノベーションと新たなるビジネスモデルの発掘が強く求められます。GDPの70%を占めるローカル経済は各地区特融の歴史文化を有し、高いポテンシャルのもと必ずや新しい時代を築くものを思われます。即ちグローバルリズム対応の企業とローカル経済対応の企業は、それぞれ役割を認識し、経済の両輪となって日本再生に寄与するものと思われます。ノーベル賞における多くの日本の受賞を見るまでもなく、日本人の持つ創造力と先見性は比類なきものであり、21世紀の日本は地方創生の実現によって先進国のモデルケースになるのであり、長野県はそうした先駆者としての自負を持ち、戦略性ある政治の責任の指導的役割を果たすべきと思われます。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

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