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第3の敗戦から21世紀新しい時代にむけて
 日本の安全神話は、3・11によって完全に崩壊したと考えられます。地震、津波、原発事故という未曾有の災害は成熟した文明社会に決定的な打撃を与え、とりわけ経済面において電力不足、供給体制の亀裂を中心に各分野への影響は21世紀の日本経済社会システム全体に及ぼし、復興に向けての全力投球を最重点施策におきながら3・11以降の日本のあるべき姿への構想力が今年ほど問われる時はありません。長野県における北部地震も予測を超えたものであり、糸魚川〜静岡構造線、牛伏寺断層などをかかえ新たな防災計画と危機管理の本質的転換が迫られております。このような国家社会の非常事態に対し、政府の狭量な視点に立ったスピード感のない対応は、現政府の衰退の証左であります。

 政治は国民に奉仕するため存在するとの基本理念が政治家から欠落し、すべての課題は政治に帰着する以上、今この緊急時に政治の使命について、厳粛に再考しなければなりません。今回の震災は、第3の敗戦との指摘もありますが、3つの敗戦の共通項は、経済が下降状況の時期にあったということのようであります。1991年にバブルが崩壊した後の日本経済の衰弱、リーマンショック以後の不況感からの脱出が見いだされない環境下に、この度の震災が発生したわけであります。

 日本国憲法は非常事態宣言的な概念がなく、平時における地方自治体活動を想定したものであります。政府は災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法を発動しましたが、むしろ安全保障会議設置法を発動させ、官邸主導型による各省の縦割り行政を越えた迅速で力強い政治力を発揮すべきであり、「会議は踊る されど進まず」のウィーン会議とも思える現政府の混迷ぶりは歴史上最悪の対応であり、改めて政治は決断と責任という基本哲理を想起いたします。
 日本の繁栄と平和、県民の安全安心に貢献すべく都道府県及び議会の果たすべき役割は、益々重要になっております。国と地方政府の役割分担の再構築、とりわけ国は緊急時には財政面を担保し、平時の法令に固執することなく、市町村、県に復旧プランの権限を大幅に移譲すべきであります。
 戦後67年間にわたる日本の経済第一主義は結果的に国家安全保障、危機管理へのリアリティーを喪失し防衛エネルギーといった主権国家としての重要施策への矜持を忘却し、今日の迷走がそのすべてを現しております。政治は上部構造との認識の上に立てば、今の政府は国家意思としての背骨がなく、政府の機能不全、各大臣の力量不足は深刻な状況であり、現与党は政権にしがみつくことのみに執着し、真の政治の目的を失っております。
 かくも幼稚になった政治環境の中で3・11はその意味で歴史的視点から考察すれば、日本の将来を決定付ける大きな分水嶺と位置づけられるでしょう。昨今の先送りと対処療法を続ければ、この国の未来はなく、いずれアジアの各新興国の後塵を拝することになると思われます。

 自民党県議団長を拝命し、3ヶ月が経過いたしましたが、県内においても6月23日、上高地の土石流災害が発生し、関係当局とともに早急な対応をいたしましたが、いずれにしても、政治の最大の要諦はダメージコントロールであり、平時ではなく、緊急事態への対応力こそが政治の責任であります。新しい発想力をもって、今後も議会活動を通して、長野県、松本市発展の為全力を傾注する決意であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(43) 2011年06月
21世紀日本復興のため祖国よ覚醒せよ!
 敗戦後の荒廃から復興・高度成長を経て衰退傾向にあった昨今、3.11という日本にとって戦後最大級の壊滅的打撃を与えた東日本大震災は、21世紀という新しい文明の時代がいかに困難で不透明かを暗示しております。東京都のGDPが約100兆円と言われるごとく、過度な一極集中は地方社会経済に疲弊をもたらし、人や企業があまりにも太平洋側に依存する日本の国土構造は、今回の大震災を節目として抜本的変革を実現しなければなりません。

 東海・東南海・南海地震が現実味を帯びてきた中、太平洋側のGDPは415兆円に対し、日本海側は58兆円に過ぎません。首都圏の食糧・水・エネルギーは地方が供給し、政治・経済・司法・金融・マスコミ等すべてが東京に位置づくという異形さは、リスクマネージメントの視点から集中の除去は21世紀の最高度に属するテーマに他なりません。従って国家改造に向けてスケールの大きな国土政策を今こそ立案することが、政治の最大なる責務であります。

 トインビーは「歴史の研究」の中で、国家が自己決定できなくなった時、その国は衰退すると述べていますが、今日の政局の混乱や政治判断の遅延は、現代日本政治の劣化そのものであり、日本の未来にとって極めて深刻な事態であります。国民的決意がこれだけ明確にもかかわらず、非常事態ともいえる状況に対する政治の危機感の希薄さは、驚愕としか表現でき得ないものであります。

 しかしながら、このような悪しき現実にあっても日本は復活せねばならないし、その能力は充分あると考えられます。1つの例を挙げれば、日本の失われた20年は同時にその試練を乗り越えた20年という解釈もできます。20年に及ぶコスト引き下げと効率化、企業のグローバル化、極めて高い技術水準の顕在化は、その結果として企業は世界経営の本社化を実現し、素材・部品・装置部門において他の迫従を許さないゾーンに入っております。半導体で20%、シリコンウェハーは60%、プリント基板用樹脂90%のシェアなど枚挙にいとまがありません。従ってデフレ経済を克服し、消費マインドが正常化すればそうした各分野の高い技術が日本経済に好循環をもたらす事は間違いなく、約20兆円と予測される第2次補正の成立、復興に向けての各種施策の一刻も早い実現を強く望むものであります。

 そうした意味で2011年の経済成長は、ほぼゼロ成長とはいえ新しい日本再生にとって節目の年であり、政治は復興に向けて全身全霊を捧げなければなりません。政府による各般にわたる正当な権限の行使のための決断、強い指導力の表示こそ、今国民が政治に求めているものであります。被災地で刻苦しながら立ち上がろうと努力し耐え忍んでいる同胞を見る時、私達は他力本願や表層的な個人主義と甘えを捨て日本の真の復興復権のため、己の欲望を自制し国家再生にため、国民一丸となってこの困難に立ち向かわなければなりません。このような認識の上に立ち、長野県議会も6月定例県議会において北部地震の1日も早い復興と県内経済再生に向けて全力を傾注する決意であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(42) 2011年05月
21世紀を見据えた長野県づくりを
 このたびの東日本大震災は、我が国の観測史上、最大の規模であり、幾つもの街が壊滅するという、未曾有の大災害となりました。
 地震や津波により犠牲となられました方々に対しまして、心より哀悼の意を表しますとともに、長野県北部の地震を含め、一連の地震により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の地震・津波、更には福島の原子力発電所における放射性物質漏れは、まさに国難とも言えるものでありますが、我が国は、これまでも国民の総力を挙げて、幾多の困難を克服しております。
 国や関係自治体では、海外の支援も受けながら、人命救助・災害復旧に取り組まれているところですが、本県においても、ライフラインの復旧、義援金・義援物資の募集、保健師等の派遣、被害者の県内受け入れなどの支援を行っております。
県議会といたしましても、全議員揃って、被災地の一日も早い復興を願い、支援を行ってまいります。

 さて、我が国は、人口減少や少子高齢化など社会構造の激しい変化や、経済のグローバル化や情報通信の高度化、更には地球規模での厳しい環境・エネルギー・食糧制約といった資源制約等の課題に直面しております。
 一方、経済面では、2008年9月のリーマンショックから2年半が経過し、この間、我が国経済は、世界的な経済危機を背景に大幅に悪化した後、2009年春頃を底に持ち直しを続けていると言われているものの、民間需要を中心とした自律的回復には至らず、経済活動水準が依然として低いことから、デフレや厳しい財政状況という重荷を背負ったままの状況が続いております。

 こうした中で、歴史的な転換期にある日本の政治・経済状況下において、10年先の長野県を見据えつつ、明確な戦略と柔軟な発想、そして責任ある政策立案力で、今日の閉塞感を打破するべく、全力で県民のための県政を実現しなければならないのが、私どもに課せられた使命であると痛感しているところであります。
 そのためには、「改革」「安心」「活力」をキーワードに、新産業の創出や将来への安心確保を最重要課題として、迅速かつ適切な対応が求められております。先ず第一に、世界の成長力を取り込み、新産業の創出により、地域の潜在能力を最大限引き出し、商工業・農業の活性化と雇用確保を図らなければなりません。
 また、公共交通の確保、社会資本の整備に積極的に取り組み、活力ある地域づくりを進める必要があります。

 一方、本格的な少子高齢化社会の到来を迎え、高齢者福祉、医療、子育て支援の一層の充実に取り組み、将来への安心確保を図る必要もあります。
 更には、一昨年制定された「長野県議会基本条例」の理念に基づき、行政監視、政策立案、情報公開を軸に、選挙区・議員定数や議員報酬等の見直しにつきましても、真に県民のための「議会改革」として取り組まなければなりません。更に、県議会活動を県民の皆様に、より御理解いただくために、「県政報告会」等にも積極的に取り組んでまいります。 
 最後に、日本国憲法の理念の下、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が、自らの判断と責任において、地域の諸課題に取り組むための「地域主権改革」の実現に向けて、責任を持って実行していく所存であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(41) 2011年04月
今こそ日本復活をめざして
 この度、4月10日に挙行された統一地方選挙県議選において、有権者の信任を頂き、5期目の当選を果たすことができましたことに対し、心から感謝申し上げます。激動の21世紀を深く認識しながら、これからも緊張感を持って真に県民のための議会活動に全身全霊を捧げ、県民生活の安定のために努力する所存であります。

 戦後日本の最大の試練である3.11大震災は歴史的に近代国家の概念から言えば、世界史的にも極めて深刻な状況と思われます。現在の世界システムは、16世紀西ヨーロッパが出発点と言われますが、18世紀にポルトガルの首都リスボンを襲った大震災と津波は、ポルトガル没落の要因の1つと言われますが、いずれにしても今回の災害は、日本の政治・経済・社会に与えた影響は未曽有のものに違いありません。日本の危機が中東の政情不安定とともに、世界の経済に対し、一層混迷を深めさせるものと危惧されます。

 江戸幕府の崩壊、第二次世界大戦に続くこの度の震災を、第3の敗戦と位置づけたとしても、日本は立ち止まっているのではなく、この惨劇を越えて次の時代を構築しなければなりません。日本復活に向けて政治は小異を捨て、小さな政治からの脱却こそ最大なる政治課題であります。直接的被害額25兆円ともいえる中で、復興国債をはじめ、財源捻出に高度な政治判断を早急にしなければならず、米国は9.11の際には政府と連携して議会はテロ後3日で復旧とテロ対策の補正予算を組んだことを想起する時、日本の政治の機能不全とスピード感の余りの無さに強い危機感を持たざるを得ません。歴史家アーノルド・トインビは、その名著「歴史の研究」における壮大な歴史観の中で、挑戦と応戦を示唆し、そのロジックに学ぶべきところは、多々あります。文明は、逆境の中で育まれ自然環境からの挑戦に対し、人間社会がそれに応戦し、それを克服した時に新たなる文明が発生すると指摘しております。

 先に述べた通り、開国を強いられた幕末の日本は、明治維新により応戦、第二次世界大戦後の応戦は経済大国によって成功、この度の大地震と大津波という挑戦に対し、どのように応戦していくのか日本の鼎の軽重が問われる昨今であります。今こそ真の変革をなさなければ日本は衰退の道を辿ることでしょう。日本が直面する今日の課題に対し、日本が勇気を持って課題解決に道を開けば新しい文明社会のフロントランナーになれるのであります。

 日本が直面するこの国難は、経済のみならず政治も同様であります。近年の日本の政治の不安定感の中、この大災害に対し強力かつ決断力、責任感を持った政治が必要不可欠であり、態勢を早急に整えなければなりません。与野党対立を越え、大極観に立った政治判断が今ほど必要な時はありません。最大の問題である原発事故対応は、日本の盛衰の分水嶺であります。日本経済の産業分野における高性能部品の供給不足は、世界経済に大きな影響を与えております。1990年をピークとした20年に渡る日本の停滞の要因は、政治的指導力の喪失と官民連携の破壊によるものであります。文明論的には、都市政策の観点から太陽光を中心とした新たな文明観の構築を視野に入れるべきと思われます。
 神や仏を敬う日本人の魂の喪失と経済合理主義の追求の果てに、今日の災害が発生しましたことは、誠に残念でなりません。この際、21世紀の国家戦略を明確に提示し、世界の英知を総動員して、この危機を超克してこそ、日本は新しい歴史の門出に立つことができると思われます。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(40) 2011年03月
地方政治の果すべき役割
 今日、日本は経済・財政の破綻、政治のリーダーシップの迷走という三重苦に加え、独立と主権の危機が重なり、戦後体制という既存秩序を経て、健全なる自由社会を柱とした新たなる主権国家日本の針路の確立が今ほど求められる時はなく、戦後体制を支えた企業システム、雇用システム、社会保障システムなど、各種社会システムや一億総中流を志向した理念のもとに進められた、各般の政策の結果が福祉社会の行き詰まりと財政危機をどう克服するかという、歴史的経験のない、より深く重い事態に陥っております。

 従って成長と分配のバランスの取れた構造改革を基本路線としながらも、現状の漂流する日本政治の重要テーマに関する先延ばしと対処廃法では、立て直しは不可能であり、故に地方分権地方政治の果すべき役割と責任は重く、この閉塞感を打破するには国の実力は地方に存するのたとえのごとく、長野県をはじめ地方政界に割拠する有為なる人材の理念と新たなる発想力と行動力であります。

 欧米を中心として世界経済はリーマン以後、本格的な解決はしておらず、新たに発生した中東アフリカ問題の根は深く、世界は戦後最悪の同時不況に入る可能性も否定できません。今後、日本にも世界経済の構造的不況は時間差で迫ってくると思われ、中国も同様であります。

 従って中長期的には、財政再建は極めて重要課題と認識する中で、今迫りつつある危機に対し、県民の暮らしと安全を守るため県当局は強力で先鋭的な実効力に富んだ経済対策を早急に講じなければならないと思われます。

コラム(39) 2011年02月
地方議会の新しい針路
 平成23年4月の統一地方選は、日本再生の第一幕であり、極めて重要なターニングポイントと認識しております。自由民主党は、真の責任政党、国民政党として健全なる自由社会を目指すべく、戦後復興、国家再建の為、基本的には多くの国民の理解を得る中、今日の日本の姿を造形して参りました。同時に制度疲労や政治姿勢等、謙虚と原点にかえり、大敗から1年半、多くの山積する課題解決に向けて華やかさはありませんが、着実に努力をしてきた結果、国民の皆様から除々に安定した評価が定着しつつあることも事実であります。

 自由と民主の理念のもと、守るべき価値である日本の伝統文化に立脚した、真に国民の為の進歩を希求する保守政党としての矜持に立ち、歴史的転換期にある今日の日本の状況下において、自由民主党の果すべき役割は、かつてないほど重要な位置づけであることは、普遍的国民世論となりつつあります。

 日本を立て直す2011年はその意味で節目の年にあたり、そのスタートが平成23年4月10日投票の県議選と認識しております。我が党の政治責任を明確にし、あるべき日本の国柄を提示し、国家観と保守の政治哲学のもと、主権国家として政治家は新しい21世紀の日本について語らなければなりません。

 とりわけ地方政治、地方議会の発想力は、我が国の未来への挑戦の基盤であり、地方政治の中核的指導力を地方議員が発揮せずして地方主権は存立いたしません。行政監視力、政策立案能力、情報公開を軸に、本格的な地方議会の真の力量が試されるのが今日における日本の政治再生の本質であります。

 私もそのような理念の上に立ち、新しい時代の新しい地方議会の針路の造形に向けた最大なる努力をする決意であります。

コラム(38) 2011年01月
激動の2011年のスタートにあたり
 今日の日本を全体状況を考察すれば本格的な「危機の時代」が到来しているという認識に立つべきと思われます。昨年末の一連の外交安全保障問題への対応に限らず、主権国家としての我が国の「国家としての基盤」が崩壊の予兆を見せ、とりわけ自国領土を保全する意思を喪失した国家意思の桎梏は、極めて深刻なものであり、日本の政治状況は現在出口戦略なしの状況下にあります。

 同時に円高・不況・雇用など経済的側面でも経済大国の終幕を予感させ、これらを俯瞰すれば16世紀から展開してきた近代資本主義が大転換期を迎えており、中国の台頭、欧米の停滞、日本の衰退というフレーズが囁かれる中で、日本経済は為替、株、財政問題に加えて日銀は、ゼロ金利によるリスク資産をも買い込むなど、政策の方向感に統一性がなく、結果、国民所得水準と国際社会における我が国のプレゼンスの低下は予測を超えた早さで進んでおります。

 この傾向が5年続けば、日本はアジアの片田舎になるというエコノミストの指摘は、あながち無視できないものであり、停滞衰退を打破した明治維新がメディアで注目されるのも、その証左に他ならないと思われます。パックスアメリカーナが急速に劣化し、アメリカの覇権の根源である基軸通貨ドルも、50兆円を超えるの金融緩和政策によって、いずれその正当性に大きな課題を突きつけるものと思われます。従って、多極化する21世紀の中で、政治が各般の処理能力を失いつつある今、日本がなすべきことは、安全保障はもとより経済戦略を軸に国家目標を明確化し、後ろ向きの宿命論に決して陥らないことであり、経済政策及び税制、社会保障制度の抜本的改革と、日米同盟の再建、インテリジェンス体制の強化が今日の政治の最重要課題と思われます。

 このような複合的要素を含んだ多極化時代に立つ時、今求められる私達の政治姿勢は決然と、この難局を切り開く日本人としての身じろぎもしない気概を持つことではないでしょうか。

 かつて、トインビーは日本の近代化は人類の奇跡と評価いたしましたが、今後のキーポイントの第一は、海外の成長力を取り込むこと。第二は新しい産業を創り出す、その為の良質な仕組みを作ること。第三は社会制度で将来への安心を確保する。この3点に絞られますが、そのような認識の上で、本年も県議会を通じて全力で努力する所存であります。

コラム(37) 2010年12月
急速に変容した2010年を振り返って
 2007年のサブプライムローン、2008年のリーマンショック、2009年のチェンジを経て、激動の2010年も終幕を迎えました。

 国際社会の多極化、中国や新興国の台頭、アメリカの衰退傾向、EUの財政悪化等、予測以上のスピードで世界情勢は変容を遂げております。従って日本においても、そのような環境変化が直撃し、新しい時代の新しい対応が抜本的に求められております。

 東アジアにおける安全保障問題は、日本政治の弱点が顕在化し、戦後65年の本質が国民の前に露呈されました。経済についても各般のエコノミストが、様々な視点から分析をしておりますが、その根源は生産労働人口の急速な減少と高齢化社会問題であります。この問題について、政治がどのような認識を持つかが問題解決の重要な鍵であります。

 更には、TPP問題に関わる農業政策、医療、福祉介護、教育、環境、社会資本整備等、政治は山積する課題につき、勇断を持って果敢に政策提示をしなければなりません。付加価値の高い新たなるビジネスモデルの育成による就業の確保と新しい発想による経済政策の構築が最重要テーマであります。

 政治に要諦は、経済と雇用の確保が基本であります。世界経済の急激な変化に対し、日本はバブル崩壊後、不良債権処理に追われ、新しい経済社会像を描ききれず、政治もその先見性を発揮できなかった結果、失われた20年という歴史的事実が残りました。

 更に、団塊世代が介護年齢を迎えることをシュミレーションすれば、その財政支出は膨大なものになり、労働生産人口の減少と高齢化に対し、政治はどのような未来像を提示できるのか、各分野における将来像も団塊世代問題と同様であります。

 政治・行政・経済界が一体となり、人類が経験したことのない日本の近未来について、私達は当事者意識を持ち、責任ある時代認識を持つことこそ将来への最重要課題であると思われます。

コラム(36) 2010年11月
激動する政治経済状況に新たなる対応を
 著名な歴史学者トインビーは、歴史の研究の中で、最重要問題につき国家が自己決定できなくなった時、その国の運命は一番致命的であると述べております。

 昨今の尖閣諸島、北方領土問題における政府の迷走ぶりは、いかに日本としての国家意思が喪失しているかの証左であり、強い危機感を持たざるを得ません。更に、米国における民主党の歴史的大敗が、経済雇用問題が主要因であったと思われる中、日本への影響は為替に限らず日米同盟にも新たなる課題が提示されるものと思われます。

 又、インターネットに尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件の映像が公開されたことにより、日本政府の情報管理の甘さと同時に、なぜ今日まで正式公開をしなかった点について国民から批判の声が一層大きくなるものと予測されます。

 いずれにしても、主権国家たる日本が、外交安全保障について再構築が求められており、主体性のある国家運営を強く望むものであります。

 米国のFRBは70兆円に上る国債の引き受けを決定し、強い景気刺激策への意思を明確にいたしましたが、日本の今日のデフレ状況を認識する時、財政金融政策の抜本的見直しと経済成長戦略を本格的に提示すべきと思われてなりません。我が国のGDPが約520兆円から480兆円まで縮小し、失業率5%台、大卒の就職率60%、国民1人当たりのGDP23位、国際競争力27位というデータからも日本経済の再生に向け、今こそ政治は全力を傾注すべき時であります。

 長野県においても、平成12年8兆8461億円であった県内GDPが平成19年には8兆1479億円となり、有効求人倍率0.63倍、平成22年9月までの高校生の就職内定率42%、県民1人当たりの所得は311万円から280万円まで低下し国同様、下方傾向に歯止めがかかっておりません。

 政治の最大なる課題は、今日、経済雇用政策の確立であり、その実態を正確に把握する必要があります。長野県としても信州グリーンライフイノベーションを基本戦略に、知的クラスター・地域中核産学官連携拠点・信州メディカルニーズ育成拠点等の重点施策を基本としながら、養蚕から精密機械、そして電子機器に次ぐ第4世代の新たなる成長分野の把握に向け、新しい戦略構想を早急に立ち上げるべきであり、私も微力ながら長野県経済雇用の再生に向け、議会活動を通じ、一段の努力をする所存であります。

コラム(35) 2010年10月
漂流する政治空白の危機
 激動の21世紀も、既に10年が経過しましたが、国際社会におけるわが国のプレゼンスは、政治・経済・安全保障等、急速に劣化しております。このままの政治状況が推移すれば、失われた20年から30年へと最悪のシナリオが予測されます。

 尖閣諸島問題における政治の対応は、戦後外交史上最悪の汚点であり、弁明の余地はありません。主権国家たる日本が、戦後初めて国家意思及び国家としての決断を迫られたのであり、一連のプロセスはまさに国家の死を予感させるものであります。

 一方、経済は平成恐慌とも言える状況であり、失業者は300万人台で高止まりが続き、生活保護世帯は137万人、受給者190万人を超え、過去最高のデータであります。民間企業での平均給与は406万円で1989年並となり、年収300万円以下が全体の40%を超えるという、凄まじいデフレ経済であります。円高株安の国際的な諸要因は、説明するまでもありませんが、とりわけ危惧されるのは、米下院が通貨戦争とも言える保護色の強い法案を可決したことであります。このような報復関税が国際的に波及すれば、世界経済全体への悪影響は図り知れず、1930年の大恐慌を想起させます。その意味から、IMFやG20の役割は極めて重く、各国の自制を強く期待するものであります。

 21世紀の日本のあるべき姿につき、政府は明確なビジョンを未だ提示できぬまま漂流を続け、注目されたマニフェストも次々と訂正、ある意味で想定されていたことではありますが、現政権運営の未熟さの証左であります。亡国の民主党とも揶揄されるごとく、政権の主体性や一体感、危機意識の希薄さは、もはや政治主導とは程遠く、政治空白を招き戦後の歴史の中で異常事態であります。

 1990年世界1位であった国民1人当たりGDPが現在23位、国際競争率2位、若年世代の経済的困窮率等、幾多の深刻な事実を冷静に分析すれば、日本政治の不在感は目を覆うべき環境にあり、政治家はステイツマンとして、この国の再生に向けて、全力を傾注しなければなりません。物質、拝金、私生活主義に溺れ、日本の伝統、文化、公共意識を喪失した日本人の精神構造は、三島由紀夫氏が予言した通り、空虚な無機質化社会に堕落し、誠に慙愧に堪えません。

 ギリシャローマ以来、ポピュリズムに走る政治の悲劇は、結局のところ国民生活や国家の破壊を招く歴史の事実を、私たちは自分自身の問題として厳粛に考察しなければなりません。国政、地方政治に関わらず今日、日本のおかれた立場、それに伴う地方経済の疲弊は、過去に経験のないものであり、その基本的要因は、政府のマクロ経済に対する無策にあります。

 私も国際社会及び国内政治の動向を十分に注視し、都道府県間の競争が一層激化する中、今後とも真に県民のための県政実現に向けて、大極観に立った新しい時代の長野県発展に向けて、経済及び雇用問題を柱に、これからも緊張感を持って努力する決意でありますので、引き続きのご指導を心から祈念致します。

コラム(34) 2010年09月
加速する日本衰亡の歴史の岐路
 今日の政治の混迷と日本の国家衰亡は深く連関し、歴史的にわが国の政治経済情勢は、危険水域に入ったと認識すべきであり、戦後最大なる未曾有の分岐路に立っております。政治、行政はもとより経済界も含め、現今の状況を俯瞰する時、わが国は一体これからどうなるのかという気がしてなりません。

 県政に参加して早16年が経過し、社会の中で政治に対する無力感や苛立ちが益々普遍的しつつある時、日本はすでに峠を過ぎ、下り坂とむかって急激に劣化しつつあります。

 現代人の持つ本質的な無気力さは、政治の堕落と退廃をもたらし、真の価値基準を喪失した日本の現代社会は、人間にとって最も重要な大義への責任の履行を放棄し、生活第一という空虚なスローガンに政治的理念が、矮小化した現況は驚愕以外のなにものでもありません。

 チャーチルは「民主主義は最低の政治だが、しかし結局これしかない。」と看破しましたが、昨今の政治選択は誠に憂うべき事態であり、国民の財産と生命を守り、国家の存立の堅持を第一義とすべき政治が、党利党略に邁進し、幻想としての空虚な政治改革のスローガンに目を奪われた結果として、国際社会における日本のプレゼンスは、低迷の一途を辿っております。

 このままの国民意識が続けば、失われた20年から更に30年への悪夢が予測され、政治は自らの保身に立った選挙のための選挙という愚行に走り、選挙という国家社会の意思を方向づける重要な意見決定を、政治家がその本質を意図的に認識しようとしない現状は、日本の衰退の主要因そのものであります。
 故に、この絶望的な日本の政治状況を再生すべく、国民が国家社会の運命を自分自身の問題として捉えない限り、わが国の衰亡への傾斜を回避することは困難と思われます。

 100年に1度と言われたリーマンショックが先進国の協調政策によって、一応の回復基調に戻ったと思われた矢先に、今年再び円高株安という新たなる危機が日本を襲っているにも関わらず、日本政府不在とも言える状況は、世界における孤立する日本の証左に他なりません。沖縄問題は、日米関係に戦後最大の深い亀裂を生み、政権交代は多くの日本人に本質的な政治不信をかもし出し、政治経済の現況は一向に好転する兆しさえ見えないほど、深刻なものであります。

 歴史的に国家の衰亡は、国家観と歴史観の喪失によって決定化されてきましたが、表層的な進歩主義や拙速な改革主義は、結果的に政治の不安定を加速させ、今日の日本の政治の実相そのものであります。わが国の指導者はアメリカの緩やかなる衰退と中国の急速な台頭という二重の国際政治の激動中で、日本はどのような国づくりを目指すべきかという大きな方向性が一向に語られておりません。世界同時不況が未だ終息しない中、財政運営についても積極財政と財政規律について、未だ統一感がないまま、積極論のプリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏は3度目の世界恐慌を予測し、ハーバード大学のロバート・バロー氏は政府債務の増加に警鐘を鳴らしております。

 いずれにしても日本のおかれた閉塞感は国際的にも国内的にも戦後初めての事態であり、私達はこの歴史的局面を自身の問題として捉え、グローバルリズムとローカリズムの新たなる接点を模索しつつ、真の国益と国民益を求めて真剣な議論を求めなければならないと思われます。

コラム(33) 2010年08月
激動する世界経済と日本政治の進路について
 激動する世界経済は、先行きが極めて不透明感を増してきております。とりわけ昨今の円高は8月12日には84円となり、株価も一時9060円となり、当局はこの事態に対し、効果的なマクロ的視点に立った具体案が提示されず、まさに危機管理の空洞化と言われても仕方ありません。欧州の経済不安と米国の景気後退が囁かれる中、政府及び日銀は、主体性を発揮できず、わが国経済に与える悪影響は、予測を超えたものになると思われます。

 米国・欧州のリーダーは、この円高を容認するかのごとき発言をしており、まさに国際社会における日本のプレゼンス低下の証左に他なりません。このような重大局面にも関わらず、首相の危機感の希薄さと国際経済に対する対応欠如は、過去に例のないものと思われます。急激な為替異変の要因は、ドル安ユーロ安であり、輸出増進のための米国及び欧州の政府の容認姿勢であり、通貨政策に対し、わが国政権の無策さが一挙の露呈した感があります。

 今後の見通しについて、経済アナリストは、15年前の過去最高の79円に迫ることもあり得るとの見解であり、株価も9000円を割る可能性も否定はしておりません。米国はリーマンショック後、80兆円に上る財政出動をし、昨年世界中で先進20カ国は、500兆円の景気刺激策を実施しましたが、ギリシャ問題が発生し財政健全化の方向性が一般的となり、今日の低迷状況に陥っております。

 菅政権が国際協調の指導力を発揮できなければ、かつて言われた日本経済の2番底の心配が現実味を帯びてきました。アジア諸国の景気に支えられGDPの30%を輸出に依存する日本、とりわけ中国の金融引き締めによる輸出低下も危惧され、欧米との連関からも一層円高が加速する可能性が高いと思われます。

 日本の主要産業である自動車メーカーは、1ドル90円の想定であり、1円の円高によりトヨタ自動車は300億円の営業利益が減少すると言われております。更に、中小企業への影響は、図りしれないものがあり、政府与党の責任は、極めて深刻なものであります。

 失業者360万人、フリーター300万人、大学卒業者就職率60%の現状は、社会不安と荒廃の大きな要因になると思われます。

 政府としての成長戦略を明確に打ち立てずして21世紀の日本の繁栄の基盤は確立できません。今期(4月〜6月)の前期比GDP0.1%との急速な日本経済の低迷は、個人消費が主要因であり、GDPの60%を占める以上、国民生活が苦慮すべき現況を表しております。持続的経済成長政策の確立なくして現政権の求心力の低下に留まらず、日本の社会全体の将来に大きな不安を予感させます。従って国の財政力は、一段と低下し来年度予算編成は、過去例を見ない混迷を深め、地方財政も地方交付税を軸に各般に渡り、困難さが待ち受けております。

 強い経済・福祉・医療の実現は、力強い政治の確立が基本であり、政治の信用危機の今こそ新しい歴史の扉を開くためにも、健全な保守政治の復権が今日ほど求められる時はありません。

コラム(32) 2010年07月
今ある最大なる政治危機に直面して
 今日の日本政治全般の状況は、不毛地帯を漂流するがごとき事態である。理想主義へ傾斜し過ぎた結果は、原理主義に陥り国民の期待を失望に変えた政治の責任は極めて重い。
 ぶれない政治志向によるマニフェスト政策への固執は、財源の裏付けのないまま、各分野とも中二階に放置されたままである。保守からリベラルまで、思想の異なる党運営は、外交防衛への本質的議論を回避し、今日の状況に至っている。一元的な政治主導は、官僚排除に陥り、国家運営上にきたした支障は枚挙に暇がない。
 実際の政治手法も旧来の政治体質を逆に後退させ、支援団体への対応や予算の箇所付けの方法は、従来にもなかった中央集権的なものであった。
 今後も選挙目当ての耳ざわりの良い政策を続ければ、国民意識は失望から絶望へと変化する。対米外交の躓きは戦後最大であり、亀裂を生じた日米同盟の再構築は、国家安全保障という最重要課題上、急務であることは言うまでもない。
 今日、国際社会における日本のプレゼンスは、急速に低下し各種国際会議における指導力は、弱小化の一途と思われる。財政再建、新たな経済成長戦略、21世紀の社会保障制度の確立等、国内問題も何ら明確で具体性あるビジョンは提示できぬままである。
 昭和30年の保守合同以来、自民党は厳しい批判を受けながらも基本的には戦後復興から今日まで日本の平和と経済繁栄をもたらしたことは事実であり、それらに対し全否定的な政治姿勢をスローガンにしたことが結局のところ、日本の政治・行政機構の混迷を深めることになった。
 政治の要ていは、バランス感覚と調整能力を基礎とした上でのリーダーシップである。これからの日本の政治針路は、一層不透明なものになるが、国益と国民益を真に長期的に考えるならば、今日の政党間のデベートは、政治の成熟度から言えば、あまりにも稚拙と思われる。
 外交安全保障の基本合意を背骨として、経済・教育・医療・福祉・環境等、国内問題につき、より建設的な議論を経て良質な着地点を政党のリーダーは模索すべきである。
 今日本は、21世紀政党政治の危機であり、ホピュリズムに走り、政治家の国家社会に対する使命感が、あまりにも希薄である。日本政治の劣化に指摘は言われて久しいが、国会の議論の内容も表層的で理念に乏しく、政治的技量は言うまでもない。視点が短期的で財政問題についても本格的戦略が一向に提言されず、グローバル化が急速に進む中、経済戦略も明確でなく、中途半端な再配分議論そして政策の修正の繰り返しでは、日本は衰退途上国のレッテルをはられるであろう。
 政治は、社会工学的にも最も強い規制力を持つ故に、政治家の人間力や調整力、決断力、先見性、国際感覚、確固たる政治理念が今ほど求められる時はない。激動する国際政治経済、とりわけ東アジアの安全保障等を思う時、政治の政治家の本懐と気概が強く求められており、地方議員の1人である私も、自分自身の問題として改めて真剣に政治の危機を自覚している。

コラム(31) 2010年06月
新しい時代の保守政治に求められるもの
 激動の2010年も早4ヶ月が経過したが、日本の政治・経済は引き続き混迷を深めている。第2次世界金融危機ともいえるギリシャ財政危機は、世界的波及が懸念され、ユーロ圏諸国とIMFが89兆円の緊急対策を発表したが、今後の展望は未だ明確ではなく、欧州問題は日本にとっても2008年のリーマン以降、成長と財政規律の側面から強い当事者意識を持つべきである。
 世界の金融危機は、一応の回復傾向に向かっていると思われるが、各国の膨大な財政出動(総額500兆円)によって、支えられており、本質的解決を見出せないのが実情と思われる。
 一方、沖縄を中心とした東アジアにおける国家安全保障に対する政府の見解は、想像を超える不見識であり、未だ日本は主権国家としての自己認識を持てていない惨状である。更に口蹄疫問題は宮崎県が非常事態宣言をし、政府の対応の遅れと危機管理の甘さが指摘され、全国的問題となる可能性を秘め、極めて深刻な事態と考えなければならない。失われた20年から新たなる時代を造形すべく2010年は、歴史的転換期にすべき重要な節目と年となるべき時に、各分野における重要な政策が迷走し、国民の中に停滞する日本政治への不信感が一層強まるものと思われる。GDPが本年、中国に抜かれ世界第3位となり、国民1人当たりの所得も23位と、先進国の中で下位グループに位置している現状は、日本の将来像を具体的にデザインできず、場当たり的問題解決に翻弄される政治の責任は、極めて重いと思われる。
 急速に進む少子高齢化社会にあって、新たなる経済成長戦略を構築できず、漂流する日本政治は戦後最大の危機にあると思われる。金融資本主義から産業資本主義へのパラダイムシフトの中で、ものづくりの主役は今や韓国・中国・台湾をはじめ、東アジア諸国に移行しており、従って日本は格段する新興国需要を日本各社は早急に取り込む必要性がある。
 政府与党の散乱する各種政策は、国家衰退をもたらし財政論においても、財政規律や消費税問題等、党内不統一が恒常化しつつある。長野県においても、地域経済は一部の業種を除いて、未だ先行き不透明であり、雇用・所得ともに低迷を続けており、来年度の予算編成は相当高度な知恵と政治的判断が求められるだろう。
 民主党政権の財政破綻構造への傾斜、外交安保の根源的空洞化の中で、日本政治のリーダーシップの喪失により、民間企業の努力が経済活動を堅持しているのである。
 私たちは、経済成長路線と財政再建を複合的に進めなければならず、日米同盟の更なる深化こそが、次の世代に対し日本が国家として国民を守ることになると思われる。
 そのために新しい日本保守政治確立のため、日本人としての思想・歴史観、価値観について成熟した意識を国民1人1人が持たなくてはならず、長期的視野に立ち冷静に将来を見通す政治家の見識と責任感が今ほど求められる時はない。

コラム(30) 2010年05月
真に国民のための政治とは何か
 明治の近代化以来、日本人は「坂の上の雲」を目指してひたすら努力を続け、第2次世界大戦における敗戦もむしろバネにして、世界有数の経済大国に昇りつめました。
 しかし、失われた20年と言われるごとく現在は、坂の上の雲の中に入り、先の展望が見通しできず、極めて不透明な閉塞感の中に、日本人全体が陥っている憂うべき状況であります。10年後は、中国のGDPが約二本の2.5倍になるとの予測もあり、国家戦略を構築できず、改革というスローガンの幻想に捉われた1993年以来の日本の政治状況は、結果的に強い政治不信を国民の中に定着させてしまいました。
 今、日本のポルトガル化という指摘がされ、ヨーロッパにおいては、ほとんどのプレゼンスを喪失している姿は、10年後の日本を予感させ、極めて強い危機感を持ちます。中国に続くインドのその急成長は、アジアの両輪となるでありましょう。
 アジアにおける政治・経済のフロントランナーが、日本から中国やインドに変わり、2010年をスタートするこれからの10年こそ、日本の21世紀の歴史における分水嶺になると思われます。産業構造の本質的変化の中で、環境・医療分野が極めて重要な産業になることは間違いなく、早急に産学官連携の中で、経済成長戦略の構築が求められます。
 2020年に日本の人口は約500万人減少し、その後は毎年100万人くらいずつ減っていくと言われる中、少子高齢化社会への対応は、大量生産大量消費時代から、付加価値の高い産業をいかに育成できるかであり、そのために次世代に高度なる技術改新が今ほど必要な時はありません。
 昨今の政治は、貴重な税金の再配分に重点を置き、結局のところ政治的裏付けのないまま、国民にマニフェストとして提示し、社会は今、深刻な事態に陥っております。
 企業に対する適切な経済政策とは、その結果としての雇用の安定そして税収の確保という原則を離れ、極端な理想主義に走った結果としての日本社会を今更説明する必要もないほどの悪しき状況であります。
 そうした観点から私たち政治に関わる者は、1993年以来のあるいは昨年の8月の結果を歴史的教訓として、重く受け止め新の政治とは何か、真に国民の為の政治とは何かについて、より本質的な議論を再考しなければ、この国は坂の下の泥沼にぬかって転げ落ちて行く可能性は、決して低くはないと思えてなりません。

コラム(29) 2010年04月
歴史的転換期を迎え、長野県経済再生への提言(3)
21世紀に対応した長野県の経済成長戦略
 長野県におきましては、平成23年度までを計画期間とする「長野県産業振興戦略プラン」を策定し、スーパーデバイス(超精密・超微細・超小型部品)・スマートデバイス(超高機能部品)やナノテクノロジーといった分野への取り組みなど、これまで培われてきた本県の優位性のある技術を基に、産学官が一体となり商品化・事業化を推進することにより、マーケティング力と技術力を高め、世界市場へ飛躍する長野県産業を構築しようとするものであります。
 長野県産業は、全国的に見ても精密加工組立型産業に特化した産業集積が形成されており、製造品出荷額の3分の2以上を加工組立型産業が占めるという、特異な産業集積となっております。
 長野県において、こうした「ものづくり産業」は、歴史的にみても重要なウエイトを占めており、今後においても、その重要性は変わらないものと考えるところです。
 一方で、この度の世界的な景気減速により、産業の枠組み自体が変わりつつあるとも言われております。例えば、「グリーンイノベーション」「ライフイノベーション」といった分野の重要性が増すことが予想されているところです。
 長野県が持っている「ものづくり」の優位性を更に伸ばすという、現在の「戦略プラン」を否定するものではありませんが、いわゆる「産業構造の変化」「市場の変化」というものを見据えた「長野県産業の将来像」、更には、そこに至る「新たな道筋」というものについても、県として示さなければならない時期に来ているのではないかと考えます。そうした意味で、現在の「長野県産業振興戦略プラン」についても、必要であれば、バージョンアップすべきであります。 
 国際競争の激化は、技術革新のスピードを早め、科学技術の振興、研究開発の必要性は、かつて無い程の高まりとなっております。県としても、技術開発の支援、人材の育成などにおいて、大きな役割を担うことが期待されております。
 また、科学技術振興の取り組みには、スピード感が求められます。今回の経済危機を乗り越え、今以上の円高になっても収益が上がるような、経済環境の激しい変化に耐えうる産業構造に転換していくため、長野県には、半導体のシリコンが限界を迎えつつある中、次のステップとも言われるカーボンナノチューブの世界的権威である信州大学工学部の遠藤守信教授をはじめ、世界に誇れる技術を有する人材企業が多数存在します。
 産学官による研究開発体制を一層強化して、長野県経済の成長の源となる新たな研究・技術開発を進め、「技術立県・長野」として確固たる地位を築いていくための振興戦略こそが最重要課題であります。
 リーマン・ショックによる経済危機の中、日本の匠の技を集積した一基1500 万円で製造出来る超小型人口衛星をはじめ、航空宇宙産業は、関連する技術分野の裾野が広く、広範な産業分野への技術波及によって、長野県の産業振興に必ずや寄与する重要な産業分野であると考えられます。
 そこで、高度なものづくり産業の象徴ともいえる航空宇宙産業を振興させ、長野県の産業を多様化し、その活力を取り戻していくためにも、航空宇宙産業が次世代の、本県の基幹産業の一つとして花開くように、県として積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 また、最近話題になっているリアルタイム・ブログ、ツイッターの創業者ビズ・ストーンは現在34歳と若く、マサチューセッツ州の高校を卒業した後、グーグルなどでブログ開発に従事した後、ツイッターを作り大成功をおさめました。
今の日本に不足しているのは、新しい領域にチャレンジする企業や個人ではないでしょうか。
 現在の経済危機を逆手に取って、今こそ新しい可能性に挑戦すべきであります。内陸県・長野の産業振興を進める上で、ネット社会に的確に対応していくことが欠かせないと思われます。
 以上、国際経済・日本経済・長野県経済それぞれの視点から私なりの見解を述べましたが、いずれにしても長野県の経済再生の為、全力を傾注する決意でありますので、県民皆様の引き続きのご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

コラム(28) 2010年03月
歴史的転換期を迎え、長野県経済再生への提言(2)
厳しい日本の経済財政と産業構造の転換について
 政府は2010年度の実質成長率1.4%、名目で0.4%の見通しをしめしておりますが、現実には実質でゼロ、名目でマイナスになると思われます。
 かつまた中国を中心としたアジア市場への需要依存が高く、冬のボーナスの大幅な落ち込みや、ベースダウンなどの要因により、内需拡大はとても見込めないと思われます。
 更に、国際社会において日本はどのような軸をもった国とすべきなのかという基本的な全体感がみえにくく、将来ビジョンを見すえた具体的国家戦略、経済成長戦略を早急に確立する必要があります。
 政府は昨年12月30日に成長戦略を発表いたしましたが、具体策の内容は先送りされ、財政面での裏づけが希薄であり、2020年にむけての実現性は極めて困難な実情であります。
 需要不足35兆といわれる中、デフレは3年以上続くという指摘もあり、先進国の中で厳しいデフレに陥っているのは日本のみで、このデフレ脱却には35兆円の需給ギャップを解消しなければならず、投資と消費を喚起するには経済の先行きに対する不安を緩和し、安定的成長を裏付ける中長期の経済戦略を根本的に見直しすることがもっとも重要な柱であります。
 その為に財政、金融両面からの対応が必要でありますが、先進国最大の財政赤字の中、日銀の一層の追加量的緩和策も求められております。
 経済政策の基本的認識は経済成長と景気の安定、所得再配分に対して複合的に政策をいかに的確に立案するかであります。
 2006年515兆円であった我が国のGDPが2008年には473兆円まで低下し18年前の水準にもどり、約50兆円のGDPが喪失いたしました。
 この落差をどのように回復するか、その為には名目GDP5% 成長を3年程堅持しなければ困難であり、政府日銀が一体となった、政策運営が是非とも必要であると思われます。
 GDPが本年中国に抜かれ3位となり、一人当たりのGDPが07、08年で19位まで下り、国の産業構造を抜本的に変革しなければ日本はいずれ総体的に新興国にも抜かれる予測が現実味をおびてまいりました。
 なお財政面においては、ギリシャスペインなど欧州の一部で財政悪化の懸念が高まっている中、日本も2010年末、中央政府の借務残高が約973兆円という予測であり、実にGDPの約2倍にあたります。
 中央集権の統治システムに拘束された地方経済の疲弊と貧困の風景は今日社会問題として顕在化し、農業、建設業、製造業を主要産業とした地方経済は、貿易の自由化、公共投資の減少、産業構造の急速な変化により厳しい環境下にあり、新たなる創造的資本主義の造形こそが今日本に課された最大な責務と思われます。
18世紀英国で起こった第1次産業革命、19世紀米国ドイツで起こった第2次産業革命を経て、今日の経済危機は第3次産業革命の進化にともなう本質的な産業構造の変化であります。

コラム(27) 2010年02月
歴史的転換期を迎え、長野県経済再生への提言(1)
激動する世界経済情勢について
 混迷と閉塞感の強い今日の日本の政治、経済情勢は、その展望が不透明であり、政治の根幹である地方自治の一翼を担う私達にとっても深刻な影響下にあります。 とりわけ地方経済の疲弊は近年経験のないものであり、従ってこの難局打開の為には、的確なる分析が必要であります。
 2008年9・15リーマン・ショックから約1年半が経過致しましたが、昨年4月のG20によって各国の財政出動の総額は500兆円にのぼり、世界経済はかろうじて底割れを回避いたしましたが、いまだ先進諸国経済は浮上のきっかけをみいだせず、国際金融、経済の本質的解決にはいたっておらず、世界の金融資産がおよそ2京円(2千兆円の10倍)、デリバティブの取引残高は6京円(6千兆円の10倍)とも言われ、世界GDP5400兆円と比較した時、その規模の大きさに驚愕せざるを得ません。
 17世紀のチューリップ暴落、18世紀の南海バブル事件、1929年のニューヨーク大暴落、1990年東京大暴落等の経済史を想起する時、各種のシンクタンクの見方は2012年頃が最悪期との見方もあり、更に世界の政治経済の覇権は米国から徐々に中国に移行し、米ドルが世界の基軸通貨としての立ち位置が揺らぎだし、今後世界経済は新たなる混迷の時代へと移行しつつあります。
 2007年8月17日のサブプライムローン問題は、21世紀初頭最大の経済課題のスタートとなり、2008年9・15リーマン・ショックは決定打となりました。オバマ大統領の支持率が50%を切り、2010年暮れから2011年にかけて厳しい金融情況が一段と深化するものと思われます。
 パックスブリタニカからパックスアメリカーナへの転換期となった1944年7月ブレトンウッズ会議の合意によるIMF世界銀行体制は、米国に富が集中し通貨のパワーと産業力を持って、戦後の国際通貨体制の基盤となり、その後1971年ニクソンショックによる変動相場制移行への歴史を振り返る時、新たなる時代の節目が来た気がいたします。
 2009年6月1日、ガイトナー財務長官が中国において、中国が保有する1200兆円といえる対米債権を守るべく、ドル建て資産の投資の安全性を訴えたようですが、経済面だけみれば米中の立場は逆転しつつあり、中国は総額で60兆円の景気対策を打ち、先進国を抜いて、いち早く景気回復の基調を示しました。 一方日本の財務省によれば、外貨準備高は約92兆円で、そのほとんどが米国債で運用されており、日本が保有する対米債権は、民間セクターも含めて総額で約800兆円と言われております。
 従って、日本は大債権国でありながら、主権国家として、このカードを切れず身動きが取れない環境下にあるという現実であります。
 今回の経済危機により、景気が失速するまで2002年以降、GDPの成長分の4割は外需によるものであり、その主役は製造業による設備投資や雇用の伸びによるものでありました。
 外需の見直しが悪化した現在、個人消費の鍵ともいえる個人の所得状況は極めて悪く、企業の設備投資は言及するまでもない環境であります。
 また、極東における安全保障問題は、50年の節目を迎える日米同盟の年にあたり、中国海軍の西太平洋進出へのポテンシャルは極めて高く、シーレーン確保をはじめ、経済安全保障の観点からも、貿易立国日本にとっても高度な判断を迫られております。
 更に、本年11月に開催予定のAPECにおいて議長国となる日本は、アジア・太平洋におけるその存在感や指導力をどのような内容と型で発揮できるのか、まさに経済大国としての鼎の軽重が問われる重要な年と思われます。

コラム(26) 2010年01月
2010年経済成長戦略ICTビジョンと長野県経済再生に向けて
 新たなる2010年の日本は、文明国として厳しい剣が峰に立ち竦んでおります。2004年をピークとして、わが国の急速な少子高齢化社会は、2055年に9000万人を割ることとなり、65歳以降の人口が40%に達する、新たなる成熟社会が到来致します。
 その結果、社会の活力の低下、所得水準の悪化が懸念される一方、医療・介護・年金の負担の増加傾向が益々進み、新しい時代に対応したマクロ経済成長戦略を構築することが、最も重要な政策課題であります。
 円高・株安・デフレの三重苦の中、社会保障制度や将来に向けて教育の質の向上も含めて、国民負担を出来る限り抑止し、活力ある経済社会を確立することは、政治の最重要責務であります。歴史的には国家経済の長期衰退は、オランダ病や英国病がありますが、戦後復興から高度成長、バブル崩壊、停滞の失われた20年という64年に渡る日本の現代史を辿れば、結果として本年のGDP479兆円となり、17年前の国力に逆戻りという現実であります。更に、国民意識・倫理観・社会規範も急速に変容する中、高い倫理観と社会道義の復権こそ、大きな政治目標であり、テレポリティクスの劇場政治に一喜一憂する現況は、亡国への予兆であります。
 先進国にあって異例とも言える格差社会は、家族と地域共同体を喪失し、都市圏への政治経済の異形な一極集中により、長野県経済や中小企業経営の疲弊は、経験のない深刻な状況であります。
 大きな経済再生への概念の1つの切り口として、ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーションテクノロジー)情報通信技術に注目すべきと思われます。
 ネットワーク通信による情報・知識の共有により、ICTはITに比較して一層ユビキタス社会に合致したものであります。ICT産業は既に日本のGDPの10%を占め、GDP成長に対する寄与率は03〜07年度において、約34%に至っております。
 わが国の経済社会の新たなる道として、このICTは必ずや経済成長の指導的役割を果たすと思われますし、デジタル新産業の充実と集中的な研究開発投資、コンテンツ市場の拡大により、2015年〜2020年において、ICT産業は200兆円規模という極めて高いポテンシャルを持っており、マクロ経済の政策欠如した今日の状況に対する1つの視点と思われます。
 2010年のスタートにあたり、現代という時代を俯瞰した時、私達は地方政治に関わる者の1人として自覚すべきことは、県議会は単なる議決機関ではなく、住民の代表機関として、行政とともに自治運営のもう1つの重要な柱ということであります。県政に関わる重要な政策課題や政策の方向性に対し、積極的にコミットしてこそ、二元代表制における議会の存在意義であります。グローバリズムの中にあって、ローカリズムの政治の代表である県議会は、改めてその立ち位置を確認し、今こそ混迷を深める現実政治の打開に向けて総力を結集し、ともすれば個別議論の分散化に固執しがちな議会運営の中にあって、県政全体を視野に入れたこれからのあるべき社会像につき、大きな議論を総合的に見据え、その政治責任を果たす時であります。
 米中によるG2の世界覇権の中、日本は存在感をいかに発揮し、新しい時代に立ち向かうべきか、この時にあたり地方自治は、政治のプラットホーム(基盤)として自律と創造と伝統重視の理念に立ち、激動の2010年に立ち向かうべきであります。
 経済の2番底、腰折れが不安視される中、私も守るべき価値としての愛する家族、ふるさと松本市、長野県、日本の為、使命感と情熱を持って本年も全力を傾注する決意であります。

コラム(25) 2009年12月
激動の2009年を回想して
 激動の2009年も終幕を迎え、改めて現代政治、経済の急速な変容に驚愕致します。日本における政治の転換期も第一幕が始動し、今後どのような真の政治改革が行使できるのか、そのシナリオは不可知であり、明確な国家戦略やビジョンを提示できぬまま、国政は表層的課題にエネルギーを散乱し、真の国家国民のための政治行為から離反し、政党論以前の現況にあります。
 国際社会における国家の行動原理の基本は、国益の拡大であり、ひいてはそれが国民益と結合するのが政治のリアリティーであります。しかしながら厳しい国際政治の中にあって、グローバルリズムが普遍的理念となりつつある今、日本は残念ながら国家として急速にその存在感を薄めつつあります。
 米国は、多様性を新大統領のもとに基本理念としていますが、内実は米国の政治、経済の衰退に他ならず、日本・中国両国だけで約千数百兆円に上る米国の債務は、財政論的見地からみても、米国の覇権に大きな陰りを見せております。
 従って、逆説的には各種国際会議を鋭く分析すれば、米国及び中国のG2体制の堅持こそが2カ国にとっての国益であり、世界の政治経済は、そのような視点からの考察が基本要素であります。
 日本政府はデフレ宣言をしながらも、金融・財政政策に対する戦略的方針も見出せず閉塞的状況にあります。従ってデフレスパイラルと言う最も悪しき経済環境下、新しい時代に対する経済成長戦略を政府は大極的視点から、真に日本国民のために早急に提言しなればなりません。
 一方、地方経済の実体は、想像を超えて疲弊し、失業率及び有効求人倍率ともに、戦後最大の数値であります。GDPも500兆円を切り、中国が2010年、日本を抜き第2位になることが明確になる中、政府の予算編成の方向は、将来展望に欠けた短期的視野による財源カットであり、宇宙技術やハイテクノロジー、大学の研究の削減等、21世紀を見据えた長期的複眼性に欠け、経済が縮小均衡に陥る極めて危険な政治判断に他なりません。
 戦後復興、高度成長を実現した保守政策は、概括的には評価すべきものであり、昨今の政治状況を見る時、新たなる政権にこの成熟した日本国家を運営する決意と力量が真にあるのか、懸念を禁じ得ません。
 経世済民の政治思想を思うとき、経済成長戦略を明確に表現せず、果たして国家運営への覚悟と実行力について、与党の一連発言を見た時、国民はその本質を実は正確に分析していると思われます。これからの時代は必ずしも政治にとって、国会議員は決してメジャーではなく、地方自治こそ政治の基本と思われます。故に国政は外交・安全保障につき、全力を傾注すべきであり、細部の各政策につき、執拗に固執することなく、大方針を適格に明示し、新しい時代・新しい坂の上の雲が何であるか、国民に知らしめる責務が国会議員の役割に他なりません。
 新しい発想と熟達した経験高い政治技術と公の志なくして、多様な社会性の堆積の希薄な政治家と偏差値秀才による政治主導は、結局のところ真の政治改革の実現は、破綻に陥ると思われます。
 我が長野県は、そのような悪しき状況下のもと、地方自治の理念に基づき、リアリティーに富んだ政治行政の実践を行使しなければならず、財政再建、行政改革、経済政策、社会福祉、教育、環境等、中間行政としての統治能力が今ほど求められる時はありません。国政が迷走し品格を失った今こそ地方政治は、その主導性を発揮し、県民のための政治の復権を図る時であります。
 本年一年間の社会を回想する時、いずれにしても社会工学的に最も強い影響力を持つ政治の責務に対し、深く思いを致さなければならず、真に県民の皆様のための県議会として、勇気ある挑戦こそ、私達に馳せられた最大の課題と思えてなりません。

コラム(24) 2009年11月
新しい日本の針路への挑戦
 55年体制以来の大きな政治状況の変化の現在、政治は憲政史上においても極めて異形な歴史的変動の中にあります。政党の存在は、新たなる人材の育成や時代に対応したメカニズムを構築する努力を怠れば、必然的に党の旗印は色あせ衰退の傾向を辿ることは過去の政党政治の歴史が証明しております。次なる時代における政党の最重要ファクターは、先ず国家ビジョンを明確にし、次にそのための具体的な政策や財源的裏付けをすることであります。全体像とマクロ的視点が欠けた個別政策を羅列する整合性のないマニフェスト原理主義は、極めて俯瞰性を喪失する危険性が高く、混迷を深める国際政治の状況に立脚した中長期の国家の姿をこの際、各政党は国民の皆様に分かりやすく提示する義務があると思われます。
 今、政治指導者の成すべき重要テーマは、この国の針路を決定する根源的な思想や理念の確立であります。憲法・外交・安全保障・教育といった国家的課題の背骨について、自信を持ってメッセージを発信すべきであり、次の時代に向けた新しい党の理念や哲学を明確にし、新たなる政権ビジョンへの強い意志を持つことこそが、真の議会制民主主義の習熟に他なりません。
 今日、日本にとっての政治情勢は、来年度予算の歳入減がマイナス8兆円とも言われる現況下、時間の余裕はなく、どのような形で国民生活を保持するのか、その戦略いかんでは日本経済に与える衝撃は想像を超えるものであります。一方、東西冷戦構造の崩壊は、戦後という意識を埋没させ、今や国民の70%がポスト戦後世代という事実を認識する時、政治環境は劇的な変化を遂げました。国民意識の中に保守・革新という概念がフラット化し、自民・民主の相対感が希薄となり、政党のアイデンティティーの確立が困難となる社会情勢であります。政治は、終わりなき戦いとも比喩されますが、政党活動は、どのような状況にあっても常に強い政権への意思を持つ必要があります。そうした見地から解析すると、巨大な政治エネルギーを消費した8・30は、大きな社会変動の予兆とも思われますが、逆に現状を冷静に見れば、本質的な政治改革となりえるのか、極めて不透明な状況であります。
 高度経済成長第一主義による政治解決から、新たなる文明社会への移行期、真に社会の歴史的変化の実現を国民が希求する中、自民党の再生を願う有権者が70%を超える事実は、我が党の再生の為には、まずは政治家の資質能力の向上が最重要であります。
 我が国の官僚制度は、大久保利通が内務省を作り、その歴史的力学を考察した時、脱官僚と言ったお題目だけで真の政治改革は不可能であります。政治のリアリズムを的確に掌握し、政治家は国家のビジョン及び大方針に責任を持ち、専門性の高い官僚テクノクラートをいかにマネージメントし、時代の要請に耐えられる新たなる政策体系を創りあげることこそ、政治主導の要締と思われます。国家権力をいかに国民の為に作動させるのか、その為の力量ある真の政治家が今ほど求められる時はありません。行政実務的政治ではなく、より複合的重層的で弁証法的とも言える人間力学を屈指してこそ、真の政治行為と言えます。憲法に対する基本認識や議員立法の活性化等、国民が国会議員に期待する事柄はそうした骨太の基本姿勢であります。
 真の政権担当能力とは、一般的な行政処理能力では決してなく、より国家国民の為の戦略的政治的感性であります。近代合理主義と効率性重視の現代文明が歴史的転換期を迎え、地球環境問題を主軸に、あらゆる分野の価値観が大きく変化する中にあって、日本の卓越したテクノロジーと恵まれた自然、優れた美意識に育まれた自然観や文明観をもとに、新たなる政治の再生が必ず実現できるものと思われます。
 我が党の歴史を回帰すれば、戦後の55年体制からスタートし、経済成長に主要な役割を果たし、企業の技術改新への支援を軸に、企業の収益力の確保と安定した雇用を最重点として参りました。戦後の行政構造の抜本的見直しについても、幾多の歴史的努力と時代への現実性を持ちながら、国民生活の確保の為、多角的で多様な選択肢を構築し、結果アジアにおける奇蹟とも言える経済発展を築き、今日に至っております。
 他方、与党は無駄の圧縮による財源の捻出については、表面的形式論を脱皮できず、国債発行の増額についても従来の発言から早速軌道修正が顕著になっております。これ以上の財政赤字の累積は、長期金利の上昇をもたらし、財政構造に対し危機的状況が表面化し、企業の投資条件の悪化と言う二重苦の中で、日本経済の失速が懸念され、極めて深刻な経済・雇用状況が予測されます。
 政権の細部における各分野の評価はともかく、重要なことは、まさに日本の政治行政が経済への俯瞰的視野に欠け、政権担当への覚悟が本質的に希薄に感じられることへの危機感であります。
 21世紀、高齢化社会の日本にとって、医療と介護こそが、主要な成長分野であり、大きな視野で見れば、社会保障制度の充実こそ経済政策に他なりませんが、それさえも骨太のビジョンの提示がなく、ましてや行政実務は進んでおりません。
 明治維新の成功は言うまでもなく、国家ビジョンが明確に提示されたことにあります。富国強兵と拓殖産業であり、戦後の池田内閣は所得倍増計画と言う極めて国民に分かりやすいメッセージであり、且つ大極観に立った政治経済戦略でありました。
 我が党の低迷の分析については、既に各層からご指摘のごとくであり、比較第2党として新たな発想を持って理念の再構築と新しい時代を先取りした、戦略性の高い政治的目標を的確に発信する必要があります。11月3日の朝日新聞によれば、中長期的な観点での政党支持は、70%が自民党という回答の意味している所は、国民意識が極めて鋭い視線を持っていることの証左であります。加えて与党の運営方針も画一的単線的で、地方の意見を的確に集約できず、システムとして実際の運用面で不備が多く、いずれ各セクターにおいて困難状況に直面されると思われます。
 成熟し世界第2の経済大国日本の国家運営は、複合的な要素を充分に認識し、その舵取りは高い政治技術力と人間関係論を熟知せずに遂行は困難であります。内憂外患、まさに政治の責任は重大であり、今日の新しい政治状況の本質は、第1幕のスタートから不透明、不安定であり、各分野で断層が生じております。
 政権交代が唯一目標であった現与党は、その実現の後どのような国際関係、どのような日本政治、どのような日本社会を目指し、真に身を挺して国家改造を実行する力量と覚悟があるのか、予算委員会の新人議員の均質的、画一的な反応を見た時、果して彼らは国家を背負う使命感と、その責任の重大さを本当に感じているのか、まさに驚愕でありました。
 そうした直近の総合的政治動向を解析した時、国家存立の根幹を脅かす日本の相対的貧困率15・7%、世界第2のデータを見るまでもなく、政治にかかわるものは、今こそ日本国家の本質的危機を深く自覚し、世界における日本をどのように進路づけるのか、そして新たしい地域主権国家実現の為、何をすべきなのか、まさに新たなる時代に向けての勇気ある挑戦する気概を改めて持つことこそが、政治家にとって今、最も必要なことと思われます。

コラム(23) 2009年10月
政治は真の覚悟と勇気と行動を
 世界の政治経済の現状は、リーマンショック以後、表面的には当面落ち着きを見せているかに見えますが、将来展望をもった持続的な回復の道筋は、ほとんど描き切れてはおりません。断続的に行われた一連の各種国際会議においても明確な出口戦略は提示できないことがその証左でもあります。
 従って日本経済も総体的には同様の環境下にあり、本質的な打開策は不透明感の中にあると言っても過言ではありません。個人消費、設備投資は低迷し完全失業率5・7%、有効求人倍率0・42%のデータは改善されず、360万人とも言われる失業者は、戦後最悪の事態であり、社会問題として内在化しており状況は深刻であります。先進国の経済成長は、今後10年は中国を除けば1%〜2%との予測が一般的であり、リーマンのつめ跡は極めて深いと認識する必要があります。とりわけ地方経済の状況は各種データに示されており、特に製造業の倒産は、従来の3倍と言われ、輸出依存度の高い長野県は、直接その影響を受けており、2020年までの各都道府県の成長率を予測した信頼できる有力なシンクタンクによれば、長野県は全国31位まで下落という衝撃的な数字が出ており、抜本的な産業経済政策の構築が迫られております。
 一方、国内金融の自己資本不足は、企業への貸し渋りを増長させ地方中小企業の先行きは、極めて困難な経営環境にあります。これら一連の経済情勢の根本問題は、20年前の東西冷戦の終結による世界経済のグローバル化に起因するものと思われます。
 人、物、金が厚いブロックから解放され、国家を越えて地球規模で動向した結果、特にマネーは有利な投資先を求めて急速に移動を始めました。それと連動してIT革命がその速度を一層加速させ、市場原理主義が世界経済の普遍的な理念となったと思われます。その結果、20年を経て中国の経済的再生が軌道に乗り、冷戦終結前には予測不能な風景が登場したわけであります。
 冷戦構造崩壊の2〜3年のち、日本はバブル崩壊が発生し、時代は「失われた10年」へと突入していきました。巨額な不良債権の発生により、日本経済が長期の停滞に陥り、860兆円とも言われる世界史上類のない財政赤字を残しました。中でも製造業は直撃を受け、生産工程の分割の中、海外への工場の流出を含め、今日に至っております。
 日本全体の勤労者の3分の1が非正規社員という異常事態は、安定した日本の労働環境を一変させ、終身雇用や年功序列制度が瓦解し、11年間連続3万人をこえる自殺者の統計を見るまでもなく、今日の状況は社会病理とも言える日本の経済社会の危機であります。
 このように、20年間を根源的に検証すれば、冷戦崩壊後の金融資本主義の嵐は、日本の持つ本質的な特性に深い傷を与え、日本の伝統・文化・精神性に取り返しのつかない禍根を残し、現代青年の孤独感や虚無感はベストセラー作家である村上春樹最新作1Q84の中に色濃く表れております。
 こうした現状を冷静に分析する時、現代政治は社会全体を覆うカオスと不条理の中にあって、21世紀のあるべき日本社会の姿を明確に提示し、強いメッセージを発信しなければなりません。現代文明の現状を客観的に洞察し、豊かさの中の貧困解決に向けて、楽観的な理想主義に陥ることなく、高い志と高度な政治能力が今ほど求められることはありません。経済の2番底のシナリオが不安視される今、政治は気取りをなくし、真に国民のための真の覚悟と勇気と行動を持って、この難局打開に向けて、全力を傾注すべき時であります。

コラム(22) 2009年09月
保守再生に向けて新たなる時代を
 この度の8・30の結果は、大局的には閉塞感の強い日本の社会情勢に対し、新しい保守再生に向けた歴史の第1幕が開かれたと認識すべきと思われます。更に俯瞰的に考察すれば冷戦崩壊後、急速に進む各般におけるグローバル化の中で、激変する国際政治経済に対し、明確な国家戦略と国家意思、更には新たなる理念と方向性を提示できぬまま漂流し続けた政治への不信と不安感への現れと思われます。
 5・7%の失業率は360万人の失業者を生み、6%を超えることも視野に入ってきております。一方、米国は9・7%ユーロ圏においても9・5%、青年層は19・7%という直近のデータを見ても、行き過ぎた市場原理の問題が世界的問題となってきております。
 地方経済の衰弱、雇用危機、少子高齢化、社会保障の制度疲労、財政危機等、そうした各分野における情勢は、政治が未来ビジョンに対し思考停止状況にあると思えてなりません。
 8・30の国民意思は、そうした危機意識から真の政治の指導力や構想力、実行力への警鐘と思われます。従って、歴史的試練を経て、日本の議会制民主主義を深めるためにも、時代の本質的変容を厳粛に受け止めるべきであります。
 21世紀の日本政治は、真の自由社会の実現を理念に、二大政党制時代に向けて国民が舵をきりました。少子高齢化が急速に進む日本にとって、厳しい経済の停滞感の中で、日本政治は政策の優先順位を基本とする政治が、その基本路線となると思われます。政治は納税者の受益と負担の新たなる均衡を提示しなければならず、行政執行のプロセスとその透明性は、より一層求められます。
 我が自民党が昭和30年保守合同により結党以来、冷戦下において日米同盟を基軸とした専守防衛や経済成長を理念として、幅広い国民の支持を得て参りました。その歴史を大枠で統括すれば、岸内閣における日米安保条約改定、池田内閣における所得倍増計画、田中内閣における日本列島改造、大平内閣における田園都市構想、中曽根内閣における国鉄・電電公社の民営化などが、その主要なものでありました。
 こうした国家戦略とともに地方振興、農業、中小企業対策、福祉政策など、広範に渡る政策実現は、野党の方向性にも柔軟に対応し、戦後復興や日本再建に重要な政治的役割を果たしてきたことは、多くの国民の理解を得てきたからこそと思われます。しかしながら、その後の内閣の経緯は、政策における総体的な体系性が希薄となり、重要な政策の絞り込みが弱く、今日に至っていることは冷静に解析する必要があると思われます。
 従って、今回の国民的判断の結果は、裏がえせば、4年前とほぼ同位置にあり、次回の戦いについては、まさに二大政党制の第2幕であり、従来の自民党政権の実績と課題を分析し、新たなる展望を視座し、本格的な国家国民の政策論争を進めるべきと思われます。
 明治維新、太平洋戦争終結による体制変革から、高度成長を経て21世紀の新たなる時代に対し、政治はその知を総動員して、この日本の難局に立ち向かわなければなりません。今こそ新たなる歴史的転換期にあって、日本の政治主導型実現には、政治家の高い志や情熱を含め、資質の向上が必要であります。そして最も重要なことは政治家の強い意志であり、その上に政治家の能力主義や能力向上こそが、政治復権への基本であり、まさに政治家の構想力が日本の命運を決すると言っても過言ではありません。
 立法府と行政の役割区分に透明感を持って明確にし、大方針と社会ビジョンのもとに政府は、党の重要公約を基本に行政テクノクラートの機能を十分に生かし、政策を実現することが最重要課題であります。
 新たなる政治制度のスタートの年でもある今日の状況は、自民党にとって再生への機会と積極的に受け止めるべきであると思われます。昨年来の世界的規模での経済危機は、新自由資本主義の問題点が一挙に現れ、格差問題を中心に急速に社会化いたしました。従って我が党も自己改革と明確なビジョン提示の機会と捉え、世代交代と党内の新しい風を起こすべきであります。8・30はそうした意味で、日本政治の全体像が浮上し、漠然とした閉塞状況を打開すべく、国際政治及び国内政治を常に両睨みし、民主主義に内在するポピュリズムを注視しつつ、真の国益や国民益のための政治の執行を、自分自身の問題として捉え、次なる時代に挑戦する気構えを自由民主党が持つことこそが、その使命と責務だと思われます。

コラム(21) 2009年08月
未来への成長戦略を
 昨年10月以降の世界経済の下義道は、一時的な不況の波ではなく、産業社会の根源的な構造変化として認識する必要があると思われます。冷戦が終結してから早くも20年が経過し、資本主義を客観的分析することを怠り、結果として資本主義が暴走し今日に至っておりますが、その主たる要因として政治の責任が極めて重いと思われます。
 政治のポピュリズム化や、市民社会の未成熟といった日本の政治風土の中で、政治の主権者である国民の方々は、常に「公」の観点から政治に今後、立ち向かわなければならないはずであります。
 今日、所得の再配分の議論が中心となり悪化する経済環境の中、財政出動はやむを得ないとしても、とりわけ他党の大胆な振る舞いは、中長期的に持続する可能性は少なく、幻想に過ぎません。
 今、日本において基本的に欠けているものは未来を切り開く長期的な成長戦略と明確な国家ビジョンの提示であります。少子高齢化・地方及び農村の衰退、社会保障制度の疲弊等々、それらの重要課題解決への道は、質の高い成長戦略の早急な立ち上げであります。
 地方・環境・介護・医療・農業をはじめ、日本の持つ各分野の技術やポテンシャルは極めて高く、こうした分野を軸に成長戦略を進化させるべきであります。
 一方、世界の潮流は急速に変化し、先の米国と中国とのG2がその大きな方向性の転換期となり、大国の一極支配が揺らいでおります。イラク戦争による戦費が300兆円とも言われ、サブプライムローンへの対応として、大手金融機関や企業への公的資金は約760兆円と言った米国の財源状況は極めて異形であります。この増大する米国の財政赤字を一番に支えているのが中国であり、先のG2の背景が解析できます。
 日米同盟により、米国とさえ歩調を合わせていれば良いという過剰な米国依存政治から、いかに自律し明確な国家戦略を持ち得るのか、今こそ21世紀の新しい日本の進路を造形する時であります。その為には日本の長期ビジョン及び大方針作成にあたっての政策の基本となる思想の基盤を造成しなければなりません。墜落したバラマキ政策でなく、景気・雇用・福祉・医療・介護等につき、まさに選択と集中をいかに有効に作動させるのか、ポピュリズムの流れをヘッジするものは思想に裏づけされた質の高い政策実現であります。
 深い政治思想は、哲学の投影としての施策であり政策でなくてはなりません。そのためには、多くの国民の方々が政治参加に積極性を持ち、健全な自由社会の創設の為、政治参加こそ誇るべき行為であります。
 今日の政治論争のレベルは、益々政治空間を縮小させ、政策選択の根拠を本質的に喪失させていると思えてなりません。そうした中、世界の中でアジアの中で、どのような政治の指導力を発揮するのか、悪化する財政や経済情勢の中、真の政治復権が求めらます。次世代の為の成長動力を創造し、大局論に立った論争こそ、今、最も重要なことであります。
 戦後政治最大のこの危機を切り抜ける力と逆境を乗り越える力こそ、今、日本の将来に向けた政治のリーダーに求められる基本資質であり、私もその創造に向けて全力を傾注する所存であります。

コラム(20) 2009年07月
新しい時代、政治の責任、自律した地域主権の確立を使命として!!
 混迷を深める現在の経済情勢の中にあって、金融政策及び財政政策を騒動員した結果、一応は景気の底割れは回避したと思われますが、金利情報や深刻な政府の財政悪化、国債市場については引き続き注意深く、その動向を見ていく必要があると思われます。
 資本が異常なまでに増長し、将来性ある実物投資先を喪失した今回の環境は、資本の証券化という人為的原因による必然新しい時代、政治の責任、自律した地域主権の確立を使命として!!的に金融市場のバブルが破壊したと思われます。
 本年4月5月の日本経済は、マクロ的には一部にやや明るい兆しが見えつつありますが、これは2四半期続いた戦後最悪のGDP2ケタマイナス成長への反動調整と認識すべきものと思われます。今回のバランスシート不況は、金融市場における資金流動性が停滞した結果、この状況は基本的には長期化を覚悟しなければならないと思われます。
 新興経済大国中国を中心に、BRICKS等は比較的高い経済成長を維持していますが、世界経済全体の視点から見れば、本格的な機関車の役割を果たすに至っていないのが、現状と思われます。従って、経済回復が実体として表れるのは2年後と見るのが冷静な判断と思われます。とりわけ本質的な構造変化であります。今回の不況は環境や医療といった新たなる分野へ経済政策がシフトされ、現在は真に新しい経済社会への転換期と考えるべきです。
 21世紀における国家・国民・国益を視座する時、食料・エネルギー・防衛といった総合安全保障に対しても、明確で大きな視野に立った大方針と戦略を政治は早急に提案しなければなりません。一方社会保障制度の一層の充実とその実現のための財源確保、さらにはその裏付けのため新たなる産業政策の確立に向けて今日ほど政治の責任が追求される時はありません。
 成熟した日本社会にあって質感の高い理念のもと、新しい時代にむけて安定感のある諸施策を地方も自律した精神と自己責任に立脚して、自ら構築する時代となりました。他力本願ではなく、地域主権のもと県政はその指導的役割を果たさなければなりません。著しい地方経済の悪化と県民の生活の低下を重く受け止め、経済成長と健全財政という複合的観点を両にらみしながら、県民の生活と福祉向上に向けて新しい発想力を持って、積極的な政策立案なくして長野県の再生はあり得ないと思われます。
 私も議会の立場からそのような危機感と使命感、志をもって全力で頑張る決意でありますが、皆様からの一層のご指導をお願い申し上げます。

コラム(19) 2009年06月
県民生活の安定に向けて大胆な景気対策を
 世界的な経済危機が続く中、先般国会において総額15兆円の過去最大の補正予算が成立致しました。
 事業規模にして約60兆円を超えるものであり、現在のわが国の重要ギャップが約50兆円と言われる中、極めて有効な景気対策と思われます。
 経済の底割れを回避すべく、未来を見据えた総合対策であり、その主なものは「子育て応援特別手当の拡充」「安心子ども基金の拡充」「修学が困難となった学生への支援」「地域医療再生基金創設」「子宮頸がんと乳がん検診の無料」「介護職員の処遇改善」「住宅取得のための贈与税減税」「エコカー購入時減税プラスの補助制度」「エコ家電へのエコポイントサービス」「スクールニューディール構想」「雇用調整助成金の拡充」「訓練生活支援給付金の支給」「失業による住居を失った人に対して新たな支援」「地方活性化のための新たな交付金の創設」以上であります。従いまして、長野県といたしましても、国の景気対策と連動して6月県会に向けて、長野県新経済対策「暮らし地域力向上プロジェクト」大網案を発表し、「環境」「産業・雇用」「健康・子育て」「安全・安心」を主に事業規模で約700億円の景気対策を発表いたしました。
 日銀松本支店は、4月の長野県金融経済動向で1年8か月ぶりに景気判断を引き上げ、一部に下げ止まり感があると認識し、その主なる分野は情報技術・自動車関連製品県民生活の安定に向けて大胆な景気対策をで、一部生産改善が見られたことによります。しかしながら、最悪期は脱しつつあるものの、長野県経済全体は、引き続き極めて厳しい環境下にあるものと思われます。
 従いまして、県議会といたしましても、この度の新経済対策主要4分野92項目につき、建設的な議論を通じ県民生活の向上のため、実効性とスピード感のある具体策を実現すべく最大限の努力をいたします。
 また、地元松本市と県政との共通課題である「健康寿命都市松本の創造プロジェクト」「地域公共交通の活性化」「信州まつもと空港の活性化」「JR中央東線の充実」「療育センターの設置」「技能五輪全国大会主会場についての態勢づくり」「中部縦貫自動車道158号線における奈川渡ダムから下の5ヶ所のトンネルの早期改修」「国道19号松本市内拡幅の整備促進」等を中心に、その早期実現に向けて努力を傾注いたします。
 世界政治経済が多極化し、新しい時代を迎える中にあって、中国経済の各分野における躍進は、米中のバランスオブパワーにも大きな変動を与え、日本も真の主権国家として、外交・安全保障につき自律した明確な方針を打ち出さなければなりません。食糧(WTO問題)エネルギー、防衛を軸に政治の果たす役割は極めて重要な位置づけになっております。一方国内においても、社会保障制度(年金・医療・介護・雇用)の新たなる設計図を構築し、21世紀に展望の持てる経済社会確率が早急に求められます。そうした複合的で重層的な課題が山積する中で、地方主権国家を理念として、いかに地方が財源・権限・人材の三要素を確保し、21世紀の地方政府を構築するかが、最大のテーマであります。
 私も、皆様も強いご理解を頂く中、県会議員としての使命を更に自覚し、政治を通して希望の持てる長野県実現に向けて、最大の努力をする所存であります。

コラム(18) 2009年05月
真に安全・安心社会の実現とともに新たなる社会保障制度の充実(年金・医療・介護・雇用)を確立します
 国際社会の警告を無視し、長距離弾道ミサイルを北朝鮮が発射したことは、北東アジアにおける安全保障が極めて流動的であるということを改めて深く認識させられました。
 ノドン・ミサイルは既に1300キロの射程を持ち、日本全土が脅威となります。この度のミサイルは3000キロ以上の性能が立証され、日米同盟の隙を突く戦略的意思に他なりません。こうした現況下、地方議会においても安全保障に関する基本的認識と危機感は、常に持たなくてはならず、グローバルな視点と地域問題を共有すべく、この度、長野県議会総合安全保障問題調査議員連盟が設立されました。
 また新型インフルエンザの感染拡大により、世界保健機関(WHO)は警戒レベルをフェーズ5とし、世界大流行一歩手前という状況であり、従って世界的大流行と認定されるフェーズ6にいつ移行しても不思議でない事態と思われます。
 私達安全保障議連は、テロや災害、感染症といった身近な危機管理も視野に入れながら、我が国わがふるさと長野県の安全・安心の確保のために議連の立場から、その対応につき迅速適切に対応する所存であります。
 経済的側面から考察すれば、この度の新型インフルエンザ問題は今日の世界が情報交通アクセスの急速な発達により極めて狭小となった結果、その打撃は想像以上のものとなる可能性があります。経済アナリストの予測によればフェーズ6の場合、世界経済への影響はマイナス4%とも言われ、戦後最悪と言われる今日の経済情勢に新たな懸念材料が加わり、カギを握る輸出の復調も明確でなく、本格回復の道は依然として不安定のまま推移しております。
 日銀が3月30日に発表した「展望レポート」によれば2009年度の日本の実質国内総生産成長率をマイナス3.1%に引き下げました。日銀は長期国債の買い切り増額、コマーシャルペーパー、社債の買い切りなど、最大限の努力はしておりますが、需要不足に追いつかず苦しい状況が続いております。国はこうした事態と深刻と受け止め、15兆円の財政出動を決定し、事業規模5兆円という小渕内閣の倍とも言われる補正予算を提出し、5月中に国会において議決されるものと思われます。
 長野県においても21世紀の低炭素社会を目指し、環境・健康面を柱に政策を総動員し、5月中にまとめ6月県会に提案する方向であり、切れ目のない経済対策を続ける意思であります。
 一方、社会保障制度とりわけ医療・介護・福祉・雇用分野における再構築は、県政の最重要課題となっております。未来への責任として政治は、強い意志と高い志を持ち、今述べた4分野に対し、新しい時代に適応した明確なビジョンを提示し、年配の方々から赤ちゃんまで安心できる安定した社会の設計図を早急に政治は書き上げなければなりません。
 そうした観点からも、私も県議会議員としての責任と自覚を一層強く持ち、今後とも真に県民の皆様のための政治が実現できるよう、全力で頑張る決意であります。

コラム(17) 2009年04月
現状打破に向けて賢い協調を
 ロンドンで開催されたG20(金融サミット)は、全体で500兆円の財政出動の合意が成立し、金融規制、保護主義の回避についても大筋方向性が確認された。
 歴史的にも意義深いサミットとなり、ワシントンコンセンサスから国際協調路線へと21世紀はまさに多極化の時代となった。
現状打破に向けて賢い協調を そうした中、日本経済は3月の日銀短観の結果から引き続き厳しい経済状況が続き、失業率4.4%、有効求人倍率0.58というデータからも早急に追加の経済対策が強く望まれる。輸出依存の経済体質の変革、少子高齢化と総人口の減少傾向、100兆円と言われる財政赤字の構造問題に対し、中長期にどのような解決策を見出すことができるのか、政治の責任は従来に増して重い。従って総理は当面の対策に対し、4月6日、予算規模GDP比2%の10兆円を超える財政支出を支持し、過去最大規模になる見通しである。主要項目は、(1)雇用の拡大、(2)資金繰り支援、(3)エコカー、太陽光など新エネルギーの拡充、(4)介護・医療対策、(5)地方活性化の5分野に重点をおき、今日の経済危機に対応する考えと思われる。
 一方、長野県においても、本年度の予算執行方針を固め、自然エネルギー導入を軸に、緊急経済対策を柱とした2008年度補正予算に連動した切れ目のない事業執行ができるよう関係部局に指示し、引き続き5月に環境・健康などを基軸にした追加経済対策の検討に入った。
 いずれにしてもOPECの発表した2009年の日本経済は、マイナス6.6%と先進国の中で最悪であるが、この時こそ次なる時代を見据えた実態経済の転換期と認識し、低炭素社会の実現に向けて、大胆な政策立案を構築すべきである。
 金融資本主義から実体経済へのリセットは前向きに受け止めるべきであり、この試練を乗り越えることこそが、まさに日本のスマートパワーへのスタートと思われる。主役なき時代に忌まわしい歴史を繰り返さない為にも、賢い協調こそ21世紀の基本理念であり、政治はその主導性を一層発揮しなければならない。

コラム(16) 2009年03月
未来への責任 誇りある日本の再生
 21世紀の歴史をいずれ見識者が総括した時、今回の経済金融危機は、今世紀の重要なエポックメイキングとして位置づけられると思われます。深刻な閉塞感に包まれた世界の政治経済構造にあって、戦後初めての世界同時不況によるパラダイムシフトは、公的セクターの役割の拡大、アメリカのヘゲモニーの衰退、多様化という新たなる方向性を提示し、同時に予測を超えて急速に進展したグローバリズムは、世界経済と長野県経済を直結させ、あらゆる経済データは驚愕以外のなにものでもありません。
 長野県の命運を左右する本質的課題とは、戦略的意思を持ち、経済荒廃を防ぎ混迷を深める経済社会への懐疑を払拭し、新しい時代に対し積極的解決に向けて、重大な政治判断のもと、財政出動を軸に、政治的想像力と実行力を駆使して政策を総動員することであります。その為には今日の厳しい局面を脱却すべく、事態解決に向けて、新たなる政策構想の造形であり、更に重要なことは、政策論に傾注するだけでなく、県当局はこの難局に立ち向かう強い覚悟と意志を持って、新しい価値をいかに創造し、強く県民にそれをメッセージできるかであります。
 以上のような認識のもと、激動の時代に迫り来る大経済危機打破のため、自由民主党県議団は真に県民のための新たなる長野県再生に向けて、総力を挙げてその政治的社会的有効性を信じ、全力を傾注致します。

コラム(15) 2009年02月
世界と日本、長野県経済を取り巻く危機的状況について
 混迷を深める今日の世界の政治・経済を俯瞰すれば、サミュエルハンチントンを引用するまでもなく、21世紀は文明が世界動向の重要な要因となり、世界は大きく変容し、一層の多極化が進み、各国の個性ある価値観が主体性を持ち、まさに文明史的に大転換の時代に突入したという基本認識を持つことがじゅうようであります。
 一方オバマ新大統領を誕生させたアメリカの強みは、その自己変革能力の高さであり、新大統領は強い指導力のもと、国民とともに立ち向かう責任の時代を強調し、対話と国際協調路線に舵を切り、緊張関係にある各国との融和政策を打ち出し、多様性を理念としてスマートパワーを前面に押し出す新しい基本姿勢を明言致しました。
 そうした状況下、わが国は内政によって貴重な時間を費やし、激動する国際社会において、明確な国家意思の喪失と文明史的な理解不足により、政治総体が劣化し政府与党の75兆円に上る景気対策のうち、2次補正の関連法案が審議入りできず、予算が執行できない状況であり、まさに政治の危機であります。
 金融システムの暴走による第2次世界大戦後、初めてと思われる先進国同時不況は、日本の輸出立国モデルの終焉でもあり、2008年10月〜12月成長率マイナス10%、日銀の2009年GDP成長率マイナス2%という戦後最悪の予想データからも、現代日本が経験した精神的衝撃という点では、1929年の大恐慌を凌駕するものと思われ、企業と家計、設備投資と個人消費の低迷、さらには最大値、数100万人の失業者の発生予測は、日本社会の基盤を揺るぎかねない現況となりつつあります。
 従って、金融政策の影響が低下する中、経済政策は本格的な財政出動を軸に、重要な節目を迎えております。
 サッチャー、レーガン政策の基本理念となった20世紀の経済学者ハイエクあるいはフリードマンの「資本主義の自由」の市場原理主義が歴史的転換期を迎え、ケインズの「雇用利子および貨幣の一般論」の有効需要創出論は、戦後の主要国においてマクロ経済政策の基本であり、今日また主要先進国の積極財政の理念となっていることは、逆にこうした時代ゆえに新たな政策思想の形成が、今ほど求められる時はありません。
 こうした状況を包括すれば、人間社会のきわめて有効な方法である政治において、日本再生のカードは真に地方主権の確立であり、日本の活力ある未来構築は、地方社会の蘇生に他ならず、現代史は新たな段階に入ったと認識し、2009年は真に新しい長野県政の歴史の扉を押し開く意義深い年をしなくてはならないと思われます。
 尚、多元的意志の調整は、民主主義の基本である以上、深刻な閉塞感に包まれた昨今の社会情勢の中、混迷の時こそ悲観的に据えるのではなく、積極的解決に向けて舵を取るべく、知事は政治的想像力を駆使し、この厳しい局面の脱却のため、重大な政治決定こそが必要であり、具体性に富んだ政策構想力と広い知見のもと、新しい発想力を持って、真に県民の為の新しい長野県の政策体系造型に向けて、一層のご努力を頂くことを切望します。

コラム(14) 2009年01月
危機の克服に向けて
 激動の平成20年もあと残すところわずかとなりました。1年間にわたり、後援会、党員、支援者の皆様には、私の政治活動に対し、常に温かなご理解ご協力を頂き、心から感謝申し上げます。
 当初、予想もできなかった世界経済の混迷は、経済史の中でも極めて重要な転換期と位置づけられると思われます。世界同時不況は明確となり、金融工学の美名のもとに、ITバブル以後の経済政策としての金融資本主義は、結局のところ破綻をし、先進国、BRICSを含め、来年度以降の世界経済はマイナス成長が明確となりました。
 日本も金融機関の財務悪化のみならず、製造業を中心に実体経済に不況感が浸透し、雇用面を含め経済社会は、とりわけ我が国の経済を支える中小企業の厳しい資金繰りが、年末にかけて一段と悪化すると思われます。中小企業への資金支援については、第一次補正予算で信用保証枠拡大策が実施され、これに連動して長野県としても、中小企業融資制度資金300億円の拡充も実施、また短期資金緊急対策枠80億円を決定致しました。
 外需依存体質から、いかに内需経済に転換できるか、政治主導による基本的な政策転換が今ほど求められる時はありません。日経平均が8000円台を維持できるのか、為替は90円台という近年にない円高基調であります。従って輸出産業は根源的な経営戦略の変更を迫られている状況です。
 一方、財政面から考察致しますと、平成20年度当初予算比マイナス約200億円が予測され、減収補填債をはじめ、多角的な財政運営が求められております。日本を代表する自動車メーカーが大量のリストラと減産体制をとる等、裾野の広い産業故に、地方にも既に影響が出ております。
 サッチャー首相、レーガン大統領が押し進めた市場原理は、その調整機能が喪失し、今日経済思想は、フリードマンからケインズへとパラダイムシフトする傾向にあります。本質的な危機である今日の世界経済情勢への対応は、適正な財政出動による有効需要を創出する新たなるスタートの時となりました。
 無秩序なフリーマーケットの理念が崩壊しつつある今、政府の健全なる関与は、時代の要請となりつつあります。そうした中、社会保障制度の確立は、今、県民が求めている最大の課題であります。そのためにも財政の健全化を基本としながらも、景気回復を最大の政策テーマとしながら、財政の安定化実現を視野に、高齢者福祉の充実と未来の世代への責任という二つの柱を両にらみしながら、財政は戦後最大の困難な事態に直面しております。
 国家の一般会計82兆円、特別会計173兆円、県予算8400億円という財政規模の中で、本年度だけでも国は当初予算比マイナス6兆円と、まさに国家の危機であります。この危機の全体像を政治は深く認識しなければなりません。商業・工業・農業・観光・年金・医療・介護・雇用等々、各分野の展望が開かれず閉塞感と不安定感が社会全体に流れる中、当面の問題解決と中長期的な戦略性に富んだ明確な基本政策を政治は提示しなければなりません。
 2009年を迎えるにあたり、今日の危機の克服に向けてそうした現況を重く受け止め、県民の皆様の安全・安心のために県政全般に対し、緊張感を持って全力で議員活動をする決意であります。

コラム(13)
地方景気対策と財政危機の狭間の中で
 米国発の国際金融不安は、実態経済にも強い影響を与え、とりわけ、税収面で国・地方ともに当初予算見込みを大きく下回る結果となると思われる。長野県は約200億円、国においては法人税を中心に約5兆円を超える見通しとなり、来年度は更なる税収減が予測され、本年の当初見積もりが53.5兆円であるので、政府はそれを補うために赤字国債を追加発行せねばならず、3年ぶりに新規国債発行は30兆円を上回ることになると思われる。したがって平成11年目標のプライマリーバランスの黒字化の達成は困難な状況となった。法人税以外にも消費税、所得税への減収が心配される。

 一方、一次補正に続く追加経済対策として、住宅ローン減税と定額減税については、2兆円規模の給付方式を決定した。一世帯当たり平均38,000円程度と思われる。また今年度に限り、地方自治体に対し、交付金として6000億円を支給し、地方活性化対策の柱として、耕作放棄地の再生や商店街の活性化などを主要事業とした。更に道路特定財源の一般財源化に伴い、1兆円を地方に交付税として支給することも検討段階に入った。

 地方道路整備臨時交付金として、既に7000億円を支出しているので、合計1兆7000億円が道路財源から振り分けられる訳であるが、問題点は道路整備費の大幅な圧縮であり、今後国会での議論が注目される。

 いずれにしても平成21年度予算は、国・地方ともに戦後最大の経済・財政の危機であり、国政経済・金融というマクロ的要素を背景に、わが国も極めて難しい舵取りに直面している。景気対策を基本としながら、わが国の経済、地方の経済の体力を回復させ、外需依存から内需中心の経済構造へいかにシフトするのか、公的資金導入による金融の安定や更に柔軟な運転資金融資による中小企業の救済を早急に実現することが、今最も政治に求められている課題である。実態経済に即応したスピード感ある政策実現こそが、政治の責務である。

コラム(12)
新しい経済社会の造形に向けて
 世界的規模での金融・経済の危機が迫っている中、市場の不安定感が一層増す方向性にあると思われます。

 企業や家計への影響が実体としてマイナスに振れ、米欧が金融安定化策を打ち出しましたが、依然として不透明から脱出しておりません。100年に一度と言われるこの度の金融危機は、株式・原油・為替市場の混乱を招き、株式市場の乱降下、世界的な石油需要の減退懸念は、原油価格の下落を招き、為替の円高基調は、わが国の輸出採算を圧迫している現況であります。

 そうした環境下、国内の各民間調査機関はGDPの成長率の下方修正を行い、2008年の実質成長率は、大方ゼロ成長という予測に変更せざるを得ない実情と思われます。

新しい経済社会の造形に向けて レーガン政権の市場原理主義的な経済政策の帰結とも言える今回の金融危機の原点であるグローバル化の流れの中で、単純に閉鎖的方向性をとるだけでなく、国際協調の必要性を欧米各国が痛切に認識し、その結果、新たな国際経済システム、経済社会に向けて更なる政治的、思想的進化へのスタートに立ったという側面も否定できません。今回の経済危機の経験を契機として、相対的に国家の基盤が弱まり、アイスランドの国家破綻に近い例を見るまでもなく、国際協調と国家意思の並立的戦略が今ほど求められる時はありません。

 従って、こうした新たな経済環境は、日本ならびに我が長野県にも連動し、グローバリズムとローカリズムの調整をどのように判断し、将来への展望やビジョンをいかに構築するか、指導者の力量を問われる時であります。

 当初、予算比マイナス200億円の税収減が見込まれる中、縮小均衡でなく、いかに大胆なビジョンを立て、経済の再生を図るかが、今の長野県政に問われている最大の課題であります。10月2日に行われた日銀の全国支店長会議においても、全ての地域で下方修正との判断は初めてであり、深刻な事態であります。私も地域経済活性化議員連盟会長として、今回の負の連鎖を食い止め、新しい時代の長野県経済の造形に向けて、最大の努力を払う決意であります。

コラム(11)
未来のために勇気を持とう
  戦後63年が経過いたしました。戦後復興から高度成長期、バブルからバブル崩壊、IT産業の急成長からITバブルの失速、失われた10年間の後、今日に至るまでの日本社会の閉塞感は激動する世界情勢の中で、明確な国家意志を表明できず、むしろ漂流している現状であります。昭和30年の保守合同以来、自由民主党は政権政党として骨太としては日本繁栄に寄与し、国民の皆様から安定した評価を頂いて参りましたが、昨年の参議院選以来のねじれ現象が、政策遂行上、大きな壁となり極めて困難な政治状況にあります。国連は未来のために勇気を持とう本来の機能を喪失し、各国は自国の国益中心となり、アメリカを軸としたグローバルガバナンスは、今や過去のものとなっております。更にBRICSの台頭は国際情勢にも大きな影響を与え、とりわけ中国・インド・ロシアは資源やハイテク技術を背景に、政治のバランスオブパワーの指導権を発揮すべく、新たな動きが各所で現実化しております。

 一方、金融工学の美名のもとに投資ファンドは、結局のところサブプライムローンで挫折し、世界における総負債は100兆円とも言われ、FRB議長バーナキン氏は、未だ解決の見通しはなく米国経済の後退をはっきり指摘しております。

 そうした環境変化の上に、原油高、食料高、原材料高が重なり、今日の経済情勢の舵取りは、かつて経験したことのない不安定な位置にあります。従って主要各国もマイナス成長の基調であり、政府もようやく景気後退を名言したところであります。

 昨年の市町村の財政収入もそうした現実を直裁に影響され、各自治体の来年度予算編成は、深刻なものとなります。一方、路線バス問題、医療崩壊が県政の最重要課題となる中、過疎地問題、格差問題が噴出し、政治は山積する諸問題の対応に早急に取り組む必要があります。ニート、フリーター、非正規社員の増大は大きな社会問題であり、法人利益の確保は必然としながらも、社会政策の視点からは雇用をはじめ社会保障制度(医療・福祉・介護・年金・保険)の根源が関わるもので、若者達の将来のために政治は何をすべきか、未来のために勇気を持って政治はその責任を実行しなければなりません。

 自己破産、廃業が負の連鎖を社会に与える中、新しい時代の経済社会、更には21世紀の人間のあり方、人生感を含めて、より掘り下げた人間のための社会をいかに構築するのか、私達は今その歴史的転換期の重さを深く認識する必要があります。

地方政府、地方政治もその実現に向けて、中央依存体質を脱却し、真に自律した地方再生のために全力を傾注する責任がいまほど問われる時はありません。

コラム(10)
希望ある長野県実現にむけての勇気を!
 国際社会の変動は常に予期せぬ時におきるものですが、経済分野では振り返ってみると、1987年のブラックマンデー1997年の通貨危機、2007年のサブプライムローン問題とほぼ10年サイクルで国際的経済危機が起きております。今回のグルジア問題は、国際社会の変動は常に予期せぬ時に起きるものですが、今回のグルジア問題はこれからの世界政治の変調の新たな兆しと思えてなりません。

 冷戦構造の崩壊後、旧ソ連は総体的に急速にその力を後退させ、以後その復権の為にプーチンの強い指導力のもと、更には石油ガスをはじめ資源外交によって、その存在感を回復しその端的な例が今回のグルジア問題と思われます。いずれにしても世界を見渡せば中東をはじめ、各間における民族・宗教・紛争は絶え間なく続いておりますし、アメリカのグローバルガバナンスの低下は著しく、今後世界は一層多極化が進むと思われます。

 一方、わが国もGDPは世界第2位ながらも、その基盤は極めて脆弱であり、エネルギー・食料・原材料をはじめ、他国依存型経済に他なりません。ハイテクノロジーにしても、北欧やブリック希望ある長野県実現にむけての勇気を!スに急迫され、一部は追い抜かれたものも多く、今後わが国は、どのような経済社会を創造し、共通した価値を創出すべきなのか、新たな理念と哲学の造形が求められます。農業・工業・観光・商業、いずれにしても新しいビジョンと明確な施策と政治を提示しておりません。一方、社会保障制度についても、医療・年金・介護等、抜本的な見直しを迫られております。20代の若者の多くが日本の将来に不安を持ち、消費しない20代、老後の為に貯蓄率71%、20代の自動車保有率13%という現状を見る時、新しい世代の精神のメルトダウンを痛感し、政治にかかわる1人として異形な首都圏集中型の格差社会に対し、地方分権を基本とした真に人間のための自律した地域主権国家の実現に向けたエネルギーを燃焼させる責任があります。

 農村社会の崩壊は、日本の崩壊でもあり、家族制度の再興を基本課題に、新しい時代の経済社会を構築すべく、単に多様化する現代社会という表層的解析ではなく、時代に対する深層分析を適格に把握し、液状化する政治環境の中で、スピードと決断を持って対応しなければ、日本は活力あるかとの問いに7.2%という回答を見るとき、それこそ政治はその機能の意味をなさなくなる危険があります。社会工学上の統治機能である政治・行政は、今の危機的状況を迅速に掴み、国民が希望の持てる社会実現に向けて、鋭い政治的眼光を持って、真の勇気ある行動する時が今であり、この事は私自身の問題でもあると重く受け止めてます。

コラム(9)
歴史的岐路にたち新たな経済社会の構築をめざす
 G8サミットが終了し、新しい時代を予感させる結果となった。
環境、原油高、食料不足を軸に、危機感の共有に成功したが、ブリックスの存在、アフリカ・中東情勢を含め、グローバルガバナンスの低下が明確となり、世界の多極化は一層現実味を帯びてきた。
 米国の金融不安は未だ解決できず、一説によれば全米で150もの金融機関が倒産するとの予測もあり、過剰流動性による投資ファンドの動きは、資本主義経済の負の側面が顕在化し、政治がいかに健全なる経済社会の道筋を提示できるか、まさに真の政治の主導性が今日ほど問わ歴史的岐路にたち新たな経済社会の構築をめざすれる時はない。

 従ってわが国においても、戦後最大の経済危機という認識を持たねばならず、インフレと不況が共存するスタグフレーションに対し、従来の経済策を越えた新たなる財政・金融・経済方針を早急に立ち上げなければならない。

 原油高・食料高・原材料高は、企業経営・家計経済にも深刻な影響を与え、新たなる資源エネルギー政策の確立に向けた技術革新は、国家戦略として予算付けも含め、大胆な政治決断が求められる。格差社会が進行する中、若者達が将来に展望の持てる社会構造をどのように実現するのか、政治責任は極めて重い。

 中央集権から地域主権国家への移行もその方法論の1つの選択肢であるが、財政権、立法権、課税自主権を含め、実効性ある本格的な税制改革なくして机上のプランに終わる。豊かさの中の貧困は、日本が初めて経験する社会状況であり、いかに真に自律した地方政府を創るのか、二元代表制の一翼を担う県議会の果たすべき役割は限りなく重要であり、そうした状況を重く受け止め、覚悟を持って政治活動に望みたい。

コラム(8)
2008年の分水嶺
 2008年がスタートして既に6ヶ月経過した。当初予測した以上というよりも劇的な政治経済の混迷と思われる。内閣府は4月の景気動向指数から、景気は後退局面に入ったかもしれないとの指摘を明確にした。原油は1バーレル140ドルに迫り、エコノミストの分析によれば、実需は60ドルが適正価格であり、その他は投資ファンドによるものと判断、さらに食糧についても、原油ほどではないが、マネーゲームの要素が入り込んできている。

 食料品は平均10%〜15%の値上がりで、家計経済を直撃している。OPECは増産の意思を避けているし、中国・インドの急激な経済発展は世界経済システムに強烈なパラダイムシフトをもたらした。

 一方、アフリカ・アジアの食糧不足は深刻さを増し、世界で2億数千万人の人々が飢餓に苦しんでいる。又、米国経済が戦後初めて一時的にマイナス成長のランプが点滅、日本経済は原油に原材料の急上昇により、企業の経営状況は低下の一途を辿っている。

 米国・中国への輸出依存体質の日本経済は、後退局面と認識すべきであり、これまでの成長の構図の再構築が迫られる。一方、国内政治は、社会保障制度を軸に混乱し、与野党ともに大極に立った戦略を打ち立てられないまま、内向きの政局に追われている。国際政治・国際経済が2008年の分水嶺新たなる時代に突入しようとしている中、日本が真の政治の立て直しを図らなければ、各般のデータを見るまでもなく、格差問題を含め極めて深刻な状況下に陥る可能性がある。

 1992年第1位だった国際競争力は24位、世界全体のGDPに占める割合は24年ぶりに10%を割った。豊かさの指標である1人あたりのGDPは18位、トップのルクセンブルグ、ノルウェーの半分にも満たない。まさに2008年は日本にとって、真の歴史的転換期の年となった。

 私たちはこの状況を正確に認識し、日本のあるべき国家戦略を政治の力で提示しなければならない。政治家がこの状況を打開するために一体感を持ち、国家国民のために全力を傾注しなければ、我が国の将来は予断を許さない。

コラム(7)
地方政府実現に向けて勇気ある行動を
 今日の地方経済の疲弊は、極めて深刻な状況にあります。近代国家構築のため、明治政府は中央集権国家体制を軸に、欧米列強に追いつくべく官僚主導により、歴史上アジアの奇跡ともいえる繁栄を実現し、戦後も本質的にはその延長上に経済政策でも大いなる成功を納めたといえます。

 しかしながら昨今、激しく議論されるごとく日本の政治体制は、議院内閣制ではなく、むしろ官僚内閣制と批判されるごとく、霞が関依存から脱却できず、今ほど真の政治主導が求められる時はありません。中央官僚統制から地域主権国家の移譲は、歴史の必然であり、地方政府の実現こそ最大の課題であります。

 教育・経済政策・医療・介護・福祉など内政問題は、とりわけ税財政制度の本格的改革は、最も重要な問題であります。大胆な指摘とは思われますが、法人税、消費税、所得税等を地方に移譲することが、地方の真の自律を高め、各地方間の競争を生み、知的創造性に富んだ地域政策や地方政府が実現すると思われますし、根源的な税制改革を実行しなければ、国と地方を合わせて約100兆円と言われる最悪な債務残高である日本財政は、展望なき縮小均衡に陥る可能性が充分考えられます。

 現状維持から新しい時代に向けての発想は政治の責務であり、激動する世界情勢は、我が国、我がふるさとに直結する昨今、私たちは真剣に自分自身の問題として、今日の社会情勢に危機感を持たなければならず、政策を通して私も県民皆様のための県議会議員として、精一杯働かせて頂きたい決意であります。

コラム(6)
長野県の進むべき道 真の抜本改革を!!
 長野県は今、中長期の危機の視点から見れば、高齢化や財政再建という本質的問題を抱えており、年金・医療・介護に対応すべく歳出の大幅削減や行政改革を含め、抜本的改善策を取らない限り、10年後には極めて深刻な状況が到来することは充分現実性があります。

 国家戦略なき日本は、亡国の危機にあり、金融工学に立脚した国際金融の嵐は、サブプライムローン問題を起点として、日本経済は急速な円高、原油高、株安、原材料高という三重苦乃至四重苦の中に立ちすくんでいると言っても過言ではありません。国際社会における日本の民間企業もその競争力を強め、中国・インド・韓国にいずれ追い抜かれる可能性は極めて高いと思われます。

 欧米からアジアへ世界経済の重心が移行する中で、世界的競争に打ち勝っていけるのか!今、政治はそうした現実を冷静に分析し、真の国益と国民益のために新しい時代の大胆な政治的決断を実行し、有効な戦略を打ちたてなければなりません。

 幾多の興亡の歴史を経て、二十一世紀初頭の現在、産業資本主義が終焉し、世界はポスト産業資本主義の時代に変化しつつあります。サブプライムローンの世界の総損失額が100兆円を超える現在、日本経済をのみ込み、政治・経済のリーダーはマクロ的視点から明確な展望を描ききれず、機能不全状態であります。

 この時にあたり、我がふるさと長野県も医療・福祉・教育等、県民生活と深く関わりあう分野への一層の施策の充実を図るべく、適切なる経済成長戦略を実践化し、県民の皆様の雇用や所得の持続的な発展を期するべく、県政及び議会の責務は重く、私も微力ながら全力を傾注して、この危機に対応していく所存であります。

コラム(5)
危機に立つ地方
 21世紀初頭にあたり、近代主義という1つの文明が終幕を迎え、新しい文明の秩序の造形が求められる今、2008年は世界の構造的変動の本質的スタートの年であり、現代社会は極めて解決困難な幾多な問題に直面しております。

とりわけ世界における日本のプレゼンスが低下している中、わが国わが長野県の真の再生復権を期するべく、私たちは従来の画一的な地域政策ではなく新しいベクトルによる、時代に即応した統治体制を再構築する必要があります。政治そのものが閉塞的となり、真に国民のための政治を蘇生させるべく、わが党は真の保守再生のため、エネルギー・環境・金融・テロ・格差・貧困問題、更には社会保障制度も含めて、明確な国家意思のもと持続可能な真に創造力に富んだ政策立案に取り組んでまいります。

 経済成長重視と分配面に考慮した公平性重視政策を対極的に捕らえるのではなく、それらをいかに複合的に総合政策として立案していくか、指導者の力量が問われている現況であります。このような基本認識の上で、人・物・金・情報が首都圏に一極集中する極めて異型な環境下、厳しい地域主権の理念の上に立ち、課税自主権を基本に政治の真髄である税制改革を含め、個性豊かな地方の繁栄に向け、真の地域主権型社会を造成すべく、愛する郷土長野県政の今後の主要課題について、全力を傾注する決意であります。

コラム(4)
新しい時代、真の地域主権社会の実現に向けて
 今日、日本に求められている最大の課題は、中央主権体制を早急に見直し、この国の制度や形を根源的に改革することと思われます。地域主権型の新しい国づくりは、すなわち新しい時代の新しい地方自治のあり方を造形するものであり、極めて重要な21世紀初頭の政治が成すべき第1義のテーマであります。三位一体改革が実質的には地方財政や地方経済の疲弊をもたらした事実を新しい時代、真の地域主権社会の実現に向けて認識する中で、国と地方の役割分担を本質的に変える為、必要な課税自主権・税率決定権・徴税権などの主権を地方に付与されなくてはなりません。

 世界の政治経済において、日本のプレゼンス(存在)が急速に低下している中、今日ほど政治の指導力が求められている時はありません。輸出依存型から内需主導型に構造改革を進める為にも、地方都市の均衡ある発展と創造力に溢れた地域主権国家への移行は、避けて通れない道であります。20年後には日本の人口の50%は、首都圏に集中するという予測もある中で、限界集落が深刻な社会問題となっていることからも、一極集中は世界の中でも異型な国家構造であり、地方復権を実現することで、政治・経済・教育・福祉・文化あらゆる分野におえるポテンシャンを具現化できると思われます。

 昨今の日本の政治がともすれば、内向きの議論に終止する中で、真に健全な自由社会を目指す私は、そのような視点から県議会の主体性に富んだ将来に対する明確な理念と方法論を基軸に、次の世代が明るく展望に満ちた長野県発展のために、全力を傾注する所存であります。

コラム(3)
「長野県経済の活性化・福祉医療の充実」実現に全力を傾けます
 地方経済が著しく疲弊する中で、国においても今日の経済状況を深刻に受けとめ、二〇〇八年度予算編成で地方交付税の総額が約一五兆四一〇〇億円と、三年振りに前年度より増加することが決定致しました。
 長野県においても、県内企業の冷え込みが各種データにより裏付けされ、先行見通しを下降傾向にとらえる企業が増加し、それを受けて県は、庁内に中小企業等緊急支援連絡会議(座長/腰原愛正副知事)を設置しました。部局間の連携を深め、商工部は制度資金を一二五億円増やし、一〇五五億円とし、更に中小企業の経営実態分析に入りました。農政部は農政経営緊急連絡会を設置。土木部では除雪業の積算基準の引き上げを検討。

 いづれにしても、原油高、原材料価格が高騰し、更にマクロ的にはサブプライムローン、建築基準法の改正、輸出の減少等国内外の複合的要因が重なり極めて憂うべき状況にあります。勤労者の賃金がここ数年間上昇せず、労働分配率の議論が深まる中、労働生産性を上げ、GDPの六割を占める個人消費を伸ばす為に行政のより踏み込んだ政策が今程必要な時はありません。
 更に円相場は一ドル一〇五〜一〇九円と円高基調であり、株価も一万四〇〇〇円台を推移しており、建設小売を中心に先行き不透明感が続き、県としても行財政改革プランを基本としながら抜本的な実効性ある経済政策の立案を早急に求められております。
 中期総合計画の五年間のスタートの年にあたり、経済基盤の確立、自主財源の確保、福祉医療の水準の向上をはじめ、山積みする行政需要に対し、今年はまさに長野県にとって歴史的分水嶺になると思われます。
 議会第一会派「自由民主党県議団」の力量が今ほど問われることはなく、全力を傾注して、県民の生活の安心の為に最大の努力をする所存であります。

コラム(2)
真の教育再生を目指して
二十一世紀の初頭にあたり、教育問題は政治にとって、主要課題と深く認識されております。教育基本法の改正、とりわけ教育三法が改正され、学校教育法の義務教育の目標として「規範意識」「我が国と郷土を愛する態度を養う」事がその柱となっております。

真の教育再生を目指して
 そうした国の方針の中にあって、現状の教育現場においては青少年の規範意識や道徳心、自立心の欠如、さらには学ぶ意識の低下に加え、いじめや不登校、家庭や地域の教育力の低下等、難問が山積している状況にあります。

 長野県においてはその対応施策として、「信州こまやか教育プラン」を基本理念として、より良い教育環境を育むべく実践活動を推進してきております。小学校低学年(1.2.3年生)は子ども学習習慣形成に向けての加配、高学年(4.5.6年生)は算数や国語における少人数学習集団への加配等は、その特長的なものであります。

 いずれにいたしましても、急速に進む文明社会は科学技術の発展や情報の高度化等、グローバルリズムの進化とともに、現代社会そのものの課題であり、真に人間の為の教育を育むことの困難さは、想像以上のものがあります。人間の持つ豊かな感性や個性、創造力を大切にしながら、国際社会に主体的に生きる児童の育成は、今日の重要課題であります。そうした視点に立ちながら、知育・徳育・体育の調和の取れた人格形成を目指し、生きる力や高い志を持った社会性豊かな教育の向上は、政治の大きな責務であります。真の教育再生を目指し、県政の重要課題として深く認識し、今後とも全力を傾注する所存であります。

コラム(1)
国家の危機、政治の危機、政党の危機
長野県議会議員の本郷一彦です 混迷を深める我が国の政治状況は、極めて深刻である。6カ国協議を見るまでもなく、各国はそれぞれの国益を機軸にダブルスタンダードの外交姿勢を平然と行い、その変節ぶりには外交交渉の展開の困難さを痛感させられる。

 凄まじいばかりの国際政治の流動化の中で、果たして日本の政治はどうあるべきか。国家としてのアイデンティティークライシスが今ほど問われる時はない。衆議院と参議院のねじり現象の中で、今日本は国家としてのあるべき進路の論議よりも、むしろ政局がその主要テーマとなっており、漂流国家日本とも言える状況である。まさに日本にとって国家の危機、政治の危機、政党の危機とも言える。

 戦後62年が経過し、経済再生を主軸とした国家戦略が現在その脆弱さを露呈し、改めて外交防衛を軸とした真の安全保障政策の確立が求められる。一方、国内においては生活第一主義というよりも、むしろ私生活第一主義に囚われ、国家と個人、個人と国家、公と私と言った重要な認識が希薄化し、激動する国際情勢への認識が極めて薄く、表層的なメディアによる情報過多により、真の自己決定能力を喪失しつつある。

 政治・経済・教育・文化のあらゆる分野において、本質的議論のない今日の日本の状況は、歴史の大きな岐路に立たされている。政治がその強い規制力を持つが故に、政治家はポピュリズムから脱し、真に国民県民のための高い理念と見識のもと、勇気ある行動力と発言が今ほど求められる時はない。

ビデオメッセージ
こんにちは、長野県会議員の本郷一彦でございます
こんにちは、長野県会議員の本郷一彦でございます。

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